- 運用資金と現金のバランスを取りたい
- 理想的なポートフォリオの割合を知りたい
- ポートフォリオを組むときのポイントが知りたい
「ポートフォリオって言葉はよく聞くけど、現金の保有比率はどのように考えればよいのだろう?」このような疑問をお持ちの方もいるのではないだろうか。
効果的な資産運用をするために、自分に合ったポートフォリオの作り方をしなければいけない。
リスク資産と非リスク資産をバランスよく組み合わせることで、自分に合ったポートフォリオを組める。
現金は非リスク資産として、ポートフォリオのバランスを保つために重要な役割を果たしている。
そのため、株式や債券などの有価証券だけでなく、現金も含めてポートフォリオを構築しよう。
こちらの記事では、資産運用における理想のポートフォリオや現金を組み入れる際のポイントを解説する。
資産運用における現金の扱い方で悩んでいる方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてほしい。
資産運用における現金の役割とポートフォリオへの組み入れ方
資産運用は、リスク資産と非リスク資産をバランスよく組み合わせる必要がある。
非リスク資産である現金も重要な役割を果たしている点は押さえておこう。
以下で、ポートフォリオにおける現金の重要性と現金比率の考え方を解説する。
資産を分類する
資産運用に回すお金は、基本的に余剰資金である必要がある。
現在の保有資産を整理したうえで、「生活資金」「直近で使う予定がある資金」「余剰資金」に分け、余剰資金をリスク資産への投資に回そう。
「生活資金」「直近で使う予定がある資金」は、元本保証で安全に保有する必要がある。
そのため、株式や債券などの有価証券の購入には充てずに、現金の形で保有するのが良いだろう。
生活資金とは、普段の生活費や緊急時のための資金となる。
普段の生活費に加えて、病気やケガなど不測の事態に備えるために、最低でも6ヶ月分の生活費に相当する額を現金で保有しておくとよいだろう。
直近で使う予定がある資金は、概ね1~5年以内に使う予定のお金をイメージしてほしい。
例えば、1~3年後に車を買い換える予定がある場合や家族で旅行へ行く予定がある場合、安全な形で保有すべきだ。
向こう5年以上使う予定のないお金、すなわち余剰資金はリスク資産への投資に充てても問題ない。
余剰資金を現金という形で保有すると、運用により利益を得られる機会を失ってしまうため、非常にもったいない。
余剰資金に関しては、株式や債券、投資信託をはじめとした長期的にはリターンが期待できる資産で運用するとよいだろう。
運用目的を明確にする
資産運用を始める際には、運用目的を明確にすることが重要だ。
「なぜ資産運用をするのか」「いつまでにいくら貯めたいのか」という目標をベースにして、現金を保有する比率を決めよう。
運用目的とは、資産運用を通じて達成したい具体的な目標をイメージするとよいだろう。
運用目的は、老後資金の準備や子どもの教育資金の確保など、人によって異なる。
目標額も異なるため、リスク資産に回す比率と非リスク資産に回す割合を決めるうえで、自分の運用目的を明確にすることは欠かせない。
例えば「年率5%の利回りで運用したい」と考えている場合は、相応のリスクを取らなければならない。
一方で、「年率1~2%程度の利回りで問題ない」という場合は、大きなリスクを負わずに済む。つまり、現金を保有する比率が高くても問題ない。
このように、資産運用の最適な割合と投資商品を選択するうえで、運用目的の整理は重要だ。
目標があれば、短期的な値動きに感情を動かされることなく、長期的な視点で着実に資産を築けるだろう。
リスク許容度を把握する
資産運用を始めるにあたって、リスク許容度の把握も欠かせない。
リスク許容度は個人によって異なるため、客観的に自分の状況を評価する必要がある。
リスク許容度が大きければ、現金を保有する割合は低くても問題ないケースが多い。
一方で、リスク許容度が小さい人は現金を保有する比率を高めるべきだ。
リスク許容度とは、投資で発生する可能性のある損失に対して、経済的・精神的にどの程度耐えられるかを示すものだ。
リスク資産への投資には損失が発生するリスクが常に伴うため、長期的に資産運用と向き合うためにもリスク許容度の把握は欠かせない。
もしリスク許容度を考えずに資産運用を行うと、下落相場に巻き込まれたときに後悔する恐れがある。
例えば、多くの現金を持つべき状況でリスク資産への配分を増やすと、相場の変動によるストレスが大きくなる。
その結果、冷静な判断力を失い当初の運用目的とは乖離した投資判断を下してしまう事態に陥りかねない。
なお、リスク許容度を把握するためには、以下のように様々な情報をトータルで考える必要がある。
- 年齢
- 収入
- 資産状況
- 投資経験の有無
- 金融リテラシーの高低
- 運用期間の長さ
リスク許容度の把握は、自分に合った投資方針を決定し、無理のない資産運用を行うために欠かせない。
保有すべき現金の比率を決定するためにも、定期的にリスク許容度を見直し、必要に応じて調整しよう。
現金を含む最適なポートフォリオを組むには
資産運用を行う際には、現金や保険などの非リスク資産による「守り」と、株式や債券などをはじめとしたリスク資産による「攻め」のバランスをとることが重要だ。
自分のリスク許容度に合わせて、守りと攻めのバランスを組み合わせれば最適なポートフォリオを組める。
インフレに強い運用法をポートフォリオに組み込む
最適なポートフォリオを作成するにあたって、インフレに強い運用法を組み込むことが重要だ。
インフレに強い資産とは、具体的に株式や不動産が挙げられる。
インフレとは、物価の上昇により現金の購買力が低下していく現象を指す。
例えば、年5%のインフレが起こると、100円で買えていた商品が翌年には105円に値上がりする。
現金のみで資産を保有していると、インフレによって資産の実質的な価値が目減りしてしまう点に留意する必要がある。
今年は100円で購入できていた商品が購入できなくなれば、現金の購買力が失われていることがわかるだろう。
例えば、総務省によると令和6年3月における物価上昇率は前年同期比で+2.7%(総合指数)となっている。
この場合、昨年度よりも現金の購買力が2.7%失われたことを意味する。
インフレによる資産価値の目減りを防ぐためにも、インフレに強い運用法を取り入れる必要がある。
長期的に見ればインフレは続く可能性が高いため、長期的に資産形成を進めるうえでもインフレに強い運用法を取り入れることが欠かせない。
それぞれの運用法のリスクを正確に把握する
運用法にはさまざまな種類があるが、それぞれの運用法にリスクが伴う。
実際に資産運用を行う前にリスクを把握することで、自分に合ったポートフォリオを組める。
運用法のリスクとは、投資元本を毀損するだけでなく、期待したリターンが得られないリスクも含む。
つまり、リスクを取りすぎたポートフォリオにも、保守的すぎるポートフォリオにも問題があるということだ。
具体的には、リスク資産への投資が大きくなればなるほど、期待リターンが大きくなる一方で元本割れのリスクも大きくなる。
現金を多く持ちすぎると、元本を確実に守ることができる一方で、期待リターンも小さくなる。
その結果、インフレにより資産を目減りさせてしまうリスクがある点に留意しよう。
株式投資のリスクを具体的にみると、企業の業績悪化リスクや市場リスク(株価の変動リスク)が挙げられる。
債券投資のリスクとしては、金利変動リスクや信用リスクが考えられるだろう。
リスクの異なる運用法をバランスよく組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えつつリターンの向上が見込める。
ポートフォリオを作成する際は、各運用法のリスクを正確に把握し、自分のリスク許容度に合った組み合わせを考えてほしい。
分散投資を心掛けて定期的な見直しをおこなう
資産運用を行う際には、分散投資を意識したポートフォリオを作成しよう。
また、定期的に現在の運用状況を把握したうえで、必要に応じて見直しを行うことも欠かせない。
分散投資とは、さまざまな金融商品を購入することだ。株式にだけ投資するのではなく、債券や不動産、コモディティにも投資することを指す。
金融商品ごとにリスクの大きさや値動きの特徴が異なるため、複数の金融商品を分散保有することでリスクを分散できる。
その結果、リターンを狙いつつもポートフォリオ全体の安定性を高めることが可能だ。
投資の世界には「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があり、この言葉には集中投資を戒める意味合いがある。
一つの資産や運用法に集中するのではなく、複数の資産や運用法に分散して投資することが大切だ。
なお、定期的な見直しを行うことが重要な理由は、リスク管理を徹底することにある。
資産運用を始めてから時間が経過すると、ポートフォリオのバランスが当初の想定から乖離するケースが往々にしてあり得る。
ポートフォリオを最適な状態に保ち、リスクとリターンのバランスを維持するためにも、定期的にポートフォリオの見直しを行おう。
全資産での理想のポートフォリオ例を紹介
以下で「ローリスク」「ミドルリスク」「ハイリスク」の3種類に分類し、それぞれにおける理想のポートフォリオの一例を紹介する。
あくまでも一例にはなるが、ポートフォリオを組む際の参考にしてほしい。
ローリスクのポートフォリオ
ローリスクのポートフォリオは、安定性を重視し元本の保全に重きを置いている。
リスク許容度が小さい方に向いているため、参考にしてみてほしい。
国内債券 | 40% |
---|---|
海外債券 | 20% |
国内リート (不動産投資信託) | 10% |
国内株式 | 10% |
コモディティ | 5% |
現金 | 15% |
上記のポートフォリオでは、国内外の債券を60%として、高いリターンを狙う資産として国内リート(不動産投資信託)と国内株式を合計で25%組み入れている。
ローリスクのポートフォリオを構築する場合でも、分散投資とリスク管理が欠かせない。
もし運用成績がインフレに負けている場合は、徐々にリスク資産の比率を高めることも検討したい。
ミドルリスクのポートフォリオ
ミドルリスクのポートフォリオは、中長期的な資産形成を目指し相応のリターンを狙う構成となっている。
ある程度のリスクを許容できる方に向いている。
国内株式 | 30% |
---|---|
海外株式 | 20% |
国内債券 | 20% |
海外債券 | 10% |
国内リート (不動産投資信託) | 10% |
国内株式 | 10% |
コモディティ | 5% |
現金 | 5% |
株式や国内リート(不動産投資信託)を中心としたリスク資産を65%配分し、債券を30%、現金の比率を5%としている。
株式の比率を高くすることで、長期的に高いリターンを見込める。
リスクを取りすぎることなく、債券や現金を組み入れてポートフォリオの安定性も確保している点が特徴だ。
運用成績を定期的に振り返り、自分のリスク許容度に応じて適宜調整を行うことが大切だ。
ハイリスクのポートフォリオ
ハイリスクのポートフォリオは、高い収益を目指す構成となっている。
大きな価格変動リスクを伴うため、リスク許容度が高く長期的な投資を行える人に適している。
海外株式 | 65% |
---|---|
国内株式 | 30% |
現金 | 5% |
ポートフォリオの大半を株式が占める。これにより、長期的には5%~7%程度のリターンを見込めるだろう。
株式は価格変動が大きいため、短期的にみると元本割れが生じるリスクが大いに考えられる。
しかし、長期的にみれば株式は成長する可能性が高いため、長期的に保有できれば高いリターンを見込める。
そのため、ハイリスクなポートフォリオを組んで資産運用を行う際には、長期的な投資姿勢を持ち短期的な変動に惑わされないこと、損失を被っても生活に支障をきたさないように注意することが重要だ。
ポートフォリオに関する相談先はどこが良い?
資産運用初心者の方にとって、自分に合っているポートフォリオを作成するのは容易ではない。
判断に迷うことがあれば、資産運用に詳しい専門家へ相談することをおすすめする。
ポートフォリオを活用した資産運用を専門家へ相談する重要性
ポートフォリオを組む際には自分のリスク許容度に合わせる必要があるため、客観的な評価が求められる。
自分自身のリスク許容度を客観的に評価するのは簡単ではなく、リスク許容度自体も数値化できるものではないため、自分だけで判断するのは難しい。
そのため、ポートフォリオの構築にあたって不安や疑問があれば、資産運用の専門家に頼るとよいだろう。
専門家は相談者の資産状況や年齢、家族構成などの情報をヒアリングしたうえで、客観的にリスク許容度を把握してくれる。
投資判断を行ううえで貴重なアドバイスをくれるため、頼りにするとよいだろう。
IFAの役割とメリット
資産運用の専門家への相談がおすすめといっても、身近に頼れる人がいないということもあるだろう。
銀行や証券会社の窓口でも相談可能だが、金融機関によっては取り扱っている商品が不十分であるケースがある。
さらに、自社商品や自分たちにとって実入りのよい商品を提案してくる可能性があるため、完全に信用できるとはいえない。
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資産運用を始めるときはもちろん、自分に合ったポートフォリオを考える際にも有意義なアドバイスを送ってくれるだろう。
資産の現金比率を意識して最適なポートフォリオを構築しよう
資産運用において、非リスク資産である現金の保有割合を考えることは重要だ。
資産運用はリスク資産に投資するだけではなく、必要な現金は投資に回さずに守ることも意識する必要がある。
手元に残すべき現金については、当面の生活費と1~3年以内に使うお金を備えるとよいだろう。
それ以上の現金は余剰資金となるため、リスク資産への投資に回しても生活に支障が出る可能性が低い。
こちらの記事では、「ローリスク」「ミドルリスク」「ハイリスク」の具体的なポートフォリオについて紹介した。
あくまでも一例ではあるが、自分のリスク許容度と照らし合わせて参考にしてみてほしい。
資産運用について疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けるとよいだろう。
資産運用の専門家と相談すれば、疑問や不安を払しょくして長期的に資産運用と向き合える。
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