- ETFや投資信託で運用する場合にかかる手数料の種類を知りたい
- ETFと投資信託の手数料を比較したい
- 結局どちらを選んで運用すべきか把握したい
ETFと投資信託はどちらも手軽に分散効果を得られる魅力的な商品だが、特徴や手数料の面で違いがある。
特に手数料については運用パフォーマンスに影響する部分であるため、事前に比較しておくことが大切だ。
本記事では、ETF・投資信託で発生する手数料の比較や各商品のメリットを紹介していく。
「ETFと投資信託のどちらに投資すべきか悩んでいる」という方は、ぜひ本記事を参考に最適な運用方法を選択していこう。
比較の前に!ETF・投資信託で発生する手数料を解説
ETFと投資信託は、いずれも以下の3つの場面で手数料が発生する。
- 購入時
- 運用期間中
- 売却時
それぞれの手数料を確認していこう。
購入時にかかる手数料
まず、ETF・投資信託は購入時に手数料がかかる。
ETFの場合、購入時の手数料は「購入時手数料」と呼ばれ、取引を行う証券会社によって手数料の水準が異なる。
取引1回の約定金額や1日の約定金額の合計額をもとに手数料が引かれる仕組みだが、近年はネット証券で手数料無料で取引できるケースも出てきている。
投資信託の場合、購入時の手数料は「購入時手数料」と呼ばれ、「購入金額の◯%」という形で一定の割合を販売会社に支払う仕組みだ。
商品や販売会社によっては購入時手数料が無料のケースもある。
運用期間中にかかる手数料
ETFや投資信託は、購入した後の運用期間中にも手数料が発生する。
いずれの場合も「信託報酬」と呼ばれ、一定の割合で手数料が引かれている。
信託報酬の場合、購入時・売却時の手数料とは違って売買代金や口座から引かれる仕組みではない。
ETF・投資信託の「純資産総額」から控除されているため、間接的に手数料を支払っているという形だ。
ETF・投資信託の基準価額は、すでに信託報酬が差し引かれた後の金額であることを頭に入れておこう。
売却時にかかる手数料
ETFの場合は「取引手数料」と呼ばれ、約定金額をもとに計算される。
基本的に購入時の手数料と同じルールが適用されるため、購入時・売却時の手数料がともにかからないケースもある。
投資信託の場合、売却時の手数料は「信託財産留保額」と呼ばれ、「売却金額の◯%」という形で引かれる仕組みだ。
ただし信託財産留保額が設定されていないケースもあるため、事前によく確認しておこう。
ETFと投資信託の手数料はどれくらい違う?実際の商品で比較しよう
ここまでETFと投資信託の手数料について解説してきたが、どちらの方がコストを抑えて運用できるのだろうか。
次に、ETFと投資信託の手数料を比較する際に押さえておきたいポイントを解説していく。
ETFと投資信託の手数料を比較
ETFの投資信託の手数料について、実際の商品で比較していこう。
ここでは、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額・売却時(解約時)手数料を比べていく。
まず、米国株式の代表的な指数であるS&P500を参照するETFおよび投資信託の手数料は下記の通りだ。
分類 | ETF | 投資信託 |
---|---|---|
銘柄名 | iシェアーズS&P500米国株ETF | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
購入時手数料 | 証券会社によって異なる | なし |
信託報酬(税込) | 年0.066%程度 | 年率0.09372%以内 |
信託財産留保額 | なし | なし |
売却時手数料 | 証券会社によって異なる | なし |
出典:三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
ETFの場合、購入時や売却時に証券会社が定めた手数料が別途必要となる。
ネット証券などでは売買手数料を無料としている会社も多い。
運用期間中にかかる信託報酬は、どちらもそれほど高くないものの、ややETFの方が低めに設定されている。
次に、日経平均を参照するETFと投資信託の手数料を比較してみよう。
分類 | ETF | 投資信託 |
---|---|---|
銘柄名 | NEXT FUNDS日経225連動型上場投信 | ニッセイ日経平均インデックスファンド |
購入時手数料 | 証券会社によって異なる | なし |
信託報酬(税込) | 年0.11077% | 年率0.143%以内 |
信託財産留保額 | なし | なし |
売却時手数料 | 証券会社によって異なる | なし |
出典:ニッセイアセットマネジメント株式会社 ニッセイ日経平均インデックスファンド
日経平均株価を対象とするETFと投資信託を比べた場合も、やはりETFの方が信託報酬が安い傾向がある。
最後に、全世界の株式を対象とするMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動するETFおよび投資信託を比べてみる。
分類 | ETF | 投資信託 |
---|---|---|
銘柄名 | NEXT FUNDS日経225連動型上場投信 | eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) |
購入時手数料 | 証券会社によって異なる | なし |
信託報酬(税込) | 年0.0858% | 年率0.05775%以内 |
信託財産留保額 | なし | なし |
売却時手数料 | 証券会社によって異なる | なし |
出典:三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動するETF・投資信託は、投資信託の方がやや信託報酬が安かった。
基本的に、ETFの方が投資信託に比べて信託報酬が安い傾向があるものの、銘柄によっては投資信託の方が安い場合もあるため、しっかりと比較するようにしよう。
ETFの手数料が投資信託と比較して安い理由
ETFの信託報酬は、投資信託と比べて安くなりやすい。
理由としては、信託報酬を分配する先がETFと投資信託とでは異なるためだ。
投資信託の信託報酬は、証券会社や銀行などの投資信託の販売会社、投資信託の運用を行う運用会社、投資家から預かった資金を管理する信託銀行の3つに分配される。
しかし、ETFの場合は取引所に上場しているため、販売会社に支払う手数料分が必要ではなく、その分信託報酬を抑えられる傾向にある。
手数料をだけを判断基準にしない
ここまで解説した通り、手数料という面ではETFの方が投資信託に勝るケースが多い。
しかし、実際に運用商品を決めるにあたっては、手数料だけで判断すべきとはいえない。
ETFと投資信託の特に大きな違いは、上場しているかどうかという点だ。
ETFは取引所に上場しているが、投資信託は上場していない。
そのため、ETFは取引時間内はいつでも取引所を介して売買できるが、投資信託は市場の取引時間にかかわらず証券会社や銀行などが定める時間内で取引を行う。
取引所で取引されるETFは、取引時間内はリアルタイムで価格が変動するのも特徴だ。
大きなニュースが出て価格が変動するタイミングでも、売買動向や価格の様子を見ながら機動的に取引の判断ができる。株式と同様に指値注文もできるため、希望価格での取引も行いやすい。
一方、投資信託の価格は1日1回となり、約定価格がわかるのは翌営業日以降となる。指値での注文ももちろんできない。
また、商品種類の多さもETFと投資信託とでは異なる。
ETFの種類は約300銘柄であるのに対して、一般的に購入できる投資信託の本数は6,000銘柄近くにも及ぶ。
このように、ETFと投資信託は手数料以外にも異なる特徴を持っている。
取扱商品の豊富さや、リアルタイムで注文ができるか、積立投資に対応しているかなど複数の観点から比較して、自分に適した商品を検討しよう。
手数料以外も比較して決めよう!ETFと投資信託はどちらを選ぶべきなのか
ここまで、ETFと投資信託の手数料について比較してきたが、実際にどちらを選ぶべきか悩む方も多いだろう。
手数料以外の比較ポイントも踏まえた上で、ETF、投資信託のそれぞれの投資方法がおすすめな人について解説していく。
ETFと投資信託を併用するポイントについても紹介するため、両方に興味があるという方もチェックしてみてほしい。
ETFがおすすめな人
ETFがおすすめなのは、リアルタイムで価格を見ながら機動的に売買したい人や短期取引でリターンを得たい人だ。
1日1回定められた基準価額によって売買する投資信託に対して、ETFは証券取引所の取引時間内であればリアルタイムで売買できる。
株式と同じように指値注文をしたり、短期的な値動きを狙って取引したりと、比較的自由な取引が実現できるのもETFの特徴だ。
信託報酬も投資信託に比べるとわずかに低いため、低コストで運用できる点も魅力だ。
株式と同じようにスピーディーな取引を希望する方は、投資信託よりもETFの方が適している可能性がある。
投資信託がおすすめな人
投資信託がおすすめなのは、幅広い選択肢の中から自分に適した銘柄を選びたい人や、積立投資を行いたい人だ。
金融機関によるが、2,500種類以上もの投資信託を取り扱っている証券会社もあり、ETFよりも幅広い選択肢の名から商品を選べるというメリットがある。
指数に連動するインデックスファンドだけではなく、指数の動きを上回る成果を目指すアクティブファンドの中からも投資銘柄を選べるため、多様な投資ニーズにも柔軟に対応できるのが特徴だ。
また、ETFの積立投資に対応していない金融機関も多いが、投資信託の積立投資には多くの金融機関が対応している。
NISAのつみたて投資枠を活用したい方も、投資信託の方が投資商品を選びやすいだろう。
併用による効率的な運用
ETFと投資信託を併用して運用していくのも、戦略のひとつとしておすすめできる。
投資信託の積立を継続しつつ、タイミングを狙ってETFを売買するという方法だ。
投資信託の積立は長期の資産形成において非常に効果的であり、リスクもある程度抑え込むことができる。
時間をかけてじっくり資産を築くための土台として投資信託の積立を活用しよう。
一方のETFはリアルタイムで売買でき、指値注文を入れることもできるため、価格が下落するタイミングを狙いやすい。
価格の下落局面で余剰資金をETFに投資することで、投資信託の積立とは別のアプローチからリターンを狙いに行くのだ。
投資信託の積立をベースにしつつ、余剰資金をETFに投資するという戦略も視野に入れてみよう。
ETFと投資信託を比較するなら誰に相談するべき?
ETFと投資信託の手数料や特徴を比較する際は、専門家に相談しながら適切な運用商品を選ぶようにしよう。
ここでは、専門家に相談すべき理由や、おすすめの相談先について解説する。
ETFと投資信託の比較について専門家に相談するべき理由
ETFと投資信託を比較する場合は、手数料の違いだけでなく、商品種類の豊富さや積立投資のしやすさ、リアルタイム売買の可否などさまざまな点について検討を行う必要がある。
どちらの運用商品が良い・悪いというわけではなく、自分の運用ニーズに適した運用商品を選ぶことが重要だ。
ただし、自分の運用ニーズやリスク許容度を正しく判断した上で、適切な運用商品を選ぶのは投資初心者では難しい可能性がある。
ETFの種類は約300銘柄、投資信託の種類は約6,000銘柄にも及ぶため、膨大な数の中から自分に適した商品をどのように選べば良いか迷ってしまう方は多いだろう。
資産運用の専門家に相談することで、商品の運用方針や過去のパフォーマンス、現在の景気動向なども踏まえつつ、最適な商品を選びやすくなる。
ETFと投資信託を比較するならIFAがおすすめ
ETFと投資信託のどちらを選ぶべきか悩んでいるのであれば、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)への相談をおすすめする。
IFAは金融・資産運用のプロフェッショナルであり、高度な専門知識や豊富な経験を備えている。
そのため、的確な投資判断や商品選びをサポートしてくれる点が大きなメリットと言えるだろう。
すべてのIFAは、金融商品仲介業者としての登録を受けているため、具体的な商品提案や仲介までトータルで任せられるという点が特徴的だ。
加えて、IFAは商品の購入時だけでなく、長期間にわたって資産の見直しや運用戦略のチェックなどをフォローしてくれる。
金融機関の営業担当者と違って、会社都合の転勤や異動が原則発生しないため、運用開始後も状況に応じた運用方針の見直しを相談できる。
信頼できるパートナーとして、長期にわたって関係を築いていける点も、IFAに相談するメリットの一つだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用
IFAへの相談を検討する際は、IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用がおすすめだ。
「資産運用ナビ」は、IFAを探す投資家と全国のIFAを繋ぎ合わせるマッチングサービスで、年齢や住まいなどの必要項目を入力すると、自動的に最適なアドバイザーが検索される。
検索されたアドバイザーの経歴や実績などは、個別のプロフィールページからチェックできるため、納得の上で面談を申し込めるという点がメリットだ。
相談料は無料となっていて、自宅や勤務先近く、オンラインなど都合の良い場所で相談できるため、忙しい方にも利用しやすいだろう。
興味のある方は、ぜひこの機会にIFA検索サービス「資産運用ナビ」を利用してみてほしい。
ETFと投資信託の手数料を比較して自分に最適な資産運用方法を見つけよう
本記事では、ETF・投資信託の手数料を比較しながら紹介してきた。
いずれも購入時・運用期間中・売却時に手数料が発生し、全体的なコストはETFの方が低い傾向にある。
しかし手数料だけでなく、運用方針や過去のパフォーマンスなどを比較した上で、投資する商品を選ぶことが大切だ。
また、IFAに相談することで専門知識に基づいた投資判断や総合的なファイナンシャルプランニングの支援など、さまざまなメリットが得られる。
資産運用について悩みがある方はIFAに相談してみよう。
「資産運用ナビ」では投資家とIFAのマッチングサービスを提供している。
信頼できるIFAを探し、自身のライフプランや運用計画についての相談をしてみてはいかがだろうか。