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【3934】株式会社ベネフィットジャパン代表取締役社長 佐久間寛氏「通信事業の安定成長を軸に新たなテクノロジーの価値を届ける」

※本コラムは2023年8月28日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社ベネフィットジャパンは「すべての人々にテクノロジーの恩恵を」というビジョンのもと、多岐な通信サービスを多岐にわたるルートで提供してきました。

代表取締役社長の佐久間寛氏へ、事業の強みと成長戦略のポイントを伺いました。

目次

株式会社ベネフィットジャパンを一言で言うと

アイディアと情熱で新しい価値を創造する、ベンチャーマインドをもった企業です。

創業の経緯

当社は1996年に設立されましたが、その起源は1988年にまで遡ります。

当時、私は21歳でセールスプロモーションの会社を立ち上げました。

最初はイベント運営から始まり、大規模なイベントを成功させたり、著名なアーティストのコンサートスタッフを数百人規模で集めたりと徐々に実績を積み上げ、メディアからの注目も浴び企業からの依頼が増えました。

その頃から、広告代理店経由で様々な業界の新商品のセールスプロモーションを手がけるようになりました。

その中で、PHS、携帯などの情報通信機器及び回線のセールスプロモーションを手掛ける機会をいただきました。

これが現在の当社事業へと繋がることになります。

加入促進キャンペーンの成功をきっかけに、私は通信業界への理解を深めるとともにその市場拡大の可能性を強く感じたのです。

その当時はちょうど携帯電話市場の自由化が始まったタイミングでした。

また、将来的には通話機能だけではなく、インターネットに繋がり人々の利便性の向上に貢献するものである、ということを認識したのです。

新たな産業の成長、そして当時はまだ歴史の浅かった通信業界に挑戦することへの魅力を感じ、通信に特化した事業を展開するためにベネフィットジャパンを創業しました。

ターニングポイント

当初は通信キャリアの一次代理店として、PHSの販売を中心に事業を展開してきました。

その後、2014年にMVNO(仮想移動体通信事業者)の領域に進出したことが当社の大きな転換点となりました。

これは、より幅広いサービスを取り揃えることで顧客のニーズに直接的に応えることを目指したものです。

また、高止まりする通信料金の引き下げを総務省が推奨し、徐々にMVNOに貸し出す通信料金の価格が引き下がっていたことも、参入のきっかけとなりました。

事業としてもストックモデルへの変換の可能性、そしてアップセルによる単価向上という2つのメリットを期待しての選択でした。

2016年にはマザーズ市場へ上場し、また家庭用コミュニケーションロボットの販売を開始しました。

そして、2018年には東証1部に市場変更、翌年にはシャープとの協業により、ONLYROBOというオリジナルモデルのロボットの販売をスタートさせました。

現在、外国人観光客および外国人労働者の需要が増大する中で、プリペイドSIMカードの提供を開始し、事業の多角化を推進しています。

このように我々は、これまでの経験を活かして市場変化に柔軟に対応し、成長を続けています。

株式会社ベネフィットジャパン 2024年3月期第1四半期決算説明資料 より引用

事業概要と特徴

当社は通信事業者として、多彩な通信サービスを多岐にわたるルートで販売しています。

事業は主に二つの軸に分かれており、一つは「インターネット通信サービス事業」、もう一つは「ロボット事業」です。

インターネット通信サービス事業では、まずモバイルWi-Fiの販売およびレンタルを行なっています。

また、MVNO事業者向けに回線を提供するMVNE(仮想移動体サービス提供者)サービスも展開しています。

さらに、プリペイドのSIMカードも扱っており、このように幅広い選択肢を提供しています。

販路についても多岐にわたり、ショッピングモール、量販店、空港、主要駅、ホテル、ドラックストア、百貨店、ウェブ、携帯電話ショップ、テレマーケティング会社など、さまざまなパートナーと連携しています。

また、足元では次世代の通信規格としても推奨されているeSIMにも注力しています。

ロボット事業では、「新しい家族に出あえる」というコンセプトで、ロボットショップを展開しています。

全国各地のポップアップイベントでロボットの体験を提供し、購入につなげています。

また、テレビCMとウェブを組み合わせてイベントを宣伝し、連動させています。

さらに、オーナーさん同士の交流を促進し、コミュニティを発展させるために、コンテンツ配信や交流会を行っています。

現在、約2万5000人のオーナーさんが家庭用ロボットを利用しており、ファンコミュニティを築くためにロボット専用のアパレルショップなどの取り組みも進めています。

株式会社ベネフィットジャパン 2024年3月期第1四半期決算説明資料 より引用

当社の強み:コミュニケーションセールスについて

我々の事業の特徴として、コミュニケーションセールスがあげられます。

これは、お客様が製品やサービスを実際に試すことができるアプローチです。

例えばインターネット通信サービス事業では、多くの人が集まる施設でイベントを開催し、通信に関する新たな視点、つまり通信環境を見直すきっかけを提供します。

このような潜在的な需要を持つお客様に対して、我々は通信の必要性や選択肢を再評価する存在となっています。

通信の見直しは、家庭内での通信環境の最適化にもつながります。

多くの人は家に固定回線があり、外出先でもWi-Fi環境が提供されています。しかし、モバイルWi-Fiは移動中にも利用でき、特に車社会の地方都市では高い需要があります。

また、家族の通信費用を節約することができるかもしれません。

我々はお客様に直接この利便性を伝え、通信をより効率的に活用する方法を提供しています。

また、お客様が新しいテクノロジーを効果的に活用できるようなサポートもしています。

デバイスの設定方法が分からないお客様に対しては、我々が直接会場でサポートし、安心して利用していただけるようにしています。

ロボット事業においても、お客様がロボットを試し、その価値を実感することで、購入に繋げることを目指しています。

ロボットは未知の領域であり、多くの人が興味を持っていますが、どのように利用できるか不安を感じている人もいます。

そこで当社がポップアップイベントやコミュニティの活動を通じてお客様にロボットの魅力を伝え、安心して購入できるようにお手伝いしています。

このように、コミュニケーションセールスの強みは、潜在的なお客様と直接対話し、お客様のニーズに合ったソリューションを提供できることです。

お客様が製品やサービスを実際に体験し、その価値を理解することができるため、信頼性の向上にも繋がります。

これにより、創業以来10,000を超える販売拠点にて、累計120万人の新規のお客様を開拓してきました。

中長期の成長イメージとそのための施策

インターネット通信サービス事業において、我々はインバウンド需要と外国人労働者向けの市場を重要視しています。

インバウンド需要は急速に回復しており、来日観光客は急増しています。

しかし、多くの外国人観光客が日本で通信に関する問題に直面しており、これに対処するサービスが必要です。

そこで我々は、プリペイドSIMの提供を通じて外国人観光客に快適な通信インフラ整備を進めていきます。

具体的には、旅行会社、ホテル、ドラッグストアなどの拠点開拓を進めていきます。

株式会社ベネフィットジャパン 2024年3月期第1四半期決算説明資料 より引用

また外国人労働者向けには、使いやすい料金体系のプリペイドSIMプランを導入しました。

日本での生活において、インターネット接続は不可欠です。

我々のサービスは、彼らのニーズに合ったソリューションを提供し、市場を開拓していく戦略であります。

株式会社ベネフィットジャパン 2023年3月期決算説明資料 より引用

これと同時に、新たな販路開拓によるインターネット通信サービス事業の成長も促進しており、今後も当社の安定的な収益となることを期待しています。

ロボット事業ですが、前中期計画で想定したほどには市場が伸びず、営業赤字を抱える結果となりました。

今後は収益性を重視しながら適正な規模感を保ち運営していきます。

ロボットショップ「Robot Planet」は、国内での売上規模がトップクラスに位置しておりますので、このブランド力をさらに強化していく方針です。

そのために、イベントと連動したCMとWebを活用し、またロボットオーナーに広告塔になっていただくことにも取り組んでいきます。

オーナー向けのセミナーやコミュニティを通じてファンを育てていく計画です。

これにより、「ロボットを購入するならRobot Planet」という、市場におけるさらなるリーダーシップの確立と維持を目指しています。

株式会社ベネフィットジャパン 2023年3月期決算説明資料 より引用

さらに、我々はAI技術を活用したコミュニケーションの面での当事業の成長を見込んでいます。

昨今の生成系AIの発展により、ロボットとの会話は今後さらに高度化すると予想しています。

そしてこの進化は、家族と離れて暮らす高齢者の方やそのご家族、子育て世代など幅広いお客様のニーズを満たすものと考えています。

我々は常に最新のテクノロジーを提供し、新たな領域に挑戦し続ける姿勢を崩しません。

今後もメタバースや5Gから6Gなどあらゆる進化が起こります。

ロボット事業の成功はすなわち、この新たなトレンドをキャッチし、テレビCM・Webとリアルイベントを連動させお客様にサービスの恩恵を受けいただく、という一連の仕組みの第一例になると考えています。

注目していただきたいポイント

当社は現在、6期連続の増収で約125億円の売上規模を誇ります。

この背景には創業来開拓してきた約23万回線というお客様からなる顧客基盤があり、昨年度だけで71億円のストック売上を達成しました。

これは全体売上の56.8%を占めていますが、通信料金は毎月安定して得られる収益ですので、将来的にもこの安定売上が継続的に見込まれます。

また、自己資本も66億円となり、自己資本比率は65%と、当社の経営基盤は非常に盤石です。

投資家の皆様には、まずは今一度この顧客基盤・経営基盤の安定性と継続性にご注目いただきたいと思います。

さらに、長年培ってきたノウハウを活かし、インバウンド需要と外国人労働者向け需要を開拓することで、この顧客基盤はさらに成長することが期待されます。

先ほど申しあげたロボット事業の戦略も含め、当社のさらなるポテンシャルにも合わせてご期待いただきたいです。

株式会社ベネフィットジャパン 2024年3月期第1四半期決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

我々は多彩な通信サービスを多岐にわたるルートで販売をする通信事業者です。

今後はインバウンドおよび外国人労働者といった、大手キャリアが対応していない需要を捉えていきます。

また、ロボット事業も生成系AIの活用によりロボットのコミュニケーション能力を高めることで、少子高齢化が進む今後は一層成長する可能性があります。

2つの事業の成長可能性に改めてご期待いただければ嬉しく思います。

株式会社ベネフィットジャパン

本社所在地:大阪市中央区道修町1丁目5-18 朝日生命道修町ビル2F

設立:1996年6月6日

資本金:6億52百万円(2023年3月末)

上場市場:東証プライム(2016年3月24日上場)

証券コード:3934

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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