- 投資リターンの種類や仕組みを理解したい
- リスクとリターンの関係を知りたい
投資リターンとは何か。投資においては投資リターンを知り、投資目的を明確にすることが重要である。そのため、投資をする前に投資リターンについて理解を深め、投資判断の基礎としたい。
これから投資の稼ぎ方を勉強する人や、すでに投資をしている人も含め、投資リターンについて深く調べていないのではないだろうか。
そこでこの記事では、投資リターンの定義と投資リターンの計算方法について解説する。
投資リターンとは何か?
投資リターンについて解説する。投資リターンを理解し、投資の目標を明確にして、投資スタイルを曲げないようにしたい。
投資リターンの重要性と計算方法も合わせて紹介する。
投資リターンの定義
個別株を例にすると、個別株の価格は日々変動しており、価格の安いときに購入し、高いときに売却すれば、差額が利益となる。また定期的に受け取れる配当金も利益である。
前者をキャピタルゲイン、後者をインカムゲインといい、おもな投資リターンである。このほか、外貨建て商品で発生する為替差益もリターンである。
なぜ投資においてリターンを定めるべきなのか
投資で成果を得るためには、投資目的を明確にする必要があり、その際、ターゲットにする投資リターンを決めなければならない。
たとえば長期運用を基本とする場合、値上がりを目指すキャピタルゲインよりも、配当金で定期的に利益を得て、再投資するほうが適している。キャピタルゲインを得るために売却するのは、ポートフォリオを見直すときやリバランスを実施するときである。
このように、運用スタイルを決めるためにも、投資リターンを知ることが重要である。
投資リターンの計算方法
投資リターンは投資先によって異なる。投資リターンを評価するには、投資リターンを数値化し、比較するとわかりやすい。
投資リターンを比較する際に用いられるのが、年率リターンである。年率リターンは、1年間の投資額に対する利益の割合で、数値が高いほど効率的に運用していることになる。
次の章で具体的な計算方法を用いて解説する。
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3種類の投資リターンと計算方法
投資リターンには、トータルリターン、年率平均リターン、累積リターンなどがある。それぞれの特徴と計算方法を、計算例を紹介しながら解説する。
トータルリターンとは何か
前述したように、投資リターンにはキャピタルゲインとインカムゲインがある。トータルリターンとは、年間に得たすべての利益を合計したものである。具体的に計算してみる。
たとえば、年初に1万円で株式を購入し、500円の配当金を一度受け取り、年末に11000円で売却したとする。この場合の年間リターンは、
インカムゲイン 500円
キャピタルゲイン 1000円
を合計した1500円となる。
年間の投資額は1万円なので、年率リターンは、
となる。
年率平均リターンとは何か
年率平均リターンは、一定期間の年率リターンを年換算したものである。個別株や投資信託の価格は日々値動きしており、年単位ではなく中長期的に比較したい場合に年率平均リターンを用いる。
たとえば、1万円で株式を購入し、500円の配当金を年1回受け取り、10年後に15000円で売却したとする。この場合のトータルリターンは、
- インカムゲイン 500円×10年=5000円
- キャピタルゲイン 5000円
を合計した1万円となる。
年率平均リターンは、
となる。
年率リターンの場合、極端に値上がりした年の数値が高くなってしまい、評価を誤る可能性がある。年率平均リターンで比較すれば、中長期的な評価と比較が可能となる。
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累積リターンとは何か
累積リターンは、月間騰落率をもとに一定期間のリターンを数値化したものである。月間騰落率は、分配金を加えた基準価額の変化率のことである。少しわかりにくいので、具体例を挙げる。
- 1月10%
- 2月5%
- 3月▲3%
- 4月▲5%
- 5月0%
- 6月3%
- 7月2%
- 8月7%
- 9月7%
- 10月5%
- 11月3%
- 12月1%
上記の月間騰落率を掛け、1年間の累積リターンを求めると、
{(1.1×1.05×0.97×0.95×1.03×1×1.02×1.07×1.07×1.05×1.03×1.01)-1}×100
≒39.84%
となる。
税金や手数料などのコストは考慮されていないが、比較する際に有効活用できる指標のひとつである。
投資のリターンとリスクの関係
投資のリターンとリスクは計算で求められる。ここでは改めてリスクの意味を確認し、リスクとリターンの計算方法について簡単に解説する。
リスクとはリターンの振れ幅
リスクは一般的に「危険」という意味で使われる。生命保険や自動車保険などの保険分野ではこの意味だ。しかし、金融では「振れ幅」という意味で用いられる。リスクが高い商品は、大きく値下がりすることもあれば、値上がりすることもある。
リスクが高ければ大きなリターンを期待できる反面、大きく損することもある。一方、リスクが低ければ、利益も損失も小さい。この振れ幅が金融におけるリスクであり、利点・利益の意味も含まれる。
リスクとリターンの計算方法
リスクは一般的に「標準偏差」を使って算出する。標準偏差は、平均との差であるブレを数値化したもので、数値が大きいほどリスクは高い。
日本の年金保険料を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、資産区分ごとのリスクを公開している。「2021年度の管理及び運用状況」によると、各資産のリスク(標準偏差)は次のとおりだ。
- 国内債券 2.56%
- 外国債券 11.87%
- 国内株式 23.14%
- 外国株式 24.85%
また期待リターンも記載されている。前述の投資リターンは過去の実績をもとに算出した数値だが、期待リターンは、将来の経済シナリオを想定してシミュレーションした数値である。
- 国内債券 -1.6%
- 外国債券 0.3%
- 国内株式 3.3%
- 外国株式 4.9%
各資産のリスクとリターンを数値化すれば、ポートフォリオを構築する際の参考にしやすいかもしれない。
リスクを軽減する方法
前述のGPIFのリスクと期待リターンを参考にすると、外国株式と国内株式のリスクは高めである。外国株式と国内株式のみ投資すれば、期待リターンは高くなるが、値下がりする可能性もある。
そこで、リスクが低い外国債券や国内債券を組み合わせて、ポートフォリオのリスクを軽減させる。
投資リターンについて相談するなら誰が良い?
リスクとリターンを個人で計算するのは難しい。投資の専門家であるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談し、IFAが持つ知識と経験を活用するとよい。ここではIFAによる戦略について解説する。
リターンを最大化するための戦略
IFAは、投資の専門家として、リスク許容度の範囲内でリターンを最大化するための戦略を立てる。IFAに相談を申し込むと、ヒアリングが行われる。ヒアリングでは、投資の目的や目標金額、投資スタイルなどを明確にし、投資のアドバイスに活用する。
IFAが顧客のために投資戦略を立てる際には、当初実施されるヒアリングの内容が重視される。そのヒアリング結果をもとに、どのようなポートフォリオがリターンを最大化できるか検討される。
投資で高利回りを得たい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
投資で高利回り得るためにおすすめの方法から注意点まで、分かりやすく解説されている。
リスク管理の重要性
投資を長期にわたり継続していくためには、リスク管理が重要である。たとえば、リスク許容範囲内で国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産で均等に投資するとする。
長期投資の場合、上記の比率が変わり、たとえば外国株式が全体の50%を占めるようになると、リスクは高くなってしまう。投資商品一つひとつの値動きではなく、ポートフォリオ全体の値動きを定期的にチェックしつつ、リスクが高くなっているようなら、元の比率に戻してやる。
プロフェッショナルなサポートを活用する理由
リスク管理をしながら当初に決定したポートフォリオでリターンを求めるのは決して簡単ではない。国内債券の比率を高めればリスクは抑えられるが、あまりリターンに期待できない。一方、外国株式や国内株式の割合を増やせば、リスクは高くなってしまう。
顧客ごとのリスク許容度に合わせたポートフォリオを構築し、定期的にリバランスを実施するためには、投資のプロであるIFAの知識や経験が役に立つ。自分で投資比率や投資先を決める方法もあるが、不安に感じたらIFAに相談してみるとよいだろう。
リスク管理をしながら投資リターンを求めるならIFAに相談してみよう
この記事ではリスクとリターンの概要や計算方法を詳しく解説した。IFAに相談することでリスク管理やポートフォリオの最適化など専門的な知識を用いてアドバイスしてもらえる。
「資産運用ナビ」を利用してIFAとつながり、安心して資産運用をしていこう。