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【3666】株式会社テクノスジャパン代表取締役社長 吉岡隆氏「ERP×CRM×CBPのトータルソリューションでデータドリブン経営に伴走する」

※本コラムは2023年8月25日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社テクノスジャパンは日本におけるERPビジネスの創世記から事業に取り組み、ニーズやテクノロジーの変化に合わせて多角化を図ってきました。

代表取締役社長の吉岡隆氏に、同社の沿革や今後のグループビジョンを教えていただきました。

目次

株式会社テクノスジャパンを一言で言うと

企業のデータドリブン経営に伴走する会社です。

沿革とターニングポイント

当社は1994年に設立され、ERPビジネスを中心に事業を展開してきました。

ERPとは、企業の裏側で不可欠な購買、在庫、財務・管理会計などのプロセスを統合するシステムです。

人、物、金、情報といった企業のリソースをどのように活用するかを計画し、実行するための仕組みとも言えます。

このERPというコンセプトは1990年代に生まれ、特にSAP社がグローバルで一強の存在となりました。

同社が日本に上陸したのが1993年で、これが日本におけるERPの始まりと言えるでしょう。

株式会社テクノスジャパン 決算説明資料 -2023年3月期- より引用

我々は、ERPの今後の需要を見越して創業し、SAPのERPをビジネスの中心に据えて成長してきました。

2016年頃にかけては地域拡大とERPの多様化を図るため、関西、沖縄、中部地域への進出と、オラクル社など他社のERP製品の拡充をしてきました。

その後、CRM(顧客関係管理)ビジネスの強化を通じて、新たなターニングポイントを向かえました。

既にERPをご利用いただいていたお客様のうち、特に大手企業に、ERPだけでなくクラウドベースのCRMのニーズが生まれてきました。

そこで我々は、2018年にLirik社を、続けて2020年にはACK社を買収することで、CRMビジネスを強化しました。これにより、ERPとCRMの両方を提供し、連携させることが可能となりました。

さらに、2021年にはCBP(企業間協調プラットフォーム)を独自サービスとして立ち上げ、クラウドサービスの提供を始めました。

CBPは、ERPとCRMが対応していない領域をカバーすることを目的としています。この分野への注力は今も続いており、将来的な成長を見込んでいます。

事業概要と特徴

現在、当社の売上・利益の大部分はERPとCRMによるものです。

これにより、国内の企業がグローバル展開を進める際のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。

また、引き続きCBPへの注力を続け、クラウドサービスのお客様を増やすことを目指しています。

CBPは企業間のデータ連携をクラウドベースの共通プラットフォームで実現するもので、その価値は今後一層高まっていくと考えています。

株式会社テクノスジャパン 決算説明資料 -2023年3月期- より引用

主なお客様層はハイテク・組立・部品、食品・消費財、プロセス・材料などの製造業の企業です。加えて、近年は情報通信業も増加傾向にあります。

また企業規模は200億円以上の売上を持つ大企業が90%を占め、このような大手企業をターゲットに事業を展開しています。

拠点はグローバルにも展開しており、アメリカとカナダにお客様がいるほか、インドをオフショア拠点として活用しています。

アメリカ、カナダ市場に対するサービスは全体売上の約18%を占めています。

ERPとCRMは、SAP S/4HANA、mcframe、Oracle NetSuite、Salesforceなどの主要なパッケージを提供し、サポートまでを一気通貫で提供しています。

このように我々は、上流から下流までのプロセスを支援し、お客様のデータドリブン経営に伴走する存在と言えます。

CBPの提供価値とビジネスビジョン

ERPの中で最も重要なのは在庫管理と財務会計です。

「在庫がどれだけあるか」「生産に必要な部品をどれだけ発注すべきか」などを決定するのに役立ちます。その後発注した商品が届き、在庫が増加するプロセスも含まれます。

また販売側では、売れ筋商品や顧客からの注文にどのように対応するか、という観点で利用します。

しかしこのような取引におけるコミュニケーションについては、ERPの機能が充実しているわけではありません。

加えて、取引には相手先がいますが、お互いが紙やPDFなどで意思疎通を図るケースも多く、社内システムも各々異なることから、お互いの認識に誤りが生じることもあります。

ここでCBPが登場します。CBPは、データベースを通じて受発注から請求、売掛金と買掛金の管理までをデータとして統合し、他社間の差異を解消します。

これにより、需要と供給の効率化、高度化、そして取引業務の高度化を実現します。

我々は、これが「デマンドチェーン」と「サプライチェーン」の連動につながり、商流から物流、金流までをデジタルで連動させる未来を目指しています。

テクノスジャパンのビジネスビジョンは、DXで”つながる社会の未来を切り開く” です。

CBPを通じて取引データをクラウドベースで連携させることで、商流、物流、金流がデジタルで連動する未来を実現し、新たなビジネスエコシステムを構築していきます。

株式会社テクノスジャパン 2023年5月15日 中期経営計画 より引用

マーケット環境について

CBPのマーケットは、ERPやCRMと重なる部分があります。

かつてはEDI(電子データ交換)市場と呼ばれ、業界ごとにデータのレイアウトや共通ルールを策定し、取引データをやり取りするための取り組みが行われていました。

また、WebEDIも存在し、自社システムを使って電子データを入力し、得意先に提供していました。

しかし、これらの方法は異なる企業間でデータのやり取りを本質的に解決するものとはなりませんでした。

引き続き新たなデータ連携の方法が模索されている中で、まさにクラウドベースのプラットフォームとしてのCBPが、企業間でデータを共有し、コミュニケーションを取る新しい方法を提供しています。

このようにCBPの市場は、EDI市場から成長し、ERPやCRMとも連動しています。

しかしながら、CBPのセグメンテーションはまだ明確ではなく、市場は形成途中にあると言えます。

ただ、企業間の取引がデジタル化する流れや、企業内でデジタルトランスフォーメーションが進む流れは今後も止まることは無いでしょう。

その中で、CBPはますます重要性を増しており、今後の市場確立と拡大が期待されています。

株式会社テクノスジャパン 決算説明資料 -2023年3月期- より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

目指す成長の方向性は、DXで”つながる社会の未来を切り拓く”ことです。

これに向けて、進行中の中期経営計画においては、データドリブン経営の推進を目指しています。

CBPの市場はまだ確立途中ではありますが、ERPとCRMに関しては引き続き需要が非常に旺盛な状況です。

これに対応するため、価格戦略の見直しや新規案件の獲得など、戦略的なアプローチを進めています。

リーマンショックのような大きな経済変動がある場合を除いて、需要の急落は予想されません。

むしろ、デジタルトランスフォーメーションの機運が高まり、企業がデータ中心のビジネスを拡大していく傾向が強まっています。

リセッション時にIT予算が削減されることはあるかもしれませんが、DXを推進することが経営の重要事項となっている昨今、リーマンショックの時ほど大き影響はないと考えています。

ただし、2030年以降の市場については、クラウドサービスの成長やデジタルトランスフォーメーションの進展によって変化する可能性が高いです。

この件については、今後6〜7年間の我々のビジネス活動にかかっていると認識しています。

投資家の皆様には、まずは既存の主力領域でありますERPとCRMの市場成長および当社事業の成長を、その上でCBPの市場や事業モデルの確立にも、合わせてご注目いただきたいです。

株式会社テクノスジャパン 会社説明資料 より引用

シナジーの創出

CBPのプラットフォームは、今後機能強化とソリューション力の向上に取り組み、ERPおよびCRMとのシナジーを高めていきます。

ERPとCRMは、共に社内でデータが完結しており、取引先との間ではデータ断絶が起きているのが現状です。

個社最適化から始まった取り組みは、グループ最適化、そして自社のサプライチェーン全体の最適化を推進する概念へと変化していくと当社は考えています。

そのため、今後のビジネ展開において、ERP、CRM、CBPの3つの分野が連携し、トータルソリューションとして提供することを目指しています。

株式会社テクノスジャパン 会社説明資料 より引用

ERP、CRMを導入いただいている既存のお客様だけでなく、新規でCBPをご利用いただくお客様も出てきています。

それぞれの属性に合わせて、ERP、CRM、CBPの適切な提案を行い、事業としてもクロスセルなどの観点から相乗効果を生み出す取り組みを進めています。

この道のりはまだ始まったばかりですが、今後も成長戦略を着実に実行し、お客様との信頼関係を築きながらビジネスを拡大していきます。

データドリブンな未来を築くために、中長期のビジョンをしっかりと持ち続け、柔軟に変化に対応していく方針です。

海外展開について

現在、海外展開は主にセールスフォースのビジネスを中心に行っており、お客様の大半は非日系企業です。

アメリカ、カナダ、そしてインド(オフショア拠点)との連携を強化し、今後は日本からインドをオフショアとして活用する取り組みも一層強化していきます。

結果として日系企業様の割合を増やすことを重要視しています。

また、EPMやBIなどの領域も、ERP、CRM、CBPと連携し、データを活用してビジネスを進化させるポイントとなっています。

これらの分野でのデータ活用案件も、海外で増加しており、日本との連携を通じてデータドリブン経営をサポートしていきます。

アメリカ、カナダなどの海外拠点は日本と似た方向性を持ちつつも、地域ごとに異なる進化があります。

お互いに学び合い、連携し、共に成長していくことが必要です。

そのため、売上比率についても全体の20~30%程度を目指しており、急激な増加を追求するのではなく相乗効果を追求していく方針です。

投資家の皆様へメッセージ

当社は、IT活用を考える上流工程から、導入後の保守といった下流までを一気通貫でサポートしています。

製造業や情報通信業など特定の業界に焦点を当てながら、ERPに長く携わってきた強み、CRMやCBPにおける海外拠点との連携を組み合わせ、さらなる成長を図っていきます。

2030年を見据えて、お客様がよりスムーズにデジタルトランスフォーメーションを推進できるよう、支援してまいります。

株式会社テクノスジャパン

本社所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー14階 

設立:1994年4月

資本金:5億6,252万円(2023年9月アクセス時)

上場市場:東証プライム(2012年12月7日上場)

証券コード:3666

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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