※本コラムは2024年9月12日時点の情報を参考にしています。数値は2023年12月31日のデータを元にお届けしています。
アライアンス・バーンスタイン株式会社は米国に本社を構える世界有数の資産運用会社です。
特徴や運用戦略、運用哲学について伺いました。
アライアンス・バーンスタイン株式会社を一言で言うと
「まだ見ぬ世界を拓く知を解き放つ」をパーパスに、アクティブ運用を行う資産運用会社です。
アライアンス・バーンスタインの特徴
概要
当社は米国に本社を構える世界有数の資産運用会社で、運用資産総額は日本円で約102兆円に達しています。
米国を中心にグローバルに事業を展開しており、株式、債券、マルチアセット、オルタナティブといったあらゆる資産クラスにバランスよく、網羅的に投資しています。
機関投資家には主に年金基金と金融法人に対して、リテール(個人投資家)向けには投資信託を通じて運用サービスを提供しています。
また、富裕層向けのサービスにも力を入れており、顧客層に応じたサービス提供を行っています。
中でも、米国ではプライベート・バンキング(PB)ビジネスを展開し、運用会社でありながら富裕層の資産管理や承継などに関するサービスも提供しています。
また、当社最大の特徴は、”アクティブ運用”です。
大規模な運用会社の多くはパッシブ運用が中心ですが、当社は運用資産のほとんどでアクティブ運用を行っています。
このアクティブ戦略を支えているのが、徹底したリサーチです。
単に金融商品を提供するだけでなく、お客様に対してリサーチに基づく情報提供を行い、幅広いサポートを実現しています。
このように多大な労力と資源をリサーチに投入していることが当社の特徴です。
50年以上の投資経験
当社は1962年にドナルドソン・ラフキン・ジェンレット(DLJ)社の運用部門として発足されました。
その後、DLJ社は1971年にムーディーズ・インベスターズ・サービス社の投資顧問部門と合併し、アライアンス・キャピタル・マネジメントが誕生しました。
これがアライアンス・バーンスタインの”アライアンス”の由来です。
また、ムーディーズはご存じの通り、米国の格付け会社です。
後ほど詳しくご説明しますが、当社のリサーチに対する徹底した姿勢の起源はここにあります。
そして、1973年にストラテジック・バリュー株式の運用を開始し、1977年には米国の大型グロース株式の運用を開始しました。
この頃から、割安なバリュー株への投資や成長性の高いグロース株の運用を行い、アクティブ運用に強みを持つ資産運用会社としての礎が築かれました。
”バーンスタイン”は、1967年に設立されたサンフォード・C・バーンスタイン社に起源があります。
創業者のバーンスタイン氏の資産運用を目的とした会社として設立され、富裕層向けの株式運用サービスが主なビジネスでした。
そして、2000年にアライアンス・キャピタル・マネジメントがサンフォード・C・バーンスタイン社を吸収合併し、2006年に社名がアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとなり、現在の運営形態となります。
両社の合併は運用スタイルの親和性が高かったことが要因です。
アライアンス・キャピタル・マネジメントは、親会社である保険会社の運用部門からスタートしたため、証券会社や大手銀行が集まるウォール街の運用会社として確固たる実績があります。
そして、サンフォード・C・バーンスタイン社はリサーチを大切にしながら、富裕層向けのサービスを提供してきました。
この両社のシナジーを活かしてさらなる成長ができると期待され、合併が成立しました。
このようにリサーチを大切にし、機関投資家・PBの顔も併せ持つ世界有数の資産運用会社として今日まで実績を積み上げてきました。
日本におけるアライアンス・バーンスタイン
日本の運用資産総額は約6兆円で、全体の運用資産約102兆円のうち約5%を占めています。
この数字は、グローバルに展開する外資系のアセットマネージャーの中でも、日本市場への関与が比較的強く、日本へのコミットメントも非常に高いということを示しています。
日本で当社が業務を開始したのは1986年、もうすぐ40周年を迎えます。
1980年代中盤は、1985年の「プラザ合意」に象徴されるとおり日本の金融市場の国際化が加速し、外資系の投資顧問会社・資産運用会社では最も進出の早い一社として、当社は1986年11月に東京支店を開設しました。
また、日本が”米国以外で初めて投資顧問免許が発行された拠点”ということも注目すべきポイントです。
現在、リテール向けの運用資産は約4.5兆円、機関投資家向けは約1.5兆円ということからわかるように、日本では現在リテールの運用資産が多くなっています。
米国ではPBを自社で運営しているため、富裕層への直接的なアプローチが可能です。
一方、日本国内ではPBを有していないため、外部機関を活用してアプローチしています。
投資信託商品を金融機関経由で取引をしていますが、その先のお客様が資産形成層なのか富裕層なのかは分かりません。
そのため、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などを効果的に活用して投資信託を販売し、彼らを通じて個人の富裕層の方々との関係性を深めています。
世界を結ぶグローバルネットワーク
グローバルに27カ国、54の拠点を展開しており、リサーチ拠点と営業拠点を有しています。
従業員数は4,707名で、ポートフォリオ・マネージャーは150名、バイサイド・アナリストは294名という体制で、確立されたリサーチと運用の体制を構築しています。
本社はテネシー州ナッシュビルにあり、2022年にニューヨークから移転しました。
移転した背景の一つには、IT人材の確保と技術革新を加速させるという意図があります。
ITというとシリコンバレーのイメージが強いですが、ナッシュビルには若い世代が集まっており、新進気鋭のIT企業も生まれています。
また、ナッシュビルはカントリーミュージックの拠点として知られていますが、現在はテクノロジーの新興拠点となっており、新たな挑戦に積極的な私たちにとって非常に魅力的なエリアとなっています。
アライアンス・バーンスタインの運用哲学・運用方針
徹底したリサーチと情報提供
“リサーチ力”が当社の強みです。
リサーチは単に運用のためだけに行うものではなく、有益な情報をお客様に提供し、意思決定のインサイトとして役立てていただくことを目的としています。
例えば、マーケットが大きく下落した際、不安を感じるお客様に対して、当社のリサーチと考え方を提供することで、マーケット環境を正しく理解し、安心した投資が行えるようにサポートしています。
また、お客様が運用を始める際にも、当社のリサーチを基にした運用戦略をご紹介することで、「この運用を始めてみようかな?」と感じられるように情報提供を通じて背中を押す役割も果たしています。
そして、当社はあくまでも金融商品をご購入していただく前に”情報提供する”ことが重要だと考えています。
具体的には、当社HPを通じてリサーチレポートやブログ形式で情報を発信し、お客様に幅広い知見を提供しています。
これはグローバルで一貫して行っている取り組みです。
責任投資への取り組み
一般的な投資運用会社では、責任投資を専門部署、専門チームが一括で担当するといったケースが多くあります。
一方、当社では米国成長株、米国中小型株、ヨーロッパ株、債券といった運用チームにこのフィルターがかかっています。
さらに、コロンビア大学との協業を通じて、責任投資に対する知見を深めるアカデミックな取り組みにも積極的です。
これは責任投資を単なる表面的なマーケティング手段として捉えることなく、外部の機関との連携によって、しっかりと責任投資を行う姿勢があることを示しています。
近年、責任投資を謳っていたものの、実際には行っていなかったという投資信託商品が取沙汰されましたが、当社には確実に責任投資を実施するための体制が整備されています。
イノベーションの推進
当社のリサーチ力を支えているのは、常に”新しいことにチャレンジする”カルチャーです。
近年、AIを活用したバーチャルポートフォリオアシスタント「ABBIE」や、債券市場の流動性情報を集約する先進システム「ALFA」を開発しました。
もちろん、最終的に判断するのは”人”だと考えているので、全てをAIに任せて運用するわけではございません。
あくまでAIは、人が的確な判断できるようサポートし、迅速な意思決定を促すためのツールとして活用していくという認識です。
例えば「ALFA」は債券市場の流動性情報を集約するシステムですが、債券市場を可視化するためのツールとして非常に役立っています。
債券市場は株式市場のように公開されたマーケットがなく、情報がブラックボックス化されています。
そのため、アセット・マネジャーがポートフォリオを組む際、債券を仕入れたくてもなかなか手に入らない、仕入れることができたとしても想定していた価格よりも高くなってしまうという問題が発生していました。
そこで、様々な会社と協力し、情報を相互に交換しながら、債券の情報を集めるシステムを開発しました。
これは債券市場を可視化することで、業界全体にも役立つツールとして活用され、自社の運用にも活かすことができています。
また、「ABBIE」はAIを用いたバーチャルポートフォリオアシスタントです。
主に「ALFA」を活用して集めた情報を元に、ポートフォリオ・マネジャーが欲しい債券を効率的に見つけ出すサポートをしています。
例えば、ある事業会社の債券を探している際には、AIが目当ての債券が売りに出された時にお知らせするという機能があります。
このように業界の活性化にもつながるようなシステムの開発や、新技術の活用を通じてイノベーションを推進しながらリサーチ力を高め、強力なポートフォリオを作るのに役立てています。
運用をお考えの方へ
アライアンス・バーンスタインのブランド・プロミスとして「Fully Invested in Better Outcomes」という言葉があります。
これには”より良い成果のために全力で取り組む”という想いが込められています。
私たちはお客様の成功のために、人材やリサーチ、システムなど、あらゆる資源に投資し、フルコミットしてサポートしていきます。
もし当社に関心を寄せていただける場合は、ぜひ当社のHPを覗いてみてください。
代表者:代表取締役社長 阪口 和子
本社所在地:16億3,000万円(2023年12月31日時点)
設立:1996年10月28日(業務開始:1986年11月21日)