※本コラムは2024年1月12日に実施したIRインタビューをもとにしております。
バリュークリエーション株式会社は従業員満足度と顧客満足度を高めて、日本と世界をより良くする会社を目指します。
代表取締役の新谷晃人氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
バリュークリエーション株式会社を一言で言うと
安定成⾧のマーケティングDXと急成⾧の不動産DXの両輪で事業成長と社会価値への還元を目指す会社です。
バリュークリエーションの沿革
創業経緯
当社の設立は2008年です。
幼い頃から大田区で町工場を経営する祖父に憧れて、いつか起業したいと考えていました。
2000年に新卒で入社したマーケティング会社を3年で退職し、先に独立をした先輩の勧めもあり、2008年にマーケティング事業を行う当社を設立しました。
事業拡大と上場
当社は創業以来、マーケティング会社として様々な顧客のDX支援を行ってきました。
また、既に売却していますが化粧品事業や中古車のマッチング事業を行っていた時期もあります。
その後、着実にマーケティング支援会社としても事業会社としても事業を拡大していきました。
不動産業界に対してマーケティングDX支援を行っているうちに、不動産業界のDX化が非常に遅れていると感じました。
また、不動産業界の中でも解体業界は多重請負構造で、解体ニーズのある顧客にとって不透明かつ公平性が担保されていないと考えました。
そして、不動産業界でのDX化が鍵と考え、2020年7月に「解体の窓口」のサービス提供を始めました。
2023年11月に解体業界を通じた不動産DXの推進と事業拡大を目指し業界初の上場を果たしました。
バリュークリエーションの事業の概要と特徴
概要
マーケティングDX事業と不動産DX事業の2事業を行っています。
マーケティングDX事業では、2020年時点でDXへの取り組みが遅れているとされるレガシー業界(※当社での定義)の企業に対してLTV(Life Time Value)マーケティングを行っています。
また、不動産DX事業では「解体の窓口」をプラットフォームに建築物のマッチングビジネスを行っています。
2023年9月末時点の登録解体業者は1,560社、提携不動産会社数は742社と業界最大級のマッチングプラットフォームです。
事業における優位性
高い継続力を生む顧客基盤
当社のビジネスはレガシー業界の顧客と長期的なお付き合いをしていくことを前提にしています。
まず、マーケティング業界ではリード(見込み客)獲得数を提供価値としている会社がほとんどです。
しかし本質的に考えた場合、顧客が求めているのは売上を上げることであり、リードの獲得だけでは不十分です。
そこで、当社では顧客のマーケティングに関わるニーズをトータルでサポートをする「LTVマーケティング」を提供しています。
15年間にわたりノウハウを積み上げてきた結果、レガシー業界の顧客から高い評価を頂いており、現在の契約継続率は97%を維持しています。
持続的な成果創出
先ほども申しました通り、当社のターゲットはレガシー業界です。
そのため、顧客の求めるターゲット層は中高年以上が多く、リスクが高く変化の激しい新興媒体に頼ったマーケティング手法は合いません。
そこで我々は、安定的なパフォーマンスを期待できる媒体を通じてマーケティングにおけるDXの基本と確かなデジタル施策を提供しています。
これにより、高い顧客満足度を実現する顧客との長期的なリレーションを築いています。
事業創出経験による顧客目線での支援
沿革でも少し触れましたが、当社自身も事業会社として企業の立ち上げから集客、運営に長きにわたって携わってきました。
また、現在では「解体の窓口」の運営会社としての顔を持っています。
これら複数の事業立ち上げにおいて、広告費を使ってマーケティング施策を試行錯誤した経験を基に、顧客への支援に繋げています。
身銭を切って実証実験を行ったことで、営業の際も顧客に対する説得力が増し、リアリティを持ったサービスを行うことできます。
そして、この経験が顧客に寄り添った提案と顧客目線での支援に繋がっています。
「解体の窓口」の独自性
「解体の窓口」は、他社が提供するマッチングサービスとは異なる特徴を持った、非常に独自性の高いサービスです。
「解体の窓口」は、他社が提供するマッチングサービスとは異なる特徴を持った、非常に独自性の高いサービスです。
1つ目の特徴は逆オークションサービスです。
一般的なオークションとは値段が上がっていく仕組みのことを言いますが、
逆オークションとは、複数の解体業者が見積もりを出し合うことで価格競争になり、見積の価格がどんどん安くなることを指します。
2つ目の特徴はオンライン見積もりの実現です。
まず、当社のコンシェルジュを通して解体業者に物件の詳細情報や現地調査の日程調整を行います。その後、当社のコンシェルジュから依頼者に対して決断に必要な情報を提供します。
このモデルは依頼者と解体業者の双方にメリットがあります。
一般の方が持つ解体業者に関する情報はまだまだ少なく、依頼をするのにもハードルが高いと感じると思いますが当社が間に入ることで依頼者の不安を解消し、クリーンな解体業者とのマッチングを実現しています。
「解体の窓口」に登録されている解体業者は許認可を確認済みの業者であり、安心できる会社ばかりです。
解体業者にとっては、「依頼者側で解体に関する十分な情報を持っておらず解体業者としては依頼を受けづらい」という課題を解決するとともに、コンシェルジュを活用して実際の契約に繋げることができます。
このように公正なオンライン見積もりを可能にしているのは「解体の窓口」があってこそだと考えています。
また、3つ目の特徴は解体周辺領域との連携ネットワークがあることです。
2023年9月時点では依頼者のニーズを満たすために全国742社の不動産会社、72社のハウスメーカー、全国10社の駐車場会社、26社の司法書士法人といった企業と連携しています。
バリュークリエーションの中長期の成長イメージとそのための施策
マーケットの成長性
まず、マーケティングDX事業においてはインターネット広告市場の成長が堅調で、2023年時点で約2.8兆円規模のマーケットは今後も拡大していくと予測しています。
また、今後注力していく解体業界の市場規模は1兆6,441億円、住宅解体市場に限ると8,741億円です。これに対し、2017年時点でのマッチングサービス経由解体市場規模は93億円であり、拡大余地が残されています。
更には、空き家問題に政府が注目し始め、2023年12月に空き家対策特別措置法の改正案が施行されました。
この改正は、これまで固定資産税が優遇されていた空き家に対して、管理が不十分な場合は税額を4倍に引き上げるという内容です。
今後は、日本各地に約24万件ある管理が不十分な建物に対して、解体需要も増加すると見込まれています。
マーケティングDX事業の継続的成長
足元では、過去の支援実績から属性や支援内容をマーケティング対策別に洗い出し、さらに型化する作業を進めています。
これにより当社の組織全体としての支援ナレッジの型化と標準化を推進し、支援の品質向上と生産性改善を同時に目指していきます。
また、2022年2月期に導入したSalesforceで顕在化した新たな顧客層の獲得可能性に対して、ターゲットの選定による紹介施策の強化やセミナー開催によるインバウンド施策を展開していきます。
これらの取り組みはLTVマーケティングを行う当社にとって必要不可欠な施策です。
今後もマーケティングの基盤を高め、顧客満足度を向上させることでサービス単価の向上を狙っていきます。
また、レガシー業界はマーケティングへの取り組みが遅れているため、高い施策効果を見込め、高単価にも繋がると考えています。
「解体の窓口」の拡大と他業種への展開
解体市場でのマッチングサービス利用率は2027年には12%、市場規模としては2,390億円になると見込んでいます。
今後は「解体の窓口」を中心に集積した土地情報を起点としたプラットフォーマーを目指し、複合的なマッチングプラットフォームを構築していきます。
具体的には葬儀を計画している顧客と葬儀屋のマッチングプラットフォームや、相続関係の整理をしたい顧客と税理士のマッチングプラットフォーム等です。
土地情報が集積されるプラットフォームを構築し、土地売買の潜在層の相互送客を行うことで好循環を生み出していきたいと考えています。
注目していただきたいポイント
当社は解体は「すべての始まり」であると考えています。
解体しただけでは依頼者の悩み事は解決できません。
例えば、解体して更地にした場合のニーズとしては、建替えや売却、駐車場利用など多岐に渡ります。
既に「解体の窓口」では集積した土地情報を活用しながら、プラットフォーマーとしてハウスメーカーや終活サービスへの連携を行っています。
また、2023年末には(株)AZoomや空き家活用(株)と業務提携を行っています。
空き家問題への関心も高まっている今、解体のあらゆるタッチポイントからの、当社の新たなビジネス展開に注目していただければと思います。
投資家の皆様へメッセージ
当社は東証グロース市場に上場している企業の中では珍しく、上場後すぐに配当を出しています。
それは持続的な成長のためには個人投資家の皆様の支援が必要だと考えているからでもあります。
今後、個人投資家の皆様向けの色々な企画や接点を考えておりますので、ぜひ期待していてください。
本社所在地:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-21-10 えびすアシスト4階
設立:2008年4月1日
資本金:157,839,360円(2024年1月アクセス時点)
上場市場:東証グロース市場(2023年11月22日上場)
証券コード:9238