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2024年は「新たなる二極化」が始まると予想

この数年は多くの人にとって激動のものとなりました。2020年からコロナ禍がはじまり、ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエルとハマスの戦争が起き、日本国内でも物価高に多くの人が苦しみました。

2024年は米国を始め、多くの国で大統領選があります。

おそらく、2024年も何もなく1年を終えるということは出来ないのでしょう。そんな2024年は「新たなる二極化」が始まると予想します。

目次

新たなる二極化とは?

 新たなる二極化とはなんでしょうか。従来は二極化というと、富裕層と貧困層を指しており、経済的な格差の拡大を意味します。

しかし、新たなる二極化というのは、決して上と下という単純な二極化ではなく、あらゆる局面で価値観の違いが発生し、結果として分断されるということを指します。

 たとえば、「ソバとウドン、どちらが好きですか?」、「塩ラーメンと豚骨ラーメン、どちらが好きですか?」などと聞かれたときに、どちらを選ぶのが正解ということもありませんし、選択を誤ると損をするということもありません。

 このように、あくまで価値観によって、結果として二分されることが、あらゆる局面で生じると予想するのです。

日銀の政策変更は格差拡大のキッカケ?

 もちろん、経済的な二極化も2024年以降は加速する可能性が高いと考えます。2023年12月の金融政策決定会合で植田総裁は大規模な金融緩和策の現状維持を決めました。

マイナス金利解除については「賃金と物価の好循環をなお見極める必要がある」と述べています。日銀が物価の見通しを新たに発表するのは1月。そして次は4月です。そして、春闘の大まかな結果が見えてくるのが3月中旬。

そう考えると、おそらく4月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除する可能性が高いと考えますが、マイナス金利を解除すれば、その後は金利を引き上げていくことになるでしょう。

 仮に物価上昇率が2%程度で定着するのであれば、短期金利は3%弱、長期金利は3.5%程度まで上昇するでしょう。そうなれば、普通預金や定期預金の金利も一気に上がります。

多くの預金を持つ富裕層にとっては、新たな利子収入が発生することになります。

 一方で、住宅ローンを組んでいる多くの国民は毎月の返済負担が上昇します。預金がそれほどないのであれば、利子収入という金利上昇の恩恵は受けられずに、ローン金利の上昇という負担だけを受けることになります。

AIを味方に付けるか、恐れるか

 2023年は生成AIの進化を目の当たりにした1年でした。読者の皆様もChatGPTを触った経験があるのではないでしょうか。

AIが進化すると人間の職を奪うという「AI失業」が昔から恐れられていましたが、実際にChatGPTをはじめとする生成AIなどを触ってみて、私はたしかに「AI失業」は起こるだろうと実感しました。

ただ、一方でAIの進歩によって、これまでなかった新たな職が生まれるとも考えており、差し引きとして、どちらが増えるのか、という観点を持つとよいでしょう。

 AIを活用できる人は、コストを下げる一方で、生産量を増やすことは可能になると思います。一方で、AIはよく分からないからと言って、使わないでいると、自身の仕事がAIに奪われてしまうかもしれません。

 つまり、ここでも二極化が起こるのです。AIを活用できる人と、AIに追いやられてしまう人です。AIエンジニアになる必要はありません。少しでもAIを普段の仕事や生活に利用してみる挑戦はしてみても良いでしょう。

不動産価格の上昇が二極化を加速させる

 2023年も相変わらず不動産価格は上昇しました。これまでも東京五輪が終わると不動産バブルが崩壊するなど、都度不動産市場の下落説はささやかれてきましたが、いまのところは一切その兆しがありません。

 私自身も都内で物件を見て回ることがありますが、小さい戸建てでも1億円を超えていたり、とても簡単に購入を決意できるような金額ではありません。

それでも都内の物件が買われているのは、いわゆるパワーカップルがペアローンを限度いっぱいまで組んでいるからのようです。

前述の通り、2024年は日本でも金利が上がる可能性があるため、もしかすると不動産バブルの崩壊のトリガーを引くことになるかもしれません。

 これだけ都内の不動産価格が高騰すると、そろそろ都内での生活を諦め、郊外や近隣の件に引っ越す方も増えるでしょう。コロナ禍においてリモートワークが日本でも多少は普及したこともあり、職種によっては都内に住むことに固執する必要のない人も増えました。

 ここでも新たなる二極化が生じます。無利してでも都内に住むために高いコストを払う人と、もはやそのような努力は無駄であると察して、郊外や近隣の県に移り住む人です。

郊外はまだしも、近隣の県は場所によっては不動産価格だけでなく、物価も都内よりも安くなっています。

 このように書くと、都内で住み続けられる人が勝ち組で、都内を諦めた人は都落ちした負け組と思うかもしれませんが、それは従来の二極化の観点になります。

そうではなくて、それぞれが自身の価値観に沿って動くわけですから、どちらが勝ちとか、負けということなはないのです。

 2024年は金利上昇、不動産価格の上昇、AIの進化など、様々な外部環境の変化が新たなる二極化の一歩目を踏み出させるでしょう。

執筆者

森永 康平のアバター 森永 康平 株式会社マネネCEO / 経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。
現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。

著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。

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