- VYMがどんなETFなのか知りたい
- VYMに投資するメリットやデメリットが知りたい
- 海外ETFの選択基準について理解したい
VYMは、米国の高配当利回り株を組み入れた指数であるFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動したパフォーマンスを目指すETFだ。
本記事では、VYMの特徴やメリット・デメリット、おすすめの投資家について詳しく解説する。
海外ETFの選び方や投資する際のポイントについても紹介しているため、これから海外ETFへの投資を検討している方は、ぜひ参考にしてほしい。
VYMの基本情報
まずは、VYMの基本的な内容や配当、価格についての情報を確認していこう。
VYMとは
VYMは、世界3大運用会社の一つと言われるバンガード社が運用するETFだ。
正式名称をバンガード・ハイディビデンド・イールドETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)といい、米国籍のETFとして運用されている。
ETFは、上場投資信託とも呼ばれ、市場の動きを表す指数に連動するように設計された投資信託のことを指す。
VYMは、米国株の高配当利回り銘柄を対象とする「FTSEハイディビエンド・イールド・インデックス」に連動したパフォーマンスを目指して運用されている。
VYMの上位組入銘柄および組入比率は下記の通りだ。
名称 | ティッカー | セクター | 組入比率 |
---|---|---|---|
ブロードコム | AVGO | テクノロジー | 3.46% |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | JPM | 金融 | 3.42% |
エクソンモービル | XOM | エネルギー | 2.92% |
プロクター・アンド・ギャンブル | PG | 生活必需品 | 2.37% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | 2.15% |
ホーム・デポ | HD | 一般消費財 | 2.06% |
メルク | MRK | ヘルスケア | 2.03% |
アッヴィ | ABBV | ヘルスケア | 1.77% |
シェブロン | CVX | エネルギー | 1.66% |
バンク・オブ・アメリカ | BAC | 金融 | 1.58% |
ウォルマート | WMT | 生活必需品 | 1.57% |
ペプシコ | PEP | 生活必需品 | 1.50% |
コカ・コーラ | KO | 生活必需品 | 1.49% |
ウェルズ・ファーゴ・アンド・カンパニー | WFC | 金融 | 1.32% |
マクドナルド | MCD | 一般消費財 | 1.23% |
シスコシステムズ | CSCO | テクノロジー | 1.18% |
クアルコム | QCOM | テクノロジー | 1.14% |
アボット・ラボラトリーズ | ABT | ヘルスケア | 1.13% |
キャタピラー | CAT | 資本財 | 1.05% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | VZ | 通信 | 1.03% |
出典:Vanguard VYM
セクターごとの組入比率を高いものから順に並べると、下記の通りとなる。
セクタ― | 組入比率 |
---|---|
Financials(金融) | 20.40% |
Industrials(資本財) | 12.70% |
Health Care (ヘルスケア) | 12.00% |
Consumer Staples (生活必需品) | 11.40% |
Energy(エネルギー) | 11.00% |
Consumer Discretionary (一般消費財・サービス) | 10.00% |
Technology (テクノロジー) | 9.70% |
Utilities(インフラ) | 6.70% |
Telecommunications(通信) | 4.00% |
Basic Materials(素材) | 2.20% |
出典:Vanguard VYM
最も組入比率が高いのは「金融」で、全体の約2割を占める。
次に、「資本財」「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」と続く。
上位5つのセクターだけで全体の約6割を占めることから、セクターごとの偏りはある程度大きいと考えられる。
配当利回りや過去の価格推移
VYMの直近の配当実績は下記の通りだ。
支払日 | 配当額 |
---|---|
2024年3月20日 | 0.6555ドル |
2023年12月21日 | 1.0995ドル |
2023年9月21日 | 0.7846ドル |
2023年6月23日 | 0.8767ドル |
2023年3月23日 | 0.7172ドル |
2022年12月22日 | 0.9745ドル |
2023年6月から2023年3月までの4回の配当を合計すると、3.4163ドルとなる。
2024年5月17日の基準価格である121.55ドルを基準とすると、年間の配当利回りは約2.81%と計算できる。
1年前から価格も堅調に上昇しており、大型株への投資がメインとなるため価格や配当が安定しやすいことを考慮すると、初心者にも投資しやすい銘柄だろう。
これまでの期間別のトータルリターンは下記の通りだ。
期間 | 3ヶ月 | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 設定来(2006年11月10日) |
---|---|---|---|---|---|---|
トータルリターン(年率) | 4.11% | 12.42% | 7.21% | 9.12% | 9.47% | 8.25% |
出典:Vanguard VYM
トータルリターンを確認すると、3ヶ月〜1年程度の短期間ではリターンの幅がばらつきやすいものの、5年・10年と運用期間が長くなるにつれて、徐々にリターンも安定してくる傾向にある。
2006年の設定時からのリターンは8.25%と、しっかりと利益を得続けているETFだということがわかる。
VYMと他の海外ETFとの比較
米国株の動きを表すETFや、米国市場の高配当株を組み込んだETFと比較してみよう。
VYM | VOO | VTI | HDV | |
運用会社 | バンガード社 | バンガード社 | バンガード社 | ブラックロック社 |
ベンチマーク | FTSEハイディビデンド・イールド指数 | S&P500 | CRSP USトータル・マーケット・インデックス | モーニングスター配当フォーカス指数 |
投資対象 | 米国の高配当株 | S&P500指数の全構成銘柄 | 米国株式市場の大型株から小型株までほぼ全ての銘柄 | 米国の高配当株 |
構成銘柄数 | 557 | 500 | 約4,000 | 74 |
経費率 | 0.06% | 0.03% | 0.03% | 0.08% |
リターン | 1年:21.22% 3年:7.41% 5年:10.60% | 1年:29.53% 3年:10.07% 5年:14.99% | 1年:29.21% 3年:8.46% 5年:14.18% | 1年:17.69% 3年:7.73% 5年:7.62% |
VYMは、S&P500に連動するETF(VOO)や米国株式市場全体に連動するETF(VTI)と比べると、リターンの幅はやや小さい。
しかし、同様の米国高配当株を組み込んだETFであるHDVと比べると、運用利回りが高い傾向にある。
HDVより経費率が安く、運用コストを抑えやすいのも特徴だ。
VYMに投資するメリットとデメリット
続いて、VYMに投資するメリット・デメリットを確認していこう。
VYMに投資するメリット
VYMに投資するメリットとしては、主に以下の4点が挙げられる。
- 米国の高配当銘柄に分散投資できる
- 分配金が3ヶ月に一度支払われる
- 運用コストを抑えやすい
- 安定的な運用が期待できる
まずは、米国の高配当株に手軽に分散投資が可能という点だ。
VYMが投資対象とするのは、米国の500銘柄以上の高配当利回り株だ。
「米国株に分散投資したい」「高配当株への投資がしたい」と考えている方に適したETFだと言えるだろう。
また、VYMは分配金が3ヶ月に一度支払われるので、高い頻度でインカムゲインを得ることができる。
高配当利回り株には成熟した大企業が多く、安定した運用が期待しやすいのもメリットだと言えるだろう。
VYMの経費率は0.06%と低く、運用コストをなるべく抑えたいという人にもおすすめだ。
VYMに投資するデメリット
VYMのデメリットも確認しておこう。
- 為替リスクが発生する
- 米国と日本で二重課税される
- キャピタルゲインを狙いにくい
VYMは米国ETFなので、為替リスクが発生する点に注意が必要だ。
円からドルに換えてETFを購入する場合は、為替の状況によってもリターンが変わってくる。
ETFの価格自体はプラスでも、為替相場によっては円ベースでマイナスになることもあるため気をつけよう。
また、VYMの投資においては、米国と日本それぞれで課税される「二重課税」にも注意しよう。
米国ETFの分配金は米国で10%が源泉徴収されたあと、残った分配金に対して日本でも20.315%が課税される。
確定申告で外国税額控除の手続きを行えば二重課税が解消されるが、手続きを手間に感じる人もいるだろう。
VYMのメリットとして価格の動きが安定しやすいことを挙げたが、言い換えると大きな値動きによるキャピタルゲインはそれほど期待しにくいということでもある。
大きなキャピタルゲインを狙うのであれば、他のETFも選択肢に入るかも入れない。
VYMがおすすめな人
メリット・デメリットを踏まえた上で、VYMがおすすめだと考えられる人の特徴をまとめた。
- 米国のETFや高配当銘柄に興味がある人
- 長期的な目線で安定的な資産運用を行いたい人
- 定期的にインカムゲインを得たい人
すでに日本株など国内の資産に投資をしている方で、分散投資を行いたいという人や高配当銘柄に投資したいという人は、VYMが適しているだろう。
米国の高配当株には成熟した企業が多く、安定的な運用も期待しやすい。
四半期に一度のペースで分配金も支払われるため、定期的に分配金収入が得たいという方にもおすすめだ。
VYMを含む海外ETFの選び方
続いて、海外ETFに興味がある方に向けて、銘柄の選び方を紹介する。
増配実績で決める
まずは、組入銘柄をチェックしてしっかりと増配している実績があるかどうかを確認しよう。
米国では、配当で株主還元を行うことを重視しており、業績の良い企業は積極的に増配を行う。
増配実績のある銘柄が多く組み入れられている銘柄を選ぶことで、業績が堅調な企業への投資をすることにつながるだろう。
また、積極的に増配を行う企業は、すでにある程度成熟して経営が安定している企業も多い。
大きなキャピタルゲインよりも、分配金などのインカムゲインを安定して得たいと考える人にもおすすめだ。
時価総額から判断する
企業価値を判断する上で重要な指標の一つに「時価総額」というものがある。
時価総額は、「株価×発行済株式数」で表され、時価総額が大きい会社は一般的に経営が安定し、企業買収のリスクも低くなる。
時価総額が大きければ必ず安全というわけではないが、投資対象を選ぶ際の一つの指標となるだろう。
投資対象資産やテーマで決める
ETFの投資対象資産や投資テーマに注目するのも重要だ。
「米国の高配当利回り株」「先進国の大型株」「新興国の株式市場全体」など、ETFによって投資対象は異なる。
投資対象が異なると、ETFの値動きの大きさやリスク要因、分配金の大きさなども変わってくるため、しっかりと違いを理解しておくことが大事だ。
自分の投資目的やリスク許容度に応じた銘柄であるかどうかをチェックするようにしよう。
海外ETFのVYMを活用した資産運用の相談先はどこが良い?
資産運用に海外ETFを活用するなら、専門家に相談した上で運用戦略を立てるのをおすすめする。
ここでは、専門家に相談すべき理由や、おすすめの相談先を紹介する。
海外ETF投資を専門家へ相談する重要性
海外ETF投資を始める際は、資産運用の専門家に相談しながら銘柄を選ぶのをおすすめする。
海外ETFは、国内のETFに比べて為替リスクがあったり、投資情報を得にくかったりするため、プロの目線でアドバイスをもらうことで自分に適した銘柄を選びやすくなる。
また、すでに国内の株式や債券、投資信託などに投資を行っている人の場合、運用中のポートフォリオとのバランスも見ながら最適な投資配分を検討する必要がある。
投資目的やリスク許容度に応じた資産配分を決定するためには、プロの目線でのアドバイスが不可欠だと言えるだろう。
IFAの役割とメリット
海外ETFについての具体的なアドバイスを求めるなら、IFAへの相談をおすすめする。
IFAは独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれ、金融機関から独立した立場で顧客に資産運用のアドバイスを行う専門家だ。
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高配当を期待するなら海外ETFのVYMへ投資しよう
VYMは、FTSEハイディビエンド・イールド・インデックスに連動するパフォーマンスを目指すETFだ。
手軽に米国の高配当利回り株に分散投資ができて、安定した資産運用を行いやすいというメリットがある一方、為替リスクや二重課税など注意したいデメリットもいくつかある。
本記事では、VYMの基本情報やメリット・デメリット、海外ETFの選び方などを詳しく解説した。
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