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【4712】株式会社KeyHolder 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年2月26日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社KeyHolderはアイドルグループやロックバンド、タレント等のIPコンテンツの管理・運営をはじめ、バラエティ番組やテレビドラマ等の映像制作、広告代理店業など、15社からなる総合エンターテインメント系事業グループを束ねる持株会社です。

代表取締役社長の大出悠史氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社KeyHolderを一言で言うと

上場会社としては、エイベックス株式会社や株式会社アミューズが比較対象とされるものの、類似企業と呼べるものはないと考えております。

特に、アーティストやタレントなどを保有しながら、テレビ番組や映画などの映像制作のプロを抱え、広告企画やデジタル広告の運用など、コンテンツと各種アウトプット方法を同一グループ内で保有することで複数のマネタイズポイントを持つ、業界でも他に類を見ない組織体制を持つ「総合エンターテインメント系企業グループ」です。

KeyHolderの沿革

株式会社KeyHolder代表取締役社長 大出悠史氏

創業経緯

株式会社KeyHolderは1967年12月にシグマの名称で設立されました。

設立以降ゲームセンター等の運営を主軸として、2000年以降は「アドアーズ」の名称で、首都圏駅前立地を中心にゲームセンター事業を全国展開していましたが、当時既に、スマートフォンの普及やアプリゲームの台頭により、消費者の遊びのニーズが大きく変化し始めた頃であり、これによって店舗の集客が難しくなっている状況の中、私は2017年1月に経営の立て直しを目的として当社に加わりました。

そして、本格的な事業の立て直しに向けて、2017年10月に主力事業であったゲームセンター事業を事業子会社化して商号を「アドアーズ」とし、上場を維持する当社本体は商号を新たに「KeyHolder」に変更し、持株会社体制への移行を行いました。

同時期に、九州を中心に「楽市楽座」の名称でゲームセンターを展開されていた株式会社ワイドレジャーより、アドアーズの譲渡について検討したい旨の相談があり、2018年3月には同社の全株を譲渡いたしました。

譲渡後、これらの売却資金を元手に、新しい方向性や事業を模索していた時、当時保有しておりました不動産事業を通じて、新宿のスタジオアルタのテナント募集に名乗りをあげました。

当時、在籍していたエンタメ系企業出身者のリレーションを介して秋元康氏との繋がりを構築し、 ご本人にも相談を行った結果、劇場型施設の企画を提案しました。

そしてそのコンセプトをご評価いただき、現地での劇場運営を開始したことが、当社における 総合エンターテインメント事業のスタート地点となりました。

その後、女性アイドルグループの「SKE48」を取得したことを皮切りに、映像制作会社をグループインさせるなどM&Aを重ねた結果、1967年の創業以降過去最高売上収益であった2008年の275億円を、2024年12月期には320億円と一気に更新する業績目標をお示しできるまでに成長しております。

また、売上規模が直近5年の間で急成長しただけではなく、事業の立て直しを開始いたしました2018年以降と比べ、総資産でプラス107億円(64.7%増)、純資産ではプラス88億円(81.4%増)と増加させております。

2023年12月末時点における自己資本比率も73%と健全な経営体制となっており、現在の組織体制は非常にポジティブな状態にあるものと考えております。

株式会社KeyHolder より提供

総合エンターテイメント企業へ

2019年4月に広告代理店の株式会社allfuz、映像制作会社のフーリンラージ株式会社(現在は株式会社UNITED PRODUCTIONS)を子会社化し、現在の総合エンターテインメント事業の基盤を固めました。

しかし、2020年初頭に始まったコロナ禍により、メインコンテンツの一つであったSKE48などは、ファンとの繋がりを示す握手会や、日々開催しておりました劇場公演の中止、CD販売の停滞といった困難に直面しました。

このような状況下で、当時トップアイドルグループの乃木坂46を持つ、株式会社ノース・リバーを子会社化しグループに加えることができたことが、次点での大きな転換点となりました。

このような中、コロナ禍でもコンテンツをファンにお届けするためのライブ配信などが収益減少を補い、安定した収益を確保することに成功しました。

その後、様々なアーティストやタレント、スポーツ選手などと契約を結び、現在全15社の総合エンターテインメント企業となっています。

株式会社KeyHolder より提供

KeyHolderの事業の概要と特徴

概要

エンターテインメント業界における総合的なサービスを提供しており、主に3つのセグメントに分類しています。

まず総合エンターテインメント事業ではアイドルグループ・アーティスト・タレント等のマネジメント業務を含む、芸能プロダクションの運営・管理、イベントの企画・運営、イベントスペースの運営・管理などを行っております。

株式会社KeyHolder より提供

また2023年10月には、将来グローバルに活躍できる次世代IP(俳優・タレント・アーティスト)の発掘のためのオーディションを運営する「bijoux株式会社」を新設しています。

株式会社KeyHolder より提供

映像制作事業では、バラエティ番組やドラマ・CM・MV・映画等の幅広い映像コンテンツの制作及び、映像作品への出資などを手がけています。

そして、広告代理事業ではタレントのキャスティングや広告制作を行う広告代理店部門とYouTube等の配信プラットフォーム向けの動画広告の制作・運用、マーケティング、アフィリエイト広告を担うデジタル広告部門があります。

株式会社KeyHolder より提供

事業における優位性

「IP(知財)」と「アウトプット(興行・番組・広告・企画力)」を保有

当社はIP(アイドル・アーティスト・タレント)を保有する一方、映像制作事業や広告代理店事業など、様々なアウトプット手法も有することで、様々な案件を自社内で完結できることが強みです。

エンターテイメント業界において、IPを持ちながらビジネスを行い、上流から下流までカバーできる体制を作るという構想は初期段階から考えていました。

例えば番組制作の際のキャスティングには、自社のIPを活用することで相乗効果を生み出すこともできます。

また、キャスティングだけでなくロケ車やアーティスト・タレントの移動手配までを自社で行うことができるため、外部委託を必要最低限に止めることができます。

さらに広告代理業とIPも表裏一体で、それぞれの側面を持つことでタッチポイントを増やしながら業界内での地位を築いています。

株式会社KeyHolder より提供

IPの多様性と業界内での良ポジション

当社グループは、乃木坂46(※)、Novelbright、SKE48などを中心に様々なアイドルグループやアーティスト、タレントが所属しています。これは当社が多岐にわたる事業領域をカバーしているだけでなく、協業する外部との良好な関係性が多様なIPを実現しています。

エンターテインメント業界では、音楽レーベルや芸能事務所等との関係が必須ですが、ほとんどの事務所様と良好な関係を築いてきました。

そのため、アイドルやアーティストに加えて、アプローチの難しいスポーツ選手ともマネジメント契約や業務委託契約を結んでおります。

 ※当社100%子会社である株式会社ノース・リバーが、乃木坂46を運営する乃木坂46合同会社の株式の50%を保有しており、同社は当社の持分法適用会社に該当します。

KeyHolderの中長期の成長イメージとそのための施策

エンターテイメント事業の現状

現在、エンターテインメント業界全体に関して言えばコロナ禍からは回復しておりますが、国内エンターテインメントの熱量はK-popにシフトしている見方もあり、業界の流行り廃りのスピードに対しては総合エンターテインメント企業として新たな手を打っていく必要があると考えています。

次世代のIPの発掘

事業の概要の際にも少しお話ししましたが、2023年10月に次世代の俳優・タレント・アーティスト発掘と育成を目的として「bijoux株式会社」を新設しております。

当社所属タレントや著名な映画監督・脚本家等を特別審査員として招聘し、第1回オーディションを開催し、約7,000名のご応募の中から33名がファイナリストとして選出され、グランプリをはじめ各賞が決定いたしました。

本オーディションの目的は、国内外で活躍することができるIPの獲得を目指すものですが、初回開催とは思えない素晴らしい人材を発掘できたと考えております。

現在は、デビューに向けて様々な準備期間に入っておりますので、是非楽しみにお待ちいただけたらと思います。

また、独自の企画力とクリエイティブ制作、テクノロジーを駆使したコンテンツ発信を強みとして、アプリゲームの開発ならびにプラットフォーム運用を展開する、株式会社10ANTZがグループインいたしました。

AI及びそれに付帯するサービスの台頭やWeb3など、インターネット社会が急速に進化する中、当社グループが保有する各種コンテンツや、アフィリエイト広告等のインターネット広告関連事業とのシナジーを見出すことにより、今後の更なるグループの発展に大きく寄与するものと捉えております。

株式会社KeyHolder 2023年12月期 決算説明 より引用

注目していただきたいポイント

当社グループでは、主力事業であるエンターテインメントの事業領域におきましては、国内外の社会情勢の変化に加え、テクノロジーの発展に伴うコンテンツのグローバル化、消費者ニーズが多種多様化されたこと、さらに、コンテンツの育成と市場への認知までには、相応の期間を要することなどにより、ボラティリティが大きく、将来予測が立て難い状況にございます。

しかしながら、先ほどもご説明させていただきましたように、我々は積極的なM&Aや新ビジネスの創出によって、5カ年の間で売上規模及び純資産規模を大きく成長させております。

当社グループでは、今後もこの勢いを緩めることなく、将来的にはさらに大きな規模で国内エンターテインメント業界に寄与できる体制を目指しており、売上規模も300億円を超える企業となろうとしております。

主力事業を展開するエンターテインメント業界は変動が大きい側面がございますが、当社グループに所属或いは関係する主要コンテンツのブランディングを積極的に進めることで、企業として確実な成長に努めてまいります。

足元では乃木坂46の6期生のオーディションも開始されていますが、様々な新しいプロジェクトへのチャレンジにも耐え得る強固な財務基盤を背景に投資も積極的に行い、さらなる発展を目指しています。

一方、配当や株主還元につきましては、現状の水準を維持・向上させつつ、株主優待につきましても、ご要望の多かったオリーブスパでお使いいただけるリラクゼーションサロンチケットは継続しつつ、当社グループに所属或いは関係するアイドルグループやアーティストのライブチケットが抽選で当たる付帯企画など、株主様のお声にも耳を傾けながら、可能な形で充実させてまいります。

投資家の皆様へメッセージ

サービス業セクターのうち、エンターテインメントの分野で上場している企業は数限られておりますが、当社の最大の強みは、独自のIPの強力な発信力を背景に、映像制作や広告代理までをグループ内で一貫して行える点にあります。

投資家の皆様には、当社のユニークなビジネスモデル自体が他社との差別化として機能しており、成長へと導く原動力となっていることを知っていただけると嬉しいです。

引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

株式会社KeyHolder

本社所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東三丁目16番3号

設立:1967年12月25日

資本金:92,450,000円(2024年3月アクセス時点)

上場市場:東証スタンダード市場 (2013年7月16日上場)

証券コード:4712

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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