- 楽天IFAラップの仕組みや特徴が知りたい
- ラップサービスの効果的な活用法が知りたい
- IFAを選ぶ際のポイントを把握したい
楽天証券のIFAコースでは、「楽天IFAラップ」と呼ばれる投資一任契約サービスを提供している。
投資家それぞれの意向をもとにオーダーメイドで運用プランを作成し、運用に関しては楽天証券が代わりに行うものだ。
本記事では、この「楽天IFAラップ」について、仕組みや特徴、効果的な活用法までを詳しく解説する。
記事の最後に紹介するIFAの選び方もあわせ、あなたの運用戦略の参考として役立ててほしい。
楽天IFAラップの基本
自分の許容するリスクやリターンに応じて適切な資産配分を決めることをアセットアロケーションと呼ぶ。
例えば株式に70%、債券に30%など期待するリターンと許容できるリスクに応じて投資先の割合を具体的に決めることだと考えれば分かりやすいだろう。
しかし、自分の期待するリスク・リターンを叶える割合を決めることは簡単ではない。
しかも株式だけでも先進国株が良いのか新興国株が良いのか、成長株が良いのか割安株が良いのかなど決めなければならない。
債券についても安定した債券が良いのか、少し利回りが高めの債券を組み込む方が良いのかなど考えなければいけないことは多い。
さらには市況によって資産配分を入れ替えていく必要もある。
全て自分で自信を持ってできるだろうか。
難しいと感じた方は楽天IFAラップを検討してみてはいかがだろうか。
- 仕組みと特徴
- 手数料
- 始め方
まずはこの3つの概要について確認してみよう。
楽天IFAラップの仕組み・特徴
楽天IFAラップはIFAを通じた「対面型ラップサービス」だ。
資産形成の専門家であるIFAと面談をした上で、投資家に適した運用コースを提案してもらえる。
実際の運用はマーサー・インベストメント・ソリューションズ株式会社という資産運用の世界でも有名なコンサルティング会社からの助言をもとに、楽天証券の投資のプロが運用を行う仕組みとなっている。
ちなみにインターネット口座でも「楽ラップ」というサービスがある。
楽天IFAラップと異なり、こちらはロボアドバイザーの質問に答えて運用コースを提案してもらえる仕組みだ。
楽ラップも運用はマーサー・インベストメント・ソリューションズだ。
両者の違いは以下の2点。
- 提案してもらえるコースの種類、数が違う
- IFAとの面談かロボットの質問にこたえるだけなのか
楽天IFAラップはIFAと対面相談できるため、資産形成のゴールと投資のリスク・リターンの許容度をより精緻に行えて、投資先の選択肢も多い。
例えば2016年のプレスリリースの情報では、一般的には購入できないグローバルで高い実績があるディメンショナル・ファンド・アドバイザーズやマサチューセッツ・ファイナンシャル・サービセズ・カンパニーが実質運用を行うファンドなどのアクティブファンドも投資先に組み入れられているとされている。
つまり楽天IFAラップは、対面でIFAと相談した上で適切なアセットアロケーションを考えてもらえ、その上で豊富な選択肢の中からポートフォリオを組んでもらい、運用も任せられるという手厚い投資一任サービスと言える。
- 参考:楽天証券 プレスリリース
楽天IFAラップの手数料
楽天IFAラップを利用する際に気になるのは手数料ではないだろうか。
固定報酬型と成功報酬併用型の2種類の手数料があるが2023年12月末日からは成功報酬併用型の新規受付は停止された。
そのため固定報酬型にのみ注目しておけば良いだろう。
2023年12月時点での楽天IFAラップの固定報酬型手数料は以下の通りだ。
契約資産の時価評価額の内訳 | 固定報酬率(税込・年率) | ||
---|---|---|---|
投資顧問料 | 運用管理手数料 | 報酬率合計 | |
2,000万円以下の部分 | 0.165% | 1.100% | 1.265% |
2,000万円超5,000万円以下の部分 | 0.990% | 1.155% | |
5,000万円超1億円以下の部分 | 0.880% | 1.045% | |
1億円超の部分 | 0.770% | 0.935% |
報酬率合計の部分がIFAラップの手数料だ。運用額が増えた部分については、手数料が逓減していく仕組みとなっている。
また、この楽天IFAラップの手数料は「サービスにかかる手数料」である点に留意したい。
ここからさらに、ラップ口座の中で投資信託を組み合わせることになるが、投資信託そのものの信託報酬も別にかかる。
ちなみにロボアドバイザーの楽ラップの手数料については以下の通りだ。
運用資産時価評価額 | 固定報酬率(税込・年率) | ||
---|---|---|---|
投資顧問料 | 運用管理手数料 | 報酬率合計 | |
1,000万円以下の部分 | 0.165% | 0.550% | 0.715% |
1,000万円〜5,000万円以下の部分 | 0.495% | 0.66% | |
5,000万円〜1億円以下の部分 | 0.440% | 0.605% | |
1億円超の部分 | 0.385% | 0.55% |
比べてみると楽天IFAラップの方が報酬率はロボアドバイザーの楽ラップに比べやや割高に見えるかもしれない。
しかし、ロボットではなく対面型の投資一任サービスで1%台の報酬率におさえられているとも言える。
対面でIFAから個別具体的なアドバイスを受けることができ、しかも運用できる幅も増えることを考えると十分、許容範囲と考える投資家もいるだろう。
楽天IFAラップの始め方
楽天IFAラップは楽天IFAコースの専用サービスだ。
そのため、楽天証券と提携しているIFAと契約することが前提条件となる。
そしてIFA口座を開設した上で、IFAと対面相談をする。
そして希望のリスクとリターンを期待できる運用コースを提案してもらう。
ちなみに提案された運用コースに関しては、自分の運用方針次第では変更も受けつけてもらえる。
運用コースが決まれば後はIFAと楽天証券にお任せすれば良い。PCやスマートフォンなどで資産残高や運用履歴はいつでも確認できる。
楽天証券のインターネット口座で投資信託の組み合わせを自分で全て考えて、自身のリスク・リターンの許容度に合わせたポートフォリオを組むよりも簡単だ。
楽天IFAラップのメリット・デメリット
楽天IFAラップは投資を一任できるサービスで特に投資のことは全く分からないから全てお任せしたいという方に適したサービスだ。
しかし万人に向いているサービスではない。
自分にとって本当に合っているサービスかどうかを確認するためにメリットとデメリットを比べた上で納得のいく選択をしてほしい。
- IFAラップのメリット
- IFAラップのデメリット
- こんな人におすすめ
3つの視点から楽天IFAラップについて考えてみよう。
楽天IFAラップのメリット
- IFAとの対面で本当に適した運用コースを選びやすい
- 資産運用を一任できて手間がかからない
この2点が楽天IFAラップのメリットと考えられる。
ロボアドバイザーの楽ラップでも質問に答えるだけでおすすめの運用コースを提案してもらえる。
しかし、定型的なロボアドバイザーの質問に答えて提案されるよりも、専門家のIFAとの対話の中で資産運用コースを決める方がより間違いのない選択コースができるだろう。
しかも楽天IFAラップの方が選択肢も多い。
また、資産運用を一任できるため、一度運用するコースが決まれば後はお任せするだけだ。
楽天IFAラップのデメリットと注意点
- 運用コストがかかる
- スイッチングコストもかかる
- 必ず運用がうまくいくわけではない
楽天IFAラップは対面サービスの投資一任契約としては報酬率合計が最大でも1%台におさえられている。
しかし、それ以外に組み込む投資信託の信託報酬などのコストも上乗せされる。
自分でS&P500やMSCI ACWIに連動するインデックスファンドを買う方が、運用コストに関しては格安ですむ。
例えば、楽天投資顧問株式会社の楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドの信託報酬は年0.0561%(税込)で、ラップのように顧問料や運用管理手数料はかからない。
同じラップのロボアドバイザーの楽ラップと比べても、報酬率合計で0.4%〜0.5%程度、楽天IFAの方が高い。
もちろん楽天IFAはその分サービスが手厚いが、運用コストを気にする人だと気になるかもしれない。
また、楽天IFAラップ以外のラップ全体に言えることだが、スイッチングコストがかかる。
ラップでは複数の投資信託をポートフォリオに組むため、入れ替えるごとに手数料が発生してしまう。
また、入れ替えの際に売却益があれば課税対象となってしまう点にも注意が必要だ。
そしてラップ口座で運用すれば必ず資産運用がうまくいくというものでもない。
そのため運用コストが高かったのに運用自体がうまくいかないこともあれば、インデックスに対してアンダーパフォームしてしまうことも珍しくない。
もちろんラップだからこそ債券を組み入れる、時にキャッシュポジションを取るなど柔軟なポートフォリオを組める強みもあるが、成績が約束されているわけではない。
楽天IFAラップはこんな人におすすめ
- コストよりもサービスの手厚さを重視する人
- 投資判断をプロに任せたい人
- 資産運用だけでなくトータルなお金の悩みを解決したい人
楽天IFAは楽ラップや自分で投資信託を買うよりも運用コストだけをみると割高になる。
しかし、その分、投資のプロの目線で適した運用方法を選んでもらえるなどサービスの手厚さがある。
コストよりもサービスを重視する人に楽天IFAラップはおすすめだ。
また、資産運用自体を楽しめる人なら良いが、投資について考えたり判断を下したりすること自体にストレスを感じる人もいるだろう。
そのような人にも楽天IFAラップは資産運用の選択肢に入る。
そして資産運用以外にもお金に関する悩みはたくさんあるのではないだろうか。
例えば、子どもの教育資金や住宅ローンをどのように工面するかなど、資産運用以外のお金の悩みも考えながら適切な運用コースを選んでもらえるのは楽天IFAの良さだ。
なお、楽天IFAコースで選べる運用コースの過去のパフォーマンス等については、情報が公開されていないため、楽天証券と提携しているIFAに確認してみてほしい。
ただ同じマーサー・インベストメント・ソリューションズのアドバイスによって運用されている楽ラップの過去の運用成績は一つの参考となるだろう。
ラップサービスの効果的な活用法とは?
楽天証券のIFAコースに限らずラップサービスは広がりを見せている。
日本投資顧問業協会の「契約資産状況」によると2017年3月のラップサービスの契約数は564,620件だったが、2023年9月の段階で1,597,435件にまで増加している。
6年で約2.8倍だ。投資一任契約の運用残高は16兆円を超えていて、契約件数も資産残高も過去最高を記録している。
投資家から人気を集めているラップサービスだが、効果的に活用する際には事前に押さえておきたいポイントがある。
- 運用する前にするべきこと
- ラップ型ファンドとの違いを理解する
- 投資家のニーズに合った運用の重要性
この3点について確認していこう。
ラップサービスで資産運用する前にするべきこと
投資先を考える前に自分や家族のことについて考えてみよう。
例えばリスクはどの程度まで取れるのか、ライフイベントで今後、お金がいつまでにいくら必要なのかなど確認するべきことは多い。
投資信託の売買ランキングをみると楽天証券では2023年12月時点で1位から5位までが全て米国のS&P500またはMSCI ACWI(いわゆるオルカン)に連動するインデックスファンドとなっている。
確かにこれらのファンドは信託報酬も低く、リーマンショック後の米国の金融緩和の追い風もあり右肩上がりの運用成績をあげてきた。
しかし人気のある投資信託が必ずしも自分にとって最適のポートフォリオで、投資するのに最適なタイミングかは分からない。
ラップサービスの強みは自分に適した資産運用を提示してもらえることだ。
リスク許容度やお金が必要なタイミングに応じた資産運用を提案してもらうためにも、改めて自分や家族、人生設計についてIFAに相談できるように準備しよう。
ラップ型ファンドとの違い
ラップサービスとラップ型ファンドの違いについても確認しておこう。
- ラップサービス:一任契約
- ラップ型ファンド:投資信託
ラップサービスは資産運用を任せるサービスだが、ラップ型ファンドはラップサービスの運用方法を取り入れた投資信託だ。
ラップサービスの場合、複数の投資対象から自分に適したポートフォリオを組んでくれるだけでなく資産運用の相談や見直し、ライフステージとの兼ね合いなども含めた総合的な提案をしてもらえる。
しかし、ラップ型ファンドは投資顧問の助言をもとに配分比率は見直されるものの、あくまで投資信託の域を出ない。総合的な提案や相談できる手厚いサービスを期待するなら、ラップサービスの方が目的に合っている。
投資家のニーズに合った運用の重要性
ラップサービスの良いところは投資家の状況や投資選好次第でニーズに合ったポートフォリオを提案してもらえることだ。
リスク許容度が高い投資家ならば積極的にリターンを狙うアクティブファンドを組み入れる方が良いこともある。
逆に保守的な投資家の場合、株式だけでなく債券も含めた運用が望ましいケースもあるだろう。
インターネット口座から自分でポートフォリオを組成する方が、手数料だけを見れば安上がりだろう。
しかし、自分のライフステージやリスク許容度、最終的な目標に応じたポートフォリオを、誰にも確認できないまま資産運用をはじめてしまうことに不安を感じないだろうか。
しかし人気の投資信託や運用法が必ずしも自分に合っているとは限らない。
投資家それぞれのニーズに合った運用を提案してもらえることこそがラップサービスを活用する意義だ。
IFAはどのように選ぶべきか
楽天IFAラップの良さを最大限に活用するには、自分と相性の良いIFA選びが欠かせない。
そこでIFAをどのように選ぶべきかを以下の3点から解説する。
- IFAを選ぶ際の基準とチェックポイント
- IFA検索サービス「資産運用ナビ」とは
- IFA検索サービス「資産運用ナビ」のメリット
あなたに合ったIFAを選ぶことが資産運用を成功させる第一歩となるはずだ。
IFAを選ぶ際の基準とチェックポイント
- 経歴や資格
- 提携している金融機関
- メインの顧客層
- 人柄
以上4つがIFAを選ぶ際の基準とチェックポイントだ。
IFAと一口に言っても専門分野や考え方、投資に対する取り組み方など様々だ。
まず確認したいのが経歴や資格だ。IFAの経歴や資格をみてどこに強みがあるのかを確認しよう。
また提携している金融機関のチェックも欠かせない。
例えば楽天証券のような大手のプラットフォーマーと提携できているIFAならば、資産運用の提案の幅も広い。
一方、いくら優れたIFAでも提携している金融機関が少なかったり、品揃えの乏しいところとしか提携できていなかったりすると、出来ることが限られてしまう。
そして、メインの顧客層についても確認しよう。なるべく自分に近い顧客層と契約しているIFAの方が、自分に合った提案をしてもらいやすいだろう。
富裕層相手のフィービジネスをメインとしているのか、資産運用以外の相談業務を得意としているのかなど、同じIFAでもビジネスモデル自体が異なるためだ。
最後に人柄についても確認したい。自分の資産を預けるのに本当に信用に足るのかどうか、相性や考え方で違和感がないかどうかも大切なチェックポイントだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」とは
「資産運用ナビ」はIFA検索サービスだ。年齢や職業、相談内容、地域などを入れるだけで、条件にマッチするアドバイザーのプロフィールを紹介してもらえる。
プロフィールでは以下の4点を確認できる。
- 自己紹介
- プロフィール(経歴や資格、得意分野も分かる)
- 所属法人
- 担当顧客層
IFAを選ぶ際に確認したいチェックポイントが一目で分かる仕組みだ。
そして、気になったIFAとは直接、話をして決めることができる。
検索サービス「資産運用ナビ」のメリット
IFA検索サービス「資産運用ナビ」のメリットは主に以下の3つだ。
- 何回でも相談可能
- 相談費用無料
- Webから好きな場所で面談できる
「資産運用ナビ」は基本的に何回でも相談が可能だ。しかも相談費用も無料。
しかも、Webから好きな場所で面談ができる。つまり納得できるIFAをじっくりと探せる。
通常の証券会社や金融機関でも対面相談をしてもらえるが、自分の担当者を選ぶことは基本的にできない。
大切な資産を預けるのに、どのような担当者が当たるかは証券会社や銀行では運任せだ。
しかし「資産運用ナビ」ならば自分でIFAを選ぶことができる。
今回、紹介した楽天証券IFAラップも相性の良いIFAがいてこそ活かせるサービスだ。
楽天証券IFAラップに興味があるなら、あわせて相性の良いIFAを探してみてほしい。
まとめ
楽天証券IFAラップの仕組みと特徴について解説した。
楽天IFAラップはIFAを通じた対面型ラップサービスだ。
運用コストはサービスが手厚い分、かかるものの資産運用を一任できる。
ラップサービスを活用するには、自分のライフイベントや投資選好について改めて確認し、自分に適した運用プランを提案してもらおう。
IFAを選択する際には経歴や資格、メインの顧客層、人柄を確認してほしい。
その際に「資産運用ナビ」は確認するべきことが一通り分かる仕組みになっている。
「資産運用ナビ」で自分に合った人を探してみてほしい。