・厚生年金基金とは何なのか
・厚生年金との違いとは
・厚生年金基金にはどのようなメリット・デメリットがあるのか
「現在の年金では老後生活を支えられず、自助努力を行わないといけないのはわかるが、何から始めていいかわからない」と不安に思う方が多い。資金の用意方法として、資産運用や個人で用意するようなiDeCoなどの私的年金制度などを国は整備している。
その中で、厚生年金を支払っている人が加入できる厚生年金基金と呼ばれる通常の年金額に受給額をプラスできる制度が存在しているのはご存知であろうか。
本記事では厚生年金基金に加入するかどうか迷っている方に向けて厚生年金基金の他の年金制度との特徴の比較とメリットデメリットをわかりやすく紹介していく。厚生年金基金に加入するかどうか迷っている方や様々な仕組みを知りたい方はぜひ最後までご覧いただきたい。
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厚生年金基金とは
厚生年金基金は、任意加入が可能な私的年金制度に分類される。各企業が基金を設立し、加入者からの保険料を管理し運用を行う。
通常の国民年金や厚生年金などの公的年金では国が主体となって行うが、この企業版と考えていただければ良い。企業が国の厚生年金の運用の一部を担当し、それにプラスして給付をするような制度となっている。
この制度設立のきっかけは、バブルの時期まで遡る。バブルの頃、国へ運用を任せるより企業などが主体となって積極的に運用した方がプラスになると考えられて設立された。
しかしバブル崩壊後、運用成績が下がり、2014年には厚生年金基金に関する法改正が実施された。一定水準以上のパフォーマンスを保持していれば基金は存続でき、達していなければ保険金額などを引き上げて不足分を解消できるよう働きかけなければならなくなった。
さらに厚生年金基金の新設は認められなくなり、存続している基金の数は限られている。現在運用している厚生年金基金は、計画に基づいた運用が行われているとも言い換えられるのだ。
厚生年金基金の位置づけ
日本の年金構造は以下のように階数で分けられている。
- 1階部分は国民年金
- 2階部分は厚生年金
- 3階部分が厚生年金基金などの私的年金
1階と2階部分は条件に満たした人全員が加入することになるが、3階部分は任意で年金額を増やしていきたい人が加入することになる。
通常の”年金”と呼ばれる部分は、1階と2階部分に該当するのだ。基本的にどちらも終身年金となっているが、厚生年金基金も一生涯年金をもらえる終身年金が一般的だ。
厚生年金との違い
厚生年金基金と厚生年金の違いは私的年金か公的年金かである。
厚生年金基金は企業が管理し、厚生年金は国が管理する。ただ、厚生年金基金も全体を管轄しているのは厚生労働省で、支払われた保険料が適切に管理・運用されているかどうかを指導している。
どちらも加入者は正社員や公務員など厚生年金に加入している者に限られる。そのため自営業者や専業主婦などは加入できない。
厚生年金基金は加入するか否かが選べる一方で、厚生年金の条件を満たした人は必ず厚生年金に加入しなければならない。どちらも保険料は企業と加入者で半分ずつ負担するようになっている。
表にまとめると以下の通りとなる。
厚生年金基金 | 厚生年金 | |
---|---|---|
対象者 | 正社員や公務員など | 正社員や公務員など |
加入対象者になったら? | 任意 | 強制 |
保険料 | 企業と加入者で半分ずつ | 企業と加入者で半分ずつ |
強制力がある方が厚生年金、ない方が厚生年金基金と覚えておけば良い。
厚生年金基金のメリット
厚生年金基金のメリットは主に以下の3つが挙げられる。
- 将来の年金額が増やせる
- 受給条件が緩め
- 事業者と保険料を折半できる
それぞれ紹介していく。
将来の年金額を増やせる
厚生年金基金に加入することで、将来の年金額を増やすことができる。
通常厚生年金のみに加入している人は国民年金と厚生年金の2種類を受け取れる。厚生年金に基金まで加入している人であれば国民年金と厚生年金、厚生年金基金の3種類を受け取ることが可能だ。将来の年金額を一生涯受け取れるので、将来の年金額を継続的に増やす手段として有効だ。
加入条件が緩め
厚生年金基金は、1ヵ月でも加入していれば受給対象となる。国民年金や厚生年金の場合、10年以上加入期間がないと受給することができないので、比較的受給しやすいといえる。
また加入するための条件も、厚生年金に加入していればそのまま加入できるのでシンプルだ。
事業者と保険料を折半できる
厚生年金基金の保険料は、事業者と支払い額は折半できる。保険料は月収に掛け金を18.3%から免除率を引いた金額をかけて計算する。
保険料率は厚生年金に加入しているものは、一定の2.4%から5.0%程度を保険料率から差し引くことができる。
- 保険料 = 月収 × (18.3% – 免除率(2.4%〜5.0%))÷ 2分の1
そのため通常の厚生年金保険料よりも安くなるのだ。半分は加入事業所に支払ってもらえるのも厚生年金基金の魅力の1つといえるだろう。
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厚生年金基金のデメリット
厚生年金基金のデメリットは主に以下の2つが挙げられる。
- 手取り額が減る
- 基金が解散する可能性もある
それぞれ紹介していく。
手取り額が減る
厚生年金基金は厚生年金と同様に、給料から差し引かれて支払うことになる。つまり受け取れる手取り額が少なくなるので注意が必要だ。
将来金額が増えるといっても、現状の収入を下げたくないという方にとってはデメリットとなり得る。
基金が解散する可能性もある
厚生年金基金は国ではなく企業が運営しているので、解散する可能性もある。既に支払っていた金額のうち、資金は一時的に国に回されて将来的に厚生年金として受け取ったり、解散時に一時金を受け取ったりする。
支払った資金が全部戻ってこないというわけではないが、解散してしまった場合には手続きの手間が増える。さらにその運用状況や解散しないかどうかを都度気にしなければならないため、加入前には解散の可能性を念頭に置いておこう。
厚生年金基金を有効活用して将来に備えて
厚生年金基金の運用収益は非課税となる。通常20%近くの税金を支払わなければならないので、運用したいという方にとってはかなりメリットといえるだろう。ただメリットと同時にデメリットも複数存在している。さらに私的年金なので、無理矢理加入する必要はない。
メリットとデメリットを総合的に判断し、将来の受取額を増やしたいと考えているのであれば厚生年金基金の活用も視野に入れつつ、将来に備えてみてはいかがだろうか。
一方で、お金の悩みは多く、手続きも不安なケースは多いと思う。
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