- 投資手数料に関する知識を深めたい
- 投資手数料を抑える方法を知りたい
- リターンを最大化する戦略を立てたい
投資を行う上で、手数料について知ることは非常に大切だ。よく理解せずに高い手数料を払ってしまうと、投資リターンが減少してしまう。
本記事では、投資手数料について詳説する。手数料の基本事項から始め、投資にもたらす影響や手数料抑制の方法についても述べる。
投資の手数料はいつ、どのくらいかかるのか
投資商品を売買する際は、証券会社等の売買仲介を行う者に、それぞれが定める手数料を支払う必要がある。
ここでは、株式、投資信託を取り上げ、取引に伴う手数料について解説する。
株式投資における手数料
株式取引には、市場取引と相対取引があるが、上場株式の場合、基本的には市場取引で行われる。
その際は、証券市場に会員登録した証券会社を介して取引を行うのが通例だ。そして株式の売買をする人は、証券会社に対して、仲立ちの対価として手数料を支払うのが一般的である。
つまり、株の売買をするときは、取引が成立したとき(約定時)に、約定代金と別に、手数料(株式等売買委託手数料)を支払う必要があるのだ。
株式購入(売却)代金=約定代金(約定価格×株数)+株式等売買委託手数料
この「手数料」は、証券会社の方針や運営状況によって変動するものだ。一律に定められたものは存在しないし、同じ証券会社でも方針によっては変更になる。
この「手数料」は一概には定まっておらず、証券会社の取引形態、取引手段、取引対象などにより異なる。たとえば対面の証券会社では、約定金額に応じた体系が組まれていることが多い。
「約定ごと」の手数料は、以下の5要素の組み合わせで決まる。
① 証券会社 | 会社の方針や運営状況により変動 |
② 取引手段 | オンライン取引、対面(電話)取引 |
③ 取引対象 | 国内株式、IPO(新規上場株式)、海外株式等 |
④ 取引方法 | 現物取引、信用取引、PTS(夜間取引)等 |
⑤ 取引金額 | サービス利用程度の指標。取引金額に比例する形で手数料を設定する会社が多い。 |
しかし、オンライン証券によっては、「約定ごと」の他に「定額制」を導入していることもある。定額制では、1日あたりの取引金額に応じて手数料が算出されるので、これを選択した場合は⑤の部分が変わってくる。
たとえば松井証券では、以下のような定額制手数料を設定している。
【松井証券現物取引 手数料】(2023年6月1日現在)※25歳以下は全て0円
1日の約定代金合計金額 | 手数料(26歳以上)※ |
---|---|
50万円まで | 0円 |
100万円まで | 1,000円(税込1,100円) |
200万円まで | 2,000円(税込2,200円) |
100万円増えるとごに1,100円(税込)加算 | |
1億円超 | 100,000円(税込110,000円)(上限) |
投資信託の手数料
投資信託の手数料は、購入時、保有期間中、売却時にそれぞれ発生する。
購入時手数料(販売手数料)
投資信託を購入する際に必要なのは、購入時手数料(販売手数料、購入金額の数%が目安)である。購入時手数料は、まったく同じ投資信託でも販売会社によって異なるため注意が必要。対面型金融機関は高く、ネット証券では安いのが一般的な傾向だ。
信託報酬等
「信託報酬(運用管理費用)」は、投資信託の管理や運用のための費用である。相場は、0.5%から2.0%ほどと言われている。資産総額に対して、信託報酬率(%)を乗算して算出され、基準価額を計算する際に信託財産から毎日差し引かれる。
信託報酬(年率)は、目論見書に年率で記載されている。たとえば10万円のAファンド(信託報酬0.55% 税込)を1年間保有したとすると、1年で支払う報酬は【10万円×0.55%=550円】とざっくりと把握できる。
これ以外にも監査報酬(決算期の監査にかかる費用)や売買委託手数料(運用のなかで債券や株式の売買時に発生する費用)がある。一般的にそれほど多くの額を負担するわけではないが、各ファンドのホームページや目論見書等を確認しておくことをお勧めする。
信託財産留保額、換金時手数料
投資信託の売却時にかかるコストは、「信託財産留保額」と「換金時手数料」の2種類だ。
信託財産留保額は、投資信託を売却したときに発生する費用で、「基準価額の何%」と定められた金額が売却代金から差し引かれる。換金時手数料は、投資信託を売却した際に発生する、事務手続きにかかる直接負担のコストである。
手数料が投資成果に与える影響
全ての投資には手数料がかかる。
たとえ少額に感じられる金額でも、たとえ払った意識が希薄でも、積み重なれば大きな金額になり、投資リターンを食い潰す。
ここでは、手数料が成果に与える影響について確認する。特に、長期保有されることが多く、手数料が見えにくい投資信託の信託報酬を例にとって説明する。
手数料の高さが投資リターンに与える影響
以下は、100万円で日本株式ファンドAをを購入し、2016年5月から2017年5月まで保有した場合のシミュレーション結果だ。
信託報酬率 | 信託報酬額(税込) | 運用損益(信託報酬控除後) |
---|---|---|
0.2% | 2,185円 | 208,078円 |
0.5% | 5,463円 | 204,463円 |
1.0% | 10,925円 | 198,437円 |
1.5% | 16,386円 | 192,412円 |
信託報酬率0.2%と1,5%では、信託報酬で14,201円、運用損益で15,666円の差を産む。当たり前だが、運用期間が1年であっても、信託報酬は安いに越したことはない。
長期投資における手数料の重要性
次に、金額と商品は変えずに(100万円、日本株式ファンドA)、期間を2011年12月から2017年5月までに変えてみた。結果は以下の通りである。
信託報酬率 | 信託報酬額(税込) | 運用損益(信託報酬控除後) |
---|---|---|
0.2% | 19,073円 | 1,334,340円 |
0.5% | 47,325円 | 1,297,152円 |
1.0% | 93,473円 | 1,236,243円 |
1.5% | 138,464円 | 1,176,652円 |
手数料は、投資リターンとともに複利で加算される。資産が増えればそれだけ、手数料も増えていく。
上記の例は5年半ほどの運用期間だが、仮に25年や30年といった超長期で投資をするのであれば、手数料の違いは明らかに、投資リターンを蝕むものとなる。
投資手数料を抑える方法
投資手数料を安く抑える方法は、投資商品により様々にある。ここでは、実行しやすい簡単な方法のみ列挙しておく。
オンライン証券会社を利用する
野村證券や大和証券のような証券会社と比較すると、楽天証券やSBI証券などのネット証券の手数料は安く設定されている。
手数料を抑えるという観点から真っ先に検討すべきことは、ネット証券を利用するということであることは間違いない。
自分の投資スタイルに合ったプランを選ぶ
株式投資における手数料の項で、「約定ごと」と「定額制」の料金プランがあると紹介した。たとえば、1日の注文回数が少ない人なら「約定ごと」の方が手数料を抑えられる。まずは、自分の投資スタイルを見直してみよう。
目論見書を見る
投資信託を選ぶ際に忘れてはならないのが、目論見書の手数料の記載を確認することだ。見るだけで安くなるわけではないが、少なくとも、手数料が割高な投資信託の購入は回避できる。
ノーロードや信託財産留保額がない商品を選ぶ
ネット証券の中には、投資信託の購入時手数料無料(ノーロード)や、信託財産留保額が無料の商品を扱うところも増えている。これを利用するのも、費用を抑えることにつながる。
インデックスファンドを検討する
投資信託は運用方法によって「インデックス型」と「アクティブ型」に分類されるが、運用管理費用は一般的に、アクティブファンドよりインデックスファンドのほうが低い。
新NISAでつみたて投資枠の対象商品を選ぶ
2024年から開始した新NISAでは、つみたて投資枠のすべての対象商品が購入時手数料無料だ。また、ノーロードの投資信託の取り扱いもある。売却益や分配金等が非課税になるといった税制メリットがあるので要検討だ。
投資成果を目指すならIFAに相談しよう
投資手数料の抑制によるリターン最大化という観点でも、IFAの活用は非常にお勧めだ。
ここでは、IFA活用のメリットについて説明したい。
IFAだからできる「最適なアドバイス」
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、顧客の資産運用をサポートする専門家だ。
IFAはその名のとおり、独立した立場からアドバイスを行う金融の専門家だから、「手数料が安い証券会社を選びたい」とか「手数料が安くて良い投資信託を選びたい」などの要望に的確なアドバイスができる。
ノルマや所属機関での立場から離れて、顧客に最も適した提案をすることができるのがIFAなのだ。
IFAならではの「投資戦略からの商品選定」
これまでみてきたように、手数料を抑えることは、投資成果に大きく影響する。しかし、ただ手数料が安いからという観点のみで投資商品を選ぶことは、安定的な資産形成には繋がらない。
長期的に良い投資を行うためには、資産状況や運用の目標を分析し、投資戦略から判断すべきだ。IFAは、各投資家の資産運用の目標、リスクの許容度、投資嗜好を個別に評価し、ニーズに合致した投資戦略の立案を行うことが可能である。
そのうえで投資商品を選定すれば、自身の戦略からも乖離せず、また定期的なフォローアップも受けることができる。
IFAが提供する継続的なサポート
また、IFAは顧客に対して継続的なサポートを提供する。IFAが提供するのは、「手数料はどこが安いか」などの直接的な情報だけではない。投資判断に付きまとう懸念や疑問を減らし、市場の変動に対処できるよう支援する。
もちろん、顧客のポートフォリオを継続的に監視して、戦略の調整も行う。IFAなら市場の動向と顧客の経済状況の変化の両方に綿密に対応できる。
IFAを活用して投資リターンの最大化を目指そう
本記事では、投資手数料の基本や種類、その影響やコストを抑える方法について解説した。
手数料は投資成果に直接的に影響するものだが、これを抑制してリターンを最大化するのは、思いのほか難しい。こうした小さなテーマから、IFAに相談してみてはどうだろう。
まずは、「資産運用ナビ」を利用して、あなたにピッタリのIFAを探してみて欲しい。