- アメリカ市場に特化した投資信託のメリットを理解したい
- 投資信託選びの重要なポイントを理解したい
- 米国市場投資のリスクとその対策法が知りたい
2024年2月9日、ニューヨーク株式市場では、主要500社の株価で構成している「S&P500」の指数が5,000ポイントを超え、過去最高値を更新した。
新NISAも始まり、米国株式で構成される投資信託に興味を持っている人も多いだろう。
では、投資信託をアメリカだけで実施した場合、リターンやリスクはどの程度になるのだろうか。
この記事では、アメリカの経済指標をベンチマークとする投資信託に投資する魅力や注意点について解説する。
これから投資信託をアメリカ株のみで検討している人や、どのような特徴があるのか知りたい場合は、検討してほしい。
アメリカ市場のみに特化する投資信託の魅力とは?
アメリカ株で運用される投資信託を購入する場合、市場の特徴や過去の実績を把握したうえで投資する必要があるだろう。
今までどのような推移をたどってきたのか、また強みや特徴について、以下の項目を踏まえて解説する。
- アメリカ市場の特徴
- アメリカ市場特化型投資信託の利点
- 期待されるリターンと過去の実績
それぞれ確認しよう。
アメリカ市場の特徴
米国市場の代表的な株式指数は、以下の3つである。
- NYダウ
- S&P500
- NASDAQ100
NYダウは、アメリカを代表する30の銘柄から構成されている指数である。
企業の評判が高く、持続的な成長を達成している銘柄で構成されている。
S&P500は、時価総額や業績などの一定条件を満たした企業500社で構成されている株式指数となっている。
NASDAQ100は、アメリカNASDAQで取引される全銘柄の時価総額の合計を終値ベースで評価し、1971年2月5日の終値を100(基準値)として数値化したものだ。
それぞれの指数は、アメリカの経済動向を予測するうえで、世界中の投資家から注視されている。
アメリカの株式市場の特徴は、イノベーションにより世界の経済成長を牽引している点にある。
時価総額上位には、いわゆるGAFAMやマグニフィセント7といった、テクノロジー業界を中心に位置している。
- GAFAM
- Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft
- マグニフィセント7
- Google、Amazon、Microsoft、Apple、Meta、NVIDIA、tesla
これまでも、テクノロジー分野のイノベーションが各企業で起こったことで、世界経済をリードするほどの経済成長を促してきた。
今後も米国市場は世界経済を牽引する企業を生み続けていくだろう。
アメリカ市場特化型投資信託の利点
アメリカの経済指標に連動した投資信託は、先ほど解説したイノベーションによる経済成長を持続する期待をもてるため、安定したリターンが期待できる。
実際に、アメリカの経済成長は底堅く、中長期的に安定した成果をもたらすと予測されている。
実際に、ゴールドマンサックスは長期成長率予想を引き上げた。
上方修正した要因は、生成AIのマーケットリーダーとして今後10年間、生産性を向上させると予想したためである。
また、2050年のGDPも世界3位と予想していることから、長期的な視点で経済成長を続けられるとみられている。
そのため、経済成長の恩恵を安定的に享受できる可能性が高い。
アメリカは世界経済の中心国として長らく牽引している状況と、ドルが世界の基軸通貨となっている側面を考えると、今後もマーケットの成長は安定的に伸長する期待感が持てるだろう。
アメリカ市場特化型投資信託の期待リターンと過去の実績
それぞれの株式市場をベンチマークとした具体的な投資信託を、5年保有した場合のリターン(年率)は、以下の通りになった。
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)5年
- +21.44%
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス(NASDAQ100)5年
- +27.98%
- NYダウ・インデックスファンド(為替ヘッジなし)(NYダウ)5年
- +16.63%
このように、それぞれ高いリターンとなっている。
将来的な予測は断言できないが、今後も経済成長が望める点を考えると、引き続き安定的なリターンは期待できるだろう。
アメリカのみの投資信託の落とし穴
高い経済成長を継続したアメリカ市場だが、これまでもマイナス成長となった局面は存在した。
2000年のITバブル崩壊や、2008年のリーマンショックなどは、世界の株式市場にも大きな影響を与えている。
近年では、2020年のコロナショックで株式市場は下落した。
こうした世界的な金融ショックに加えて、アメリカ市場では特有のリスクも存在している。
今回は、アメリカの株式市場に影響を及ぼす特有のリスクと、リスクコントロールする方法について解説する。
アメリカ市場特有のリスク要因
米国市場にみられる特有のリスク要因が、大統領選挙による「アノマリー」である。
アノマリーは、理論的に説明がつけられない経験則を意味し、これまで4年ごとのアメリカ大統領選挙で、株式市場は影響を受けている。
三井住友DSアセットマネジメントは、1896年5月から2020年までの間で、大統領の任期3年目では、NYダウが全31回中25回上昇していると発表している。
翌年の大統領選挙に向けた政策運営などを織り込むことによって、株価が上昇したとされている。
過去の推移をみると、大統領選挙が行われる前年から株価が上昇する傾向がみられた。
以上から、米国市場特有のリスク要因として大統領選挙年の「アノマリー」が存在する。
とはいえ、必ず上昇するわけではなく、下落しているケースもあるので、参考程度に考えておいた方がいいだろう。
為替変動リスクとその影響
アメリカ株での投資信託に限らず、海外の資産を保有する場合は、為替変動リスクが影響すると考えておく必要がある。
株価の上昇などで運用成果がプラスになっていたとしても、為替による差損が発生するかもしれない。
一般的に、海外資産は円高になるほど為替差損が発生しやすい。
また、こうした為替損が発生しないように、投資信託の商品によっては「為替ヘッジ」を付加するものもある。
為替ヘッジが適用されていると、為替損益がそもそも発生しない。
ただし、ヘッジコストといわれる手数料がかさむので、余計な支出が増える可能性がある点に注意したい。
アメリカ市場特化型投資信託は長期的視点を持つべき
米国市場での投資信託で投資をするなら、為替や政治リスクに対するコントロールが必要になる。
リスク管理に有効な方法の1つが「長期投資」である。
長期投資をすると運用パフォーマンスが安定的に推移する。
一方、保有期間が短いと運用効果にブレが大きくなりやすい。
三菱UFJアセットマネジメント株式会社は、1996年12月から2016年12月の間に4資産を分散して1年、5年、10年で保有をやめた場合、年率リターンがいくらになったかを調査した。
その結果、保有期間が短いと年率リターンの最大値と最小値の差が大きくなっている。
保有期間 | 最大値 | 最小値 |
---|---|---|
1年 | 38.2% | -30.4% |
5年 | 13.0% | -6.5% |
10年 | 9.9% | 0.1% |
以上から、保有期間が長くなると安定的な運用効果が出るといえるだろう。
さらに、過去の指数をもとに確認する。
金融庁が調査した結果、世界の主な株価指数に積み立て投資を20年間実施した場合、すべての指数がプラスになった。
以上から、米国市場に潜む特有のリスクは、長期投資でコントロールすると良いだろう。
投資信託選びのポイント
投資信託は、投資家の代わりに資産運用をファンドマネージャーが行い、リターンを投資家に還元する仕組みである。
そのため、効果的な運用成果を出すためには、投資信託を選ぶ際に、いくつかのポイントを踏まえる必要がある。
実際に、投資信託を選ぶ場合のポイントについて、以下の観点から解説する。
- 投資信託を選ぶ場合の基準
- コストと運用パフォーマンスの関係性
- 分散投資の重要性
それぞれのポイントについて確認しよう。
投資信託を選ぶ場合の基準
投資信託を選ぶ場合、以下の項目を踏まえて選ぶと良いだろう。
- 純資産の推移
- コストの面(信託報酬や信託財産留保額)
純資産は、投資家から集めている資金の残高を意味する。
純資産の残高が高ければ、それだけ投資家からの人気が高い商品だといえる。
純資産の目安額は、約30億円とされている。
30億円を下回ると、途中で運用が中止される可能性がある。
10億円を下回っていないか、よく確認しておくと良い。
次に、コストの面である。
先ほど、投資信託にかかる主なコストを以下の通り解説した。
- 購入時手数料
- 売買時にかかる手数料
- 信託報酬
- 投資信託を保有中にかかる手数料
- 信託財産留保額
- 投資信託を解約した場合にかかる手数料
できるだけ信託報酬が低く、信託財産留保額がかからない銘柄を選ぶと良いだろう。
コストと運用パフォーマンスの関係性
投資信託におけるコストの中でも、運用管理費用(信託報酬)は、運用方針で大きく異なる。
一般的に、投資信託の運用方針は「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類がある。
- インデックスファンド
- 目標とする指標(ベンチマーク)に連動する運用を目指す
- アクティブファンド
- 目標とする指標(ベンチマーク)を上回る運用を目指す
一般的に、アクティブファンドで運用すると運用益が大きくなる可能性が高い。
ただし、運用に手間がかかるので、信託報酬が高くなる。
インデックスファンドもアクティブファンドも、それぞれメリットデメリットがあるため、運用する本人の運用目的やリスク許容度に合わせた選択が必要だ。
分散投資の重要性
分散投資は、リスクを軽減する効果がある。
2020年にニッセイ基礎研究所が調査した「分散投資効果の計測とパフォーマンス改善の検証」によると、分散投資によってリスクを20%低減できるとされている。
また、年率換算でみたリターンが3.92%から4.25%に向上している。
そのため、分散投資は運用パフォーマンス向上にも寄与している。
投資で一定の成果を出すためには、分散投資が重要といえるだろう。
異なる値動きをする資産や銘柄を取り入れておけば、一部の資産が値下りしても、他の資産でカバーできる可能性が高くなる。
アメリカ市場特化型投資信託を運用するなら誰に相談するべき?
アメリカの株式市場に連動した投資信託を選ぶ場合、銘柄選びやベンチマークとする指標、コストなど、専門的な知識が必要になる。
また、実際に投資信託で資産運用をするべきなのかは、世帯や資産の状況、また投資目標によっても異なる。
このような判断をするには、高度な専門知識や経験が必要になるだろう。
そのため、投資経験がない人には、自身で投資信託の銘柄を選ぶのはハードルが高い。
そこで、今回は資産運用の専門家であるIFAに相談するメリットについて解説する。
投資信託を活用した資産運用における専門家の重要性
投資信託の運用は、専門家への相談が重要である。
投資信託を選ぶ場合、投資目標やどのタイミングで資産を増やしたいのかなどで、選ぶ銘柄が変わってくる。
そのため、特に初心者はどのような投資信託を選ぶべきか、自分では判断がつかないケースもある。
特に、アメリカ株での投資信託は為替リスクや政治的なリスクも生じるので、より高度な知識も必要になる。
目標とする運用成果を達成させるためには、資産運用に関する知識や経験が豊富な専門家であるIFAに相談すると良い。
IFAによる投資計画の立案支援
IFAに相談すると、それぞれの状況に合った適切なポートフォリオや投資額をいくらにするべきか相談できるメリットがある。
自分に合った資産運用のやり方についてアドバイスが受けられるだけでなく、IFAは、幅広い投資商品の中から自分に最適な金融商品を紹介してもらえる点もメリットだ。
ファンドの純資産額の推移や、各種コストの面から、おすすめの投資信託を紹介してくれる。
さらに、インデックスファンドやアクティブファンドのどちらに投資すべきか、現状からアドバイスがもらえる点もメリットといえるだろう。
「資産運用ナビ」を活用したアドバイザー選び
最適なIFAを見つけるためにも、IFA検索プラットフォームを経由して、自身の相談内容を得意分野としているアドバイザーを見つけると良いだろう。
「資産運用ナビ」は、投資が初めての人でも安心して利用できる無料のIFA検索プラットフォームなので、気軽に利用してみてほしい。
実際に、アメリカ株での投資信託だけでよいのか、日本や他国の金融商品も組み込むべきかもアドバイスが受けられるだろう。
他の資産クラスへの分散投資が必要であれば、トータルでアドバイスが受けられるので、その点も確認してもらうと良い。
成長が期待されるアメリカ市場特化型投資信託を運用してみよう
現在、アメリカのみに投資する投資信託に人気が集まっている。
アメリカの株式市場の特徴は、イノベーションにより世界の経済成長を牽引している点にある。
時価総額上位には、いわゆるGAFAMやマグニフィセント7といった、テクノロジー業界が中心となっている。
これまでも、テクノロジー分野のイノベーションが各企業で起こったことで、世界経済をリードする経済成長を起こしてきた。
今も米国市場は世界経済を牽引する企業が生まれ続けている。
しかし、大統領選挙年が近づくと、株価が上下する「アノマリー」や、為替リスクが影響するので、注意も必要だ。
効率よく運用成果をプラスにするためには、長期的な視点で投資をしながら、投資信託のコストや運用スタイルを見て決める必要がある。
どのような銘柄を選ぶべきかは、個人の資産状況やリスク許容度に応じて異なる。
そのため、資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けると良い。
特にIFAは、中立的な立場から最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAを見つけると良い。