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【3976】株式会社シャノン 代表取締役社長 中村健一郎氏「マーケティングのサブスクビジネスで高い成長率を目指す」

【3976】株式会社シャノン 代表取締役社長 中村健一郎氏「マーケティングのサブスクビジネスで高い成長率を目指す」わたしのIFAコラム

※本コラムは2022年9月14日に実施したIRインタビューをもとにしております。

マーケティング支援会社として見られている株式会社シャノン。でも、実際にはサブスクリプションビジネスの勝者でもありました。その実像について、代表取締役社長の中村健一郎氏に話を伺いました。

目次

株式会社シャノンを一言で言うと

クラウド型のマーケティングシステムを、企業向けに提供している会社です。

マーケティングとは、企業が自社の製品、サービスをお客様のもとに届けるための一連の活動を指しています。

お客様のニーズ、製品やサービスに求めるものが多様化し、かつ企業と顧客の接点が多様化している現代社会においては、いかにして一人ひとりのお客様の興味、関心に沿った情報を、適切な方法で届けるかが、成否を分けます。

こうしたマーケティングの成果ならびに再現性を高めるために必要とされるのが、「マーケティングオートメーション」と呼ばれるマーケティングシステムなのです。

創業の経緯

大学3年生の秋口からスタートした就職活動を機に、「自分はこの人生で何をしたいのか」を真剣に考えました。

でも、いくら考えてもやりたいことが見つかりませんでした。自分が本当にやりたいことが見つかった時、学歴が味方してくれるはず。そう思って受験勉強を頑張り、学費もフルローンで支払ってきたのに、いざ就職を考えた時、何もやりたいことが見つからないという現実の壁にぶつかってしまったのです。

これでは生きていても仕方がないと思い、一次は自殺まで考えたことがありました。でも、そんな時、ふと自分の両親のことが脳裏に浮かびました。親に愛されてきたからこそ今があるのに、自殺するなんて身勝手すぎる。その時、世の中には親のいない子供が大勢いる。その子供たちのために自分の人生を賭けようと思ったのです。

最初は青年海外協力隊に志願しようと思いました。でも、選抜制なので必ず選ばれるという保証はありませんし、私がやらなくても他にやる人が大勢いる。出来ることなら、中村健一郎だから出来ることは何かを考えようと思い、ノーベル賞を受賞する、大企業の社長になる、自分で起業する、という3つの選択肢を考えました。

でも、ノーベル賞を取れたとしても賞金は1億円。子供たちを救うには決して十分な金額ではありません。大企業の社長になったとしても、当時はまだ年収が数千万円程度でしたし、何よりも大企業の経営者になれた時には50歳、60歳です。これでは遅すぎる。そう考えて、最終的には自分で起業する道を選んだのです。

起業は難しいのではないかという声もありますが、正直、学生時代に人材派遣会社で働いた経験があり、そこではお客様の困りごとを解決することでお金がいただけるというシンプルな仕組みだと思っていたので、起業すること自体にはそれほど不安はありませんでした。

起業して最初の仕事は、アルバイトでお世話になった人材派遣会社の方から、「展示会のオンライン申し込みシステムをつくれないか」と言われ、それを引き受けました。当時はまだ自社のホームページを持っていない企業が大半で、ましてやオンラインでイベントの申し込みをするなんてこと自体、考えもつかないような時代でした。正直、自分でも出来るかどうかわからなかったのですが、勉強しながら取り組み、2カ月くらいで完成させました。そこから他の展示会などへ仕事が広がっていったのです。

マーケティングに目を向けるようになったのは、それからしばらく経って、ある人から「イベントというのは、企業のマーケティング活動の一部なんだよ」という話を聞いてからです。それを機に、企業のマーケティング活動全体の流れに目が向くようになり、それが自分なりに見えてきたところで、今のビジネスにつながる統合環境を提供するようになったのです。

事業内容について

メインの事業は「マーケティングオートメーション」のためのシステムを、メーカーとして開発し提供することです(サブスクリプション事業)。SHANON MARKETING PLATFORMという製品名で、具体的にはリード、つまり見込み客を獲得して、その買う気を引き上げ、商談を増やすためのツールといっても良いでしょう。

【3976】株式会社シャノン 代表取締役社長 中村健一郎氏「マーケティングのサブスクビジネスで高い成長率を目指す」資産運用ナビコラム
株式会社シャノン 2022年10⽉期 第3四半期 決算補⾜説明資料より引用

もうひとつは祖業でもあるのですが、展示会などのイベントを通じて顧客体験を生み出すためのサポートシステムの提供(イベントクラウド事業)です。

リアルイベントで、首から下げるバーコードの名札がありますが、その仕組みを2000年に初めて日本で量産化したのが、私たちの会社なのです。現在、売上構成としてはサブスクリプション事業が7割強、イベントクラウド事業を含めたそれ以外で3割弱という感じですね。

最近、サブスクリプション事業に新たに加わったのが、CMSです。マーケティングオートメーションを通じて提供する統合環境のなかで、お客様からの要望が多かったのが、CMSというホームページを作成するためのシステムだったので、それを提供している会社をM&Aして、今に至っています。

このようにしてマーケティングにおける課題を解決するためのケーパビリティは広がってきたのですが、ひとつ問題があります。それはイベントにしてもそうなのですが、集客、あるいは商談をどうやったら増やせるのか、ということです。

そのためには、やはりランディングページへのアクセス自体を増やす必要があります。ここは広告の領域とも被ってくる分野なのですが、なぜかこれまで広告とマーケティングは、全く違う領域として考えられてきました。

そのため広告代理店の人たちと、マーケティングの仕組みやシステムをつくっている人たちは、多少の接点はあるにしても、別の世界の人と捉えられていて、さらに言えば、同じマーケティングでも、ECと呼ばれている人たちは、EC独自の世界で動いているというのが、今の状況です。

ただ、お客様の側からすれば、それをすべてワンストップで解決できれば、同じ悩み事を二度、三度、繰り返し言わなくても済みますから、できればそうなって欲しいと思っているはずです。それを可能にするため、広告代理店をM&Aしました。そして、その向こう側にあるのは、「マーケティングの再現性で世界を変える」ことです。

「マーケティングって何ですか?」と聞かれた時、恐らく大半の人は分かったような、分からないような答え方しか出来ないと思うのです。人によっては広報だったり、広告だったり、あるいは市場調査だったりするわけですが、私たちは売上を引き上げるための仕組みづくりだと解釈しています。

そのなかに広告や広報、イベント、あるいは営業活動があって、それらを総合してマーケティングと表現するのが世界の考え方なのですが、日本だとなぜか営業のお供え物的な存在になってしまいます。

だから、日本だとマーケティングで何をすれば成果につながるのかということが、明確になっていませんし、初めてマーケティングをする人たちからすれば、何をすれば良いのかさえ分かっていないと思います。その道筋をしっかり見せることが、私たちの仕事です。

中長期の成長イメージとそのための施策

私たちは2017年の上場で、当時はまだサブスクリプションという言葉がありませんでした。シャノンはマーケティングオートメーションの会社、マーケティング支援の会社というイメージが先に立つのですが、ビジネスモデルとしてはサブスクリプション事業です。なので、まずはサブスクリプションの会社として見ていただきたいというところがあります。

【3976】株式会社シャノン 代表取締役社長 中村健一郎氏「マーケティングのサブスクビジネスで高い成長率を目指す」資産運用ナビコラム
株式会社シャノン 2022年10⽉期 第3四半期 決算補⾜説明資料より引用

他にもサブスクリプションの会社はたくさんあるのですが、私たちはそのなかでもかなり健全性の高い会社であるという自負があります。成長率はまだまだ低い認識ですが、一方で、解約率が非常に低いのも事実です。

【3976】株式会社シャノン 代表取締役社長 中村健一郎氏「マーケティングのサブスクビジネスで高い成長率を目指す」資産運用ナビコラム
株式会社シャノン 2022年10⽉期 第3四半期 決算補⾜説明資料より引用

成長率が低いのは、私としても意識しており、この課題にしっかりと取り組むべく中期経営計画を策定し、成長率と営業利益率を足して40%成長を実現していく決意を表明し、それに向けて全社を挙げて進んでいるところです。

投資家の皆様へメッセージ

サブスクリプションのビジネスは極めて順調ですので、これからに期待して下さい。本音を申し上げますと、サブスクリプション領域においては、私たちは十分に勝てるところに来ていると思います。

ここのペースをこれからさらに上げていくので、中期経営計画でもお話ししたような成長率は実現すると見ています。

株式会社シャノン(SHANON Inc.)

本社所在地:東京都港区三田3-13-16 三田43MTビル4F

設立:2000年8月25日

資本金:449,046,300円(2022年9月アクセス時)

上場市場:東証グロース(2017年1月27日上場)

証券コード:3976

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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