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【7378】株式会社アシロ代表取締役社長 中山博登氏「事業創造会社として成長を実現する」

※本コラムは2023年1月6日に実施したIRインタビューをもとにしております。

法律・弁護士業界とユーザーをマッチングするリーガルメディアの運営を中心に、HRや保険領域など多岐にわたる展開を続けてきた株式会社アシロ。代表取締役社長の中山博登氏に事業展開の背景や今後の成長戦略について教えていただきました。

目次

株式会社アシロを一言で言うと

マーケティングを競争力の源泉とする事業創造会社です。我々が目指すのは、当社の名前や事業内容は知っていても、祖業やそれ以前の主軸ビジネスを想像できないような会社です。そのために、いかに新しく、粘り強く、事業をつくることができる組織にしていくか、という点を非常に重要視しています。

創業の経緯

当社の設立は2009年ですが当時は具体的な事業領域を決めてはいませんでした。現在もあるサービスの中で最初に提供を開始した「離婚弁護士ナビ」もリリースは2012年であり、実は3年ほどの空白期間があります。私は元々、イシン株式会社にてベンチャー通信というメディアの営業を担当しており、当時の経験からビジネスモデルの分解と営業支援を得意としていました。そのため、当初3ヶ月ほどはこのノウハウを活かし、ひたすら成果報酬型の営業代行を提案する日々を過ごしました。また、リーマンショックから続く不景気の影響で企業のコスト意識が非常に高まっており、コスト削減コンサルテインングを開始したところ、多くの需要が集まり、それなりの収益を獲得することができました。

ただ、この事業をするために創業をしたいと思ったわけでもなかったため、2012年の秋頃からビジネスモデルの再検討をし始めました。やはり私の武器と言えばメディア会社で培ったノウハウですしITとの掛け合わせで事業体も自由度が高くなるだろうと考え、ネット系メディア媒体の代理店を開始することにいたしました。

当初扱っていたのは相続関連のメディアでした。ところが、当該メディアは事業売却が決まり、それに伴って代理店販売も不要と言われてしまったのです。買収会社の方では引き続き相続分野を扱うとのことでしたので、当時クライアントとして多くいらっしゃって、弁護士をはじめとする各士業の先生方にご提案した中で最も反応の良かった離婚分野で自社メディアの運営を開始することにいたしました。これが「離婚弁護士ナビ」の始まりです。

転機となったのは、転職メディア「キャリズム」のサービスが確立された2016年頃のことです。事の始まりは、「労働問題弁護士ナビ」の一部のユーザーに転職需要があると気づいたことです。紹介の導線を引いておけばいくらかこのニーズを拾えるのではと考え、しばらくその状態で放置していました。すると、気づけば月商数百万円 ほどの収益を上げるようになっており、それであればもっと本腰を入れてスケールさせようということになったのです。当時、事業担当は1名でしたが2年足らずで月商数千万円規模にまで飛躍的な成長を遂げました。高収益のリーガルメディアに加えて、「キャリズム」を中心とした派生メディアのキャッシュフローも確立することが出来、メディア以外の事業をつくる土台が整ったという意味で、「キャリズム」はギフトだったなと感じています。

株式会社アシロ 23年10月期-25年10月期 中期経営計画及び成長可能性資料 より引用

事業内容について

現在は四つの領域で事業を展開していますが、メインビジネスとなっているのはリーガルメディア事業です。弁護士とユーザーのマッチング機能を持ったメディアを運営し、掲載事務所から月額定額費用をいただいています。我々は、祖業の離婚弁護士ナビを始め、刑事事件弁護士ナビ・労働問題弁護士ナビ・・・というように分野ごとに分割してメディアを運営しています。これは、ユーザーの利便性を向上させるとともに、法律事務所に質の高いお客様をお繋ぎするためです。例えば食べログであれば、同じサイト内にイタリアン、和食、中華と異なるジャンルの飲食店を掲載する方が利便性の観点から見てもメリットが大きいのですが、当事業ではこのようにメディアを統一することのメリットがありません。というのも、離婚相談をしていた方が、次の日から相続の相談をし始めることはほぼ起こりませんし、関連性がないだけでなくその個別の悩みは深いことが多いのです。そのため、分野ごとに深掘りすることがユーザーにとっての便利さに繋がりますし、弁護士からしても自身の専門領域に即したお客様を提供することができているのです。

メディア運営を進める中で、例えば離婚弁護士ナビから浮気調査、労働問題弁護士ナビから転職支援というように、既存メディアから新たに生まれたニーズを我々の経営資源と掛け合わせて扱う領域のことを、派生メディア事業と呼んでいます。また、リーガルメディア事業の顧客が抱える人材不足の問題を解決することをきっかけに立ち上げたHR事業、さらに昨年事業開始した個人向け少額短期保険の販売を行う保険事業が、現在の当社の事業領域となっています。

株式会社アシロ 23年10月期-25年10月期 中期経営計画及び成長可能性資料 より引用

HR事業においては、近年、企業内弁護士の需要が拡大しています。海外では弁護士をはじめとする有資格者が事業会社で働くことが一般的ですが、最近日本でもこのトレンドが加速しています。弁護士一人当たりの平均給与が低下し、特に若手は事業会社にとって採用しやすくなり、求職者と企業側双方のニーズが合致し始めたことが要因だと思われます。もちろん彼らの給与は一般的な水準よりは高いですし、事業会社で働くことで安定的な収入やキャリアを獲得できますので、今後もこの傾向は続くと考えています。

株式会社アシロ 23年10月期-25年10月期 中期経営計画及び成長可能性資料 より引用

一方、弁護士の転職支援マーケットは非常にニッチかつ小さな市場です。そのため、我々の競争優位性の延長線上にある公認会計士・税理士や管理部門人材の人材紹介といった横展開も、「Hi-Standard」「BEET AGENT」として進めています。

株式会社アシロ 23年10月期-25年10月期 中期経営計画及び成長可能性資料 より引用

また、保険事業については、将来、当社を介して法律相談をする潜在的なお客様を獲得するという目的があります。具体的に言いますと、保険に加入していて事故が発生した場合、まず保険会社に連絡・相談する方が多いと思います。当社グループが取り扱っているのは弁護士費用保険ですので、法律問題が起こるとまず当社グループの少額短期保険会社に相談をいただけるという関係性となっています。保険事業単体で黒字化出来るともちろん考えていますが、リーガルメディアの成長性を引き上げていくシナジーにも期待しています。

中長期の成長イメージとそのための施策

まず、リーガルメディア事業については解約率の低減を目指し安定的な成長を実現していく方針です。当事業のシェア獲得においては、法律事務所と個別に定額報酬の契約を結ぶ必要があるという点が競合の参入障壁となります。当社の契約社数の割合もまだ全体の4%程度ですので大きな伸び代があります。今後は、質の高いサービスを適切な価格で提供できるか、といいう点にこだわり、サービスの認知度をより一層高めてまいりたいと思っています。その一環として、リーガルメディアの共通ブランドとして「ベンナビ」という名称をつけ、各サイトは「ベンナビ離婚」等に今後変更していく予定となっています。

また、派生メディア事業は成果報酬型モデルと相性の良い領域で積極的に事業展開を進め、リーガルメディア事業と並ぶ売上規模へと成長させていきます。当社の沿革からも分かるように、私としては決めつけで事業を展開させないことを心がけています。素案は10個程度だし、筋が良さそうなものを2軸で進めながらパフォーマンスが良い方を採用する、というような戦略をこれまでも続けてきましたので、「10戦1勝」くらいの気持ちでトライをつづけていきます。

さらに、今後はHR事業をリーガルメディア事業・派生メディア事業に次ぐ第3の柱として確立するともに、保険事業にとどまらず新規事業の創出にも取り組んでまいります。特にHR事業については、先ほども申しあげた通り弁護士以外の領域でも人材紹介を進めていき、高い成長率を継続させていきます。

株式会社アシロ 23年10月期-25年10月期 中期経営計画及び成長可能性資料 より引用

既存事業のニーズと弊社が持つ経営資源を掛け合わせるマーケットインの開発が、これまでもそして今後も当社の大きな強みです。また、繰り返しになりますが組織としてはキャッシュフローが確立され、次の新たな事業を仕掛けるための土台を整えることができたと認識しています。

株式会社アシロ 23年10月期-25年10月期 中期経営計画及び成長可能性資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

先般投資計画のリリース等の新たな方針を発表させていただいておりますが、依然として公募価格からは乖離のある状態で、投資家の皆様にはご心配をおかけしていると思います。ですが、上場以来、本質的な事業価値の最大化を実現するための意思決定は正しく行ってきたと自負しています。既存事業に胡座をかくことなく、新規事業の土台づくりをし続ける当社の目線の高さを踏まえて、ぜひ長い目でご期待いただけましたら幸いです。

株式会社アシロ

本社所在地:東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング4F

設立:2009年11月

資本金:606百万円(2022年10月31日現在)

上場市場:東証グロース(2021年7月20日上場)

証券コード:7378

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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