- 新興国債券のおすすめ銘柄が知りたい
- 新興国債券投資を成功させたい
- 新興国債券がどんなものなのか知りたい
国債の一種である新興国債券は、先進国債券に比べて高い利回りが期待できるという魅力がある。
そのため、高いリターンを求める投資家の中には、新興国債券投資に挑戦したいと考える人もいるだろう。
ただし、新興国債券投資を始める際は、注意したいポイントや事前に知っておくべきリスクもいくつか存在する。
本記事では、新興国債券投資の基礎について解説しつつ、メリットやデメリットを紹介する。
新興国債券を成功させるためのポイントや、おすすめの銘柄についても紹介しているため、ぜひ参考にしてほしい。
加えて、債券全体のおすすめを知りたい方はこちらを参考にしてほしい。
新興国債券とは
まずは、新興国債券とはどのような債券なのかを解説していく。
新興国債券の概要や先進国債券との違い
新興国債券とは、その名の通り「新興国」に当てはまる国や企業が発行する債券や新興国の通貨建てで発行される債券のことだ。
新興国とは、すでに経済的に成熟している日米欧などの先進国に対して、現在の経済水準は低いが高い成長性を有する国々のことを言う。
具体的には、東南アジアや中南米、中東、東欧などの国が新興国に当てはまる。
新興国の中でも特に成長が著しい国は、「BRICs(ブリックス)」や「VISTA(ビスタ)」「NEXT11」「CIVETS(シビッツ)」などという名称で呼ばれる。
広大な国土や人口の多さ、豊富な資源などに強みを持つ新興国は、今後の大きな成長が期待できるという特徴がある。
新興国への投資は、経済が急成長することによって高いリターンが期待できる反面、通貨価値の暴落は急激なインフレなど投資におけるリスクが高いというデメリットもある。
新興国債券と先進国債券の違いをまとめると、下記の通りとなる。
種類 | 新興国債券 | 先進国債券 |
---|---|---|
発行体の国や企業 | アジア、中南米等 | 日米欧等 |
利回り | 高 | 低 |
為替リスク | 高 | 低 |
カントリーリスク | 高 | 低 |
新興国債券に投資するメリット
新興国債券に投資するメリットとしては、主に以下の3点が挙げられる。
- 高い運用利回りが期待できる
- 為替動向によっては為替差益を受け取れる
- 資産の分散を行える
新興国債券投資の大きな魅力は、高い運用利回りが期待できる点だ。
運用する通貨によっても異なるが5%〜10%程度の利回りで運用できるのも珍しくない。
国内債券投資では実現できない水準の高いリターンを狙えるのは、大きなメリットと言えるだろう。
また、投資するタイミングによっては為替差益も狙える。
債券を購入したときより満期時点で円安になっていれば、円に戻した時の金額が大きくなる。
今後値上がりしそうな国の通貨を選んで投資するという手法も良いだろう。
さらに、すでに先進国の株式や債券に投資を行っているという方は、新興国の債券を保有することで資産分散が図れるというメリットもある。
新興国債券に投資するデメリット
新興国債券に投資するデメリットは、主に以下の3点だ。
- 投資をする上でのリスクが高い
- 通貨によっては満期時に強制的に円に戻す必要がある
- 情報収集が難しい
新興国債券への投資は高いリターンが期待できるというメリットがある反面、リスクが高い点には注意が必要だ。
債券に投資する上での主なリスクには、以下のようなものがある。
信用リスク | 購入した債券の発行体がデフォルト(破綻)するリスク |
---|---|
価格変動リスク | 途中売却する際に、売却価格が購入価格を下回るリスク |
カントリーリスク | 発行体の所在する国・地域の政治・経済環境によって価格変動などが発生するリスク |
為替リスク | 為替レートの変動によって換金時に為替差損が生じるリスク |
流動性リスク | 債券を売却する際に買い手が見つからなかったり、希望の価格で売れなかったりするリスク |
新興国債券への投資の場合、上記のリスクが先進国債券への投資に比べて大きくなりやすい点に注意が必要だ。
加えて、ブラジルレアルやメキシコペソなど一部の通貨は、円貨決済での投資となる。
債券が満期を迎えたあとに外貨のまま保有することができないため、為替のタイミングを見計らって円に戻す、という対応ができない点がデメリットとなるだろう。
また、新興国は先進国に比べて投資情報を得にくいという特徴もある。
日本にいながら新興国の金融・経済の情報をタイムリーにキャッチして投資に活かすのは、難しいと感じる人もいるかもしれない。
おすすめの新興国債券銘柄を紹介
ここからは、おすすめの新興国債券の銘柄を紹介する。
債券の場合は、新発で購入できる銘柄が少なかったり、既発で購入できる銘柄が証券会社によって異なったりすることから、発行体の国や発行通貨ごとに成長性や利回りの高さを総合的に判断していく。
南アフリカ/ランド
南アフリカは、金やプラチナ、ダイヤモンドなどの鉱物資源が豊富な国だ。
そのため、新興国というカテゴリ以外にも「資源国」というカテゴリで語られることも多い。
資源国の通貨は、金や鉄鉱石、プラチナなど資源価格の動向に影響を受けやすいという特徴がある。
南アフリカの最大の貿易相手国は中国となっている。
そのため、他の資源国通過に比べて中国経済の動向を受けやすい点にも留意しよう。
投資対象としての魅力は、高金利通貨であるため高い利回りを狙えるという点だ。
海外からの資金流入を狙って金利を高く設定する政策をとっているため、低金利の日本に比べると非常に高い金利で運用できる。
世界経済が好調でリスクオンの状況にある場合は、新興国かつ資源国である南アフリカランドも値上がりしやすくなるだろう。
ただし、政府債務の残高が大きい点や財政再建の遅れが生じている点、経常収支の赤字が続いているという財政面の問題には注意が必要だ。
2024年5月14日現在、SBI証券で取り扱っている既発の南アフリカランド建債券には下記のようなものがある。
発行体 | 利率(税引前) | 参考単価 | 利回り(税引前・複利) | 償還日 | 残存 |
---|---|---|---|---|---|
国際復興開発銀行 | 8.250% | 100.70 | 7.908% | 2026/12/21 | 約2.6年 |
国際金融公社 | 0.000% | 79.58 | 8.403% | 2027/3/15 | 約2.9年 |
欧州復興開発銀行 | 0.000% | 77.98 | 8.392% | 2027/6/17 | 約3.1年 |
ノルウェー地方金融公社 | 0.000% | 67.69 | 8.851% | 2028/12/22 | 約4.7年 |
国際金融公社 | 8.250% | 99.45 | 8.382% | 2029/4/2 | 約4.9年 |
アフリカ開発銀行 | 0.000% | 10.36 | 10.914% | 2046/4/5 | 約22.0年 |
出典:SBI証券 外貨建債券 既発債券
上記からもわかる通り、南アフリカランド建の債券は非常に利回りが高い。
残存期間3年未満の短い債券であっても、8%近くの利回りを得られる。
インド/ルピー
インドは、近年急速に成長を遂げていることで注目されている新興国の一つだ。
人口増加や個人消費の拡大への期待などを背景に、今後もインドの経済は堅調に成長していくと期待されている。
2050年には、米国を抜いて中国に次ぐ世界で2番目の経済大国になると予想されているほどだ。
インドルピー建の債券は相対的に利回りが高いという特徴もあり、投資家からも魅力的な投資対象として扱われている。
インドは非資源国であるのも特徴で、原油価格の上昇によって価格が大きく上がりやすい資源国に対して、インドルピーは同じような価格の動きをしにくい。
そのため、新興国の通貨内で分散投資をしたいと考える際も、有力な投資先の候補となるだろう。
SBI証券で取り扱っているインドルピー建の債券は下記の通りだ。
発行体 | 利率(税引前) | 参考単価 | 利回り(税引前・複利) | 償還日 | 残存 |
---|---|---|---|---|---|
欧州復興開発銀行 | 0.000% | 96.13 | 5.157% | 2025/2/27 | 約0.8年 |
欧州復興開発銀行 | 0.000% | 81.92 | 5.602% | 2028/1/13 | 約3.7年 |
出典:SBI証券 外貨建債券 既発債券
メキシコ/ペソ
メキシコは、原油や天然ガス、銀などの資源が豊富な資源国でもある。
そのため、原油の動向に通貨の価格が影響されやすいという特徴を持つ。
地理的には、米国と国境を接しているため、貿易面ではアメリカへの依存が非常に高い。
輸出の8割がアメリカ向けとなっているため、アメリカの景気の影響も受ける。
メキシコの中央銀行は、伝統的にインフレ抑制に積極的な姿勢を取りやすいため、高インフレ環境だと高金利通貨としての魅力が高まりやすいという魅力がある。
近年、原油価格は高い水準で推移しており、メキシコペソへの投資妙味も高まっていると考えられるだろう。
加えて、世界最大の銀生産国であるメキシコは、太陽光パネルなど銀需要の拡大も値上がり材料となる。
ただし、他の新興国通貨と同様に、世界的な金融危機などリスクオフの場面では通貨が大きく売られやすい点や、米国との関係悪化によっては経済に大きなダメージが生じる点に注意が必要だ。
SBI証券で取り扱っているメキシコペソ債は下記の通りだ。
発行体 | 利率(税引前) | 参考単価 | 利回り(税引前・複利) | 償還日 | 残存 |
---|---|---|---|---|---|
国際復興開発銀行 (グリーンボンド) | 4.250% | 91.85 | 9.692% | 2026/1/22 | 約1.7年 |
国際金融公社 | 0.000% | 79.64 | 9.842% | 2026/10/19 | 約2.5年 |
ラボバンク | 0.000% | 59.14 | 9.643% | 2030/1/30 | 約5.8年 |
アフリカ開発銀行 | 0.000% | 50.16 | 9.335% | 2032/2/9 | 約7.8年 |
出典:SBI証券 外貨建債券 既発債券
新興国債券投資を成功させるおすすめの方法
新興国債券投資を成功させるためには、いくつか注意したいポイントがある。
順番に確認していこう。
投資戦略に応じた銘柄の選定
まずは、自分の投資戦略や投資スタイルに合わせた銘柄を選定することが重要だ。
「新興国」と一口にいっても、国や地域、通貨によってリスクは大きく異なる。
自分のリスク許容度に適した投資先であるか、投資目標に対して期待リターンは十分なのか、などリスクとリターンのバランスを確認しながら投資先を選定しよう。
新興国の情報収集と継続的な学習
新興国債券への投資は、先進国への投資に比べて情報収集やリスク管理が難しいため、中級者〜上級者向けの投資だと言える。
そのため、新興国投資を成功させるためには、積極的に情報収集を行い、どんどん自分の知識をアップデートしていくことが肝心だ。
また、金融や投資に関する知識がそれほどない方は、毎日継続的に学習を行うこともおすすめする。
新興国の政治・経済情勢は先進国に比べて変化しやすいため、投資した後はほったらかしにしたい、というスタンスの方はあまり適していない可能性があるだろう。
自分一人で学習を進めるのが不安だという方は、資産運用の専門家に相談するのも一つの手だ。
多数の国や他の投資手法への分散投資
新興国債券の投資を行う際は、自分のポートフォリオのどれくらいの割合で投資するかをあらかじめ決めておこう。
新興国債券投資はハイリスク・ハイリターンな投資になりやすいため、まずは資産の5%〜10%程度から始めるのをおすすめする。
その他の資産は、国内の株式や債券、先進国の株式や債券などある程度リスクを管理しやすい資産に分散して投資するのが良いだろう。
資産を一つにまとめるのではなく、複数の投資先に分散させることで、特定の資産が下落した際も資産全体のマイナスを防ぎやすくなる。
もちろん、預貯金などの安全性の高い資産や、不動産・保険などのその他の投資手法も活用しても良いだろう。
特に、新興国債券に初めて投資するという方は、資産の大部分をいきなり投資することのないように気をつけよう。
新興国債券投資の相談はどこにすべき?
新興国債券投資をこれから始める方は、資産運用の専門家に相談するのをおすすめする。
ここでは、専門家に相談すべき理由や、おすすめの相談先を解説する。
債券投資を専門家へ相談する重要性
新興国債券投資を行うためには、投資先の国や地域の情報を詳しく調べて、通貨動向や過去のパフォーマンスなどもしっかりとチェックすることが重要だ。
資産運用の専門家に相談しながら投資を進めることで、豊富な知識や経験に基づく質の高いアドバイスが期待できるというメリットがある。
加えて、資産運用を成功させるためには、自分のリスク許容度や投資目標をしっかりと設定した上で、自分の運用ニーズに合う銘柄を選ぶ必要がある。
投資初心者だと一人で判断するのは難しいと感じるかもしれないが、専門家に相談することで、安心して投資する銘柄を選びやすくなるだろう。
IFAの役割とメリット
債券投資の相談先としておすすめなのが、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)だ。
銀行や証券会社などの金融機関からは独立しているため、中立的な立場からのアドバイスが期待できるという点がメリットだ。
会社の営業方針や販売ノルマなどに左右されず、顧客に合った運用戦略や投資商品を選定してくれるため、初心者でも安心して資産運用を任せやすいだろう。
会社都合の転勤などは存在しないため、長期的に信頼関係を築きながら資産運用の相談ができるのも魅力的だ。
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高い金利と成長性に期待する新興国債券投資
新興国債券は、新興国の国や企業が発行する債券や、新興国の通貨建てで発行される債券のことを指す。
先進国債券に比べて高い利回りが期待できるというメリットがある一方、価格変動リスクやカントリーリスク、為替リスクなどのリスクが大きいというデメリットもある。
本記事では、新興国債券のおすすめ銘柄も紹介したので、これから新興国債券を購入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
新興国債券投資で成功するためには、自分の求めるリスク・リターンのバランスにあった銘柄を選び、適切な資産配分で投資を行うことが重要だ。
自分にあった銘柄選びの方法や運用戦略を知りたい方は、資産運用の専門家に相談するのをおすすめする。
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