- 国債の基礎知識を学びたい
- 国債投資の最新動向を知りたい
- 国債投資対象に関する知識を知りたい
国債はその安定性と安全性から、投資家の間で一定の人気を保っている投資商品だ。
国債投資の価値を最大限に引き出すためには、その仕組み、メリット、そしてリスクを深く理解することが不可欠である。
本記事では、初心者の投資家でも国債の魅力とリスクを理解し、自身の投資戦略にどのように取り入れるかを検討できるよう、わかりやすく解説する。
国債の基礎知識
まず、国債についての基本をおさらいしておこう。
国債の仕組み
「国債」とは、国が発行体となり、資金を借入れるために発行する証券のことだ。
国債は基本的に、①利子を受け取れ(投資家は国債保有期間を通して、発行体が定めた利子を受け取ることができる)、②満期日に額面金額が戻る(償還を迎えると、発行体から保有者に額面金額が払い戻される)という構造を持つ。
例えば固定5年(発行時の利率が5年変動しないタイプ)の第142回債を購入したとする。
募集期間 | 令和5年1月10日~1月31日 | 発行日 | 令和5年2月15日 |
利率※(年率) | 基準金利 | 利率(税引前) | 利率(税引後) |
0.23% | 0.18% | 0.1434330% | |
利払日 | 毎年2月15日及び8月15日(年2回) | 償還期限 | 令和10年2月15日 |
募集の価格 | 額面金額100円につき100円 | 償還金額 | 額面金額100円につき100円 |
以上の発行条件で100万円分の国債を購入した場合、保有期間中の利払日に900円の利子を受け取り(全10回で合計9,000円)、満期を迎えると元本の100万円を受け取ることになる。
国債の種類とその特性
以下に、国債の主な種類を紹介する。
発行目的 | 歳入債(普通国債) | さまざま歳出の需要を満たすための資金を調達するために発行される国債。 建設国債、特例国債(赤字国債)、借換債のほか復興債(東日本大震災からの復興のための財源確保)がある |
財政投融資特別会計国債(財投債) | 財政融資資金での運用財源を調達する目的で発行される国債 | |
繰延債 | 資金を支出するのではなく、国債発行によって、償還まで支出を延長する目的で発行される国債 | |
融通債 | 短期国債の一種。国の日々の資金繰りに当てる目的で発行される国債。 | |
利払い方式による分類 | 利付国債 | 半年ごとに利子が支払われ、満期時に額面金額が償還される国債。「固定利付型」と、「変動利付型」がある |
割引国債 | 利子の支払いがなく、利子相当分を額面金額から差し引いた価格で発行される国債。満期時に額面金額で償還される |
なぜ国は債券を発行するのか
国は、さまざまな公共サービスの実現に必要な資金を調達するために国債を発行する。
公共サービスの中には、道路やダムの整備など大型設備の整備も含まれるが、その資金需要は莫大なため、税金だけではなく国債を発行して資金を賄う。
国債発行によってできた国の借金は、長い期間をかけて国民から集める税金で返済され、現役世代だけでなく、その公共サービスの利用者となる将来の世代も費用を負担する。この考えのもとに発行される債券を「建設国債」という。
一方、なんらかの理由で国の支出がかさみ、税金では賄いきれなくなった場合に、これを補うために発行する国債を「特例国債(赤字国債)」という。
2023年の国債動向
ここからは、2023年の国債の動向を整理してお伝えする。本項の内容は、執筆時点(2023年6月20日)の情報に基づいている。
国債の表面利率の動き
財務省は2023年1月5日、去年4月以降0.2%で推移してきた「表面利率」を2倍以上にあたる0.5%に引き上げた。
表面利率とは、国債の買い手に毎年支払う利子の割合のこと。
例えば、額面金額100万円の10年国債の場合、表面利率が0.5%なら、年間に受け取る利息の額は【100万円 × 0.5% = 5,000円】となる。
表面利率は、財務省の理財局が市場で取引されている国債の利回りを考慮して定める。
これは、日本銀行が金融緩和策を一部修正したことを受けて、10年債の流通利回りが上昇していることを反映したものだ。
表面利率が上がると投資家への魅力は増すが、一方で国が毎年支払う利払費が増額することにもなる。利払い負担の増大は、国の財政を圧迫し、経済成長や経済政策に悪影響を及ぼしうる。
今後の動向は、米国の金利動向や、植田日銀新総裁の金融政策を睨んでの展開になりそうだ。植田総裁となって初の金融政策決定会合(2023年4月)では、今の枠組みでの大規模な金融緩和策を維持することが全員一致で決定された。
信用格付けの変動と市場への影響
債券のパフォーマンスに影響を与える要素は、市場環境、債券発行後の経過期間の他に、「格付け」がある。
格付けは、ムーディーズなどの格付機関が、発行体の利払いや元本返済の能力を評価し、投資家に知らせるものだ。格付けが下がれば、投資家にとって債券の魅力が低下し、その結果、価格に下落圧力がかかる可能性が高くなる。
現在の日本の格付け(ソブリン格付け)は低い状態が続いている。たとえばムーディーズにおける日本の政府債務はA1と評価されており、これは主要先進7か国(G7)の中でイタリアに次いで低い。
日本の格付けが引き上げられない要因としては、日本政府の借金増加傾向や基礎的財政収支の悪化などが挙げられる。今後は、これらに加え、早すぎる金融引き締めでデフレに逆戻りするシナリオからの財政悪化圧力によって、格付け会社が日本のソブリン格付けを引き下げる可能性は相応にある。
新型コロナウイルスによる国債への影響
財務省は2022年12月23日、2023年度の国債発行計画を発表した。
新規国債 | 財投債 | 借換債 | その他 | 総額 | |
---|---|---|---|---|---|
2019 | 36.6 | 12.5 | 104.2 | 0.8 | 154.2 |
2020 | 108.6 | 39.1 | 108.5 | 0.7 | 256.9 |
2021 | 57.7 | 10.1 | 142.9 | 0.0 | 210.7 |
2022 | 36.9 | 25.0 | 152.9 | 0.2 | 215.0 |
2023 | 35.6 | 12.0 | 157.6 | 0.6 | 205.8 |
発行額は、新型コロナウイルスの流行前は約150〜180兆円で推移していたが、令和2年以降を境に200兆円を超えている。2023年度の国債発行総額は205.8兆円(うち新規国債は35.6兆円)と段階的に減少しているが、借換債(満期を迎えた国債の借り換えのために発行する国債)の発行額は増加の一途を辿っている。
借換債の増加は、コロナ対策によるものだ。対策原資を、短期国債の発行にて賄ったことを背景に、現在も依然として短期国債の割合が多い状況が続いている。
「令和5年度の国債発行計画」によれば、カレンダーベース市中発行額及び平均償還年限における短期債の割合は50.7%である。
国債投資を検討する
ここからは、投資対象としての国債の魅力と、投資をする際の注意点について整理する。
投資対象としての国債の魅力
投資対象としての国債には、以下のような魅力がある。
- お金に関するスケジュールが立てやすい
- 国債投資により、一般的に安定した利子収入が期待でき、キャッシュフロー計画も立てやすくなる
- 比較的低リスク
- 国債は株式や社債などに比べてデフォルト(債務不履行)リスクが非常に低い
- 流動性が高く換金しやすい
- 国債市場は非常に大規模で流動性が高く、投資家は必要時に売買を行うことが可能である
- ポートフォリオ分散に役立つ
- 国債は、株式との相関が低く、株式が下落した場合でも、価格が安定していることが多い。このためリスクを分散させ、ポートフォリオ全体の安定性を高める役割が期待できる
国債へ投資をする際の注意点
国債に投資する際に気をつけなければならない点として、以下のようなものが挙げられる。
- 市場金利の変動と国債価格の動向を把握する
- 市場の金利が上昇すると、既存の国債価格は下落する。こうした関係を理解し、金利動向を把握して投資タイミングを計る必要がある。
- インフレリスクを見極める
- インフレは購買力を減少させ、国債の実質的なリターンを下げるものだ。たとえば、リスク軽減のために物価連動国債(10年)などの商品購入なども検討すべきである。
- 信用リスクの確認
- 「信用格付けの変動と市場への影響」でみたとおり、信用格付けは国債の評価にも影響する。格付け会社による評価の動向を確認しておくことも、国債投資には必要な行動である。
国債投資に向いている人の特徴
国債の特徴などから、以下の特徴を持つ投資家は、国債投資のメリットを最大限に活用できるだろう。
- 安定と定期収入を求める人
- 国債は政府が発行し、確定的なキャッシュフローを提供するため、価格の安定性を求める人や、定期的なクーポン(利息)収入を求める人に向いている
- 長期的視野を持つ人
- 短期的な変化に一喜一憂せず、満期まで保有することで、長期的な安定収入と、最終的に額面金額の返還が受けられる
- ポートフォリオの多様化を求める人
- 国債がポートフォリオに多様性をもたらすことは、前述したとおりである。投資のリスクを分散させたい人には良い投資先となる
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IFAの役割と利用するメリット
前述の通り、国債は魅力的な投資商品だ。ただし、国債からの収益は非常に保守的であるため、ポートフォリオ内の国債の比率を過大にすると、将来の投資目標を達成できないリスクが生じる。
適切な組み入れ比率は、投資家のリスク許容度や年齢などによって異なる。ぜひ、IFAと共に投資目標や現状を見直し、国債投資をどのように組み入れるかを慎重に検討して欲しい。
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国債投資もIFAと共に
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