- 成長投資枠の賢い銘柄選びの基準が知りたい
- 新NISAの運用におけるリスクとリターンのバランスの取り方を理解したい
- 初心者に適した投資手法を探している
新NISAの「成長投資枠」は投資の選択肢が多く、積極的に資産を増やしたい投資家にとっても魅力的な設計となっている。
しかし、その使い方や商品・銘柄の選択を誤ると、せっかく形成した資産価値を損なうこともあり得る。
本記事では、成長投資枠で「攻め」の投資を行おうとする投資家に向けて、商品選定に至る考え方や、注意すべきポイントを解説した。
投資においては鍵となる「リスクとリターン」に関しては、とくに詳しく説明している。
読了後は、成長投資枠での銘柄選定について洞察と指針を得ていただければ幸いである。
銘柄選びの前に知っておきたい新NISA成長投資枠の基本
成長投資枠では、個別株式を含む幅広い商品の選択が可能だ。
しかし、選択肢があるからといって無計画な投資を行うと、リスク課題となり資産形成の目標から逸脱してしまうおそれがある。
ここでは、成長投資枠で個別銘柄を検討する前に知っておくべき、基本的な事項について解説する。
成長投資枠の対象商品
成長投資枠の対象となるのは、国内外の上場株式、公募株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(上場不動産投資信託)だ。
成長投資枠の対象投資信託は、投資信託協会のWeb上で公表されている(2024年2月7日時点、2,100本超)。
これらは、「各運用会社が税法上の要件を考慮して対象と判断した商品」であり、届出された商品がリストアップされたものである。
ただし、ここで公表されるのは国内投資信託等に限られる。これ以外にも国内外の上場株式などで、以下に該当しないものであれば、広く買付けが可能である。
- 監理・整理銘柄
- 信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託等
- デリバティブを用いた投資信託等
成長投資枠の特性を生かせる投資手法
成長投資枠の、「投資対象が幅広く、買付け方法が限定されない」という特性を活かせる4つの投資手法を紹介しよう。
成長投資枠で高リターン商品を購入する
成長投資枠では、国内外の上場株式や、テーマ型や積極的にリターンを狙うアクティブ型投資信託にも投資できる。
これには、新興市場や成長セクターの株式等も含まれる。
つみたて投資枠と併用し、あるいは成長投資枠のみを使って、これらの「高リスクを伴うが、リターンの可能性も秘める商品」を自身のポートフォリオに組み入れることができる。
成長投資枠を活用した機動的な買付け
成長投資枠を使えば、市況や将来予想に基づき、成長が見込める銘柄に対して、年間投資枠240万円分を一気に購入できる。
投資対象は個別銘柄でも、投資信託でも構わない。
一括投資に不安があれば、枠の一部を使ってのスポット投資も可能である。
成長投資枠での投資から定期的な収入を得る
配当利回りが高い株式やREITへの投資を通じて、定期的な収入を得ることも可能である。
これらの投資は、資産成長の機会を得られるだけでなく、定期的なキャッシュフローを生み出し、投資ポートフォリオに安定性をもたらす。
つみたて投資枠を「拡張」する
もちろん、成長投資枠を「つみたて投資枠を追加枠」として扱うことも可能だ。
実践している積立投資を拡張するために成長投資枠を使う方法である。
たとえば15万円を積立投資したい場合は、【つみたて投資枠10万円 + 成長投資枠5万円】という形で行う。
【投資目的別】新NISA成長投資枠での銘柄の選び方
個別株式のポートフォリオへの組み入れは、リスクを伴う。
そのため、組み入れるか否かは、投資目的に合わせる形で検討すべきだ。
ここでは投資の目的別に、個別株式の購入を検討する際のアプローチを紹介する。
長期的な資産形成を目指す場合
長期的な資産形成を目指す場合は、市場の短期的な落ち込みがあっても回復を待つことができるため、リスクを取る余地がある。
とはいえそのリスクは許容度の範囲でなければならず、分散投資により管理されていなければならない。
そのため、投資初心者であれば、プロの管理下にあるバランス型投資信託から始め、徐々に個別銘柄への理解を深めていくことがおすすめだ。
長期的な視野で、市場の成長を利用しながら、自身の資産を賢く成長させていくことが目標となる。
中期的な資金ニーズを満たす場合
5年から10年といった期間で、住宅購入や学資金準備などの特定の目標に対応する資金を準備する場合は、個別株式の組み入れはおすすめできない。
資金を必要とする時期に株式市場が暴落した場合、必要資金を確保できないおそれがあるからだ。
この場合は債券中心の「バランス型」か、NISAの枠組みを離れての預貯金や個人向け国債の購入などが選択肢となる。
配当などの定期的な収入を重視する場合
配当金や利息収入による安定した収入を求める場合は、配当利回りが高い個別株式、高配当ETF、REITが良い選択肢となる。
分配金を再投資すれば、複利効果によって資産成長を加速させることもできる。
投資資産の大きな増大を目指す
すでに安定した資産基盤がある場合、国内外の個別株式や株式投資信託の組み入れ比率を高めることで、高リターンも狙える。
国内外の上場株式、新興国市場ファンド、テクノロジー関連のテーマ型投資信託やETFも選択肢となる。
銘柄選定に際しては、成長性の新興市場、テクノロジー、ヘルスケア、グリーンエネルギーなど将来性のある分野を検討すると良い。
新NISA成長投資枠で攻めの投資銘柄を選んだ際に気をつけたいポイント
ここでは、成長投資枠で「攻めの投資」をする際に気をつけたいポイントとして、リスクとリターンを管理する投資について考えていく。
攻めの投資により期待できるリターン
まずは、成長投資枠で個別株式などを購入する場合、どのようなリターンを期待できるかを整理してみよう。
以下は、基本的な資産クラスと期待できるリターンだ。
資産クラス | 期待できるリターン |
---|---|
株式 | 高いリターンを期待できるが、市場の変動により価値が大きく変動する |
債券 | 株式よりは低いが、定期的な利息収入(クーポン)を得られる |
不動産 | 賃貸収入と物件価値の上昇から利益を得られる |
REIT | 高いリターンを期待できるが、市場の供給と需要の変動に敏感 |
ただし成長投資枠の投資対象はさまざまにあるため、上記に当てはめてもピンとこないかもしれない。
以下では、積極的な投資で選択される商品を取り上げ、期待できるリターンを整理した。
商品カテゴリ | 特性と期待できるリターン |
---|---|
ボラティリティの高い指数に 連動するインデックス型投資信託 | 価格変動(ボラティリティ)が比較的高い指標(東証マザーズ指数、ナスダック指数、新興市場の指数)に連動する インデックス型株式市場の動きに直接影響されるリスクも高いが、非常に高いリターンも追求できる。 |
テーマ別投資信託・ アクティブファンドの運用 | ファンドマネージャーが市況や特定のテーマ(例: テクノロジー、グリーンエネルギー)に基づいて、積極的に銘柄選択や売買を行う 高いリターンを目指すが、運用成績はファンドマネージャーの判断に大きく依存する |
高配当ETF、高配当株ファンド | 高配当を目指す株式やETFに投資し、定期的な収入(配当金)の獲得を目的とする 株式投資に伴うリスクもあるが、配当収入を通じて安定したキャッシュフローを期待できる |
債券のみに投資する投資信託 | さまざまな債券に分散投資する株式に比べリスクは低いが、その分リターンも控えめ 安定性と定期的な利息収入が得られる |
REIT(不動産投資信託) | 不動産への投資を通じて、配当収入、資本成長(キャピタルゲイン)が期待できる 不動産市場のほか、投資対象の不動産のパフォーマンスによってもリターンが変動する |
投資に伴うリスクの種類
次に、比較的リスクが高い投資を行う場合のリスクを整理する。攻めの投資に伴うリスクについて認識しておこう。
リスク | 内容 |
---|---|
市場リスク | 経済状況、政治的な不安定性、金融政策の変更、天災などが原因で発生する市場全体の変動リスク |
セクター/産業 リスク | 特定のセクターや産業に集中投資することで、そのセクターや産業が直面するリスクをより強く受ける |
投資タイミング リスク | 資産を購入または売却するタイミングによって、期待されるリターンが大きく変動する |
流動性リスク | 投資した資産を適切な価格で、迅速に売却できないリスク 新興国の市場や特定の小規模なセクターに投資する場合に直面するおそれがある |
為替リスク | 外国株式や新興国インデックスに投資する場合、為替レートの変動が投資のリターンに影響を及ぼす |
管理リスク (アクティブ運用リスク) | アクティブ型投資信託の場合、ファンドマネージャーの判断や運用戦略が期待通りの成果を出せないリスクがある |
情報リスク | 新興国や特定のテーマに関連する投資では、情報の入手が困難であったり、情報の質が不確かである場合も少なくない |
リスクを管理しリターンを狙うための投資戦略
高いリスクを目指すのであれば、必然的に高いリスクを伴う。
リスクをゼロにすることは不可能だが、リスクを管理してより大きなリターンを追求することは十分に可能だ。
攻めの投資を行う場合でも、「長期・積立・分散」の三原則を基本とした投資戦略が重要である。
- 長期保有
- 短期的な市場の変動に振り回されずに、長期保有を通じて市場の成長に乗ることで、リスクを時間で分散させ、長期的なリターンを追求する
- 分散投資
- 資産クラス、タイミング、地域などについて分散し、ポートフォリオ全体のリスクを軽減しつつ、リターンをを追求する
- 積立投資
- 買付けタイミングを分散し、高値での購入リスクと低値での購入チャンスを平均化し、長期的には市場の成長からリターンを得る
市場環境や個人の目標に応じて、定期的にポートフォリオの資産配分を見直し、必要に応じて調整する「リバランス」も重要だ。
ここまで解説してきた成長投資枠の活用法を実践することで、リスクを適切に管理しつつ、目標に合わせたリターンを追求することが可能になる。
選び方がわからない方向け!成長投資枠で選ぶべき銘柄を紹介
ここからは、個別株式に焦点を当てて、おすすめ銘柄を紹介していく。
投資目的に合致していて、直面するリスクを理解し許容できるなら、個別株式への投資も検討に値する。
ここでは、投資初心者の方でも比較的安心して投資できる対象に絞って紹介しよう。
成長性を重視する銘柄
長期的な利益を追求するなら、将来的に市場や社会に大きな影響を与える可能性のある分野に焦点を当てると良い。
たとえばエヌビディア(NVDA)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)などの企業は、半導体、人工知能(AI)、クラウドコンピューティングといった急成長が期待される分野で評価されている。
これらの技術は今後の産業を大きく変える可能性も秘めており、長期的な視点で高いリターンを期待できる。
配当や優待に注目する銘柄
投資の際には、配当や株主優待を重視することも一つの戦略だ。
配当は、長期的な投資において重要な収入源となる。
この視点でのおすすめは、世界最大級の小売企業ウォルマート(WMT)だ。
長年にわたり安定した配当実績を上げており、直近の配当性向は約34.75%と、利益の妥当な部分を配当に充てていることがわかる。
日本航空(9201)は、株主優待に大きな魅力がある。
優待権利確定月は3月と9月で、6か月ごとに割引券が貰える点は、とくに旅行好きの投資家にとっては大きなリターンとなろう。
成長が期待できる銘柄
まだ成長の余地がある世界的な大企業に投資するのも、賢い選択の一つである。
トヨタ(7203)は、自動車業界において持続可能な技術革新に注力しており、長期的な成長が期待できる。
アップル(AAPL)は、MSCIワールドインデックスに連動する投資商品において組み入れ上位に位置しており、常に投資家からの需要があるため、その価値が底堅いとされている。
新NISA成長投資枠での銘柄選定〜相談先はどこが良い?
新NISAでの個別株式への投資には、将来性の高い銘柄の選択と、適切なタイミングの見極めが重要だ。
しかし、市場は常に変動するため、何が最適かを判断するのは容易ではない。
この困難な判断を助ける存在が、投資や金融の専門家である。
彼らからの助言を得ることは、投資成果を最大化し潜在的なリスクを抑えるための「賢い戦略」であると言える。
個別株式を選定する際の専門家の重要性
個別株式の選定には、業界の動向、企業の財務状況、成長戦略など、幅広い知識が必要だ。
金融や投資の専門家は、これらの情報を日々分析し、見逃しがちなポイントにも光を当てる。
また、豊富な知識や経験という土台から、リスク評価や銘柄選定時の注意点をも教えてくれる。
これらのアドバイスは、投資家のニーズに合わせて調整される。
この「調整」は、投資初心者への心理的ハードルを下げ、投資をより身近なものにしてくれるだろう。
新NISA投資におけるIFAの活用メリット
新NISAの利用に際しては、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)への相談がおすすめだ。
特定の金融機関に属さないため、幅広い選択肢から投資家に最適な商品や銘柄を提案できる。
IFAはまた、金融商品だけでなく新NISA制度にも詳しいため、最適な活用法の提示も可能だ。
もちろん、投資目標の設定や投資計画の策定においても、的確なアドバイスが期待できる。
「資産運用ナビ」で理想のIFAと出会う
IFAを探す際にお勧めしたいのは、検索サービス「資産運用ナビ」だ。
「資産運用ナビ」は、投資家とIFAをマッチングするためのサービスである。
登録アドバイザーのプロフィールを、サイト上で確認できるため、自身のニーズに合った専門家を見つけ出せる。
さらに簡単に探したいなら、検索機能を利用すると良い。
相談分野や希望エリアなどの簡単な質問に答えるだけで、サイト側が候補者を絞り込んで提示してくれるのだ。
無料相談の申し込みもできるので、ぜひ利用していただきたい。
新NISA成長投資枠での銘柄選定はIFAに相談しよう
本記事では、成長投資枠で個別株式への投資を検討している方々に向けて、リスクをできるだけ低減し、目的に合った投資を行うための情報を整理した。
投資には正解がなく、すべての人に適したおすすめ商品・銘柄は存在しない。
重要なのは「推奨」に至るまでの考え方やプロセスで、投資家自身が主体性を持って「決める力」を持つことである。
投資の意思決定に際しては、IFAによる助言とサポートが力を発揮する。
「資産運用ナビ」では無料相談も受け付けているから、気軽な相談も可能だ。
まずはサイトにアクセスして、どんなサービスか確認してみてはいかがだろうか。