- 投資信託のリスクを管理して失敗を防ぎたい
- 投資信託の運用でよく起こる失敗例を知って参考にしたい
- 投資信託の選び方を理解したい
投資信託は資産運用の有力な選択肢だが、いくつものリスクがあることも事実である。
本記事では、投資信託に潜むリスクとその管理法、さらに投資信託選びのポイントを解説する。
価格変動リスク、流動性リスク、カントリーリスクなどのリスクを理解し、長期・分散投資などの対策を実行することで、失敗を避けることができるはずだ。
投資目的に合った投資信託を選び、リスクを適切に管理することが重要となる。
投資信託で失敗しないために!まずはリスクを理解しよう
投資信託にはさまざまなリスクが潜んでいる。
投資に際してはこれらのリスクを正しく理解し、適切に管理することが非常に重要となるだろう。
価格変動・為替変動リスク
投資信託は一般に、株式、債券、不動産などさまざまな資産に投資を行っている。
これらの資産の価格は常に変動しており、価格が下落した場合には投資信託の基準価額も下がってしまうリスクがある。
とくに、ある特定の種類の商品への投資に偏りがある場合、その商品の値動きに大きく影響を受けてしまう。
たとえば、株式への投資割合が高いと、株価が動くことで基準価額は変動するだろう。
また、債券の場合は、金利動向によって基準価額が変動することになるし、経済情勢の変化によっても、投資信託が保有する資産の価値が変動する可能性がある。
さらに、外国の有価証券に投資する場合は為替変動リスクも加わる。
投資対象国の通貨高による為替差損が生じると、基準価額が下がってしまう可能性もある。
投資信託には、価格変動リスクや為替変動リスクがあることをきちんと理解しておこう。
流動性リスク
投資信託における流動性リスクとは、市場で希望する価格で投資信託を売買できない可能性を指す。
これは、以下の2つの要因によって発生する。
市場規模・取引量の少なさ
市場規模や取引量が小さい投資信託の場合、希望する価格で売買相手が見つからず、取引が成立しない可能性がある。
とくに、新興市場や小規模な市場に投資する投資信託は、流動性リスクが高くなるだろう。
市場全体の混乱
市場全体が暴落するなどの混乱時には、投資家心理が悪化し、多くの投資家が同時に失望売りを出すことがある。
この状況では、市場価格が大きく下落し、希望する価格で売買できない可能性が高くなるはずだ。
希望するタイミングや価格で売買できなくなると、流動性リスクを回避するため、市場価格よりも不利な価格で取引を行うこともあり、さらに運用コストが増加する可能性も考えられる。
カントリーリスク
投資信託におけるカントリーリスクとは、特定の国や地域に関連するリスクのことだ。
その国や地域に関連するさまざまな要因が、投資信託のパフォーマンスに影響を与えてしまう。
以下にカントリーリスクの主な要因を説明しよう。
政治リスク
特定の国や地域で政治的に不安定な状況に陥ったり、政策の変化があったりした場合、投資信託の運用に影響を与える可能性がある。
経済リスク
国や地域の経済的な状況や成長率、インフレ率などが投資信託に影響を与える要因のことを指す。
景気後退や通貨価値の低下などが、経済リスクの例である。
市場リスク
特定の国や地域の株式市場や債券市場の動向が、投資信託に影響を与えるリスクを指す。
市場変動や価格変動が、投資信託のパフォーマンスに反映される。
その他、カントリーリスクとして、法規制や税制の変化などが影響することもあるだろう。
投資信託には上記のようなさまざまなリスクが内在しているため、投資に際してはこれらのリスクを十分に理解したうえで、適切なリスク管理が必要となる。
投資信託で失敗しないための適切なリスク管理法
投資に伴うリスクを最小限に抑えるためには、適切なリスク管理が不可欠である。
それは投資信託の場合も同じだ。
投資対象の選定、長期・分散投資の実践、分配金の取り扱いなど、多くの観点からリスク管理を行わなければならない。
投資リスクとリターンのバランスを把握し、自身の投資目的に合った投資スタンスを維持することが大切となる。
投資対象によるリスク・リターンの変化
投資対象の資産によって、リスクの度合いとそこから得られるリターンの水準が変わってくる。
一般的に、
- 株式投資は比較的リスクが高いが、高いリターンが期待できる
- 債券投資は株式に比べリスクは低いものの、リターンも控えめになる
- 預金などの安全資産は元本が保証されているためリスクは最も低いが、リターンも限られている
とされている。
ここからもわかるように、投資におけるリスクとリターンにはトレードオフの関係がある。
リスクが高ければ高いほど、期待リターンは高くなる傾向にある。
しかしすべてがそうなるとは限らず、高リスクを取っているにもかかわらず、リスクに見合ったリターンが得られない場合も少なくない。
そのため、自身の投資目的に合わせて、適切なリスク水準の投資対象を選ぶ必要があるのだ。
老後の生活費のために長期間をかけて資金を作る場合は、若年層では比較的リスクの高い投資で高リターンを狙う一方、子供の教育資金を作る場合は安全性を重視した投資を行うなど、目的に合わせて投資対象を使い分けるとよいだろう。
長期・分散投資の実行
価格変動リスクに対しては、長期的な視点で運用を行うことでリスクを低減することができる。
個別株への投資など短期的な値上がり益のみを狙って頻繁に売買を行うのではなく、投資信託による長期投資を大前提に、複利効果を最大限に活用することが大切だ。
また、投資信託では一つの銘柄のみに投資するのではなく、複数の銘柄や資産に分散投資を行うことで、リスクを適切に管理することができる。
分散投資では、ある一つの銘柄や資産の価格が下落しても、他の銘柄での値上がり益でカバーできる可能性もある。
複数の資産に投資を分散させることで、一つの資産の値下がりリスクを他の資産で相殺できるからだ。
分散投資の実践により、ポートフォリオ全体の下落リスクを最小限に抑えることができるだろう。
分配金が受け取れる投資信託のデメリットと適切な管理法
投資信託には、定期的(半年や1年ごとなど)に分配金が支払われるものと、売却するまで分配金がなく自動で再投資されるものの二種類がある。
分配金がある投資信託では、運用によって得られた利益を、分配金として受け取ることができる。
半年や一年ごとに、臨時収入を受け取れるため、おトク感は高いかもしれない。
だが、この分配金は投資信託の純資産を減らす要因になることを認識しておく必要があるだろう。
分配金がなく再投資するタイプは、その分が自動で元本に組み込まれることになるため、追加の出資なしで投資元本を増やすことにつながる。
今後も運用が好調であれば、投資元本が増えると複利効果によりさらに資産を増やすことができるだろう。
つまり、目先のわずかな分配金を受け取ることを選ぶと、将来の大きな運用益を逃す可能性があるということだ。
このように、投資信託の分配金には、それぞれメリット・デメリットがあるため、自身の投資目的に合わせて適切に管理する必要がある。
長期投資を目指す場合は、分配金がなく再投資に回すタイプのものを選び、一定期間で売却を検討する場合は分配金ありのものを選ぶ、といった具合に使い分けるのがよいだろう。
失敗しないために!投資信託選びのポイント
投資信託は多種多様な商品が存在するため、自身の投資目的にあった投資信託を選ぶことが重要となる。
投資信託にはメリットとデメリットがあり選び方を間違えると、期待したリターンが得られなかったり、過度のリスクを負ってしまう可能性がある。
投資信託を選ぶ際は、以下の3点に留意しよう。
運用方針
投資信託の運用方針は、どの資産に投資するか(投資対象資産)や、どのようなスタイルで運用するか(運用スタイル)を検討しよう。
まず、投資対象資産として、株式、債券、不動産など、どの資産クラスに投資するかを決める。
同一資産クラス内でも、国内株式、海外株式、国内債券、先進国債券、新興国債券など多くの選択肢がある。
また、運用スタイルとして、アクティブ運用の投資信託かパッシブ運用の投資信託かを決めよう。
アクティブ運用とは、ファンドマネージャーが積極的に銘柄選定を行い、パフォーマンスを追求するタイプのものだ。
一方パッシブ運用は指数に連動する運用を行い、コストを抑えながら市場全体の動向に追随するものだ。
通常、インデックスファンドがこれに該当する。
投資信託はこれらの運用方針の違いにより、リスク特性やリターン特性が大きく異なってくる。
たとえば、米国株式を中心に投資する投資信託は比較的リスクが高く変動が大きいものの、高いリターンが期待できる。
一方、国内債券に投資する投資信託は安全性が高い代わりに、期待リターンは控えめになる。
自身の投資目的(老後資金の積み立てなのか教育資金の準備なのか)に見合った、適切な運用方針の投資信託を選ぶ必要があるだろう。
コスト
投資信託のコストとは、手数料のことだ。
投資信託を購入する時にかかるのが購入時手数料、保有している時にかかる手数料が信託報酬、売却時には信託財産留保額と呼ばれる手数料が、それぞれかかる。
ただ、最近の投資信託では、購入時手数料はすべて無料、信託財産留保額も無料のものが多いため、運用コストとして意識すべきものは信託報酬がメインとなる。
信託報酬は、投資信託を保有し続ける限り差し引かれる手数料であり、運用会社の利益となるものだ。
最も低いものは0.05%程度から、高くなると2%程度の信託報酬が設定されている投資信託もあるため、投資信託を選ぶ際は、必ずこの信託報酬の割合を確認するようにしよう。
長期投資の場合は、たとえ1%の差でも最終的な運用成績に大きく影響してくるからだ。
無駄に多くを払うことのないよう、必ず確認するようにしたい。
運用実績
投資信託の運用実績は、過去の基準価額の推移や純資産総額の変化、リターン(利回り)などから確認することができる。
基準価額がしっかり値上がりしており、純資産総額が増加基調にあれば、その投資信託の運用がうまく行われている証しと考えていいだろう。
ただ、過去の運用実績は必ずしも将来の成果を約束するものではない。
いくら優れた過去の運用実績があっても、今後の運用でリターンが出ない可能性も当然ある。
過去の実績は参考程度にとどめ、長期的な視点から総合的に検討しよう。
加えて、設定来の運用年数が短い投資信託では実績の判断が難しい面もある。
目安として、設定から5年以上経過している投資信託を選ぶのがいいだろう。
以上の3点を意識して、自身の投資目標に合った投資信託を選ぶことが、失敗を避けるためのポイントとなる。
運用方針、コスト、運用実績を確認し、総合的に最適な投資信託を探すことが大切だ。
投資信託の運用で失敗しないためには誰に相談するべき?
投資信託による資産運用を始める際、自分一人で情報収集と知識を習得しながら進めるのも良いが、専門家から適切なアドバイスを得ることも重要なはず。
リスクを最小限に抑えながら最適な投資戦略を構築するためにも、専門家のサポートを受けることも考慮したい。
投資信託を活用した資産運用における専門家の重要性
投資信託を活用した資産運用は、長期的な視点とリスク管理が必要不可欠となる。
また、個々のニーズや目標に合わせて、柔軟な戦略の構築が必要だ。
だが、一般には資産運用に関する専門知識が不足していることが多く、自身で最適な運用方法を見極めるのは困難である。
そこで、客観的な立場から、中立的なアドバイスができる専門家に相談することが必要となる。
運用の専門家は市場動向や投資戦略に精通しており、投資家が適切な判断を行うためのアドバイスを提供してくれる。
また、リスク管理や資産配分の最適化など、専門家が提供する情報は資産運用における成功に直結するだろう。
IFAの役割とメリット
資産運用の専門家として、最近注目が高まっているのが「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」だ。
金融機関の社員と違って、IFAは独立した立場からクライアントに対して最適なアドバイスを提供する専門家のこと。
彼らは広範な知識と経験を持ち、クライアントのニーズに応じた個別の投資戦略を策定してくれる。
一般にIFAは顧客の利益を最優先に考えたうえで、客観的なアドバイスを提供することで信頼を築いている。
また、IFAは複数の金融機関のさまざまな商品情報を把握しており。
幅広い選択肢のなかからあなたにとって最適な投資信託を選定することができる。
安定的かつ効率的な資産運用を実現するため、IFAを活用することをおすすめしたい。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法と利用推奨
ただ、IFAを選ぶ際には、信頼性や実績、価値観の合致などさまざまな要素を考慮する必要があるだろう。
そこで活用できるのがIFA検索サービスの「資産運用ナビ」だ。
このサービスはクライアントとIFAをマッチングし、信頼性の高い専門家を紹介する役割を担ってくれる。
クライアントは自身のニーズや要望に合ったIFAを選択することができ、資産運用を順当に進めることができるはずだ。
上手く「資産運用ナビ」を活用し、適切なIFAを選んでほしい。
リスクを理解して投資信託で失敗しない運用を目指そう
この記事では、投資信託で起こりうる価格変動・為替変動リスク、流動性リスク、カントリーリスクなどのリスクを整理して解説した。
そのうえで、投資信託のリスクを適切に管理する方法や失敗しない投資信託の選び方についても、詳しく説明した。
なお、投資信託を活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることをおすすめしたい。
とくにIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれるはずだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAを見つけてほしい。