- 持株会の仕組みとその活用方法が分からない
- 少額から始められる投資方法を知りたい
- 持株会を通じた資産形成の方法について学びたい
近年日本では、将来の安定や経済的自立を目指すために資産形成に関心を持つ人々が増えている。実際、さまざまな投資手段が紹介・実践されているが、今回は「持株会による投資」を紹介する。
持株会は、少額の投資から始めることができるため、初心者やリスクを抑えたい方にとって魅力的な選択肢である。
本記事では、持株会の基本的な仕組みから始まり、活用のメリットやデメリット、企業が持株会を設ける理由などについて詳しく解説する。
また、持株会を通じた資産形成の方法や運用上のリスク管理、さらには自分に合った運用方法を見つけるためのヒントについても紹介していく。
持株会とは?その基本的な仕組みとメリット
東京証券取引所の「2021年度 従業員持株会状況調査結果」によると、上場国内企業3,815社のうち、3,247社が持株会を有しており、その割合は85%となっている。
このように大半の企業が有しているということは、何らかのメリットがあるはずである。本章では、持株会の基本から説明していく。
持株会の基本的な概念とその役割
「広義の持株会」は、複数の個人が共同して株式を購入し、その所有権や利益を共有する組織、となる。
ただし日本においては一般に「従業員持株会」を指し、対象となる株式は「自社株」である。
これを「狭義の持株会」として定義づけすると、「従業員から任意に会員を募り、会員の毎月の給与等を原資として自社株を共同購入し、会員の拠出資金に応じて持ち分を配分する制度」となる。
本記事は、この従業員持株会について説明していく。
持株会参加のメリットとデメリット
参加者(従業員)のメリット・デメリットは以下のとおりである。
- 奨励金
- 会社は持株会への参加を奨励するため、奨励金を支出することが多い。拠出金1,000円に対し50円程度の奨励金が多いようである。自身の出資分以上に持ち株が増えるのであるから、大きなメリットとなる。
- 少額から購入可能
- 市場で株式を購入する場合、1単位ごとの購入が必要で、必要資金は5万円程度から100万円を超えるケースもある。一方、持株会では1,000円から購入できるケースも多い。
- 万一の場合のダメージが大きい
- 従業員は会社から給与をもらう(フロー資産)。さらに持株会に参加すると、自社株が財産となる(ストック資産)。つまり、自社が倒産など最悪のケースになった場合、フロー資産、ストック資産の両方とも無くしてしまう可能性が生じる。
- 売却に時間がかかる
- 持株会の株式を売却したい場合、会社の担当部署に「解約申込書」などを提出し、担当部署がチェックのうえ証券会社に取り次いで・・・という手続きが発生するので、資金受領まで時間がかかる。また、最低売却数量が決められている場合もある。
企業が持株会を設ける理由とその背景
企業が持株会を設ける理由は、以下のものがある。
従業員の参加と所有を通じて、企業への忠誠心やモチベーションを高めるため
従業員が企業の一員として株式を所有することで、経営の成果や成長に積極的に貢献する意識が生まれる。また、従業員持株会は従業員の投資行動を促し、資産形成につながる。
企業と従業員の共生を促進するため
企業の成果が株式配当や株価という形で従業員に還元されることで、給与以外で従業員の福利厚生や報酬を向上させることが可能となる。
また、持株会を通じた従業員と企業の連携や意思疎通が進み、企業の持続的な成長や従業員の働きやすさにも寄与する。
持株会を通じた資産形成
政府は「貯蓄から投資へ」の掛け声を長年続けているが、いまだ大きな流れにはなっていない。言い換えると、「投資を始めるハードルはそれなりに高い」と考えている人が多いのだろう。
一方、持株会への加入は投資のスタート方法として身近で簡便である。順に見ていこう。
持株会を利用した投資のスタート方法
まずは、持株会への入会方法を確認しよう。「入社時説明会」などで説明されることも多い。入会方法が分かったら、入会申込書の提出を進めよう。
持株会を活用するための基本的な戦略
持株会投資は、基本的には「少ない額で、長期に買い続ける」投資方法である。
これにより、短期的な値動きに左右されず、自社の成長や利益の増加を見据えた投資行動を実行していこう。
持株会による資産運用のリスクとその管理方法
さきほど「デメリット」の項目で述べたように、自社株のみへの投資は究極の「一点投資」である。
一般的に投資のリスク管理には「分散投資」が必要とされており、持株会に加入する場合には、過度の一点投資にならないよう投資金額をよく検討すべきである。
さらに分散投資のために、自社以外の投資先も検討しよう。
自分に合った資産形成方法を見つけるために
自分に合った投資方法を見つけるためには、投資の「経験」が何より必要である。ここでの経験とは、「自身の失敗経験」を含めての経験である。
したがって、その経験を積むために、まずは少額投資を行うことをお勧めする。
自分の資産を把握する方法
まずは、日々の生活資金と投資財産を完全に分離しよう。前述のように投資にはリスクが伴うため、過度に投資に資金を傾けることは避けたい。また、これがあいまいだと目標利回りなどの正確な計算もできない。
そして、年1回は資産のチェックを行い運用状況を確認しよう。分散投資をしている場合は適宜リバランス(資産の再編成)を行うとよいだろう。
商品の特徴やリスクを把握する方法
各資産クラスや商品事に様々であり、この場で全てを説明するのは難しいが、覚えておいて欲しいのは、「リターンの大きい商品は、リスクも同様に大きい」ということである。
よく書籍広告で、「仮想通貨投資で”億り人”(1億円以上の資産保有者を言う)」「FX投資で毎月収益50万円」などというタイトルを見かける。
著者が儲けたのは事実かもしれないが、それが必ずしも可能になるわけではない。仮想通貨も、FXも、ハイリスク投資であり、1%の成功者の裏に99%の失敗者が存在するのである。
したがって初心者のうちは、地道に投資を行って欲しい。
ただし、「地道に投資」といっても、預金や国債など低い利回り商品への投資を勧めているわけではない。
現在の低金利環境においては、株式などミドルリスク商品への投資も検討していこう。
その際には、全財産を一度に、かつ同一株に投資するのはハイリスクである。種類や時間を分散して投資することでリスク分散を図ると良いだろう。
分散投資の重要性
ノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・シャープは、「資産運用では、分散して投資するほど良い結果が得られる」という理論を構築した。(本当は、もっと難解な理論である。)
実際に分散投資を考える場合、以下の6つの資産に分散することが一つのメジャーな考え方である。
- 日本株式
- 日本債券
- 外国株式
- 外国債券
- その他資産(不動産、金、原油など)
- 安全資産(預金など)
上記資産は、別々の値動きをすると言われている。したがってマーケットに異変が生じても、どれかの資産はマイナスの影響を受けない、という資産構成である。
投資資産の規模が小さいうちは6種類の資産に投資するのが、物理的に難しい場合もある。このようなときは、「分散投資型投資信託」※を購入するのも一つの方法である。
※代表例として、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)など
IFAによる資産形成サポート
IFAは「独立系フィナンシャルアドバイザー」である。金融機関から独立した立場で、顧客の投資相談に乗ってくれる。
では、持株会を活用した資産形成においてはどのようなサポートが受けられるのだろうか。
持株会の活用を考える際の注意点とその対策
持株会を活用する際には、自社の業績や将来性などを分析することも必要だろう。
多くのIFAは銀行や証券会社など金融機関の出身者であり、このような企業分析に対する専門的な知識と経験を持っている。
IFAに相談することで、これらの情報をもとに持株会資金に当てる適正額やその後の運用状況までアドバイスをもらえるはずだ。
持株会と資産形成に関する疑問とIFAの役割
投資家の資産形成のためには、持株会以外にどのような投資をするかといったポートフォリオ作成も非常に重要である。
IFAは、各投資家のリスク許容度や投資目標に基づき、適切なリスク管理戦略やポートフォリオ構築のアドバイスを行う。
IFAが持株会活用に関するアドバイスを提供する理由
IFAの役割は、持株会を活用する際に投資家に信頼性と安心感をもたらすことである。
彼らの専門知識と経験に基づくアドバイスは、投資家が持株会を効果的に活用し、資産形成の目標を達成するために不可欠であると言える。
持株会を資産形成に活用しよう
本記事では、持株会の仕組みとその利用方法、資産形成における持株会の役割、そしてその活用例を詳しく説明した。
ただし、初心者が持株会を100%活用するのは難しく、また投資行動は「持株会だけでは完結しない」ことがご理解いただけたと思う。
こんな時にはIFAに相談することで、持株会の仕組みや活用方法について詳しく理解でき、さらに自身の資産形成全体の助けとすることが可能だ。
IFAは持株会を活用した資産形成の具体的な戦略やリスク管理の方法など、各投資家の資産形成に関する疑問・問題に対する解決策が得られる可能性が高い。
持株会に関する疑問や資産形成全体に関するお悩みがある方は、「資産運用ナビ」を活用し、以下のボタンから無料相談に申し込んでみてほしい。