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【4481】ベース株式会社代表取締役社長 中山克成氏「ビジネスの優位性とロジカルな成長戦略で高成長を継続」

※本コラムは2023年5月2日に実施したIRインタビューをもとにしております。

ベース株式会社は、グローバルな組織体と受託開発に特化したビジネスモデルの追求で、特に2017年の上場以降は30%という高成長率を維持しています。

代表取締役社長の中山克成氏へ、特徴的な組織を作り上げるまでの経緯や、ビジネスモデルの強み、今後の成長戦略を伺いました。

目次

ベース株式会社を一言で言うと  

IT業界のベースとなることを目指し、受託開発の領域(モノづくり、運用保守)に特化し、ロジカルな成長戦略に基づいてビジネスを展開している会社です。

創業の経緯

私は中国上海市で生まれ、30歳の時に日本に来ました。元々中国でもIT業界にいたこともあり、日本のビジネスを学ぶためにソフトウェアの開発や販売を主力業務とする中堅規模のソフトハウス会社に入社しました。

少々生意気ながら、入社した当時から「10年後には独立したい」と会社にも宣言しており、その計画通りに1997年に当社を創業いたしました。

その後、会社の型を形成するまでの最初の10年間はなかなか大変な時期でありました。そして次の10年間を社内では”学習期”と呼んでいるのですが、ここでは社内環境の向上やお客様基盤の構築など、継続的に成長していくための基盤作りに取り組みました。

当社は日本人と中国人がほぼ半々で構成されておりますが、このバランスは創業当時からのポリシーでもあります。

私自身も経験したように、日本で働く外国人は、会社の中で数的にもそして心理的にもマイノリティであると感じてしまいやすいものです。また、そのような環境下では、ベストパフォーマンスを出して組織に貢献することも難しいだろうと考えていました。

そのため、彼らがその潜在能力を最大限に発揮できるよう、時間をかけて組織を作り上げていったのです。

そして、2016年に経営層の若返りを図るため次世代経営陣の社内公募を行い、プレゼン、投票、審査を経て選任された新たな若い経営陣に経営を移行することによって、翌年の2017年からは30%以上の高い成長率を現在に至るまで維持しております。

外部環境としては、アベノミクスが一つの転換点になりました。

国内の安定と共に競争力を高めるための企業側の投資意欲が高まり、IT業界の事業環境も大きく変わっていきました。

すでにその時期からIT人材不足が騒がれておりましたが、中でも当社は日本と中国の双方からエンジニアを確保でき、また彼らが持つ能力を発揮できる環境を提供することができたため、この業界変化を成長ドライバーとすることができたと思います。

ベース株式会社 2022年12月期 決算説明会資料 より引用

事業内容について

システムの受託開発を軸に事業を展開しています。

ベース株式会社 2022年12月期 決算説明会資料 より引用

繰り返しになりますが、当社は日本人と中国人が半々ずつで構成されているのが特徴であり、我々のコアコンピタンスであると言えます。

このような組織構成により、外国人社員であっても自身はマイノリティではなく、メインプレーヤーであるというモチベーションでビジネスに取り組むことができています。

本来、異なる文化や商習慣を持つ日本人と中国人が一体となって業務に取り組むことは容易なことではありません。この点には、”相互尊重”、誠心誠意”、”ベストを尽くす”という当社の経営理念が深く関わっています。

この三つの考え方を創業来変わらず堅持し組織づくりをしてきたことで、互いに尊重し合い、切磋琢磨して成長する環境を整えることができたと思っています。

単に日本と中国から人材を採用することは他社でも模倣できてしまいますが、その施策を会社の強みに変換できるか否かが鍵であり、これこそが当社の競争優位性であると認識しています。

さらに、異文化間の刺激によるシナジー効果が生まれ、それが企業の成長に繋がっています。

当社のお客様である日系の大手SIer企業は、自身でも子会社としてソフトハウス会社を抱えていることがほとんどです。そのため、我々としてはいかに差別化を図れるかという点が重要になります。

また、それ以前に、インンターフェースの日本語対応など日本の商習慣に対応したサービスを提供することも当然求められます。

まず、前提の部分に関してですが、社員の半分は日本人ですので、他の競合する日系企業と変わらない対応をすることが可能ですし、高品質を追い求める日本の文化的なメリットもお客様に提供することができます。

この基盤を保持した上で、さらに積極的かつ機動的に新しい技術を取り入れる意欲を持つ中国のカルチャーをプラスアルファの価値とできることが、我々の強みであります。

ベース株式会社 2022年12月期 決算説明会資料 より引用

このように、当社の成長は偶発的なものではなく、日本の会社と同じ基盤を持ちながら新しい価値をも提供できるというロジックに基づいたものであります。

そして、誰が見ても納得して当社を選んでいただける理由があるからこそ、長きにわたってお客様とのwin-winの関係が築かれているのです。

当社の営業は現場責任者である部長を中心とした現場メンバーが直接行っており、新規顧客開拓以外を目的とした営業部隊は存在しません。

開発を担うSEが営業にも携わることで、常に顧客から信頼されるサービス提供者としての立ち位置を意識することができ、お客様からのクレームもほとんど発生しておりません。

また、会社としても営業とSEが分離していないために赤字案件が発生するリスクを抑えられており、事業上のメリットと言えます。

中長期の成長イメージとそのための施策

我々が事業を展開する市場では今後もさらなる成長が見込まれています。

現在、日本はGDPで見ると世界で3番手に位置しておりますが、少子高齢化が進む中でグローバル競争に勝ち抜くためには生産性の向上が不可欠であります。

そしてその唯一の方法がIT投資であると言っても過言ではありません。

また、投資の領域も、従前のコスト管理を中心とした分野から、本業の成長を目的とした“攻めの投資”にシフトしていくと考えています。

このような環境下において、当社は“継続的な30%成長”を実現してまいります。

逆に、今後、とある年に成長率を50%に上げることや、10%や20%に停滞させるつもりもありません。

そしてこの実現のため、受託開発の領域に特化して経営資源を人的資本に集中させることで、開発を担う技術者へ継続的に投資していきます。

昨今関心の高まる”ダイバーシティー”はすでに組織に浸透しており、成長の原動力となっています。

社員がベストパフォーマンスを発揮できる環境があり、またそれがアップデートされていく当社であれば、高いマーケットの需要も捉え、事業成長へとつなげる好循環を生み出せると考えています。

ベース株式会社 2022年12月期 決算説明会資料 より引用

我々がこの市場に特化するのは、”IT業界のベースとなる”という当社の長期的な目標に紐づいています。

今後のIT業界には淘汰の時代が訪れると予想しておりますが、技術がどんなに発達してもシステム(モノ)を開発する存在は変わらず必要であり続けます。

そのため、我々はこれからも受託開発に誇りを持ち、そしてこのポジションを確立しようと考えています。

今年3月に時価総額1000億円の大台も達成しましたが、このように市場で一定の規模や存在感を示すことも、我々の長期ビジョンに向けた重要な通過点の一つであると考えています。

また、当社の最重要KPIである営業利益については、今後数年で100億円をターゲットとしております。

ベース株式会社 2022年12月期 決算説明会資料 より引用

ボトルネックとなるのはやはり人材面です。採用に関しては引き続き日本・中国の双方からの獲得を軸としていきます。

これと並行して社内人材のレベルアップにも注力し、量と質の両立にこだわってまいります。

営業利益とは、当社の提供したサービスに対するお客様からの評価を示すものであり、真の成長を表すものであると認識しています。

そのため、これを追求することは今後も変わらぬ当社のミッションであると考えています。

我々が目指すのは自社のサービスや技術を追求するのではありません。地道にモノづくりを行い、顧客が求める製品を提供し続けることでお客様と共に成長するという、新しいソフトハウス会社のあり方を体現する当社の取り組みを、投資家の皆様にはご注目いただきたいと思います。

ベース株式会社 2022年12月期 決算説明会資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

受託開発ビジネスは地味な分野と捉えられがちですが、我々は今後も誇りを持ってこの領域に特化し、確かなロジックで高成長・高収益を保っていきたいと考えています。

ぜひ応援していただけますと幸いです。

ベース株式会社

本社所在地:東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX8階

設立:1997年1月

資本金:10.66億円 (2023年5月アクセス時)

上場市場:東証プライム (2019年12月16日上場)

証券コード:4481

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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