「保険」や「共済」といえば、多くの加入者からお金を集めて、病気やけが、万が一の時の保障、または住まいや車などの損害の補償を提供するものとして知られているが、この2つの違いについて詳しくご存じだろうか。
自分に合った保障を見つけるために、保険と共済の違いをしっかり把握しておこう。
保険と共済の4つの違い
保険と共済には大きな違いが3つある。
- 監督官庁や根拠となる法令が違う
- 使っている用語が違う
- 目的が違う
では、一つずつ詳しく見ていこう。
監督官庁や根拠となる法令が違う
保険と共済の特徴は以下の通りだ。
保険 | 共済 | |
---|---|---|
運営団体 | 保険会社(営利団体) | 協同組合等(非営利団体) |
申し込める人 | 一般顧客 | 組合員 |
監督官庁 | 金融庁 | 例)コープ共済・県民共済・全労済:厚生労働省:JA共済:農林水産省 |
根拠となる法令 | 保険業法 | 例)コープ共済・県民共済・全労済:消費生活協同組合法 JA共済:農林水産省:農業協同組合法 |
保険は営利団体の保険会社が運営、監督省庁は金融庁、法令は保険業法を根拠にしているのに対し、共済は共同組合等の非営利団体が運営している。
また、共済の監督省庁や根拠となる法令はコープ共済、JA共済など、運営団体ごとに異なっている。
そして、保険は年齢等の条件が合えば誰でも申し込めるようになっているが、共済に申し込めるのは組合員のみとなっている。
使っている用語が違う
保険と共済では似たような意味でも違う用語を使っている。例えば以下のようなものだ。
言葉の意味 | 保険 | 共済 |
---|---|---|
被保険者の死亡時にお金が支払われる商品 | 生命保険 | 生命共済 |
加入者が定期的に積み立てるお金 | 保険料 | 掛金 |
支払事由に該当した場合に受取人に支払われるお金 | 保険金・給付金 | 共済金 |
商品を広めるための活動 | 営業・勧誘 | 普及・推進 |
余剰金が出た場合、加入者に分配すること | 配当金 | 割戻金 |
目的が違う
保険は「保険会社」が販売している。保険会社は民間企業が運営のため、利益を上げることが目的だ。
共済は組合員同士の助け合いが目的であるため、利益を上げることを重視していない。
なお「組合員」は特定の組織・勤務先に属している人であるため、一般の人は基本的に加入できない。
ただし、県民共済や市民共済のように、特定の地域に居住、もしくは職場がある人であれば組合員になれる場合がある。
加入したい共済がある場合は、組合員になれる資格があるか確認してみよう。
商品が違う
保険も共済も「けがや病気、死亡の際に保障」「住まいや車の損害の補償」が提供されるものである。
ただし、商品内容や保険料の設定が若干異なる部分があるため、確認しておこう。
保険は商品、年齢、性別ごとに保険料が細かく設定されている。
また、商品にもよるが、主契約に付加する特約も多く用意されており、ニーズに合わせて付加することが可能である。
共済は保険に比べ、非常にシンプルな仕組みとなっている。
保障内容が同じであれば、保険料は一律だ。(65歳以上など一定年齢を超えると場合は保険料が上がる場合もある)
ただし、共済の保障内容は、新商品の開発に力を入れる保険に比べるとシンプルなものとなっていることが一般的である。
保険のメリット・デメリット
自分には保険・共済どちらが合うかを検討するための材料として、保険のメリット・デメリットを確認しておこう。
保険のメリット
保険のメリットは次の通りだ。
- 商品の種類が豊富
民間企業である保険会社が販売していることもあり、商品種類が豊富である。また、死亡保険、がん保険、医療保険などの主契約だけでなく、「女性疾病特約」や「三大・五大疾病特約」など、加入者のニーズに合わせていろいろな特約を付加できる点も見逃せない。
- 貯蓄向けの保険商品もある
保険商品には次のような貯蓄型のものもある。
商品 | 特徴 |
---|---|
個人年金保険 | 一定の年齢になったら定期的に保険金が受け取れる保険 |
養老保険 | 一定の年齢までは死亡保障、満期になったら満期保険金が受け取れる保険 |
学資保険 | 定期的に保険金を支払うと、子どもの高校入学・大学入学などのタイミングで祝金や満期保険金が受け取れる保険 |
個人年金保険や学資保険のように貯蓄がメインのものだけでなく、養老保険のように一定の年齢までは死亡保障を受け取りながら、満期になると保険金を受け取れるものもある。「保障+α」が欲しいという場合にも保険は利用できる。
- 会社が破綻しても保障が継続できる
万が一、保険会社が破綻した場合でも、「生命保険契約者保護機構」により、契約者は保護されている。現在の契約は承継保険会社に引き継がれ、保障もそのまま継続することができる。
保険のデメリット
メリットと併せて、保険のデメリットも確認しておこう。
- 保険料が高い
保険は民間企業である保険会社が販売している。会社存続のためには利益を出すことが重要だ。また、保険会社は大企業であることがほとんどであり、数多く在籍する職員の人件費も高額になる。そのため、保険料に利益分や人件費分が上乗せされており、共済の掛金と比べると保険料が高めに設定されていることが一般的だ。
- 商品内容が複雑なものがある
運用実績で受取額が変わる「変額保険」など、複雑な仕組みの保険商品もある。理解するにはある程度の知識が必要であり、全く内容を把握せずに契約すると思わぬ損失を抱える恐れもあるため注意が必要だ。
共済のメリット・デメリット
共済のメリット・デメリットも確認しておこう。
共済のメリット
共済のメリットは以下の通りである。
- 掛金が安く、年齢・性別関係なく一律
- 保険は年齢、性別、健康状態等で保険料が異なり、同じ保障内容、同じ性別であれば、年齢が低いうちに加入した方が保険料を安く抑えられるという特徴がある。
- しかし、共済は保障が同じ場合、年齢や性別によって掛金の違いはない。また、掛金は保険と比べて安く設定されているため、家計への負担も少ない。
- 保障がシンプル
- 共済の保障は保険に比べるとシンプルに設定されている。病気で亡くなった場合の死亡共済金も「200万円」「400万円」「800万円」など、数パターンの中から選ぶシステムだ。選択肢が多いと選ぶのが難しい、なるべくシンプルな保障内容にしたいと考える方に向いているといえる。
共済のデメリット
共済のデメリットは以下の通りだ。
- 保険よりも商品が少ない
- 共済は保険に比べると保障がシンプルで商品数も少ない。「特約をいくつか付加したい」「死亡保障だけでなく、貯蓄型の保障も欲しい」という希望を満たすことは難しい。
- 商品がある程度セットにされて販売されている
- 共済は「死亡保障200万円・月掛金〇千円+入院保障日額1万円・月掛金・〇千円」のように、保障と掛金を前もってセットにして販売している。自分の欲しい保障をカスタマイズして契約したいという方には向いていない。
- 組合員以外は申し込めない
- 保険は年齢や健康状態等の条件が合えば誰でも申し込めるが、共済は会員以外の申込が不可となっている。組合員になれる条件も「○○県在住の人」「○○に勤務の人」などと決まっているため、必ず組合員になれるとも限らない。
自分に合った保険を選ぼう
保険と共済は、いざという時のための保障として使われる点は同じである。
しかし、商品内容、申込ができる人の範囲など、異なる点も多々ある。
さらに運営団体も保険は営利団体(民間企業)、共済は非営利団体となっており、保険料にも大きな差が出る場合が多い。
「保障がカスタマイズできるから保険がいい」「保険料が安いから共済がいい」だけではなく、それぞれのメリット・デメリットをよく見比べた上でどちらに申し込むかを決定しよう。
また、保険の悩みは多く、不安なケースは多いと思う。
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