※本コラムは2023年2月17日に実施したIRインタビューをもとにしております。
テクノロジー×リアルでユーザー集客から成約支援までを一貫して行い、企業の採用、販促活動を支援するポート株式会社。
代表取締役社長CEOの春日博文氏に、競合が多数いる業界において継続した成長を遂げている要因を教えていただきました。
ポート株式会社を一言で言うと
成約支援企業です。
創業の経緯
大学在学中に個人事業として始めたところからスタートし、当初から就職や人材支援の事業をしていました。現在の業務とは異なり、当時流行していたFacebookなどのソーシャルメディアを活用した採用支援をメインに行い、大学卒業を機に、これを事業化いたしました。
ですが、コンサルティング関連の業務を続けているなかで、この業務単体ではスケール性が高くないと考えるようになり、コンサルティングからプロダクトを作れる会社に変わっていくために、インターネットメディア事業へとシフトいたしました。インターネットメディア事業はアセットの蓄積ができ、横展開がしやすいという、拡大性がある事業であることも事業転換の決め手となりました。
上場することは創業当初から意識しており、準備段階に入ったのは2016年頃です。未上場のときからエクイティとデットで資金調達をしまして、20億円ほどプロダクト開発に投資しました。
その結果としてアクセスが伸び送客ビジネスを安定した収益源とすることができました。これを主軸に複数サービスで業績を伸ばすことができたため、スムーズに上場準備を進めることができ、比較的短い準備期間で上場を達成することができました。
創業当初から意識しているマネジメントスタイルがあります。それは、会社が大きくなることと合わせて、社員一人一人の成長を大切にするということです。
社員一人一人の成長が会社の成長の原動力です。採用だけでなくリテンションに関してもかなり注力していますし、チャレンジできる機会の創出量の最大化こそが成長量の最大化だと思っています。
事業内容について
当社は「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスとして、クライアントとユーザーの成約プロセスに深く入り込み、双方のペインを解消する、成約支援事業を展開しております。根底には、労働力人口の減少という課題に対し、企業の生産性や収益性を上昇させたいという想いがあります。
企業が抱える課題は、人材に関する問題と、営業や販路開拓に関する問題の2つに大別されます。これらを支援する際、ツールを用いて生産性を向上させることも一つの手なのですが、それよりも実益支援に注目したモデルの方がより効果的であると考えました。
そのため、各企業の成約に対してフィーをもらう成約報酬型のビジネスモデルを採用し、採用活動、販促活動の成約支援ビジネスを展開しています。
成約報酬型を採用するメリットとして、営業のハードルが低いことと、解約率が低いという点があります。サービス導入に初期コストがかかるわけではないため、導入する障壁が高くないということが、まず営業ハードルを下げる要因となります。また、成約が少なければ支払うフィーが少なくなるため、当社サービスをわざわざ解約するということはあまりありません。
また、当社は「高い集客力」と「成約力」が強みのひとつです。
人材支援サービスでは、国内最大級の就活ノウハウ情報プロダクト「キャリアパーク!」や、国内最大級の就活生向け企業口コミ情報プロダクト「就活会議」を運営しており、新卒層の75%以上が会員となっています。
なぜこのように集客力が高いのかというと、非日常領域に強みを持ったマーケティングノウハウを蓄積しているためです。
就職活動は人生で一度しかない非日常体験であり、そういったマーケットはユーザーの情報収集のニーズが高いところがポイントです。一方で、情報自体の移り変わりが激しくないことから、一度作成したコンテンツが数年に渡ってストックし続けるため、安定的にアクセスを獲得することに成功しています。
他の大手求人サイトなどは、就活生にとっては募集企業の情報を得てそこにエントリーするための場となっているのに対して、当社のサービスは面接やエントリーシート、グループディスカッションなどのノウハウ収集、選考対策の場になっています。こういった非日常領域に特化したマーケティングを通じて、大量の母集団形成に成功しています。
このようにして集めた大量の母集団とクライアントを、当社のキャリアアドバイザーやコンサルタントといったリアルオペレーションを介しマッチングしております。「高い集客力×成約力」これが当社ビジネスのポイントです。
現在成約支援オペレーションを担う人材は会社全体の4割を占めており、ユーザー集客から成約まで一気通貫型支援を実現しています。
さらに、獲得した新卒ユーザーを囲い込み、クロスセルに繋げる施策にも注力しています。
会員の多くは新卒時に当社のサービスを活用されているため、数年後転職検討しようとしたときに再度当社のサービスにたどりつくことが多くあります。この時、システム化されたマーケティング活動をして、再度当社のサービスを利用していただけるような仕掛けをしています。
新卒と20代中盤層の転職希望者が欲しい就活情報に大きな差はないため、新卒を集めるマーケティング活動をしているなかで、転職希望者の集客も同時にできております。年間数万単位の新規会員が獲得できており、その中でもクロスセルの収益はCAGRで年間50%程度を推移しています。ここがかなり成長領域になっています。
中長期の成長イメージとそのための施策
2020年に発表した、中期経営計画を達成するにあたり、インターネットのメディア事業から成約支援事業にビジネスモデルを転換させました。そのため、これからの数年間においては、成約支援のビジネスモデルをより高度なものに仕上げなければならないというところは常に意識しているポイントになります。
成約支援事業におけるアライアンス展開も積極的におこなっていく方針です。既存の事業でのオーガニックな成長とM&Aによるインオーガニックな成長の、両面的な成長を目指しています。
M&Aに関しては、会社を買うことだけが成長に寄与するのではなく、当社の成約支援事業ともシナジーがあり、M&A後も成長余地を持っており、将来的には我々の主力事業になりうる事業を対象にしています。成長戦略の実現に向けては、レバレッジをいかにきかせるかが大切になるので、成長性がなかったり規模感が小さかったり、シナジーが低いM&Aは想定していません。
そして、買収した会社に我々の勝ちパターンを知っている社員を積極的に投入しています。当社の勝ちパターンをインストールし、ともに協力して、事業の拡大を図ってまいります。もちろん、自分たちの会社に対する業績インパクトというところも常に意識をしていきます。
今日、インターネットメディアを運営している会社は多数存在しています。その中で、皆様に選ばれるサービスとなるためには質の高さはもちろんのこと、サービスの独自性、そして会社としてのストロングポイントの発揮というところがキーになってくると考えています。
一般的なインターネットのメディアの会社は、クライアントの成約まではコミットしていません。基本的には応募獲得、見積もり獲得に特化していて、集客であれば得意、という形態です。
一方、当社は集客から成約の支援まで一貫して提供しています。ここは他社にはない独自性であり、差別化できているポイントといえます。
そして当社は、創業以来、外部環境の変化にも柔軟に対応し、ビジネスモデルを転換することで会社を成長させ続けてきました。これを一言でいえば、エグゼキューション能力が高い会社であると言えるでしょう。
社員一人一人が目標へ強いこだわりがあり、それに向かって物事をやりきる力や、粘り強さ、そしてぶつかった壁を乗り越える力を持っているという点も、中長期的な成長のドライバーになると考えています。
投資家の皆様へメッセージ
当社は、これまでの成長過程のなかでも事業の変遷を繰り返して会社を成長させてきました。また、その中でも特に高い成長率を実現しています。
当社事業領域である成約支援事業において、人材支援や販促支援といった複数の事業を成長させてきているため、そういった意味では、成約支援というものの再現性をもって様々なビジネスを展開できていると自信を持って言えます。
既存のサービスが伸びるだけではなく、我々の事業対象の市場そのものが伸びていくという可能性も有しています。さらには中期経営計画目標の達成の目途が立ち、大きな成長を遂げているということを皆様には見てもらいたいです。
そしてなにより、我々のビジネスの独自性、これによる今後の我々の成長可能性を感じ取っていただきたいです。
本社所在地:東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー5階
設立:2011年4月
資本金:934百万円(2022年3⽉末現在)
上場市場:東証グロース(2018年12月21日上場)
証券コード:7047