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法人の資産運用におすすめのポートフォリオとは?効果的な構築の秘訣も解説

この記事で解決できるお悩み
  • 法人の資産を活用した運用を始めたい
  • 法人に最適な投資手法が知りたい
  • おすすめの資産配分を具体的に知りたい 

近年、資産運用の重要性が個人、法人問わず高まっている。

事業資金を中長期的に増やす目的で、資産運用を検討している法人もあるだろう。

とはいえ、どのようなポートフォリオを構築するべきか、分からない人もいるのではないだろうか。

そこで、本記事では法人が資産運用をする場合に踏まえておきたいポイントや、運用効率を高めるポートフォリオについて解説する。

利益をどのように活用するべきか知りたい場合や、投資に興味がある法人は参考にすると良い。

目次

法人の資産運用におけるポートフォリオの重要性

資産運用では、ポートフォリオの構築が重要である。

ポートフォリオは、投資目標やリスク許容度に応じて、金融商品の組み合わせを考える。

個人で資産運用をする場合、ポートフォリオの構築が重要であるが、法人も同様にポートフォリオの構築が重要になる。

以下のポイントを踏まえながら、ポートフォリオの重要性について解説する。

  • 法人が資産運用を行うメリットと注意点
  • 法人の資産運用におけるポートフォリオの役割
  • ポートフォリオ管理の基本原則

それぞれのポイントについて確認しよう。

法人が資産運用を行うメリットと注意点

投資で損失が生じた場合は、他の事業等で発生した利益と相殺できるメリットがある。

事業年度で利益と相殺できない場合は損失は翌年以降に繰り越しできる。

繰り越しできる期間は10年間であり、個人の繰越控除3年より長期にわたって控除できる。

また、借入金を投資に活用することができ、運用による利益を増やして事業資金に充てられる点もメリットである。

このように、法人の資産運用はメリットがある一方で、注意すべき点もある。

注意点としては、法人で投資をする場合は収益の計算が必要な点である。

法人が投資をする場合、一般口座のみ利用可能である。

個人の特定口座であれば年間取引報告書が金融機関から送られてくるため、自分で計算をする必要はないが、一般口座であるため、自身で計算書を作成しなければならない。

そのため、収益の計算に手間がかかる点に注意したい。

また、投資は元本割れするリスクがあるので、さまざまな投資リスクを踏まえながら準備する必要がある。

ここからはポートフォリオの重要性について確認しよう。

法人の資産運用におけるポートフォリオの役割

投資目標やリスク許容度に応じてポートフォリオを考えておくと、収益性や安定性、流動性が自分のイメージに沿った形で運用できる。

  • 収益性
    • 高いリターンが得られるか
  • 安定性
    • 安定的な収益が期待できるか
  • 流動性
    • すぐにお金に換金できるか

さらに、投資にはさまざまなリスクがある。

リスクごとの特性について把握しておかないと、効果的な資産運用の効果が得られない可能性があるだろう。

代表的な投資におけるリスクは、以下の通りである。

  • 価格変動リスク
    • 株式や債券の価格が変動するリスク
  • 信用リスク
    • 債券や株式を発行する国や企業が破綻したり、利息や元金を支払えなくなるリスク
  • 流動性リスク
    • 保有している金融資産を売却したいと思っても、取引数が少なくすぐに売却できないリスク
  • カントリーリスク
    • 国や地域の情勢や経済状態によって、資産価値が増減するリスク

ポートフォリオを組むことで、許容できる範囲内でリスクを抑えられる。

以上から、ポートフォリオは自分のイメージ通りに資産運用をするために必要な考え方である。

資産運用を行う法人が知るべきポートフォリオ管理の基本原則

ポートフォリオを組むうえで、以下の2点は基本となる考え方として押さえておきたい。

  • 異なる資産を組み合わせる
  • 経営状況に即した利回り目標を設定する

ポートフォリオを組む場合は、1つの資産ではなく、複数の資産を組み合わせることを押さえておく。

資産を分散させると、異なる値動きをする可能性が高く、一部の運用商品がマイナスだったとしても、他の商品がプラスになっていれば、トータルのマイナス分を抑えられるメリットがある。

経営状況が芳しく無ければ、運用で高い利益を求めたくなるだろう。

しかし高い利益を求めれば、リスクも当然高くなる。

もし思惑と逆に大きな損失を被った場合、本業の経営にも支障が出てくる可能性が高い。

経営面で不安を抱えているのならば、リスクが低めの安定的な運用目標をたてることをおすすめする。

資金面が安定しており、流動資産に余裕があるのであれば、少し高めのリターンを狙っても良いだろう。

法人の資産運用のためのポートフォリオの作り方と管理の方法

法人の資産運用では、経営状況や将来の目標に即したポートフォリオを構築する必要があると解説した。

では、どのようなポートフォリオのもと資産運用を行えばよいのだろうか。

今回は、実際にポートフォリオを作る場合のポイントについて解説する。

  • 法人の資産運用に適した投資手法
  • アセットアロケーションの決定方法
  • 分散投資の重要性

上記のポイントに沿って確認していこう。

法人の資産運用に適した投資手法

法人の資産運用で実践しておくべき投資手法は「長期投資」と「積立投資」である。

長期投資をすると運用パフォーマンスが安定的に推移する。

一方、保有期間が短いと運用効果にブレが大きくなりやすい。

リスクとリターンのブレが大きいと、経営に必要な資金をすぐに調達したい場合に、運用している資産を即時資金化できない。

そのため、長期的な視点で安定的なリターンを見込めるように、資産は長期で保有すると良い。

三菱UFJアセットマネジメント株式会社は、1996年12月から2016年12月の間に4資産を分散して1年、5年、10年で保有をやめた場合、年率リターンがいくらになったかを調査した。

その結果、保有期間が短いと年率リターンの最大値と最小値の差が大きくなっている。

保有期間最大値最小値
1年38.2%-30.4%
5年13.0%-6.5%
10年9.9%0.1%

以上から、保有期間が長くなると安定的な運用効果が出るといえるだろう。

さらに、過去の指数をもとに確認する。

金融庁が調査した結果、世界の主な株価指数に積み立て投資を20年間実施した場合、すべての指数がプラスになった。

出典:金融庁「長期・積立・分散投資とNISA制度」

次に重要な投資手法は、積立投資である。

投資の知識や経験が乏しい場合でも、資産運用を効果的に行いたい場合は、毎月決まった金額で継続して購入する「積立投資」が望ましい。

積立投資を実施すると、平均購入単価を抑えられるメリットがある。

積立投資の代表的な方法には「定量購入法」と「ドルコスト平均法」がある。

  • 定量購入法
    • 毎月決まった数量を購入する
  • ドルコスト平均法
    • 毎月決まった金額を購入する

たとえば、4万円を一括投資した場合と、1ヵ月1万円を4ヵ月積立投資した場合で、購入単価を比較すると、積立投資のほうが平均購入単価が低くなった。

出典:金融庁「長期・積立・分散投資とNISA制度」

平均購入単価が低くなるのは、価格が下がった場合により多くの口数を購入できるからである。

このように、積立投資を実施すれば、平均購入単価を下げられる。

法人の資産運用におけるアセットアロケーションの決定方法

長期投資や分散投資を始める前に、法人で資産運用をする目的やリスク許容度を明確にしておく必要がある。

一般的に、各アセットクラスの割合を決める場合に、以下の項目は決めておくと良い。

  • 運用計画の策定
  • 資産運用の目標設定
  • リスク許容度の確認

上記の項目を踏まえて、どのくらいの割合で各アセットを組み入れるかを決定する。

運用計画は、初期投資の金額や毎月の積み立て投資額、投資期間などを決める。

そのうえで、目標とするリターンや想定利回りを設定する。

最後に、どの資産で運用するかアセットの組み合わせをリスク許容度に応じて検討する。

アセットの組み合わせでは、長期的な資産形成に欠かせない分散投資の考え方が重要である。

法人の資産運用における分散投資の重要性 

分散投資は、投資リスクを軽減する効果に加え、運用を高める効果がある。

2020年にニッセイ基礎研究所が調査した「分散投資効果の計測とパフォーマンス改善の検証」によると、分散投資効果によってリスクを20%低減できている。

また、年率換算でみたリターンが3.92%から4.25%に向上している。

そのため、分散投資は運用パフォーマンスの向上に寄与している。

投資で一定の成果を出すためには、分散投資が重要といえるだろう。

異なる値動きをする資産や銘柄を取り入れておけば、他の資産が値下りしても、他の資産が値上がりすればリスクを下げることができる。

そのため、複数の資産に分散した投資が有効とされている。

法人の資産運用におすすめのポートフォリオ

実際に法人で資産運用をする場合、どのようなポートフォリオがおすすめなのだろうか。

効率的に資産運用をするためには、ポートフォリオを構築するだけでなく、定期的な見直しも必要になる。

法人の資産運用をする場合におすすめのポートフォリオや、実際に運用が始まった後のメンテナンスについて解説する。

法人の資産運用におすすめのポートフォリオ例

基本的なポートフォリオとして考えたいのは「株式」「債券」を50%ずつ運用させる方法である。

株式と債券は、それぞれ異なる値動きをするのでリスクとリターンのバランスが取れる。

実際に、公的年金の積立金を管理しているGPIFでは、以下の構成で運用をしている。

  • 外国株式
    • 25%
  • 国内株式
    • 25%
  • 外国債券
    • 25%
  • 国内債券
    • 25%

市場運用が開始された2001年度からの収益率は、年3.99%となっている。

長期的な視点で安定的な運用成果を出しているので、基本的な運用例として参考にすると良い。

安定的な資産運用をする場合は、債券にかかわる割合を増やせば、ローリスクローリターンで運用できる。

以下の割合でポートフォリオを構成すると良い。

  • 国内債券
    • 60%
  • 外国株式
    • 10%
  • 国内株式
    • 10%
  • 外国債券
    • 20%

ミドルリスクミドルリターンを狙う場合は、REIT(リート)を活用すると良い。

REITとは

投資家から資金を集めて、不動産を運用して得た賃料収入や売却益等を元に投資家に分配する金融商品

国内REITは、価格の変動幅が債券に比べて大きいため、ある程度のリターンが期待できる。

  • 国内株式
    • 10%
  • 国内REIT
    • 40%
  • 国内債券
    • 40%
  • 外国債券
    • 10%

積極的にリターンを狙う場合は、株式への割合を大きくすると良い。

  • 外国株式
    • 35%
  • 国内株式
    • 35%
  • 外国債券
    • 20%
  • 国内債券
    • 10%

実際に運用をスタートさせても、ポートフォリオは定期的に見直しをする必要がある。

ポートフォリオの定期的な見直しとリバランスの実行

事業状況の変化や、市場の変動、運用成果に応じてポートフォリオは見直す必要がある。

当初は積極的にリスクを取りながら資産運用をしていても、事業状況が悪化した場合などは、すぐに資金が必要になる可能性がある。

そのため、ローリスクローリターンで運用できる割合に変更すると良いだろう。

資産を早めに資金化したい場合は、原則としてリスクは低くして運用をする。

しかし、もし運用成果が芳しくない場合は、目標達成に向けてリスクを高く取ったうえでリターンを大きく狙う必要も出てくるだろう。

こうしたポートフォリオの見直しをすることで、当初の目標としている資産形成が可能になる。

マーケット変動への対応策

市場が変動した場合、保有している資産をどのようにすべきか迷う場合もあるだろう。

基本的に、マーケットが変動した場合の対処法は、以下の3つである。

  • 静観する
  • 売却する
  • 買い増しする

一時的なマーケットの変動であれば、静観してそのまま保有し続けると良い。

とはいえ、回復するか見通しが立つか、予測する必要が生じる。

もし回復する目途が立たない場合は、売却して資金化したうえで、新たに投資をしたほうが良いだろう。

一方、回復すると予測して資産の保有総量を増やし、売却時のキャピタルゲインを膨らませる方法もある。

どの方法を用いるべきかは、市場が変動した状況によって異なるので、専門家の意見も交えて決定すると良い。

法人の資産運用におすすめのポートフォリオは誰に相談するべき?

法人が資産運用をする場合、事業の状態や将来の投資目標を見据えながらポートフォリオや投資計画を策定する必要があるので、高度な専門知識や経験が必要になる。

そこで、今回は資産運用の専門家であるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するメリットについて解説する。

法人が取り組む資産運用における専門家の重要性

法人が資産運用をする場合に、経営状況やリスク許容度に応じたポートフォリオの構築、積立資金をいくらにすべきか、検討するポイントは多岐にわたる。

そのため、自分では判断できない部分も多いだろう。

こうした法人が相談先として有効活用したいのが、IFAだ。

では、IFAに相談するとどのようなメリットがあるのかについて解説する。

IFAに相談するメリット

IFAに相談すると、法人の状況に合った適切なポートフォリオや投資額をいくらにするべきか相談できるメリットがある。

自分に合った資産運用のやり方についてアドバイスが受けられるだけでなく、IFAは、幅広い投資手段の中から自分に最適な金融商品を紹介してもらえる点もメリットだ。

IFA検索サービス「資産運用ナビ」とは

最適なIFAを見つけるためにも、プラットフォームを経由して、自身の相談内容を得意分野としているアドバイザーを見つけると良いだろう。

「資産運用ナビ」は、投資が初めての人でも安心して利用できる無料のIFA検索プラットフォームである。

自分にぴったりのIFAが見つけられるので、気軽に利用してみてほしい。

法人の資産運用は目的を決めてポートフォリオを作ろう

今回は、法人が資産運用をする場合にどのようなポートフォリオを構築すべきか、検討しておきたいポイントについて解説した。

法人が資産運用を成功させる場合、効果的なポートフォリオの構築が必要になる。

その際には、運用計画や達成目標をあらかじめ決めたうえで、リスク許容度に応じた資産を配分させる必要がある。

今回の記事では、法人が組むべきおすすめのポートフォリオ例も紹介したが、どのような組み方をするかは法人の状況によって異なる。

特に法人の場合は、今後の事業をどのように展開させたいのか、法人経営に関する知識も必要になってくる。

そのため専門家に相談できる環境は整えておくべきだろう。

特にIFAは、中立的な立場から最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる。

IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAを見つけると良い。

法人の資産運用に関するQ&A

法人の資産運用にはどんな投資手法が合っていますか?

長期投資、分散投資でリスクとリターンのブレを少なくする投資手法が適している。

また、ポートフォリオでアセットクラスを決める場合は、さまざまな資産に分散させながら運用させる分散投資の考え方も重要である。

法人が資産運用のポートフォリオを作成する上でよくある失敗は何ですか?

高いリターンを狙いたいのに、想定より利回りが低くなるポートフォリオを構築してしまった場合や、リスク許容度を超えたマイナス成果になってしまうケースが失敗例である。

最初に年間の想定利回りやリスク許容度を踏まえてポートフォリオを構築しないと、こうした失敗をする可能性が高い。

法人が資産運用を成功させるために必要なスキルは何ですか?

投資リスクやリスク許容度を把握したうえで、適切な運用計画を策定するだけのスキルが必要である。

また、将来の想定利回りに達するために、各アセットの知識も必要だろう。

こうした知識については、専門家からの意見をもとにして準備すると良い。

法人の運用ポートフォリオ作成において、リスク許容度はどのように評価するべきですか?

法人のリスク許容度は収益性、安全性、効率性を見て評価しよう。

収益性

簡単に言うと「その法人は儲かっているか」を判断するために必要な指標だ。

売上高を確認する場合は「損益分岐点売上高」、利益を確認する場合は「売上高経常利益率」、成長性を判断する場合は「売上高増加率」に注目してほしい。

安全性

経営不振や倒産しないためにも、安全性は法人にとって重要な項目だ。

法人の規模に関わらず重視すべきである。経営が安定しているか判断するためには「自己資本比率」を確認しよう。

自己資本比率が低いほど、借入などの負債が多いことを意味する。30%以上あれば安全性は高いと言えるだろう。

効率性

効率よく売上を出せているか確認しよう。

売上高を従業員の人数で割ると、従業員一人あたりの売上高を確認することができる。

法人のリスク許容度を評価するためには、さまざまな視点や数字から分析する必要がある。

法人はポートフォリオのうちどの程度を現金で保有しておくべきですか?

過去のデータから、運営するにあたって必要な事業資金を割り出そう。

個人と同様、法人も資産運用は余剰資金で行うのが大前提だ。

まずはどのくらいの現金があり、必要な事業資金を差し引いてどの程度の現金が残るのかを確認しよう。

法人の運用ポートフォリオに積立投資を取り入れる際の注意点はありますか?

法人が積立投資を行う際の注意点は下記のとおりだ。

  • 税率が高くなることがある
  • 損益の計算、税務申告をしなければならない
  • さまざまな面で費用が発生する

個人の場合は資産運用で得た利益にかかる税率は20.315%だ。

また新NISA口座であれば非課税である。しかし法人の場合は、資産運用で得た利益と所得を合計したうえで法人税が課税されるため、金額にもよるが個人よりも税率が高くなる可能性がある。

また、法人は損益の計算や税務申告などを自身でする必要があるため、手続き等の負担がかかる点に注意が必要だ。

新しく会社を設立する際や毎年の法人住民税、役員の社会保険料負担、税理士を依頼した場合の顧問料など、さまざまな面で費用が発生することも念頭に置かなければならない。

法人がポートフォリオをリバランスする頻度はどれくらいが理想的ですか?

半年に1 度のペースでポートフォリオをリバランスするのが理想の頻度だ。

たとえば株式:50、債券:50で当初組み、その後に株価が上昇した場合、株式の資産配分が多くなっているだろう。

定期的に資産配分を確認し、ポートフォリオのリバランスを行うのがおすすめだ。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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