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【3848】株式会社データ・アプリケーション代表取締役社長執行役員 安原武志氏「社会インフラを支え、データ・インテグレーションマーケットのリーダーとなる」

※本コラムは2023年2月20日に実施したIRインタビューをもとにしております。

EDIのマーケットリーダーとして確かなポジションを築いてきた株式会社データ・アプリケーションは、2016年にエンタープライズ・データ連携基盤「ACMS Apex」(エーシーエムエス エイペックス)を発売し、現在、会社の新たなステージとし、データ・インテグレーションマーケットへの事業展開を図っています。

代表取締役社長執行役員の安原武志氏に同社の強みや成長戦略を伺いました。

目次

株式会社データ・アプリケーションを一言で言うと

社会インフラを支える法人向けのパッケージソフトウェア開発会社です。

代表就任の経緯

2009年に営業本部長としての営業立て直しの使命を受け入社しました。当時、2007年にJASDAQに上場したばかりで、当社の業績が著しく悪化しており、営業の立て直しを急務として抱えていました。

メイン商材であるEDIは、90%以上がチャネル販売であり、代理店を通じて販売している形態を取っていましたので、販売戦略立案や代理店との関係構築など、多様な角度から立て直していきました。2015年には取締役となりましたが、同時期に代表を務めていた武田氏の後任として2020年より現職に就任しました。

  • EDI(Electronic Data Interchange):異なる企業間で、商取引のためのデータを通信回線を介して標準的な規約(可能な限り広く合意された各種規約)を用いて、コンピュータ(端末を含む)間で交換すること。

当社にとっての最初のターニングポイントは、SIerとしてスタートした当初からミッションクリティカルな案件に取り組む中で、EDIというソフトウェアの開発を行い、そのパッケージ化に成功したことでした。ただ、技術力に特化していた反面、拡販の施策に問題があったために、一時期成長が止まってしまいました。

そこで私が入社し、営業の策を踏まえながら、立て直しを進めていったという流れになります。入社翌年の2010年頃からは徐々にその効果が出始め、右肩上がりに業績は上がっていきました。我々の元々の強みであった高い技術力を提供できる体制が整えられたというわけです。

一方、EDI市場はその時点でもうある程度成長産業でしたので、周辺領域で新しい市場を開拓して業績を伸ばしていくという命題も私はあわせてもっていました。これが我々がデータ・インテグレーションマーケットと呼び現在も注力している市場です。

いわゆるデータ連携の領域はEDIのマーケットに比べても遥かに大きな市場ですので、これまで培ってきたノウハウや技術を活用しパッケージやサービスとして展開しています。このように周辺市場での成長に注力することで、EDIのマーケットに依存することなく、企業の成長を図り現在にいたります。

株式会社データ・アプリケーション 2023年3月期 第2四半期 決算説明会 より引用

事業内容について

企業間の電子取引において重要な通信ソフトウェアであるEDI、および社内の様々なシステムと連携するためのデータ連携ソフトウェアでして、ACMSシリーズという製品をメインの商材としています。

これを法人向けに開発し、ライセンスの販売およびその保守が当社の主力事業となっています。販売形態について、近年は従来の売り切り型に加えて月額で利用料金を頂くサブスクリプション型も導入し、ビジネス形態を変革しています。

月額のライセンス利用料の中には、ライセンスの使用料、サポート料金、そして最新のバージョンが出たときに、バージョンアップができる権利が含まれています。

現在は、売り切り型とサブスクリプション型を併売しておりますが、この転換施策によって保守とサブスクリプション型の売上を足した、リカーリング(ストック型)割合が70%水準にまで達しています。

また、我々のサブスクリプション型については、エンドユーザーやパートナー代理店の方々にも徐々に認識が浸透してきており、彼らのなかでもこの比率を上げたいというニーズが高まっています。

そのため、今後もこの割合を増やしていきたいと考えていますが、初期費用と安定収益のバランスも重要なため、段階的に増やしていく方針をとり着実に成長していきます。


株式会社データ・アプリケーション 2023年3月期 第2四半期 決算説明会
 より引用

当社の強みは、全方位で実現しているEDIのプロダクトラインナップにあります。お客様のニーズに合わせ、パッケージや「ACMS WebFramer」というブラウザ上での利用など多様な形態での提供が可能です。

また、価格帯も1本10万円前後の少額なものから1億円クラスの高額なものまで取り揃えておりますので、個人商店から大企業まで幅広い顧客層のニーズに対応しています。このようなプロダクトラインナップこそが我々の差別化要因であり、多くのお客様に親和性が高いと評価されています。

さらに、当社が提供するACMSシリーズはプラットフォームですので、社外とやり取りしたデータを社内に持ってきた際の社内システムとの連携についても可能です。

新たなサービス導入やソフトウェア購入といった余計なお金をかける必要がないというのも強みの一つであり、差別化ポイントになっています。


株式会社データ・アプリケーション 2023年3月期 第2四半期 決算説明会
 より引用

加えて、変化に対応できる技術力を持つことが重要だと考えており、2016年からデータインテグレーションソフトウェアの領域に進出しています。時代の変化に応じて事業領域を変えていくことが我々の成長ドライバーです。

主力商材であるACMS製品だけでなくサービス事業を展開するべく、2022年よりNP開発室という新部署を立ちあげ、取り組みを始めています。

中長期の成長イメージとそのための施策

中期ビジョンとして「変革への挑戦」を掲げており、来期が中期経営計画の最終年度となります。

引き続きこれまでEDIマーケットで培ってきた技術やノウハウを軸にデータ・インテグレーションマーケット領域でのマーケットリーダーを目指し、以下の施策を実行してまいります。

株式会社データ・アプリケーション 中期経営計画 2021年5月13日 より引用

まず、新しい市場を開拓しDXの実現を図ることを目的に、他社との協業を進めていきます。協業先としては我々が持っていないテクノロジーに長けた企業を選定する方針です。

当社には通信部門を専門とする人材は多くいますが、アプリケーションやWebの分野に長けた人材は少ないため、このような分野に強い企業が協業先のターゲットになります。

現在、業務提携しているテクノスジャパン社とは、2021年のリリース以降、外部協業できる案件をリストアップしてきました。昨年から積み上がった案件が、今年の3月頃にはクロージングされる予定でして、来期には協業による売上が期待できると考えています。

今後も、協業に関するリリースなどに注目していただき、当社の新市場の開拓の進捗をご覧いただければと思います。また、人材の採用と育成によって継続的に企業力を成長させていく方針です。来期以降、教育のプランニングや新卒・中途採用の戦略を本格化していく予定です。

既存市場においては更なる市場の深耕を目的にパートナー制度の見直しや価格改定などを実施しており、今後の業績への反映も期待できます。マクロ環境としては世界情勢の見通しが難しい状況ですが、我々の属するIT業界は経済の世界情勢に左右されにくいという特徴があります。

中でも当社のソフトウェアは企業間取引の要を担っており、まさに電気・水道・ガスにように社会インフラを支えている存在です。この点も強みであり、中長期的な会社の成長を支える要因となります。

また、冒頭でも申し上げた通り今後は「データ・インテグレーションマーケット」に注力してまいります。EDIのマーケットが約50億円なのに対し当市場は400〜500億円ほどですので、ターゲットとしては8倍から10倍ほどになります。ただ、市場の定義はまだ明確にされていないと考えています。

なぜなら、我々がデータ・インテグレーションマーケットと呼んでいるのは「EAI」、「ETL」、「ファイル転送」、および「EDI」の4つの領域を足し合わせたものなのですが、これらを一つのパッケージで提供している企業はまだありません。

そのため、当社は市場を牽引する存在になることだけでなく、市場自体のアピールをマーケティングメッセージとしてアウトプットしていくことも重要視しています。そして結果的にはこのマーケットの明確化も当社の成長にも紐づいてくると考えています。

株式会社データ・アプリケーション 中期経営計画 2021年5月13日 より引用
  • EAI(Enterprise Application Integration):複数の異なるシステムを連携させることで、各々のデータやプロセスの統合を目指す概念のこと。
  • ETL:データを抽出(Extract)・変換(Transform)し、DWHのDBやデータマートに書き出す(Load)といった一連の処理のこと。

投資家の皆様へメッセージ

当社製品は法人向けであり、なかなか個人の投資家の皆様には馴染みのない領域だと思います。また、株式についても分割前はどうしても手を出しにくい価格帯であったと認識しています。

そこで株式分割や株主優待制度の導入を行い、当社のファンとなっていただける株主の方を増やしたいと考えています。

ぜひ当社に興味を持っていただき、応援していただければ嬉しく思います。

株式会社データ・アプリケーション

本社所在地:東京都中央区京橋1-7-2 ミュージアムタワー京橋13F

設立:1982年9月27日

資本金:430,895,000円(2022年3月末現在)

上場市場:東証スタンダード(2007年4月25日上場)

証券コード:3848

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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