金融庁によって公開された老後資金2000万問題によって、実際に老後にはどれくらいの生活費が必要なのか、気になっている方は多いだろう。
老後のことだからといって、何も対策していなければ、将来困ってしまうことになる。
今回は、老後の生活費は、具体的にいくら必要なのか、老後資金準備のための2つのポイントについてわかりやすく解説していく。
老後の一人暮らしの生活費がいくら発生するか計算してみる
まずは、老後に配偶者や子供がおらず、一人暮らしであった場合、どれくらいの生活費が必要となるのか計算してみる。
一人暮らしの生活費の内訳を理解する
老後の生活費の平均といっても、考えるべき軸がなければ、値を導き出すのは非常に難しい。
そのため、総務省が公開している「高齢単身無職世帯の家計収支-2019-」のデータを参照してみる。
総務省「高齢単身無職世帯の家計収支-2019-」のデータによると、高齢者の一人暮らしの平均的収入は、毎月12万4710円であることがわかる。
そのうち、可処分所得は、11万2649円となる。可処分所得とは、自分が自由に使うことができるお金のことだ。
一般的には、収入から社会保険料、税金などを引き算し、その値を求めていく。
一方で、支出平均は、13万9739円となっている。
一人暮らしの生活費の平均とは?
支出平均から可処分所得を引き算すると、一人暮らしの生活費の実態が簡単にわかる。
この場合、一人暮らしの生活費は毎月2万7090円ものお金が不足していることがわかる。
つまり、マイナスということだ。この値を毎月の平均的収入にプラスしてみる。
つまり、毎月15万1800円が一人暮らしの生活費の平均と考えて良いだろう。
毎月15万1800円の所得があれば、家計がマイナスになることなく老後を安心して暮らせる。
老後の夫婦二人暮らしの生活費がいくら発生するか計算してみる
一方で、結婚しており、夫婦二人暮らしであった場合、どれくらいの生活費が必要となるのか計算してみよう。
総務省「高齢夫婦無職世帯の家計収支-2019-」のデータを参照してみると、高齢者の夫婦二人暮らしの平均的収入は、毎月23万7659円であることがわかる。
そのうち、可処分所得は、20万6678円となる。一方で、支出平均は、23万9947円となっている。
夫婦二人暮らしの生活費の平均とは?
次に、夫婦二人暮らしの生活費の内訳から、毎月の生活費の平均を求めていく。
この場合、夫婦二人暮らしの生活費は毎月3万3269円ものお金が不足していることがわかる。この値を、一人暮らしの計算で行ったときと同様に毎月の平均的収入にプラスしてみる。
つまり、約28万円が老後の夫婦二人暮らしの生活費と考えて良いだろう。
実際に、定年退職を迎える前に、不定期の仕事で生活費をまかないながら暮らしているセミリタイアされた方々の暮らしを見ていると、月々23万円前後で暮らしていることはよくある。
そのため、老後の夫婦二人暮らしの生活費が約28万円というのは、現実的な数字といえるだろう。
老後資金準備のための3つのポイントとは?
老後の一人暮らしの生活費は約15万、夫婦二人暮らしの生活費が約28万円と知って、年をとってもそれだけ多くのお金が必要なのかと驚いた方もいらっしゃるかもしれない。
しかし、これらの将来に備えるための老後資金は、早めに準備しておくことでしっかりとした対策ができる。
次に、老後資金準備のための2つのポイントについて説明していく。
個人型確定拠出年金を利用する
個人型確定拠出年金とは、公的年金にプラスしてお金の給付を受けることができる私的年金制度のことだ。
一般的には、iDeCoと呼ばれている。
こちらは、公的年金制度とは異なるため、任意で利用することになる。実際に利用方法については、厚生労働省のiDeCoの概要に詳細が記載されているため、ぜひ参照してほしい。
個人型確定拠出年金を利用すれば、運用益を全額非課税にできる大きなメリットがある。
一般的な金融商品であれば、源泉分離課税20%の税金が発生しますが、そのすべてを運用に回すことができるため、非常に税制上優遇されている。
しかし、個人型確定拠出年金は、60歳になるまで投資資金を使うことはできないので注意が必要だ。
つみたてNISAで投資を始める
投資未経験であれば、つみたてNISAを使って、資産運用を始めてみてはどうだろうか。
つみたてNISAなら、年間40万円を20年間にわたって非課税で運用できる。
個人型確定拠出年金は、60歳になるまで投資資金を使うことはできないが、つみたてNISAならいつでもお金を使うことができる。
つみたてNISAを利用すれば、投資信託を買ってみるという経験もできるため、投資について学ぶ良いきっかけとなるだろう。
まとめ
老後の資金を考え始めているということは、そろそろ退職が近づいているということだろうか。
20歳と50歳〜60歳では、とれるリスクがまったく異なる。
絶対にやってはいけないことは、4000万や5000万というまとまったお金をリスクの高い投資商品へ投資し、すべて失ってしまうことである。
日本でも投資環境は整いつつあるが、決してすべての投資商品が安全というわけではない。
たとえば、リスクが低いといわれている投資信託でも、投資家へ注意喚起が行われるようなリスクの高い銘柄も存在する。
そのため、老後の生活費を安定させるため、自分だけのポートフォリオを組むことを考えているのであれば、ぜひ専門家へ相談してほしい。
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