金融の世界で最も取引されている商品である債券ですが、債券価格の変動要因や物価との関係について知らない方は少なくないと思います。
そこで今回は、債券相場の変動要因とインフレ・デフレとの関係についてお伝えしていきます。
債券相場の変動要因
株式相場と同じように、さまざまな要因によって債券相場も変動します。ポイントになるのは、債券自体の需要と供給の関係です。
中央銀行の金融政策
「売りオペ」「買いオペ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
中央銀行である日本銀行の役割(金融政策)の一つとして、通貨流通量の調整があります。この調整は日本銀行が市場から債券や手形などを売買する方法で実施します。
つまり売りオペとは、日本銀行が市場へ債券などを売ることであり、逆に買いオペは市場から債券などを買うことです。
需要と供給の関係から理解できるように、売りオペ」では市場に出回る債券が増えますので、債券相場は下落します。
逆に、買いオペでは、供給量が減って債券相場は上昇します。
新発債の消化状況
新発債とは、文字どおり新規に発行される債券をいいます。新発債が少ない場合は、市場に出回る債券つまり供給量は増えないので、一般的に債券相場は上昇します。
逆に新発債が多いと、供給に対して需要が追い付いてこない、つまり債券市場全体の消化状況が悪化しますので、債券相場は下落します。
新発債の消化状況とは新発債の入札状況のことを指しており、新発債がいかに取引されているかを見ることで、債券相場を考察することができます。
機関投資家の動向
一般投資家に対して、銀行、信託銀行、生保・損保会社、年金系・投資信託系ファンド、海外投資家などを機関投資家といいます。
機関投資家は株式と同様に大量の債券を売買しますので、期間投資家の動向は債券相場全体に影響します。
債券相場とインフレ・デフレ
次に、債券相場とインフレ(物価上昇)・デフレ(物価下落)との関係性を確認していきましょう。
一般的にインフレ(物価上昇)は、企業の業績などが良い好景気で起こる可能性が高いです。
好景気では労働者の賃金アップなどで個人消費が活発になり、企業の意欲的に設備投資を行います。
つまりモノの需要が増えますので、インフレに向かうわけです。
逆にデフレ(物価下落)は、企業の業績などが悪い不景気で起こる可能性が高いです。
不景気では労働者の賃金ダウンなどて個人消費が下がり、企業の設備投資も減る方向に向い、モノの需要が減ってデフレに向かうわけです。
インフレとデフレについて確認したところで、債券相場との関連性について見ていきましょう。
実質利回りへの影響
通常、インフレになると日本銀行が金利を引き上げる(金融引き締め政策)ケースが多く、利回りは上昇して債券価格は下落します。
反対に、デフレでは、日本銀行が金利を引き下げる(金融緩和政策)ケースが多く、債券価格は上昇して実質利回りは低下します。
ただし、実質利回りは物価動向の影響も受けるので、上記のようにならないケースもあります。
金融政策への影響
金融政策も債券相場に大きく影響を与えます。
インフレ局面では、企業では売上、個人では賃金が増えて、世の中に出回るお金が増え続けると、物価が上昇し続けることになります。
このような世の中の資金量を調整し、インフレを鎮静化するために、日本銀行などの中央銀行は金利を上げて、金融引き締め政策を実施するのです。
一方、デフレ局面では、逆に、企業では売上、個人では賃金が減り、資金量が減り続けると、物価下落が止まらないことになりかねません。
そこで、今度はデフレを改善するために、中央銀行は金利を下げて金融緩和政策を実施するのです。
金融政策が金利を決定すると思いきや、債券相場に金融政策が影響を受けているとも解釈できます。
まずは中央銀行の政策目標をしっかりと確認し、経済指標等で経済動向を読み解くことが、債券相場を読み解くことにもつながります。
まとめ
今回は、債券相場と物価の関連性についてお伝えしてきた。
債券は主にインターバンク市場で取引されるので、個人にとっては売買しづらい商品かもしれないが、債券のキャッシュフローがポートフォリオを組む上で重要となることもある。
個人にとって情報収集しにくい商品である債券での運用に関心のある方は、一度「資産運用ナビ」に相談をしてはいかがだろうか。
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