- 投資信託を選ぶ基本的な基準が知りたい
- どんな種類の投資信託があるのか知りたい
- 投資信託を選ぶ際の注意点を知りたい
2024年1月1日からNISA制度が変わり、投資信託を使った資産形成に関心を持つ人が増えている。
投資信託は、投資家から集めた資金を運用会社等の専門家が株式・債券などに投資し、その成果を投資家が受け取る金融商品だ。
1つの商品で複数の銘柄や資産に分散しやすく、少額から積立投資を始めやすい点は初心者にとって利用しやすい。
一方で、投資信託は商品数が多く、投資対象・コスト・リスク・NISA対象可否も商品ごとに異なる。人気ランキングや過去の成績だけで選ぶと、自分の目的に合わない商品を買ってしまう可能性がある。
投資信託を選ぶときは、まず「何のために、どのくらいの期間、どの程度のリスクを取って運用するのか」を決めたうえで、投資対象、信託報酬、分散度合い、運用実績、NISA対象区分を確認しよう。
この記事では、投資信託の種類、選び方、注意点、相談先の確認ポイントを解説する。
投資信託を選ぶならまずは種類と特徴を理解しよう

投資信託を選ぶ前に、まずは商品の種類と特徴を整理しておこう。
投資信託は、運用方法、投資対象、地域、テーマ、上場しているかどうかによって特徴が変わる。
ここでは、次の3つを中心に解説する。
- アクティブファンドとインデックスファンドの違い
- 国内資産・海外資産・ETFの違い
- 特定の産業やテーマに特化したファンドの特徴
アクティブファンドとインデックスファンドの違い
投資信託は、運用方法によって大きく「インデックスファンド」と「アクティブファンド」に分けられる。
インデックスファンドとは、日経平均株価、TOPIX、S&P500など、特定の指数への連動を目指す投資信託だ。
例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドは、日経平均株価と同じような値動きを目指す。ただし、信託報酬などのコストがかかるため、運用成績が指数と完全に一致するわけではない。
一方、アクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄を選定し、指数を上回る運用成果を目指す投資信託である。
ただし、アクティブファンドだから必ず指数を上回るわけではない。調査・分析や銘柄選定にコストがかかるため、一般的にはインデックスファンドより信託報酬が高くなりやすい。
| 種類 | 特徴 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| インデックスファンド | 特定の指数への連動を目指す | 信託報酬、対象指数、指数との連動性 |
| アクティブファンド | 指数を上回る運用成果を目指す | 運用方針、過去実績、コストに見合う成果 |
コストを抑えて長期で積み立てたい人は、まず低コストのインデックスファンドから比較すると分かりやすい。
アクティブファンドを選ぶ場合は、信託報酬の高さに見合う運用方針や実績があるかを確認しよう。
国内資産・海外資産・ETFの違い
投資信託は、投資対象の地域によっても特徴が異なる。
国内株式・国内債券に投資する商品は、為替変動の影響を受けにくい。一方、海外株式・海外債券に投資する商品は、投資先の成長を取り込みやすい一方で、為替変動リスクがある。
円安になると外貨建て資産の円換算額は増えやすく、円高になると円換算額は減りやすい。海外資産に投資する場合は、投資対象そのものの値動きだけでなく、為替の影響も確認しよう。
また、海外資産への投資手段として、米国ETFなどのETFを選ぶケースもある。
ETFとは「上場投資信託」のことで、投資信託の特徴を持ちながら、証券取引所で株式のようにリアルタイムで売買できる商品だ。
| 分類 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 国内資産の投資信託 | 円建てで管理しやすい | 日本市場に偏りやすい |
| 海外資産の投資信託 | 海外の成長を取り込みやすい | 為替変動リスクがある |
| ETF | 取引所でリアルタイムに売買できる | 売買手数料、分配金の再投資、流動性を確認する |
海外ETFを購入する場合は、円を外貨に交換するための為替コスト、売買手数料、分配金の扱い、現地課税なども確認したい。
投資初心者がまず検討するなら、証券会社で積立設定しやすい国内籍の投資信託から比較すると、管理しやすい場合が多い。
特定の産業やテーマに特化したファンド
投資信託には、半導体、AI、電気自動車、ヘルスケア、脱炭素など、特定の産業やテーマに特化したファンドもある。
テーマ型ファンドは、成長が期待される分野に集中投資できる点が特徴だ。一方で、投資対象が限定されるため、広く分散されたインデックスファンドより値動きが大きくなることがある。
半導体関連の投資信託の例として、「ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)<購入・換金手数料なし>」がある。
この投資信託は、実質的に米国の株式等に投資し、SOX指数(配当込み、円換算ベース)への連動を目指すインデックス型の投資信託である。
ただし、半導体関連銘柄に集中するため、業界の景気、金利、為替、米国株式市場の動向によって大きく値動きする可能性がある。
テーマ型ファンドは、資産形成の土台として全額を投資するよりも、広く分散された投資信託を中心にしたうえで、一部の上乗せ枠として検討するとリスクを管理しやすい。
投資信託選定の基本原則

投資信託を選ぶときは、いきなり商品名を比較するのではなく、以下の順番で確認すると判断しやすい。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 目的 | 老後資金、教育資金、余裕資金の運用など |
| 運用期間 | 数年以内に使う資金か、10年以上運用できる資金か |
| 投資対象 | 株式、債券、REIT、国内、海外、テーマ型など |
| コスト | 購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額、その他費用 |
| 分散度合い | 銘柄、地域、資産、通貨が偏りすぎていないか |
| NISA対象可否 | つみたて投資枠対象か、成長投資枠対象か |
ここでは、基本原則として以下の3点を解説する。
- 信託報酬などのコストを比較する
- 運用実績は長期で確認する
- 投資先の分散度合いを確認する
投資信託の信託報酬などのコストから選ぶ
投資信託を選ぶ際は、まずコストを確認しよう。
代表的な費用は以下の通りだ。
| 費用 | 内容 | 確認タイミング |
|---|---|---|
| 購入時手数料 | 購入時に販売会社へ支払う費用 | 購入前 |
| 信託報酬 | 保有中に信託財産から差し引かれる運用管理費用 | 保有中 |
| 信託財産留保額 | 解約時などに差し引かれる場合がある費用 | 売却・解約時 |
| その他費用 | 監査報酬、売買委託手数料など | 目論見書で確認 |
特に信託報酬は、投資信託を保有している間、継続的にかかる費用である。長期投資では、信託報酬の差が運用成果に影響しやすい。
ただし、信託報酬が低いだけで選ぶのは避けたい。同じ投資対象の商品同士で比較し、投資対象や運用方針が自分の目的に合っているかも確認しよう。
インデックスファンドは、同じ指数に連動する商品同士で信託報酬を比較すると分かりやすい。
アクティブファンドは、信託報酬が高くなりやすいため、運用方針や長期実績がコストに見合うかを確認したい。
投資信託の長期的な運用実績から選ぶ
運用実績を確認する際は、できるだけ長期の実績を見ることが大切だ。
短期の成績は、その時点の相場環境や一時的な人気に左右されやすい。1年だけの成績が良くても、長期で安定しているとは限らない。
運用実績を見る際は、以下の点を確認しよう。
- 運用期間:設定から十分な期間があるか
- 騰落率:1年、3年、5年など複数期間で確認する
- 最大下落:大きく下がった局面でどの程度下落したか
- ベンチマークとの差:指数や比較対象に対してどう推移しているか
- 純資産総額:運用規模が極端に小さくないか
特にアクティブファンドを検討する場合は、同じ投資対象のインデックスファンドと比べ、コストに見合う運用成果があるかを確認しよう。
ただし、過去の運用実績は将来の成果を保証するものではない。過去成績だけでなく、投資対象、運用方針、コスト、リスク許容度を総合的に見て判断することが重要だ。
投資信託の投資先の分散度合いから選ぶ
投資信託の魅力は、1つの商品で複数の銘柄や資産に分散投資しやすい点にある。
ただし、投資信託なら必ず十分に分散されているとは限らない。似たような銘柄や業種に集中している商品もあるため、交付目論見書や月報で投資内容を確認しよう。
分散を見る際は、以下の4つを確認するとよい。
| 分散の種類 | 確認ポイント |
|---|---|
| 銘柄分散 | 一部の銘柄に偏りすぎていないか |
| 資産分散 | 株式、債券、REITなどの比率 |
| 地域分散 | 日本、米国、先進国、新興国などの比率 |
| 通貨分散 | 円建て資産と外貨建て資産のバランス |
全世界株式型の投資信託でも、実際には米国株式の比率が高い場合がある。商品名だけで判断せず、月報の組入比率を確認することが大切だ。
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投資信託を選ぶときの注意点

投資信託を選ぶ際は、コストや実績だけでなく、リスク、買い方、税制も確認する必要がある。
ここでは、投資信託選びで失敗を避けるために押さえたい注意点を3つ解説する。
- リスクとリターンのバランスを理解する
- 積立投資と一括投資を使い分ける
- NISAと税金の注意点を確認する
リスクとリターンのバランスを理解する
投資信託は、商品によって想定されるリスクとリターンが異なる。
一般的に、株式の比率が高い投資信託は高いリターンを期待しやすい一方、価格変動も大きくなりやすい。債券の比率が高い投資信託は、株式中心の商品に比べて値動きが小さくなりやすいが、期待リターンも低くなりやすい。
リスクを確認する際は、以下の項目を見ておこう。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 株式比率 | 株式が多いほど値動きは大きくなりやすい |
| 投資地域 | 米国、全世界、新興国などで値動きが異なる |
| 為替リスク | 海外資産は円高・円安の影響を受ける |
| テーマ集中 | 半導体、AIなど特定テーマは集中リスクがある |
| 過去の下落率 | 相場悪化時にどの程度下がったかを確認する |
例えば、全世界株式型の投資信託は広く分散されている一方、株式中心であるため相場下落時には大きく値下がりする可能性がある。
国内債券型の投資信託は株式型に比べて値動きが小さくなりやすいが、金利変動の影響を受ける。一般に、金利が上昇すると債券価格は下落しやすい。
投資信託を選ぶ際は、過去の騰落率や最大下落を見て、自分がその値動きに耐えられるかを確認しよう。
積立投資と一括投資を使い分ける
投資信託の買い方には、毎月一定額を購入する積立投資と、まとまった資金を一度に投資する一括投資がある。
積立投資は、購入タイミングを分散できる点がメリットだ。価格が高いときにも安いときにも買うため、一度に高値で買ってしまうリスクを抑えやすい。
ただし、積立投資でも損失が出ないわけではない。投資対象が長く下落し続ける場合は、積立を続けても評価損を抱えることがある。
一括投資は、購入後に価格が上昇すれば大きなリターンを得やすい。一方で、購入直後に下落した場合の影響も大きい。
| 買い方 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 積立投資 | 少額から長期で続けたい場合 | 損失を防ぐ方法ではない |
| 一括投資 | 余裕資金があり、長期で保有できる場合 | 購入直後の下落リスクが大きい |
| 分割投資 | まとまった資金を一度に入れるのが不安な場合 | 資金を寝かせる期間が生じる |
初心者や投資タイミングの判断が難しい人は、まず積立投資から始めると続けやすい。
一括投資をする場合でも、すべてを一度に投資せず、複数回に分けて買う方法も検討できる。
NISAと税金の注意点を確認する
投資信託を選ぶ際は、NISAを活用できるかどうかも確認したい。
2024年からのNISAでは、年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で、併用すると年間最大360万円となる。非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円が上限だ。
また、金融庁の資料では、2026年5月11日時点のつみたて投資枠対象商品は354本とされている。つみたて投資枠で買える商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の商品に限られる。
NISAを使うと、制度上の要件を満たす範囲で、投資信託の売却益や分配金が非課税になる。
一方で、NISA口座で損失が出た場合、特定口座や一般口座の利益と損益通算することはできない。損失の繰越控除もできないため、NISAなら必ず有利になるわけではない。
長期の資産形成を目的にする場合は、分配金を頻繁に受け取る商品よりも、ファンド内で再投資される商品を検討すると複利効果を活かしやすい。
ただし、分配金を出さない商品でも元本割れリスクはある。NISAの非課税メリットだけで商品を選ばず、投資対象・コスト・リスク・運用期間を確認して判断しよう。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
上記のような投資信託は、長期の資産形成で検討されることが多い商品例である。ただし、購入を推奨するものではない。実際に選ぶ際は、交付目論見書や月報で投資対象、信託報酬、為替リスク、NISA対象区分を確認しよう。
投資信託の選び方と資産運用の相談先はどこが良い?
投資信託を自分で選べない場合は、専門家に相談するのも選択肢の一つだ。
ただし、相談先によって得意分野や提案できる商品、手数料体系は異なる。相談先を選ぶ前に、どのような助言を受けたいのかを整理しておこう。
- 投資信託を活用した資産運用における専門家の重要性
- IFAの役割と相談前に確認したいこと
投資信託を活用した資産運用における専門家の重要性
投資信託は種類が多く、投資対象やリスクも幅広い。そのため、資産運用に慣れていない人は、商品選びで迷いやすい。
専門家に相談するメリットは、単に商品名を教えてもらうことではない。
投資目的、運用期間、リスク許容度、家計状況、将来の支出予定を整理し、そのうえで投資信託を選びやすくなる点にある。
相談前には、以下の点を整理しておくとよい。
- 何のために投資するのか
- 何年運用できる資金なのか
- いくらまでなら値下がりしても生活に影響がないか
- 毎月いくら積み立てられるか
- 相談料や商品販売に伴う手数料はいくらか
専門家に相談する場合でも、提案をそのまま受け入れるのではなく、費用、リスク、代替案を確認し、自分でも納得したうえで判断することが大切だ。
IFAの役割と相談前に確認したいこと
資産運用の相談先には、金融機関の担当者、FP(ファイナンシャル・プランナー)、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などがある。
日本でIFAと呼ばれる相談先の多くは、金融商品仲介業者として活動している。金融商品仲介業者とは、証券会社などの金融商品取引業者または銀行等の登録金融機関の委託を受け、有価証券の売買の媒介などを行う者である。
IFAの中には、投資信託の選び方だけでなく、ライフプラン、資産配分、相続、保険など幅広い相談に対応する人もいる。
ただし、IFAだから必ず中立的というわけではない。提携先の金融機関、取扱商品、報酬体系、販売手数料、継続サポートの範囲は相談先によって異なる。
相談する際は、以下を確認しておこう。
- どの金融機関の商品を扱っているか
- 相談料や販売手数料は発生するか
- 低コストの代替商品も提示してくれるか
- 購入後の見直しやリバランス相談に対応するか
- 利益相反について説明してくれるか
どのような専門家に頼れば良いかわからない方は、IFAも含めて相談先を比較しよう。
投資信託の選び方はこの3項目を重点的にチェックしよう

投資信託を選ぶ基本原則は、以下の3つである。
- 信託報酬などのコストを比較する
- 運用実績は長期で確認する
- 投資先の分散度合いを確認する
最適な投資信託は、投資家ごとに異なる。人気商品や話題の商品が、自分の目的やリスク許容度に合うとは限らない。
まずは投資目的と運用期間を決め、投資対象、コスト、分散度合い、NISA対象可否を確認しよう。
自分だけで判断するのが難しい場合は、投資信託の販売手数料や信託報酬、リスク、代替案まで説明してくれる専門家に相談するのも選択肢である。
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出典
信託協会「投資信託」
資産運用業協会「投資信託のコスト」
金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」
金融庁「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト」
金融庁「つみたて投資枠対象商品」(更新日:2026年5月11日)
金融庁「つみたて投資枠対象商品の分類(2026年5月11日時点)」(更新日:2026年5月11日)
国税庁「No.1535 NISA制度」(更新日:2025年4月1日)
日本取引所グループ「東証ETFのご案内」
ニッセイアセットマネジメント「ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)<購入・換金手数料なし>」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」


