※本コラムは2023年3月1日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社ダイレクトマーケティングミックスは人と人とのコミュニケーションに着目した「ダイレクトマーケティング」を行っています。
目覚ましいテクノロジーの発達に目が行きがちな現代において当領域を選択して事業を展開した背景と、今後の成長戦略について代表執行役社長CEOの小林祐樹氏に教えていただきました。
株式会社ダイレクトマーケティングミックスを一言で言うと
セールスマーケティングに強いBPO企業です。
創業の経緯
創業前は情報通信をメインとしている上場企業に勤めていました。アルバイトスタッフとしてコールセンターに配属されたのが始まりです。
それ以前は作家を目指していた時期もあったのですが、ペンよりも電話を握る方に適正があったようで、そこでかなりの成果を挙げることができ、そのまま短期間のうちに部長まで昇進しました。若手ながらいろいろな事業を任される中で、膨大な量の知識を習得できたことは、私にとって非常に貴重な経験となりました。
その会社でセールスマーケティングの分野に従事していくうちに、CM広告やインターネット広告の台頭がありながらも、人からの口コミや後押しによって商品を選択している消費者が多いことに気づきました。
今後の技術の発展に関わらずプッシュ型の広告は残り続ける、人の力を活かすことができるダイレクトマーケティングの領域には大きな可能性があると考え、2007年に当社を創業しました。
創業にあたっては、何の後ろ盾もない状態で独立しましたので、当初は営業面等で苦労したこともありましたが、地道な活動を続けながら2010年に現在のメインクライアントであるNTTグループとの取引を開始することができました。
これは当社にとって大きな転換点となりました。
また、創業の翌年にはリーマンショックが起こり、大手の販売代理店ではリストラが相次ぎましたが、創業間もない我々は、逆に人材の採用やクライアントとの関係構築を進めるなど、ある意味アグレッシブに取り組めたという点もありました。
上場について意識し始めたのは2013年頃です。事業は順調に拡大を続けていましたが、同時に新興企業の勢いだけでは崩し切れない壁の存在を感じ始めていました。
企業として一段上のステージに行くためには目に見える形で社会的信頼を獲得することが必要。そのためには何としても上場を実現したいと考えるようになりました。
様々な上場経営者にお会いしてお話しを聞く機会を持ち始めたのもこの頃です。
そして、2014年、2017年の二度のバイアウトを経て上場への動きを加速。2020年10月に東証一部に上場し、2022年4月よりプライム市場へ移行しています。
事業内容について
メインの事業はBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)になります。クライアントの営業支援からDX支援まで、クライアント企業の各部門・業務に対して、課題の発見と能動的なソリューションの提案を行っています。
当社の特徴として、マーケティング、セールス、CRMといった営業プロセスをワンストップで提供できるというものがあります。
その過程で得られたユーザーの皆様の“生の声”を次の戦略へとつなげるコンサルティングもご好評をいただいています。
また、営業活動に関わる付随業務や事務作業など、自社で抱えるとコストや工数がかかる業務を一括で代行することで、クライアントが開発やコンテンツの充実に専念できるようにサポートしています。
分かりやすく言えば、“黒子としてクライアントを陰で支える会社”となるでしょうか。
他社との差別化ポイントとしては次の3つが挙げられます。
1つ目は、潤沢な人材プールをもっていることです。
我々は、よくありがちな年齢、学歴、性別、職歴、資格等でふるいにかけるような採用は行っていません。
介護などの事情で働ける時間に制約がある人も含めたあらゆる人材を受け入れる“選ばない採用“により、潤沢な人材を確保しています。
また、当社では全ての拠点が複数の商材を取り扱う“マルチプロダクツ・センター”です。採用した多様な人材を、様々なプロダクト・チャネルとマッチングさせることで、どんな人でも自分に合う業務が必ず見つかります。
あらゆる人材を戦力化できることが、当社の競争力の源泉となっています。
2つ目は、独自の教育・評価体制により、あらゆる人材を高い生産性を持つハイパフォーマーへと育成する仕組みです。
週に数時間しか働けないアルバイト社員にも、正社員と同等の教育、トレーニングを行い、勤務時間ではなく成果に着目した評価を行っています。
結果を出せばそれが毎月の査定に反映される、この繰り返しによる徹底した成果主義の意識づけと成果報酬制度は、創業当初から特に意識して取り組んできたことです。
もし今から同じことに取り組もうとしても、ゼロベースからの組織の再構築が必要となり、非常に難易度が高いと思います。ですので、ここは他社にはない独自性になり得ると考えています。
3つ目は、ユーザーデータの蓄積が生み出す高付加価値です。
創業来蓄積されているノウハウやユーザーデータにより、我々はクライアント以上にユーザーを熟知しています。
これをクライアントの経営課題の解決やマーケティング戦略の立案など、あらゆる場面で活用することで、ニーズに沿った、ハイクオリティなソリューションの提供が可能となっています。
中長期の成長イメージとそのための施策
収益の柱として売上の約4割を占める通信インフラセクターにおいては、今後は特にハイブリットチャネルへの移行に伴うOMOマーケティング支援での成長性に期待しています。
コロナ禍の影響で社会全体にデジタルシフトの波が到来していますが、当セクターにおいてもこの波は広まっており、これが進めば進むほど我々の成長も加速すると想定しています。
また、消費動向の変化やDXの進展によって新しい分野で新しいビジネスが次々と生まれています。
ユーザーと直接コミュニケーションを取って新たな商品・サービスを社会に浸透させていくことを得意とする当社にとって、多くの新たなモノが生まれるタイミングはまたとない成長の機会となります。
同時に、ユーザーとのタッチポイント等における種々の現場仕事を我々が代行することで、クライアントはより良いサービスの開発やユーザー満足度の向上に専念することができ、互いに成長し合える好循環を生み出しています。
そういった意味で、まだDXが進んでいない金融、モビリティ、医療、不動産といった分野にはまだまだ成長の余地があります。
将来的な収益構造のイメージとしては、主力の通信インフラセクターで3~4割、DXの進展によって成長著しいWeb/IT分野についても同様に3割程度の収益を見込んでいます。
さらに、電力やガスといった生活インフラの領域に関しては、周辺商材との組み合わせ販売等により、今後競争が進んでいくことでユーザーのスイッチが生まれれば、当社にとってより一層の成長を実現するためのドライバーとなります。
この領域が2割ほどの比率になることを望んでいます。そして、残り2割程度が、金融、モビリティ、医療、不動産といった新しい事業領域からの収益となる、そんなイメージを持っています。
当社はセールスマーケティングだけでなく、BPOにおいても高い収益性を実現することができると考えています。
オンラインでの本人確認業務や、新型コロナウイルスの陽性者登録といった比較的単純な業務においても、他社に比べて非常に高い成果、生産性を生み出しています。
当社のメンバーには成果にコミットする力、粘り強くやりきる力が備わっているため、他社には真似できない水準でクライアントにソリューションを提供できるのです。
投資家の皆様へメッセージ
将来的に、コンタクトセンターの営業はAI等のテクノロジーの発展に取って代わられるのではないかと言われていますが、決してそうはならないと考えています。
営業を行う際に求められる人と人とのあたたかいコミュニケーションの温度感と安心感は、テクノロジーには代替できません。我々はテクノロジーを有効活用して、人の力をより大きなものにすることができます。
この先、どんなにテクノロジーやDXが進展したとしても、日々の生活の中で様々な課題は生まれ続けるでしょうし、それを解決するための人間の力、コミュニケーションの力は非常に大きなものであり続けるでしょう。
テクノロジーというオンラインの側面を活用しながら、オフラインでの人と人とのコミュニケーションにも注力して参ります。当社の考えに共感できる方がいらっしゃいましたら、応援していただけますと幸いです。
本社所在地:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-13-22WeWork御堂筋フロンティア16階
設立:2017年8月(2007年 株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング設立)
資本金:18億6,683万円(2021年12月31日現在)
上場市場:東証プライム(2020年10月5日上場)
証券コード:7354