※本コラムは2024年3月18日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社コプロ・ホールディングスは建設、機械設計・開発、そしてSES(システムエンジニアリングサービス)事業を含む、付加価値の高い事業領域に特化したエンジニア派遣事業を展開しています。
代表取締役社長の清川甲介氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社コプロ・ホールディングスを一言で言うと
エンジニア特化型の人材派遣企業です。
コプロ・ホールディングスの沿革
創業経緯
当社は2006年に創業しました。
創業に至った経緯ですが、もともと私は大手人材派遣会社の代表を務めていました。
非常に幅広く大規模な人材派遣を展開するグループの建設セグメントの会社のマネジメントが主な仕事でした。
当時の人材派遣業界は、あくまでも一時的な労働力を提供することが目的であり、エンジニアの定着やキャリア形成に課題を感じていました。
そこで、「人づくり」を実現するために現在のコプロ・ホールディングスを創業し、エンジニアのキャリアアップを後押しするような人材派遣企業を目指しています。
事業の拡大と上場
ターニングポイントとしてやはり上場というタイミングが一番影響が大きかったと考えています。
それまでは建設業界に特化した人材派遣会社として着実に売り上げを伸ばしていました。
創業当初は、理想の企業を作ることを念頭においていたため、上場という考えはありませんでした。
しかし創業十周年を迎えた頃、更なる事業の拡大のためには上場が必要と感じ目指すことにしました。
2016年ごろから上場準備を進め、我々の考え方、企業文化、さらには事業戦略に至るまで、ポジティブな方向へと大きくシフトしました。
そして2019年3月に東証マザーズ(現 東証グロース)、名証セントレックス(現 名証ネクスト)に上場し、その翌年の2020年9月には東証一部(現 東証プライム)、名証一部(現 名証プレミア)に市場変更しました。
機械設計・IT領域への進出
2021年4月に機械設計に強い株式会社アトモス、同年9月にSESを展開するバリューアークコンサルティング株式会社を子会社化しました。
そして2023年10月に両社を合併し、株式会社コプロテクノロジーとして新たなスタートを切りました。
日本のものづくりを支える機電領域とニーズが高まり続ける組込み系・システム系・Web系などのIT領域を統合することで当社グループの競争力を高め、更なる事業拡大を目指しています。
コプロ・ホールディングスの事業の概要と特徴
概要
当社はエンジニアに特化した人材派遣会社です。
具体的には、建設技術者派遣、機械設計開発技術者派遣、ITエンジニア派遣及びSESの三つのセグメントがあります。
特に、創業以来続けてきた建設セグメントが、売上全体の約93%を占めており、当社の主力事業です。
現在は建設のセグメントが主力であるものの、将来的には他のセグメントも強化し、多角化を図っていく方針です。
事業における優位性
優秀なエンジニアの育成と派遣
我々の強みは採用・教育・フォローのスキームです。
建設業界の人手不足は慢性化しており、いくら採用しても供給が追い付かないほど深刻化しています。そこで、当社では約2年前から採用改革を社内で掲げ、強固な人材供給網を構築しました。
採用数が大幅に伸長した結果、他社をアウトパフォームする水準でエンジニア数が増加しています。
また、採用数の増加に伴って、20代〜30代の未経験者のエンジニアが多く在籍するようになりました。
建設業界はもともと、若手の定着に課題がありました。
そこで当社では、「エンジニア応援プラットフォーム」という名称で、エンジニアの成長とキャリアアップを支援する制度を構築し、定着を促しています。
他にも、エンジニアが配属されている現場へ営業担当が定期的に訪問し、就業環境や人間関係についてもサポートを行っています。
より多くの人を建設業界へ呼び込み、質の高い教育とフォローを施すことで、建設業界の課題解決に寄与していきたいと考えています。
安定したストック型ビジネスを実現
当社は派遣したエンジニアの数に比例して売り上げも増加していく、ストック型のビジネスモデルです。
良好な事業環境と、当社の高い営業力で17期連続(2007年3期〜2023年3期)の増収を達成しました。
今後も高い成長率を実現していくために、直近では案件の豊富なゼネコンを中心とした、大手企業に対する深耕営業に注力し、取引シェアの拡大を図っています。
また、供給面においても引けを取らないよう、近年は未経験者を中心として採用を行っています。
今後も人材供給網を強化していきながら、ゼネコンを中心とした大手企業との取引シェアを獲得し、高い成長率を目指していきます。
コプロ・ホールディングスの中長期の成長イメージとそのための施策
市場環境と成長戦略
建設業界向け人材サービスの市場規模は5,600億円ですが、上場企業9社の市場シェア率は約26%と低く、中小零細企業のシェアがほとんどです。
建設業界を取り巻く環境として、建設業界における2024年問題や大規模プロジェクトが続いている状況があります。
まず時間外労働の上限規制が適用される2024年4月からは、長時間の就労ができないため人手不足が予想されます。
また、リニアモーターカー、大阪万博、半導体、再開発関連工事など大型プロジェクトが多数控える建設業界においては更なる人手不足が見込まれます。
そのため人材獲得競争が激化し、その中でも採用力のある上位企業のシェアが拡大していくと考えています。
そのような人材不足や競争の激化に備え、我々はエンジニアの採用を強化するとともに、採用後も長期的に働いていただけるようなプラットフォームの構築に注力していく方針です。
加速する人財不足に備え、強固な人財供給網を構築
建設業界の人手不足がさらに加速していくことを鑑みて、23/3期(2022年)から採用改革を社内で掲げ、採用体制の強化を図っています。
採用プロセスの管理を強化して応募から採用までの歩留まりを改善していくことで、現在のような効率的な採用体制を構築しました。
例えば、応募から面接までの段階については、応募管理システムを導入して面接の日時を設定する工数を減らし、より多くの方と面接が実施できるよう改善しました。
このような地道な改善活動を繰り返すことで、各段階における歩留まりを改善し、採用数を大きく伸長させることができています。
引き続きプロセス管理に磨きをかけながら採用力を強化し、他社を凌駕する技術差数の増加率を維持していきたいと考えています。
サポート体制を強化し、技術者の定着率を改善
採用と同様に当社が注力しているのがエンジニアの定着です。どれだけ多く採用しても、定着率が悪ければ、穴の開いたバケツに水を入れるようなもので、意味がありません。
特に未経験者の採用数が大幅に増加しはじめた2023年3月期から、定着率改善に向けた取り組みをより一層強化しています。配属のミスマッチ解消や配属後のサポート体制を見直し、未経験者でも定着しやすいよう支援しています。
また、我々が特に注力しているのが「エンジニア応援プラットフォーム」です。「エンジニア応援プラットフォーム」とは、エンジニアが将来のキャリアパスを頭に描きながら、日々の仕事に臨み、スキルアップできる仕組みのことを指します。
エンジニアに対してキャリアステップを可視化をすることで、将来への不安を払拭し、モチベーションを維持しやすい環境を作ることが目的です。
さらに、自由なキャリアを可能にするため、グループ内でのジョブチェンジ制度を導入して、エンジニアの新たな挑戦を応援しています。
注目していただきたいポイント
当社を取り巻く事業環境が非常に良いということ、そして当社が強固な採用体制によって他社を上回る成長が期待できるということに注目していただきたいです。
慢性的な人手不足は社会全体の課題ではありますが、特に建築業界では顕著に現れています。
先ほどもお話ししましたが、2024年問題による残業抑制や数々の大型の建設プロジェクトが控えている状況を踏まえると、エンジニア人材の需要は右肩上がりの傾向が続くと予測されます。
2023年3月期からの採用改革によって築いた強固な採用体制に加え、このような事業環境が追い風となって当社の成長を後押ししていくはずです。
投資家の皆様へメッセージ
当社はエンジニア特化型の人材派遣会社として、建設業界並びに機電業界やIT業界が抱える人材不足に対して、強固な採用体制をエンジンに成長していきます。
良好な事業環境であることはもちろんのこと、組織的な採用体制によって業界における当社のポジションは非常に高いと考えています。
今後も戦略に基づいて着実に成長していきますので、投資家の皆様の暖かいご支援をお待ちしております。
本社所在地:〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅三丁目28番12号 大名古屋ビルヂング25F
設立: 2006年10月2日
資本金:3,000万円(2024年3月アクセス時点)
上場市場:東証プライム市場、名証プレミア市場 (2019年3月19日上場)
証券コード:7059