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【2489】株式会社アドウェイズ代表取締役社長 山田翔氏「『人と機械の共生』を目指す」

※本コラムは2023年9月6日に実施したIRインタビューをもとにしております。

広告代理業やアドプラットフォーム事業を展開し、広告の最適化を行ってきた株式会社アドウェイズ。

会社の沿革や中長期戦略について株式会社アドウェイズ代表取締役社長の山田翔氏に伺いました。

目次

株式会社アドウェイズを一言で言うと

「なにこれすげーこんなのはじめて」な会社。

これまでなかった「なにこれ すげー こんなのはじめて」を、事業や取り組みを通じて、できるだけ多くの方々へ届け、当社に関わるすべての人が成長できる社会へ向けて、本質的な価値を創造し続けたいと考えております。

また、他社の施策に左右されずに自分たちはこうあるべきだという信念を持ち、ステークホルダーの皆様に評価していただきたいと思います。

沿革とターニングポイント

当社は現取締役会長である岡村陽久によって2001年に設立されました。

創業時はメール広告が主な事業でしたが、顧客、メディア、ユーザーにとっての広告価値を高めるべく、サービスのバージョンアップを経て、アフィリエイト(成果報酬型)広告が実質的な主力事業になりました。

その後、アフィリエイト(成果報酬型)広告事業を軸に急成長し、2006年に東証マザーズに上場いたしました。

私は翌年の2007年に当社に入社し新規メディアの立案、開発に従事しました。

その後、2009年10月にPC向けアフィリエイトサービス「JANet」のプロダクト責任者に就任。

今では一般的になったアフィリエイトも、当時は非常に革新的な事業でした。

また、アフィリエイトに限らずこのように驚きのあるものを多数打ち出していきたいと考え、様々な事業展開を進めて参りました。

株式会社アドウェイズ より提供

2010年ごろに世の中の携帯電話がガラケーからスマホにシフトし始めました。

この市場変化にいち早く対応するため、2011年にはスマホアプリ向けの広告プラットフォームであるAppDriverをローンチしました。

世の中がスマホに完全にシフトする前の非常に早いタイミングで立ち上げたため、先行優位性のあるサービスとなりました。

同時にスマホゲームアプリを多数開発、リリースし、スマホゲームアプリ事業とスマホアプリ向け広告プラットフォーム事業により当社は成長いたしました。

また、2011年以降は前述のAppDriverを軸に海外展開も進めて参りました。

東南アジアを中心に最大11拠点で事業展開し、広告事業やスマホゲームアプリ事業でグローバルに展開したことも転換点の一つです。

結果として海外事業の好調は続きませんでしたが、国内の広告事業は堅調に成長いたしました。

さらに、その過程でスマホ広告市場が盛り上がり、2013年にはスマホ向け広告配信の効果を測定する先進的なツールを開発し、国内で高いシェアを獲得することができました。

その頃より他社の商材も扱って欲しいというニーズが増えたため、エージェンシー事業(広告代理業)を開始。以来10年かけて主力事業にまで成長しております。

代表就任の経緯

入社後、いくつか新規事業を立ち上げましたが、その中でもAppDriverは特に評価をいただき、私のキャリアの中でも大きなターニングポイントとなりました。

2014年には当社の執行役員になり、現在の主力事業の一つである全自動マーケティングプラットフォームUNICORNを立ち上げました。

UNICORNを軸に広告市場のあるべき姿を考えていく中で、これまでアドウェイズにはなかった世界観での事業成果を見込む事ができました。

これを機に取締役になり、その後、当社グループのインターネット広告事業を更に発展、拡大させるべく、2021年に現職に就任いたしました。

事業概要

メインはインターネット広告事業となり、エージェンシー事業とアドプラットフォーム事業に分かれています。

その他にライフスタイル系の事業を展開しています。

まだ世の中にAIやDXブームが来る以前の2016年頃から、「人と機械の共生」を重要な経営のテーマに掲げ、事業を展開しております。

エージェンシー事業の特徴

上場企業も含め多くの広告代理店が存在していますが、まず特筆すべき点はアプリ広告に特化した代理店であることです。

もう一つの特徴は、パフォーマンス広告(運用型広告)を提供する中で、しっかりとした運用・サポート体制を構築している点です。

当社の独自プロダクトであるAMPシリーズを活用し、広告効果向上を支援するソリューションを提供しています。

このように、単なる代理店ではなく、広告の意味や価値を自ら評価し、またそれを精度の高いAIを用いて運用している点に我々の差別化ポイントがあります。

株式会社アドウェイズ 2023年5月2日 中期経営計画 より引用

さらに、最近ではパフォーマンス広告だけでなく、認知も重視する広告主の需要が増えています。

この文脈で、フルファネル・フルチャネルでの包括的なマーケティング支援を拡充している点も特筆すべき特徴と言えるでしょう。

AMPシリーズについて

現状、広告効果を高めるために大半の会社が多くの人的リソースを割いています。

そのため、一人当たりの売上や粗利を伸ばしにくかったり、運用精度の個人差が大きいという課題があります。

AMPシリーズは、単に全てをシステムに切り替えるのではなく、人間の意思決定を後押ししたり、個人ごとの運用能力の差をなくすことを目的としています。

一般にデジタル広告は効果を出すために抑えるべきポイントがある程度決まっています。

例えば、人間が追いきれないポイントをシステムがフィードバックすることで人間をアシストする形で活用します。

今後も広告運用には一定の人的リソースが必要になりますが、当社はこのAMPシリーズにより各人の生産性を高めることができます。

また、広告効果が改善されれば各会社の予算が増え、結果として一人あたりの粗利も増加していくという仕組みです。

代理店でここまでソリューションに注力する企業は少ないですし、これを自社で開発することに拘っている点も我々の優位性を高めています。

株式会社アドウェイズ 2023年5月2日 中期経営計画 より引用

アドプラットフォーム事業の特徴とUNICORNの差別化ポイント

テクノロジーを駆使したプロダクトを提供し、お客様の持続的成長をサポートしています。

具体的には、全自動マーケティングプラットフォームUNICORNを始め、アフィリエイトサービス、およびエンゲージメント率向上と広告収益を兼ね備えたオファーウォールであるAppDriverなどが挙げられます。

株式会社アドウェイズ 2023年5月2日 中期経営計画 より引用

中でもUNICORNについてご説明します。

UNICORNは、いわゆるDSP事業ですが、DSPは一度サイトに訪れた人に再度広告を出し購入してもらうリターゲティング配信に活用されるというのが一般的な認識でした。

しかし、既存のユーザーに広告を配信し続けるのではなく、新たなユーザーに広告を届けられる方が理想的であると考え、我々は既存のDSP事業者が実現できなかったCPAの最適化を最後発のDSPでありながらも実現しました。

CPAの最適化を目指す上では技術的なロジック・モデルも重要ですが、根幹の思想が最も重要であると考えています。

リターゲティング配信というすでに収益性が高い事業が確立されている中で、このような考えを基にした事業になかなか他社は踏み込めないと思います。

事実として、UNICORNのリリースから9年が経ちますが、国内では明確な競合はおらずこの点が一番の差別化要因だと考えています。

また、日本中の広告を機械学習にかけて分析・最適化するには非常に大きなコストがかかりますし、すぐに効果が現れるものでもありません。

このように、考え方を切り替えて長期的に多額のコストをかけ続け事業を展開してきたことが他社との差別化となっております。

中長期の成長イメージとそのための施策

エージェンシー事業については、先ほど申し上げたソリューション力とフルファネル・フルチャネルでのマーケティング支援に加え、営業力・提案力を強化することでお客様の事業成長ドライバーとなることを目指します。

当事業はアプリのクライアントをメインに事業を展開しているため、アプリクライアントの予算奪取率が一つの重要なKPIとなっています。

従前の自社開拓に加え、ナショナルクライアントに対しては博報堂DYグループとの業務提携によりリーチしてきました。

現状、アプリクライアントはある程度リーチしきれたと認識しており、今後は獲得領域だけでなく認知領域での支援を拡大していくこと、そしてアプリ広告主以外の支援にも手を広げていくことがより重要だと考えております。

株式会社アドウェイズ 2023年5月2日 中期経営計画 より引用

アドプラットフォーム事業であるUNICORNについては、チャネル×提供価値×アカウントの3軸で立体的な拡大を目指して参ります。

当社は博報堂DYグループとの業務提携によりナショナルクライアント向けのデジタル広告マーケティング支援の提供をより一層強化しており、ここには事業拡大の余地が残されていると認識しています。

さらに、対応可能なチャネルの拡大に向けて効果の最適化やブランドスータビリティを担保した配信のサポートを軸に、YouTubeやGoogle検索への対応を進めております。

株式会社アドウェイズ 2023年5月2日 中期経営計画 より引用

また、国内でのこれらの取り組みを通じ、今後は改めて海外展開にも注力していきます。

現状は実験段階ですが、アプリの領域におけるシェア獲得の観点では、一定のシェアを獲得できると考えています。

国内でも海外でも、Googleやfacebook、X(Twitter)、TikTokといったプラットフォームがシェアの大半を占め、残りのシェアを競争し合うプレーヤーは変わらないと考えています。

また、DSPの事業上、海外拠点を置かなくても特定の国をターゲットにしたテスト配信ができるというメリットがあります。

さらに、グローバルでビジネスをしている広告主が多く、この観点でも海外展開しやすい環境にいます。

市場規模としては例えば北米は日本に比べてはるかに大きいため、日本の環境と同じシェアが取れると想定すると数倍の売上となる見込みです。

今後も調査を進め、チャンスがあれば大きく進出していく方針です。

株式会社アドウェイズ 2023年5月2日 中期経営計画 より引用

広告事業以外の立ち位置

当社は広告会社として収益を出すために存在しているのではなく、世の中に「なにこれ すげー こんなのはじめて」と言われるような事業や世の中を前進させるような取り組みを提供するために存在していると考えております。

広告事業は裏方の事業ですので、世の中の一般的なユーザーへの驚きや進歩の提供は難しいです。

そのため、足元で広告事業を伸ばしつつ、プラスαで一般のユーザーに届くような事業を展開することが当社の存在意義を証明するために必要だと認識しております。

投資家の皆様へメッセージ

会社を存続させるため、上場企業として存在するための条件として、世の中へ新しい気付きがあるものや、成長できるようなものを事業にする必要があると考えております。

当社はこの考えを基に事業展開しています。

考え方の主張だけではなく、しっかりと数字を出しながら世の中にインパクトや価値を創出できるよう尽力して参りますので、この点を踏まえて評価・投資していただければ幸いです。

株式会社アドウェイズ

本社所在地:東京都新宿区西新宿五丁目一番一号 住友不動産新宿ファーストタワー5階 

設立: 2001年2月28日

資本金:1,716百万円(2022年12月末現在)

上場市場:東証プライム(2006年6月20日)

証券コード:2489

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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