- インデックスファンドのデメリットを知りたい
- リスクを把握して適切な投資判断をしたい
- インデックスファンド投資のリスク対策を学びたい
低コストで運用できるインデックスファンドは、投資初心者からも人気の投資対象だ。
しかし、インデックスファンドは決して万能な金融商品ではないことを理解しておきたい。
本記事では、インデックスファンドのデメリットと、その対策法について解説していく。
インデックスファンドの基本情報
そもそもインデックスファンドとは、代表的な指数に連動する成果を目指す投資信託のことである。
たとえば、日経平均株価やTOPIX、NYダウ、S&P500などに連動するファンドなどが挙げられる。
また、株価指数だけでなく、債券指数やコモディティ指数、REIT指数などをベンチマークとするインデックスファンドもある。
インデックスファンドが人気を集めている理由
投資信託には、主に「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があるが、証券会社のランキングを見ると、上位はインデックスファンドが占めていることが多い。
インデックスファンドがこれほど人気を集めているのは、運用コストの低さが大きな要因といえる。
ファンドにかかる手数料には、購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額の3種類ある。
購入時手数料は、言葉からわかるように購入時にかかる費用であるが、これは最近ではノーロードといわれる無料のファンドが多い。
次に信託報酬はファンドの運用や管理にかかる諸費用である。
日々かかり続けるため、この信託報酬をしっかり確認してほしい。
最後の信託財産留保額はファンドを解約するときにかかる手数料であるが、実際にはかからないファンドも多い。
インデックスファンドでは、ベンチマークとなる指数に採用されている銘柄を組み入れるため、アクティブファンドのようにファンドマネージャーが銘柄選定を行う必要がない。
そのため、その分運用にかかる信託報酬を安くできる仕組みとなっている。
また、インデックスファンドは、値動きの分かりやすさも人気の理由のひとつだ。
インデックスファンドはベンチマークの指数に連動するように運用されているため、投資家はその指数の動向をチェックしていればおよその値動きが把握できる。
運用状況の把握に手間がかからないのは、投資家にとって大きなメリットだ。
インデックスファンドのデメリット3選
多くの魅力があるインデックスファンドだが、一方で次のようなデメリットも存在する。
- 市場全体の下落に連動してしまう
- 業績不振の銘柄への投資も避けられない
- 短期間で大きなリターンを得ることが難しい
それぞれくわしく解説していこう。
市場全体の下落に連動してしまう
インデックスファンドは市場全体に広く投資するため、リーマンショックやコロナショックなど市場全体が下落するときはその値動きに連動してしまうデメリットがある。
たとえば人気のインデックスファンド「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、コロナショック時に基準価額が大きく下落した。
2020年2月21日時点では基準価額が12,861円だったが、およそ1ヶ月後の2020年3月24日には8,432円まで下落している。
30%以上の下落率となっており、仮に投資していた場合は大きな損失を抱えることとなった。
たとえば、アクティブファンドはファンドマネージャーによる銘柄選定が行われるため、その運用手腕次第では、「市場全体が下落していてもそのファンドだけ上昇する」ということも珍しくない。
市場に幅広く投資できることはインデックスファンドのメリットでもあるが、市場全体が下落するときは保有資産も減少してしまうことを理解しておこう。
業績不振の銘柄への投資も避けられない
インデックスファンドはベンチマークとなる指数の対象銘柄が組み入れられるため、時に業績が振るわない銘柄も含まれてしまうことがある。
アクティブファンドでは、業績が悪化するなどネガティブ要因のある銘柄は、ファンドマネージャーの判断で除外することができる。
そのため、「パフォーマンスの低い銘柄がいつまでも組み入れられる」ということが起こりにくい。
しかし、インデックスファンドは対象となる指数からその銘柄が除外されない限り、ファンドに組み入れなければならないので、自分が投資したいと思えない銘柄が含まれてしまうことも少なくない。
自分で投資先銘柄を選定できない分、業績が振るわない銘柄を完全に避けることはできない。
そこで重要となるのがファンド選定である。
投資先のファンドを選ぶ際は、過去の運用パフォーマンスを比較して基準価額が順調に伸びているファンドを選定しよう。
基準価額の上昇率が低い銘柄は、ファンド全体における業績不振の銘柄の比率が大きくなっている可能性が高く、今後の運用でも持続的なリターンを得られない場合がある。
完全に業績不振銘柄を避けることはできないが、ファンド自体のパフォーマンスが好調な商品を選ぶことでダメージは小さく抑え込める。
直近数年分の運用パフォーマンスをチェックし、順調に伸びているインデックスファンドを選択しよう。
短期間で大きなリターンを得ることが難しい
個別株に投資する場合は、何らかの要因で株価が短期間で急上昇することがある。
そのため、銘柄選定が上手くいけば一気に大きな利益を得られるケースも珍しくない。
たとえば、コロナ禍では巣ごもり消費の需要増加からECサイト関連の銘柄が多く買われ、株価も短期間で大きく上昇したため、その上昇の恩恵を受けた投資家も多く見られた。
しかし、インデックスファンドには多くの銘柄が組み入れられていることから、1つの銘柄が大きく上昇することはあっても、全体の基準価額が短期間で大きく急上昇することは考えにくい。
また、その運用成果はベンチマークに沿ったものとなるため、ベンチマークを上回る運用益が期待できない特徴もある。
インデックスファンドのデメリットを克服する対策
インデックスファンドを効果的に運用するためには、次のようなポイントに留意したい。
- アクティブファンドと分散投資する
- 長期投資を前提とする
- 投資のプロに相談する
それぞれくわしく説明していこう。
アクティブファンドと分散投資する
インデックスファンドには「市場全体の下落に連動する」、「業績が振るわない銘柄も組み入れられる」といったデメリットがあるが、この点はアクティブファンドを併せ持つことで克服できる可能性がある。
アクティブファンドは、組み入れる銘柄によっては市場全体の動きと逆の動きになることも珍しくない。
また、銘柄選定はファンドマネージャーによって行われるため、業績不振が続く銘柄を組み入れられる可能性も低いといえる。
インデックスファンドに投資する際は、そのデメリットを補えるようなアクティブファンドと分散投資することを検討してみよう。
このときに重要となるのが「どういったアクティブファンドを選んで分散するのか」という点である。
銘柄を選定する際には以下の2点を押さえておくと良い。
- インデックスファンドと異なる市場・セクターの商品を選ぶ
- ファンドマネージャーの手腕を確かめる
インデックスファンドの弱点をカバーするためにアクティブファンドを選ぶのであれば、似たような性質を持つ商品を選んでも意味がない。
異なる市場やセクターに投資する商品を選び、分散効果を高めておこう。
例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドを保有しているのであれば、米国の株式市場に投資を行うアクティブファンドなどがおすすめだ。
相関性が低い商品を組み合わせ、リスクを抑えた運用を実践しよう。
また、過去の運用パフォーマンスからファンドマネージャーの手腕を確かめることも大切だ。
アクティブファンドは比較的高いコストを支払うことになるため、それに見合ったリターンを得られる商品を見極めよう。
アクティブファンドの評価基準としては「市場指数をどれだけ上回っているか」という点が挙げられる。
仮にファンドの上昇率が+5%となっていても、市場指数が+10%であればインデックスファンドに投資した方が良い。
反対にファンドが-5%となっていても、市場指数が-10%であれば相対的に成績が良いと判断できる。
市場指数との比較の上でファンドの成績を評価し、インデックスファンドのデメリットを補える商品を有効活用していこう。
長期投資を前提とする
インデックスファンドへの投資では、短期で大きなリターンを期待できないため、あらかじめ長期投資を前提に取り組む必要がある。
すぐに利益が得られないからといって売却してしまうのではなく、数年・数十年保有することを目標にコツコツと投資しよう。
また、投資を始めたばかりのときは含み損が不安になって、慌てて売却してしまう例も見られる。
しかし、資産運用では含み損を経験することは避けられない。
保有資産が減少するのは不安を感じるものだが、慌てずに長い目で静観することを心がけよう。
たとえば、先ほど「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のコロナショック時の暴落について紹介した。
基準価額12,861円から8,432円まで下落したと紹介したが、2020年末には下落前の水準を超えて12月30日時点で13,288円まで回復している。
さらにその後も上昇を続け、2024年5月16日時点では29,373円まで上昇した。
短期的な暴落があっても長期目線で運用を続けていれば、回復する可能性が高いことが分かる。
もちろん過去に暴落から回復したからといって、今後も必ずそうなるとは断定できない。
しかし短期的な暴落で売却してしまうと、そこからの回復による恩恵を受けられなくなってしまうため、長期的な目線を持ってじっくり運用していくことが大切だ。
投資のプロに相談する
インデックスファンドを上手く活用するためには、投資のプロへ相談することも検討したい。
投資のプロへ相談することは効果的なアドバイスがもらえることはもちろんだが、「自信を持って資産運用に取り組める」、「自分では思いつかなかった投資方法を教えてもらえる」といったメリットがある。
特に、最近ではIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)へ相談する人が増えている。
次の章で、IFAの特徴や相談するメリットについて紹介していこう。
デメリットを踏まえたインデックスファンドの投資戦略を立てるなら誰に相談するべき?
インデックスファンドで運用を始める際は、金融のプロであるIFAへ相談することがおすすめだ。
ここでは、IFAの特徴や相談するメリット、探し方について解説していく。
IFAとは
IFAとは資産運用アドバイザーの一種であり、銀行や証券会社から独立した立場を保って顧客の資産運用をサポートする専門家である。
顧客からの相談を受けて投資プランを策定し、具体的な商品の提案を行ったり、注文を金融機関に取り次いだりと、あなたの資産運用を総合的にサポートすることが主な役割だ。
IFAは自社で商品を取り扱わないが、証券会社と業務提携を行うことでその会社が取り扱う商品を顧客に提案・仲介している。
「金融商品仲介業者」として登録を受けることで、具体的な商品を取り扱えるようになる仕組みだ。
すでに米国ではIFAが投資顧問業者として定着しており、税理士などと並んで社会的地位が高い職業とされている。
近年では日本でもIFAが増え始めており、金融庁の「金融商品仲介業者登録一覧」によると、令和6年3月31日時点で683事業者が登録されている。
IFAに相談するメリット
IFAにインデックスファンド投資を相談するメリットとして以下の2点が挙げられる。
- 中立な目線から助言を得られる
- 長期目線で運用をサポートしてもらえる
IFAは金融機関から独立しており、顧客に対して中立な立場から投資助言を行う専門家だ。
本当に必要な商品を親身になって提案してもらえるため、安心して資産運用を任せられるだろう。
銀行や証券会社の場合、手数料が低いインデックスファンドは敬遠されてしまうケースが少なからずあり、自社利益のために手数料が高い商品などを勧誘される可能性がある。
IFAはそうした心配がなく、ニーズに合わせて適切なインデックスファンドを紹介してくれるため安心だ。
また、IFAには原則として転勤や異動などの制度がなく、担当者が長期にわたるサポートを行ってくれる。
ライフプランに寄り添って投資助言を提供し続けてくれる点も大きな魅力だ。
金融機関の場合、数年単位で担当者が変わってしまうケースは少なくない。
担当者ごとに運用方針がバラバラだったり、信頼関係を一から築く必要があったりとストレスに感じてしまうケースもあるだろう。
IFAは一貫した運用方針であなたの資産運用をしっかりとサポートする。
中立な立場で長期にわたる投資助言を求めている方は、IFAへの相談がおすすめだ。
IFAの探し方
信頼できるIFAをお探しの方は、IFA検索サービス「資産運用ナビ」の利用をおすすめする。
「資産運用ナビ」とは、相談窓口を探す投資家とIFAをマッチングさせるプラットフォームのことだ。
サービスの利用方法は非常に簡単で、あなたの資産状況やアドバイザーの希望条件をたった60秒フォームに入力するだけで良い。
あとは「資産運用ナビ」が全国のデータベースからあなたにぴったりのIFAを抽出し、紹介する仕組みとなっている。
各IFAのプロフィールが公開されているため、得意分野や経歴、メインの顧客層をチェックした上で相談先のIFAを選択できる。
紹介料や相談費用も原則無料となっており、気軽に相談窓口を探せることが特徴だ。
もちろんIFAの紹介は全国47都道府県どこでも対応しており、対面だけでなくWEBでの相談も可能となっている。
ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用し、信頼できるIFAを探してみてはいかがだろうか。
インデックスファンドはデメリットも理解してから取り組もう
インデックスファンドは、コストの安さや値動きの分かりやすさなど多くの魅力があるものの、リターンが限定される点や市場全体の値動きに連動してしまう点など、いくつかのデメリットも存在する。
インデックスファンドでよりよいパフォーマンスを得るためには、デメリットを克服する対策を講じながら資産運用に取り組むことが重要だ。
また、その際は金融のプロであるIFAのアドバイスを得ることも検討したい。
IFAは資産運用全体に関するアドバイスも行ってくれるため、ぜひ気軽に相談してみよう。