※本コラムは2024年1月16日に実施したIRインタビューをもとにしております。
GMO TECH株式会社は、AIを活用し、地図広告の「MEO(マップ検索エンジン最適化)対策」、検索エンジン対策の「SEO(検索エンジン最適化)対策」、スマートフォンに特化した「アプリダウンロード促進」「アプリダウンロード後の成果課金広告」など様々な独自商品を持っています。
また直近ではグロース市場の企業としては高配当である配当性向50%や株主優待制度の開始など、株主様への還元にも力を入れています。
代表取締役社長CEOの鈴木明人氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
GMO TECH株式会社を一言で言うと
インターネット集客に特化したプロフェッショナルで、AIを活用したWebマーケティングDXサービスを提供し、企業様の売上を最大化する会社です。
沿革
創業経緯
2006年12月に当社の前身となるイノベックス社を個人で設立いたしました。
当時は悪質なサイトやサービスも多く存在し、本当に良い商品やサービスを世の中に伝えていきたいという思いから創業しています。
設立当初はweb制作事業を中心に請け負っていました。
その後、SEO対策を中心にサービス展開を始め、今ではMEO対策をはじめとする多種多様なインターネット集客サービスを展開しています。
GMOグループへジョイン
当社を設立してから3年後、2009年にGMOインターネットグループにジョインいたしました。
当時行っていたSEO事業と最もシナジーがあり、サービスを大きく飛躍させる可能性が高い企業がGMOインターネットグループであったためです。
グループジョインした後、SEO対策だけではなく、MEO対策やアフィリエイト広告配信システム等々のサービス展開を開始し、GMO SEOテクノロジー株式会社、GMO TECH株式会社と社名を変更してきました。
その後、2014年12月には東京証券取引所マザーズ市場(現東証グロース市場)に上場することができました。
事業の概要と特徴
概要
当社は検索エンジンマーケティング事業と、WEB・アプリプロモーション事業の2つの事業領域を軸としています。
まず検索エンジンマーケティング事業は、SEO対策の他、MEO対策としてGoogleマップ検索で店舗情報を上位表示させ、ユーザーが見つけやすくするサービスを展開しています。
この事業は、店舗様の認知向上、口コミ創出の大きな役割を担っています。
続いてWEB・アプリプロモーション事業では、スマートフォンアプリ向けアフィリエイト、つまり成果報酬型広告のサービスを中心に展開しています。
また、この2つの事業以外に100%子会社であるGMO ReTech株式会社では不動産賃貸領域のDXサービスも行っております。
事業における優位性
MEOへの高い提供価値
検索エンジンマーケティング事業のMEO対策で当社が提供している総合管理ツール『MEO Dashboard byGMO』は、累計取引社数No.1、上位表示率No.1、顧客満足度98%以上を誇っています。
その理由は売上アップ、来店効率化、店舗のファン化をオールインワンで実現できる設計にあります。
店舗運営においてはFacebookやX(旧Twitter)、Instagramなどの複数のSNSアカウントを使い分けながら運営することが重要ですが、その分、管理が煩雑になります。
『MEO Dashboard byGMO』はSNSアカウントを一括して運用・管理できる機能を追加することでこの課題を解決します。
また、社内と海外拠点の開発会議を頻繁に行って、積極的なアップデートを繰り返しており、AIを活用した自動口コミ返信機能なども実装し、一層の機能充実化を図っております。
多国籍人材と海外アプリの独占受注
WEB・アプリプロモーション事業では、スマートフォンアプリ向け成果報酬型広告のサービス『GMO SmaAD』を展開しており、アプリ集客実績は3,000件以上に及びます。
日本は、世界でもゲームのアプリ売上がトップ3に入る巨大なアプリ広告市場です。
この大きなマーケットでのプロモーションを成功させるため、当社では英語、中国語、韓国語が使える営業人員が多数在籍しております。
彼らの活躍によって他社と比べて海外アプリの独占受注数が高く、当社の強みとなっています。
不動産賃貸DXへのAI活用
当社の100%子会社であるGMO ReTechでは、すべての不動産賃貸運営に関わる業務をDX化することを目標にしています。
この業界に参入したきっかけとして、自分が不動産オーナーになって不動産賃貸業界に接したときに、意外とアナログが多く残っているなと感じたからです。
FAXでのやりとりや、契約書・重要事項説明などは紙の資料が多かったりと、あまりデジタル化が進んでいませんでした。
何らかの形で改善できるのではないかと考え、不動産オーナーとのコミュニケーションを行える「GMO賃貸DX オーナーアプリ」、入居者とのコミュニケーションを行える「GMO賃貸DX 入居者アプリ」を開始しました。
また、不動産賃貸DXをテーマにしたオンラインメディア「GMO賃貸DX WEBメディア」も運営しています。
サービスの特徴としては、1%程度と非常に低い水準に抑えられた解約率です。
これは、売上高のストック化に寄与しているだけでなく、お客様からの高い満足度の現れでもあります。
不動産オーナー様には外国の方も多く、当社では全ての外国人オーナー様と不動産管理会社様のやり取りがスムーズに行えるように、約100言語に対応できるAI翻訳機能を実装しています。
また2023年6月には、ご利用いただいているオーナー様は10万人を超え、利用オーナー数がNo.1となりました。
当社内で開発・実装を行える環境を整え、スピード感を持って動けた結果だと感じております。
中長期の成長イメージとそのための施策
マーケットの拡大と事業成長
当社の直近の業績ですが、売上高と営業利益ともに前期と比較し成長しており、特に営業利益においては前期の2倍以上の見通しとなっています。
売上高についても、上場時と比較すると、2倍以上の成長見通しとなっております。
中期の見通しについては、今まで以上に成長トレンドを加速させることで集客支援事業は大きく成長し、不動産テック事業もストック収益の積み上げが増加することで、当社グループ全体として安定した利益の増加を継続させていきます。
主要事業領域のマーケット状況と、それに対する当社の取り組みについてお話しします。
まず、MEOマーケットは2019年から2022年にかけて3倍に急拡大しました。
また、2028年の市場規模は306億円と想定されるなど、今後も順調な拡大が期待されています。
当社のMEOサービスもマーケット以上の成長を続けており、No.1のシェア率を誇る当社は市場を牽引していく立場でもあります。
引き続き、AIなどの最新技術を活用した機能追加などのサービス品質の強化や、体制強化に力を入れながら、オンラインセミナーやイベントを駆使することで認知度の向上を図り、市場成長率を上回る形で成長させていきたいと考えています。
続いて、日本のアフィリエイト広告市場全体の推移ですが、直近3年間のマーケット成長率は7%ほどとなっており、2025年度には5,000億円を超える規模となる見込みです。
当社アフェリエイトサービスもアフィリエイト広告市場全体の伸びよりもはるかに高い成長率で推移しており、今後も成長を続けていくと考えています。
当社は海外との取引にも注力しており、ローカライズからプロモーションまでを一貫して提供することを武器とした提案で、アプリ稼働案件数もNo.1を目指しています。
次に、不動産テック市場についてですが、巨大な不動産業界においても、新型コロナウイルスによる影響も受けて、非対面、非接触での事業運営が必要となり、2020年度の不動産テック市場規模は約6,110億円でしたが、2025年には1兆2,461億円に大きく拡大すると予測されています。
その中で当社は、長年培ってきたインターネット技術にAI技術を融合することで、オーナー様に寄り添ったサービスを展開することで、利用オーナー数がNo.1というサービスに成長しました。
市場拡大期である環境は事業成長の大きな機会になると認識しており、事業規模も順調かつ継続的に売上を積み上げることで、ストック収益の積み上げも順調に推移しております。
注目していただきたいポイント
当社は12月末決算となっておりますが、昨年は当初の予算よりも売上高、営業利益ともに大きく成長したため、昨年8月に上方修正をおこないました。
配当性向も50%となっており、グロース市場においては株主様への高い還元を実現しています。
また2023年11月には自社サービスの割引と、GMOインターネットグループであるGMO クリック証券の買付手数料や取引手数料のキャッシュバックを行う株主優待制度も開始いたしました。
これにより2024年年初の株価は、2023年年初と比較し、2倍以上に上昇しております。
これらの株主への還元については、業績が許す限り方針を変更しない予定となっております。
投資家の皆様へメッセージ
当社は成長途中の会社であり、これからも様々な挑戦を続けていきますので、応援していただけることが一番嬉しいと考えています。
長期保有をされるかどうかは投資家の皆様の考え方によりますが、長く保有していただけると嬉しいです。
私自身の座右の銘は「スピード」であり、変化の早い環境の中でもスピード感を失わずに、常に投資家の皆様の期待を超える企業でありたいと考えておりますので、我々の挑戦を引き続きご支援していただけると幸いです。
本社所在地:〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー
設立:2006年12月4日
資本金:100,000,000円(2022年9月30日現在)
上場市場:東証グロース市場 (2014年12月11日上場)
証券コード:6026