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【3979】株式会社うるる取締役CFO 近藤浩計氏「人口減少社会が抱える社会課題の解決に向けて」

【3979】株式会社うるる取締役CFO 近藤浩計氏「人口減少社会が抱える社会課題の解決に向けて」わたしのIFAコラム

※本コラムは2022年6月30日に開催されたIRミーティングをもとにしております。

日本が抱える最大の社会課題、それは人口減少です。2040年までに約1600万人、約69兆円もの労働力が失われると言われているなか、その社会課題解決に向けてITやAIを活用したDXの推進、そしてクラウドワーカー等の活用による新たな労働力の創出・活用を掲げているのが、株式会社うるるです。

その取締役CFOである近藤浩計氏によるIRプレゼンテーションです。

目次

SaaSビジネスで成長を狙う

2017年3月、東証マザーズに上場し、現在は東証グロース市場に指定されています。過去5年間の連結売上高推移は順調に増加傾向をたどっており、2022年3月期決算は前期比25.1%増の40億2900万円。営業利益は2億4100万円の赤字、経常利益は2億5100万円の赤字となっています。

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売上が大幅に伸びる一方で赤字になっているのは、企業価値を最大化させるため、中期経営計画に則って積極的な投資を行っているからです。ちなみに今期については、EBITDAベースで黒字を見込んでいます。

私たちは「シュフティ」というクラウドソーシングプラットフォームの会社、のイメージで認知されているケースが多いのですが、実はシュフティの売上は全体の0.7%に過ぎません。

売上構成比で最も大きな部分を占めているのは、「NJSS(エヌジェス)」と称しているSaaSビジネスからもたらされるものです。NJSSとは全国の官公庁・自治体・外郭団体など7700以上の機関の入札・落札情報を一括検索・管理が出来る業務支援システムのことです。

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ミッションは労働力不足問題の解決

日本の生産年齢人口は2040年までに約1600万人減少すると言われています。平均年収が432万円だとすると、1600万人分で約69兆円もの労働力が失われる計算になります。この深刻な労働力不足問題を解決するために設立したのが、株式会社うるるです。

確かに、人口減少によって労働力不足は生じるものの、日本にはまだ未活用の労働力がたくさんあります。たとえばシングルマザーで子供が幼く、フルタイムで働けない女性、あるいは身体が不自由な親御さんを抱えていて働くのが難しい方も少なくありません。

とはいえ、子供が寝ている時間帯や、介護の必要な親御さんがデイサービスで外出している時など、隙間時間を使って働きたいという人もいます。

そこで2003年、書類の電子化を行うBPOをスタートさせました。要するにデータ入力サービスです。たとえばビックサイトなどの展示会では大量のアンケート用紙が配られますが、問題はそのアンケート結果のデータ化です。多くは自社の社員を大量に動員してエクセルに入力させるわけですが、出来ればこのような単純作業に、社員の時間を割かせたくない、と考えるのが普通です。そこで、私たちが在宅作業をしたいというワーカーさんを集め、データ入力をするようになりました。

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これが軌道に乗って会社は成長したのですが、案件が増えれば増えるほど、今度は私たちの手が回らなくなりました。仕事を請け負うに際してのクライアント企業との調整、ワーカーさんに円滑に働いてもらい、仕上がりのクオリティを高めるために必要な仕様書の作成、教育、上がってきたデータの検品など、やることがたくさんあり、仕事が増えるほど業務が回らなくなるという事態に直面してしまったのです。

SaaSビジネスを中核に

そこでクライアント企業とワーカーさんを直接マッチングする、「シュフティ」というクラウドソーシングビジネスを立ち上げました。これが2007年のことで、会社はそのまま成長し、2017年の上場に至ったため、クラウドソーシングの会社というイメージが強いのだと思います。BtoCに近いビジネスが「シュフティ」のみ、という理由もあるかもしれません。

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ただ、クラウドソーシングビジネス自体は、運営のための固定費が高いことや、市場規模がまだ十分に拡大しているとは言い難い状況のため、黒字化まではまだ時間を必要とします。

こうしたなかで、私たちとしてはご協力いただいているワーカーさんと共に、何か新しい付加価値のあるビジネスが出来ないものかと模索し、NJSSという入札情報速報サービスを発案しました。

NJSSは官公庁等が民間に仕事を発注する際に行う入札の情報をデータベース化して、企業に提供するSaaS型のサービスです。

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行政は基本的に縦割りなので、入札情報は各自治体等のホームページに出てくるものの、どれも仕様がバラバラです。現に全国で7700もの機関が入札情報を出していますが、それを私たちが仕事を発注している数百名のワーカーさんにお願いして、情報を収集してもらい、それを統一した仕様でデータベース化していきます。

限界利益率と参入障壁の高さが特徴

このサービスには4つの特徴があります。

第一は、SaaSモデルでサービスを提供することにより、非常に高い限界利益率を誇っていることです。ちなみに粗利率は2021年3月期が91.3%、2022年3月期が91.9%でした。

第二は売上がサブスクリプションであること。売れれば売れるだけ利益になるストック型ビジネスであり、お客様の数が積み上がるほど大きく伸びます。

第三は独自のビジネスモデルであり、高い参入障壁を持つことです。たとえば東京都の入札情報はWebクローラーというホームページの巡回ロボットで情報を集めることが出来ますが、地方の入札情報になると、ホームページの非常に奥深いところに、テキストデータではなくPDFなどのイメージデータで納められているため、Webクローラーでは収集できません。

したがって、Webクローラーで収集できない分については人力で収集する必要があるのですが、これを行うためには日頃から大勢のワーカーさんとのつながりが必要です。当社の強みでもある各ワーカーへの適切なディレクションによって、大量の入札情報のクオリティを支えています。

また入札情報だけでなく落札情報もデータベース化してあります。落札情報は、新しい入札が行われる際、いくらで札入れを行えば良いのかを判断する際の基準になります。

したがって多くの企業はこれを見たいのですが、どの自治体も落札情報を公表して間もなく消去してしまいます。私たちはこの落札情報を素早く収集しており、過去においては2008年からのデータをすべて持っています。これが非常に強力な参入障壁になっています。よって、多くの企業がNJSSと契約して下さっているのです。

第四は、フリーキャッシュフローの貢献度が高いビジネスであることです。売上が増加するほどFCFが増加します。

入札市場は安定的に年間20兆円もの発注が行われている巨大市場です。NJSSの契約件数は、機能改善や広告宣伝への投資を積極的に行った結果、一気に伸びてきました。

EBITDAベースで黒字化を目指す

さらにNJSS以外に、私たちは2つのSaaS事業を展開しています。

ひとつはfondesk(フォンデスク)というもので、月額1万円から使えるスマートな電話番サービスを標榜しています。

これは企業宛てにかかってきた電話を、在宅で作業しているワーカーさんが代理受電して、受電内容をSlackやチャットワーク、Microsoft Teamsなどのチャットツールで伝言するというサービスです。スタートアップ企業など、電話番を常駐させる余裕がない会社に使っていただいていることに加えて、このコロナ禍でテレワークが進んだことにより、比較的規模の大きな会社でもオフィスに人がおらず、外部からかかってくる電話に応対できないという問題が浮上していました。そのため、ここ最近でfondeskの利用者が急増しており、2022年3月期の有料契約件数は前期比で48.7%もの伸びとなりました。

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もうひとつは「えんフォト」というサービスです。幼稚園や保育園のイベント時に写真撮影を行うケースが多いのですが、普通は園で撮影した写真を園の壁に貼り、親が園まで来て1枚ずつチェックし、自分の子供が写っている写真を注文します。また、園側は親から集めた注文を集計して写真館に焼き増しを発注し、それが届いたら各人に行き渡るように仕分けをするという、とんでもない手間がかかっていました。

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えんフォトはその手間を一気に省くものです。プロのフォトグラファーを派遣して撮影するという付加価値を提供すると共に、撮影データをえんフォトのサーバに上げ、親はそのデータを見て好きな写真を発注できるという仕組みを作りました。こちらは爆発的な成長ではありませんが、それでも着実に売上が伸びています。

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これらの事業の連結売上高は右肩上がりで成長しています。なかでもSaaSが成長ドライバーで、2023年3月期までの投資期間を経た後、2024年3月期の計画としては、売上高が58億円、EBITDAベースで15億円の利益を視野に入れています。

株式会社うるる(ULURU. CO., LTD.)

本社所在地:東京都中央区晴海3丁目12-1 KDX晴海ビル9F

設立:2001年8月

資本金:1,033,456,100円 (2022年3月末 時点)

上場市場:東証グロース(2017年3月 新規上場)

証券コード: 3979

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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