※本コラムは2023年7月26日に実施したIRインタビューをもとにしております。
海外SEOの先駆者として事業を拡大してきたアウンコンサルティング株式会社は、マーケティングを通じて海外進出を考えている企業のサポートに力を入れています。
代表取締役社長CEOの信太明氏に事業の強みと今後の成長戦略を教えていただきました。
アウンコンサルティング株式会社を一言で言うと
グローバル領域のマーケティングに特化した会社です。
創業の経緯
当社は、1998年に私ひとりで設立した会社です。
設立当初はビジネスがうまくいかず、私の出身地である福島県福島市に移転し、何でも屋さんのような形で営業活動を行っていました。
その中の一つにウェブサイトを構築する仕事があったのですが、お客様からは集客に困っているというお声をいただいていました。
そして、この課題を解決する手段として、検索エンジンで上位表示させること、今で言うSEO対策が重要であるという結論に至りました。
その後、1ヶ月半ほどかけてこれを実現するアルゴリズムを自らで発見し、お客様に提供したところ評価をいただくことができました。
これに伴い、1999年以降は現在のSEOを中心とした事業にシフトしていきました。
ターニングポイント
2005年に上場し、その際にキャッシュフローの確保が実現したことが大きなターニングポイントであったと感じています。
その後、一度M&Aで失敗も経験しましたが、この失敗から、M&Aに頼らず、積極的な海外展開を推進してきました。
コロナ禍でインバウンド需要が減少したことは大きな打撃となりましたが、早期からグローバルな事業展開に着手し、最大7つの海外拠点を構築したことは、当社の成長を支える要因になりました。
事業概要と特徴
当社は、グローバルマーケティング事業を展開しています。
主にSEO(検索エンジン最適化)対策を通じて、オーガニック検索エンジンでの上位表示を実現します。
また、Googleやヤフーなどの広告プラットフォームを活用し、広告効果を最適化する方法も提供しています。
お客様の目的を大別すると、3つのカテゴリーがあります。
一つ目は、アウトバウンドです。具体的には、日本企業が海外に展開する際のマーケティングをサポートします。
二つ目はインバウンドで、日本を訪れる外国人観光客をターゲットに、我々のサービスで効果的なマーケティングを実現します。
そして三つ目はノーバウンドという当社独自の考え方ですが、日本国内に住む約300万人の外国人に対するマーケティング戦略を展開しています。
これらの要望に対して、大企業が約40%、中堅企業が約60%の割合でご利用いただいており、多岐にわたるお客様のニーズに対応しています。
当社の強み
SEOも広告も、ルールは日々変化していきます。当社は創業以来、長い期間をかけてその変化を捉え、事業に還元してきました。ここにまず先駆者としての強みがあると考えています。
また、当社の特徴としては日本語に限らず、英語や中国語、韓国語その他の多言語対応が可能であることが挙げられます。
日本のGDPは低下しており、今後も人口減少が続くと考えられています。国内での成長が厳しい中で、海外展開を考えている、もしくは迫られている企業が増えているのが現状です。
そのため、ここに特化しているという点も当社の強みであると認識しています。
この強みを生かし、これまでの支援実績は48カ国以上で2,000件を超え、当社には数多くのノウハウが蓄積されてきました。
一方、昨今どの業界においてもグローバルで見て人手不足の状況が続いています。
採用難易度が高まり、あるいは報酬を高く設定しなければ優秀な人材の確保が難しいという課題があります。さらに、獲得した人材をいかに早期戦力化できるかという点も非常に重要になってきています。
これは、ノウハウビジネスを展開する我々にも当てはまる課題であります。
このような環境下において、社内に蓄積されたノウハウを活用し、早期戦力化・事業成長に紐づける取り組みとして、足元ではChatGPTなどの生成AIの活用を進めています。
既存のノウハウと先進技術を掛け合わせることで、未経験の方でも概ね3ヶ月程度で戦力化できる仕組みを作り上げています。
また、これに伴うコンサルティングの質の担保と生産性の向上は、利益成長にも繋がります。
さらにこれを原資としてより良い条件で優秀な人材を確保していく、というサイクルを構築していく工夫もしています。
中長期の成長イメージとそのための施策
既存のサービスである海外SEO、および大(大手町)丸(丸の内)有(有楽町)エリアでの本社と関連子会社への営業強化に加えて、人材投資を積極的に行っていく方針です。
成長戦略の柱となるのは、主力である海外SEO事業を含む既存領域の強化です。
昨年秋以降、インバウンド需要は大幅に回復していますし、新たな市場開拓を目的とする国内企業の海外進出も加速しています。また、多くの企業が海外市場に進出する必要があると認識しています。
そのため、グローバルマーケティング分野は今後も市場の拡大が見込まれる領域であり、我々もその市場拡大を捉える成長を実現してまいります。
一方、今後の課題としては当社自身、そして当社のお客様企業における人材不足があげられます。
前者については、先ほど申し上げた人材獲得と定着に向けた戦略を強化し、持続的な成長を実現するための施策を進めていく予定です。
一方後者について、足元でもお客様の中にはレストランの営業店舗を制限したり、ホテルの客室利用数を制約する状況も見受けられます。
このような人手不足は、当社の事業にも影響を及ぼす可能性がありますので、解決に向けた新たな事業展開も模索しています。
例えばグローバルヒューマンリソースの領域など、この人材不足の課題解決を通じて社会貢献ができるような事業にもトライしたいと考えています。
大丸有エリア戦略について
当社が支援する海外SEOサービスについては、やはり一定規模以上の企業様に特に高い需要があります。
東証プライム市場に上場する約1800社のうち、東京23区に本社を構える企業は1000社以上あり、中でも千代田区、港区、中央区に617社が存在しています。
さらにエリアを絞ると大手町、丸の内、有楽町(日比谷)には92社もの大手企業が集中しているのです。
そして当社も丸の内に本社を構えていることから、海外進出に旺盛な需要のある企業への営業を強化していこうというのがこちらの戦略です。
また、これらの大企業が抱える多くの関連子会社への営業も効率化することで、年間問い合わせ件数の倍増を目標にしています。
人材投資について
引き続き人材投資にも力を入れていきます。
報酬の面では、すでに平均5%の賃上げを行っております。それに加えて今後2年間で平均年収を440万円から600万円に引き上げる取り組みを進めています。
また、報酬だけではなく、働きやすさや教育の面でも充実した環境を提供したいと考えています。
具体的には、フルリモートワークや柔軟な勤務時間で働くことができる環境を提供していきます。さらに、仕事や語学、IT、AIなどの教育プログラムを通じて、社員のスキルアップをサポートしていきます。
投資家の皆様へメッセージ
コロナ禍においてはインバウンドの影響で苦しい数年間を過ごしてきましたが、2023年5月期において概ねその損失を出し切ったという状況です。
6月から始まっている26期目については、財務体質としても綺麗な状態でお客様を積極的に開拓できるような体制が整っていることをまずはご認識いただきたいと思います。
また、我々の事業はグローバル領域に特化したアウトバウンド・インバウンド・ノーバウンドの需要を支える、非常に社会性の高いものであります。
つまり、当社の成長が日本企業のグローバル化を促進すると考えていますので、投資家の皆様もその点にご期待いただき、応援していただけますと幸いです。
本社所在地:東京都千代田区丸の内二丁目2番1号 岸本ビルヂング6F
設立:1998年6月8日
資本金:100,000千円(2023年5月末現在)
上場市場:東証スタンダード(2005年11月9日上場)
証券コード:2459