※本コラムは2022年6月30日に開催されたIRミーティングをもとにしております。
「LTV(Life Time Balue)を予測し、ROI(Return On Investment)の最適化を目指す」を掲げて、デジタルマーケティングを展開しているのが、株式会社Macbee Planetです。
中核事業であるLTVマーケティングとは何なのか。それを駆使することで企業にどのようなメリットがあるのかを、代表取締役社長の千葉知裕氏に説明してもらいました。
2つの領域で事業展開を進める
会社の設立は2015年8月です。実はこの会社、私が創業したのではありません。創業してから4年で株式を上場したのですが、私はこの会社を上場させるため、2018年にジョインしました。
そして人事、広報、経営企画を担当するなかで、企業の経営戦略を考える立場にありましたし、社内をコントロールする役割も担っていたこともあり、2021年12月に創業者から代表権を譲られ、現在に至っています。
現在の正社員は66名です。会社設立から上場まで単独決算企業でしたが、2021年3月に、コミュニケーションボットによる解約率の低下をはかるため、Smashという会社を立ち上げました。この会社の代表は当時、新卒入社1年目の社員です。
当社の事業は大きく2つの領域に分かれています。
ひとつは「マーケティングテクノロジー事業」で、前出のSmashはこの事業に属しています。
また、2021年8月には株式会社Alphaを、M&Aによって完全子会社にしました。この会社は独自AIと3Dクリエイティブによる広告配信を行っており、エンジニア組織の組成を急ピッチで進めなければならない状況だったこともあり、M&Aによって経営権を取得いたしました。これもSmashと同様、マーケティングテクノロジー事業に属しています。
マーケティングテクノロジー事業は3つあり、最後のひとつはRobeeというサービスです。これは簡単に言うとウェブ接客の事業です。ウェブホスピタリティツールによりLTVを向上させます。
もうひとつの事業は、LTV予測技術を用いて開発したデータ解析プラットフォーム「ハニカム」を基軸として、マーケティング活動の戦略立案や運用支援を行う「アナリティクスコンサルティング事業」です。
簡単に言うと、アフィリエイトやリスティング広告などからLTV予測を行うウェブ広告代理店という位置づけになります。
アナリティクスコンサルタント事業によってLTVが高いユーザーの集客を行うと共に、マーケティングテクノロジー事業によってLTVの向上を目指します。
具体的には、株式会社AlphaがAIによる広告配信を行い、Robeeがウェブホスピタリティツールによる接客でLTVを向上させ、少しでも長くクライアントの製品・サービスを使い続けてくれるよう、Smashが提供するコミュニケーションボットによって、解約率の低下を実現します。
次に目指すのは6兆円の市場規模を持つ「広告宣伝費」
Macbee Planetの事業機会については、基本的に追い風が吹いていると判断しています。
スマホの普及によりインターネットへの接続時間が増加し、ECの利用率も向上しています。
製品・サービスの売り方も、これまでは売り切り型でしたが、今は必要な時に必要な分を利用する形が広がり、ビジネスモデルがサブスク・リカーリング化しています。政府によるDXの促進も追い風要因のひとつですし、消費者保護のために景表法・薬機法の規制強化も、実は私たちにとっては追い風になります。なぜなら新規集客の難易度が上昇するからです。
加えて、個人情報保護のためのCookie規制によって、広告配信の精度が低下する恐れがあります。つまり、景表法・薬機法の規制強化とCookie規制によって、既存のマーケティング会社、広告代理店は苦境に立たされる恐れが生じてきています。
しかし、私たちはすでに独自のデータを収集できていますし、仮にCookie規制が強化されたとしても、別な観点から顧客のニーズをトラッキングできる仕組みを作っているので、事業を展開するうえでのネガティブな影響は、かなり小さく抑えられるものと考えています。
足元では、インターネット広告の市場を主戦場としています。ここの市場規模が現在、2兆円あります。ただ、これからECの拡大をはじめとして、インターネットがますます私たちの日常生活に浸透していくなかで、広告宣伝費とインターネット広告を分ける意味がどんどん無くなっていきます。
現在、広告宣伝費が6兆円市場であり、私たちにとって、次の主戦場はここになります。
さらに言えば、広告宣伝費と流通対策費、DXソリューションサービスを加えた市場規模は27兆円超と見られており、ゆくゆくはここも私たちにとっては対象マーケットになっていくでしょう。私たちが売上を拡大していくうえで、まだまだ十分なマーケット規模があると考えています。
中期経営戦略3つのポイント
中期経営戦略の基本方針は、「プロダクトとAI技術を活かしてLTVマーケティングを進化・深耕することで、LTVマーケティング市場を開拓し高成長を目指す」を掲げています。
ポイントは3つあります。
第一はLTV向上力のさらなる発展で、そのキーワードは一気通貫のサービス提供と、LTVに連動した継続収益モデルを構築することです。
私たち、LTVマーケティングを標榜してはいるのですが、出来ている領域は新規の獲得・集客、ウェブ接客、解約の3点です。しかし、本気でLTVを高めようとした場合、この3点では足りません。LTVを向上させるためには、認知してもらうことに加えて、契約以降の試用、継続、あるいは休眠客の掘り起こしをどうするのかといった点も必要になってきます。
具体的には現状、Robeeがウェブ接客の領域をカバーし、顧客転換率の向上を担っているのですが、これに継続利用を促進する新たな施策を提供することで、試用や継続の部分としっかり紐づけていきます。つまりCRMの領域に紐づけるということです。
一方、Smashで解約率低下のためのコミュニケーションを図っているわけですが、解約に関してはタッチポイントで得られる情報が結構ありますので、この情報を活用し、潜在的な解約要因を捉えるコミュニケーションを新たに提供しながら、申込や契約の方向に近づけ、最終的にはRobeeとSmashのサービスを紐づけていくという展開を考えています。
このようにしてRobeeとSmashの連携ができ、一気通貫のサービス提供ができるようになったら、利用者が2回目、3回目というように継続利用した段階で、その売上利益の一部が当社に落ちるようなビジネスモデルを考えています。
第二はデータ解析・コンサルティングのAI化です。現状、4割の成長率を維持して140億円の売上を実現しているのですが、ここから同じスピードで成長していくためには、ハイパフォーマーのナレッジの型化やAI化を進めることで、コンサルティングの精度を高めるだけでなく、労働生産性の向上を実現していかなければならないと考えています。
これによってコンサルティングの即戦力化が実現できるので、採用活動を強化して人員を増強し、高い成長スピードを維持できるようにします。
第三は他業種への展開加速で、2つのことを考えています。
ひとつは業界接点の強化です。現時点で私どもとお取引いただいている既存業界だけでなく、顧客接点を持っている企業とのアライアンスなども活用して、業界接点をこれまで以上に強化していきます。
2つめは人員の強化です。第二の部分とも重なってきますが、即戦力を強化するための基盤を構築したうえで、採用を強化するのと同時に、M&Aも積極的に行っていきます。
これらの施策を講じることによって、2024年4月期には売上220億円、営業利益22億円を目標にして、事業を推進してまいります。
本社所在地:東京都渋谷区渋谷3-11-11
設立:2015年8月25日
資本金:403,894,470円(2022年4月末 時点)
上場市場:東証グロース(2020年3月 新規上場)
証券コード: 7095