- ヘッジファンドの運用戦略について詳しく知りたい
- ヘッジファンドの魅力について知りたい
- どのファンドを選べばいいのかが分からない
投資信託とは、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめて、運用のプロが株や債券などに投資を行う仕組みの金融商品のことだ。
ヘッジファンドは、さまざまな運用戦略を用いて機動的に取引を行いながら、積極的に利益を目指す私募ファンドだ。
公募投資信託と違って、一般の投資家に広く販売されることがないため、具体的な運用戦略やヘッジファンドの選び方を詳しく知っているという方は少ないかもしれない。
今回の記事では、ヘッジファンドの魅力や運用戦略の種類、ヘッジファンドに投資する際のポイントなどを詳しく解説する。
ヘッジファンドの魅力とは
まずは、ヘッジファンドに投資する魅力をチェックしていこう。
高い利益追求力
ヘッジファンドは、市場が上げ下げすることによるリスクを抑えて、積極的にリターンを目指すことを目的としている。
一般的な株式投資では、今後値上がりが予想される銘柄や資産に投資を行う。
予測通りに株価が上昇すれば値上がり分を利益として受け取れるが、予想に反して株価が下落するとその分は損失となる。
しかし、ヘッジファンドは市場が下落局面にある場合も利益を追求するため、どんな相場であってもリターンを期待できるという魅力を有する。
さまざまな運用戦略や幅広い情報を駆使することで、高い利益追求力を実現しているのは、大きなメリットだと言えるだろう。
分散投資によるリスク軽減
ヘッジファンドでは、さまざまな資産や銘柄に分散して投資を行う。
何十種類もの銘柄に分散投資を行い、それらのリスクや資産配分を適切に管理することは、個人投資家には難しいだろう。
ヘッジファンドは、豊富な運用経験や適切な運用システム、運用チームなどを活用して、多様な資産・銘柄に幅広く分散投資しながらリスク管理を行う。
それぞれの国や地域、資産特有のリスク要因も的確に判断した上で、それらのリスクをヘッジするための戦略を取るというのも特徴だ。
仕事や家事などで忙しい人や、投資経験が浅く自分で適切にリスク管理を行えない方にとって、ヘッジファンドにリスク管理を任せられるのは大きな魅力だ。
プロのファンドマネージャーによる戦略の徹底管理
ヘッジファンドを利用すると、プロのファンドマネージャーに資産管理を任せられるというメリットもある。
ヘッジファンドによっては、安定して年間10%以上の利回りを提供するものも珍しくなく、そのようなヘッジファンドに資産を任せられれば、自分で取引や資産管理を行わずとも、どんどん資産を増やしていける。
優良なヘッジファンドに資産を任せるためには高額な運用手数料を支払わないといけないケースも多いが、「お金で時間を買う」という考え方をする富裕層にとっては、最適な資産の置き場とも言えるだろう。
投資信託のおすすめについて、気になる人は以下の記事を読み進めてほしい。
ヘッジファンドの運用戦略
ヘッジファンドの運用戦略は、大きく分けると以下の3つに分類される。
- 裁定取引型
- 相場指向型
- 運用特化型
それぞれのタイプに該当するさまざまな戦略があり、ヘッジファンドはこれらの戦略の中から適したものを選んだり、組み合わせたりしながら運用している。
それぞれの運用タイプと当てはまる運用戦略を確認していこう。
裁定取引型(アービトラージ、株式マーケットニュートラル戦略)
裁定取引型の運用戦略は、非ディレクショナル型投資戦略とも呼ばれ、相場予測を必要としない運用戦略のことを指す。
裁定取引型に分類される運用戦略には、「レラティブ・バリュー戦略」や「マーケット・ニュートラル戦略」といったものがある。
レラティブ・バリュー戦略は、株式や債券、通貨、商品などのロングとショートを組み合わせることによって生じる価格差で利益を狙う投資戦略だ。
理論上割安なものを買って割高なものを売る両建てを行い、同じ程度のリスク量に調整することで、市場の変動に影響を受けずにリターンを追求できる。
レラティブ・バリュー戦略は主に債券や転換社債でよく用いられる戦略でもあり、それぞれ「債券アービトラージ」や「転換社債アービトラージ」などとも呼ばれる。
マーケット・ニュートラル戦略は、市場(=マーケット)に対して中立(=ニュートラル)であることを前提とした運用戦略だ。
基本的な考え方は、株式市場の変動による資産価格の変動を極力避けられるように、購入した銘柄特有の要因のみを考えて運用できるようにするというものだ。
具体的には、株式の特定の銘柄を購入すると同時に、その購入額と同じだけ株価指数先物を売り建てる。
株式市場が上昇すると、保有銘柄の株価は上昇して、株価指数先物の価格も上昇する。
株価指数先物を高く買い戻す必要があるため損失が生じるが、保有銘柄の株価が市場を上回る値上がりをすれば、先物の損失をカバーできる。
株式市場が下落した場合は、株価指数先物の売りがヘッジとなるため、市場下落分以上に保有銘柄の価格が下がらなければ、その分を利益として得られる。
買い建てと売り建ての両方で利益が得られる可能性があるというメリットがある一方、見通しが外れると両方で損失が生じる可能性もある。
相場志向型(株式ロング・ショート、グローバルマクロ戦略)
相場指向型に分類される運用戦略には、「株式ロング・ショート戦略」や「グローバル・マクロ戦略」などがある。
株式ロング・ショート戦略は、買う(ロング)と売る(ショート)を組み合わせた戦略のことを言う。
具体的には、今後値上がりが期待できる割安銘柄を買って、値下がりしそうな割高銘柄を売るという運用手法を指す。
相場の上昇局面では、ロング比率を高めて値上がりを追求し、相場の下落局面では、書と比率を高めて下落を回避するのが一般的だ。
相場の上昇局面・下落局面にかかわらず、リスクを抑えて安定的に利益を狙えるというメリットがある。
その反面、ロングした銘柄が下落して、ショートした銘柄が上昇した場合、両方で損失が発生してしまうというデメリットにも注意が必要だ。
「グローバル・マクロ戦略」とは、世界中の国や地域の経済、政治情勢、金融市場などをマクロ的な視点から分析して、幅広い金融市場の商品を売買する運用戦略だ。
グローバル・マクロ戦略では、株式や債券、通貨、コモディティ、先物市場などあらゆる市場・商品が取引対象となるため、分析に多くの人手が必要となるのが特徴だ。
そのため、グローバル・マクロ戦略は、小規模なヘッジファンドよりも大手ヘッジファンドで利用されることが多い運用戦略だ。
運用特化型(イベント・ドリブン、エマージングマーケット戦略)
運用特化型に当てはまる運用戦略には、「イベント・ドリブン戦略」や「エマージング・マーケット戦略」などが挙げられる。
イベント・ドリブン戦略とは、個別銘柄にとって重要なイベントを利用して利益を狙う投資戦略のことを指す。
M&A(合併、買収)やリストラ、業務提携など、企業の経営や財務に重大な影響を与える出来事が起きると、当該銘柄の価格は大きく動きやすくなる。
特に、重要イベントの発生直後は、情報不足などによって市場が混乱しやすく、本来の企業価値から大きく外れた価格で取引されやすくなる。
理論値よりも大幅に売られた銘柄を購入し、徐々に本来の理論値に収束してきた段階で売却することで、差額を利益として手に入れられる。
エマージング・マーケット戦略は、安定した利益成長を長期的に持続できると考えられる新興国の国や企業に投資する戦略だ。
市場で十分に評価されていないと考えられる企業を探し出し、優れた事業モデルや成長性を持つ銘柄に集中的に投資を行う。
リスクオンの相場では短期間で大きな利益を狙いやすいというメリットがある一方、金融危機などのリスクオフの局面では大きく売られやすいというデメリットもある。
運用戦略だけじゃない!ヘッジファンドを選ぶコツ
ヘッジファンドへの投資を検討する際は、チェックすべきポイントがいくつかある。
ここでは、ヘッジファンドを選ぶコツについて詳しく解説する。
ファンドの運用戦略と自分のリスク許容度・運用目的を比較して判断する
まずは、ヘッジファンドが得意とする運用戦略や主に取り扱っている運用戦略をチェックしよう。
どのような運用戦略を得意としているかをしっかりと把握することで、具体的な運用方法のイメージもつきやすくなる。
次に、自分の運用目的やリスク許容度、金融資産などを再確認して、ヘッジファンドの運用戦略と適しているかを確認する。
例えば、積極的に利益を追求したいと考えている人にとって、極限までリスクを抑えて年間3〜5%程度の運用を行うヘッジファンドは適していない可能性もある。
逆に、リスクをなるべく抑えて安定的に運用した人の場合、積極的にリターンを追求するヘッジファンドだと毎年のリターン幅が大きく異なることを不安に感じるかもしれない。
自分のリスク許容度とファンドの運用戦略をしっかりと比較して、資産運用を任せられるかを判断しよう。
最低投資金額から判断する
ファンドの最低投資金額もチェックしておこう。
ヘッジファンドの最低投資金額はファンドによって異なるが、多くのヘッジファンドは機関投資家や富裕層を主なターゲットとしている。
そのため、最低投資金額は1,000万円前後に設定されていることが多く、中には1億円や100万ドルから購入可能とするファンドもある。
逆に、300万円や500万円といった比較的少額の運用も可能としているファンドも存在する。
自分の余剰資金や運用に回せる金額をしっかりと把握して、ヘッジファンドの最低投資金額の条件を満たすかどうか確認しておこう。
また、ヘッジファンドで運用を行う資金は、一般的な株式や投資信託のようにすぐに現金化するのが難しい場合もある。
急に資金が必要になったとしても、現金化までに時間がかかったり、急いで売却すると不利になったりするケースもあるため注意しよう。
運用実績から判断する
ヘッジファンドへの投資を検討する際は、運用実績もあらかじめ確認しておくことが重要だ。
まずは、ファンドの設立年数に注目しよう。
運用開始間もないファンドが悪いというわけではないが、長年ヘッジファンドとしての運用を長く続けているファンドは、それだけ実績のあるファンドだと判断しやすくなるだろう。
次に、年間どれだけの運用パフォーマンスを実現しているかもチェックする。
また、パフォーマンスの良い時と悪い時でどれだけ成果に差があるかも重要だ。
良い時だけではなく悪い時も確認しておくことで、あらかじめリスク管理もしやすくなるだろう。
運用実績を確認する際は、ファンドの報酬や運用手数料も踏まえた上で、最終的にどれだけ手元に残るかにも注目することが大事だ。
一見運用パフォーマンスが良いように見えたとしても、手数料などの費用を差し引くと、実際にはそれほど高いリターンを得られない可能性もあるため注意しよう。
ヘッジファンドを活用した運用戦略の相談は誰にすべき?
ヘッジファンドを資産運用に活用したいと考えている方は、まずは資産運用のプロに相談してみるのがおすすめだ。
ここでは、資産運用を専門家に相談すべき理由や、おすすめの相談先を紹介する。
ヘッジファンドを活用した資産運用における専門家の重要性
ヘッジファンドへ投資する方法としては、直接ヘッジファンドに申し込みを行う他、証券会社やプライベートバンク、IFAなどを通じて購入手続きを行う方法がある。
一般的な投資信託や株式のように気軽に購入できるわけではなく、投資できる商品も限られているため、専門家からのアドバイスを受けるのが重要だ。
自分の投資目的やリスク許容度に応じたヘッジファンドを選ぶためには、自分の投資意向をしっかりとヒアリングした上で、具体的な運用方法を提示してくれる相談先を見つけることをおすすめする。
IFAの役割とメリット
ヘッジファンドでの運用を検討する際には、IFAへの相談がおすすめだ。
IFAは、独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれ、特定の金融機関に所属せずに資産運用についてのアドバイスや商品提案を行う専門家だ。
IFAの多くは証券会社などの金融機関出身者なので、豊富な知見に基づく質の高いアドバイスが期待できるというメリットがある。
IFAに相談することで、自分の投資ニーズやリスク許容度に合わせたファンドも選びやすくなるだろう。
ヘッジファンドについての疑問やポートフォリオの設計方法、運用計画の立て方など、資産運用に関する幅広い内容に対応しているため、気軽に相談しやすい。
IFAは特定の会社からは独立しているため、販売ノルマなどに提案内容が影響されず、顧客目線での商品提案を受けられる点も魅力的だ。
会社都合の転勤なども発生しないため、長期的に信頼関係を築きながら資産運用の相談を行えるだろう。
ヘッジファンドに限らず資産運用に関する疑問や不安がある方は、IFAへの相談を検討してみてはいかがだろうか。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法と利用推奨
IFAへ資産運用の相談を行う際は、自分と相性の良いアドバイザーを探すことが重要だ。
とは言っても、どのような基準でアドバイザーを探せば良いかわからないという方や、そもそもIFAの見つけ方がわからないという方も多いだろう。
そのような方は、ぜひIFA検索サービス「資産運用ナビ」を利用してみてほしい。
「資産運用ナビ」が、年齢や投資ニーズなどを入力するだけで、あなたにぴったりのアドバイザーが自動的に検索されるマッチングサービスだ。
検索されたアドバイザーの実績や経歴はプロフィールページから詳しく確認できて、納得の上で面談に臨めるので安心だ。
資産運用に関する相談相手を探しているという方は、ぜひこの機会にIFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用してみよう。
まとまった資産があるならばヘッジファンドでの運用も考えよう
ヘッジファンドは、さまざまな運用戦略を用いてリスクをヘッジしながら、積極的にリターンを追求するファンドだ。
ヘッジファンドが用いる運用戦略にはさまざまな種類があり、それぞれ目的や手法が異なる。
投資を検討する際は、それぞれの運用戦略を理解した上で、自分の投資目的やリスク許容度に適したヘッジファンドを選ぶことが重要だ。
本記事では、ヘッジファンドの運用戦略をタイプ別に解説し、ファンドの選び方についても紹介した。
ヘッジファンドは一般的な投資信託よりも選択が難しいため、投資を検討する際は専門家に相談するのがおすすめだ。
IFAは、資産運用のプロとして、中立的な立場から最適なソリューションを提供してくれる。
自分に合った資産運用のパートナーを探す場合は、ぜひIFA検索サービス「資産運用ナビ」を利用してみてはいかがだろうか。