- 投資信託をどれくらい買えばいいのか知りたい
- 銘柄数が投資成果にどのように影響するか知りたい
- 投資信託を上手に運用したい
投資信託を保有するうえで、どんな銘柄をいくつ持つかを決めることは重要なテーマだ。
保有する銘柄数が多ければリスクは分散できるが、過度な分散は運用コストの増加やリターンの低下を招くかもしれない。
一方、銘柄数が少なすぎると、リスクが高くなる恐れがある。
では、最適な銘柄数はどのくらいなのだろうか。
投資家の立場に立ってポイントを解説しよう。
投資信託の銘柄数がリスクとリターンに与える影響
投資信託の保有銘柄数が多ければ多いほど、リスクは分散されるが、運用コストの増加やリターン低下も避けられない。
逆に少なすぎると、リスクが高止まりしてしまう。
投資信託の保有銘柄数が、リスクとリターンにどのような影響を及ぼすのか、ここで詳しく見ていこう。
投資信託の銘柄の多様化に伴うリスクの低減
投資信託の保有銘柄数を増やすことで、リスクを分散させることができる。
なぜなら、ある銘柄の価格が下落しても、値上がりする銘柄も保有していれば、投資資産残高トータルの変動を抑えることができるからだ。
一般に、保有銘柄数が多いほど分散投資の効果が高まり、リスクが低減されることになる。
分散投資によるリスク低減効果は、ポートフォリオ理論でも裏付けられている。
ポートフォリオ理論では、個別の銘柄リスクをできる限り排除し、市場全体のリスクだけを持つことで、リスクを最小限に抑えつつ、期待収益率を最大化できるとされている。
つまり、十分な銘柄数で分散し、個別の銘柄リスクを排除することが、投資のカギということだ。
投資信託の銘柄数の増加に応じた運用コストとリターンの変化
一方で、保有銘柄数が増えれば増えるほど、運用コストも高くなってしまう。
投資信託には信託報酬などの費用がかかるため、保有銘柄数が多いほど、合計の費用負担は大きくなるからだ。
また、必要以上に保有銘柄数を増やしてリスク分散を狙うと、リターンの低い銘柄も組み入れざるを得なくなったり、ハイリターン銘柄への投資比率が低くなったりするため、ポートフォリオ全体の期待リターン低下を招く可能性がある。
銘柄数を増やせば分散投資のメリットは高まるが、同時に運用コストの増加やリターン低下というデメリットも生じてしまうことは、注意しなければならない。
投資家は、このリスクとリターン、さらにコストのバランスを見極める必要がある。
投資信託の銘柄数を限定するデメリット
逆に保有銘柄数が少なすぎると、分散投資の効果が得られず、リスクが高止まりしてしまう恐れがある。
たとえば、国内株式の投資信託しか持っていないと、日本の株式市場の動向に大きく影響を受けることになる。
また、日本の株式市況が暴落したときに、日本の債券や海外株式の投資信託を持っていないと、値下がり分をカバーできず、そのまま損失を被ってしまうだろう。
複数の銘柄を保有する分散投資は、投資のリスクを分散させるためのとても重要な概念となる。
リスクをコントロールしつつリターンの確保を目指すことにつながるため、ある程度の保有銘柄数を確保するようにしたい。
投資信託の適正な銘柄数を知る
とはいえ、投資信託の適正な銘柄数は、一概に決められるものではない。
投資家一人一人のリスク許容度や投資額によって、最適な銘柄数は異なってくるのが実情である。
ここでは、投資信託の適正銘柄数の目安をいくつか紹介するとともに、自身に合った銘柄数の決め方を解説しよう。
アンケート調査に基づく投資信託の銘柄数の目安
一般社団法人投資信託協会の投資信託に関するアンケート調査によると、投資信託の保有本数は全体平均で3.6本となっている。
年代別でのばらつきはほぼないが、男性は3.8本、女性3.1本と男性の方が少し多くなっている。
また、世帯年収別に見ると、世帯年収が高くなるほど保有本数も多くなる傾向にあるようで、1,000万円以上の世帯で平均4.4本の保有となっている。
- 〜300万円未満
- 3.2本
- 〜500万円未満
- 3.2本
- 〜1,000万円未満
- 3.6本
- 1,000万円〜
- 4.4本
ただ、保有本数の範囲のデータを見ると、1〜2本が最も多い。
- 1〜2本
- 46.0%
- 3〜5本
- 32.2%
- 6〜10本
- 9.2%
- 11本以上
- 4.3%
投資信託に投資している人の半分近くが、1〜2本の保有であり、全体平均でも3.6本とそれほど多く保有しているわけではないことがわかる。
このように一般投資家の投資信託保有状況を見ると、十分リスク分散ができているとはいえないかもしれない。
ただし、個人の事情によって適正銘柄数は変わってくるため、この数字を万人に当てはめるのは適切ではないだろう。
- 参考 : 一般社団法人投資信託協会 「投資信託に関するアンケート調査報告書」
リスク許容度に基づいて決める
投資に対するリスク許容度が高ければ、保有銘柄数を絞り込んでも問題はない。
なぜなら、個別の銘柄の値動きに大きく影響されても、許容できる余裕があるためだ。
一方、リスクを極力抑えたい投資家であれば、より分散した銘柄構成を選択する必要があるだろう。
リスク許容度は投資経験年数や年齢、投資目的などによっても変わってくる。
たとえば、投資経験の浅い初心者は、無理のないリスク許容度とするべきだ。
投資経験が豊富で、かつ長期間の投資となるのであれば、リスクを高くしその分多くのリターンを狙ってもいいだろう。
こうした観点から、自身のリスク許容度を正しく認識し、それに見合った銘柄数を選ぶことが重要となる。
投資額に基づいて決める
投資可能額が少額の場合は、ある程度ハイリスクを許容してリターンを優先させるべきだろう。
少額であれば、仮に損失が出たとしてもダメージは限定的になる。
そのため、リスクは高くてもリターン期待値の高い銘柄に絞り込む戦略をとることができる。
一方、投資可能額が多額になるほど、損失が大きくなるリスクを抑える必要がある。
そのため、より多くの銘柄に分散投資を行い、リスクを低減させることが賢明だ。
安定的にリターンを得ることを優先させ、リスクを抑制する戦略がいいだろう。
このように適切な銘柄数は、リスク許容度や投資可能額などの個人の状況により大きく異なる。
一般的な平均値はあくまで参考程度に留め、自身のリスク許容度や投資目標を踏まえて、バランスの取れたポートフォリオを構築することが何より肝心となるだろう。
銘柄数だけじゃない!投資信託を上手に運用する方法
適切な銘柄数のポートフォリオを構築したとしても、それで投資信託の運用が完了するわけではない。
投資信託を使って上手に運用するには、商品選定からポートフォリオ管理、定期的な見直しなど、継続的な工夫が必要となる。
ここではその具体的なポイントを解説しよう。
投資信託の選び方
投資信託を選ぶ際は、まず自身の投資目的や投資スタンスを明確にしておこう。
つまり「どのような投資を行いたいか」を事前に定めることが大切だ。
たとえば、長期的に資産形成を目指すのか、あるいは短期の値上がり益を狙うのかによって、適切な投資信託は変わってくる。
そのうえで、個別の投資信託の中身を精査し、自身の投資方針に合致するものを選ぼう。
具体的には、ファンドの運用方針や運用プロセス、投資対象国や業種などを確認する。
さらに、過去の運用実績なども参考にしながら、総合的に判断することが重要となる。
また、投資信託には様々な種類があるため、その特性を理解しておかなくてはならない。
たとえば、国内株式型か外国債券型か、あるいは業種別ファンドかなど、投資対象によってリスク特性は大きく異なる。
自身のリスク許容度に応じて、適切な商品を選ぶ必要があるだろう。
このように、投資信託の選定には、自身の投資方針と商品内容の精査が不可欠となる。
ポートフォリオ管理の重要性
投資信託のポートフォリオを運用するうえでは、保有資産の配分バランスを常に意識し、適宜調整していくことが大切となる。
まず、定期的に保有投資信託の資産構成比を確認し、ある特定のファンドに資金が偏っていないかをチェックしよう。
たとえば、国内株式型投信とグローバル株式型投信を半々で保有していたとしても、経済環境の変化などにより、実際の資産構成比が変動することがある。
投資リスクをコントロールする観点から、定期的に資産の入れ替えやリバランス(組み換え)を行う必要があるのだ。
これにより、分散投資の効果を最大限に発揮することができる。
また、年齢を重ねるごとに、ポートフォリオの中身を変えていく必要もある。
若年層であれば成長が期待できる新興国株式などへの投資も選択肢としてあげられるが、一般に高齢になるほど、より安全性を重視するなどのリスクコントロールが求められる。
このように、ポートフォリオ管理では、時間の経過に伴う資産構成比の変化に注意を払う必要があるだろう。
定期的な見直しと調整
投資環境や個人の投資ニーズは常に変化するものだ。
投資信託のポートフォリオについても、定期的に内容を見直し、必要に応じて入れ替えや比率調整を行う習慣をつけよう。
半年や一年に1回程度を目安に、ポートフォリオ全体の組み入れ状況を確認する。
保有する投資信託の運用実績、手数料などについても、チェックしよう。
問題がある銘柄があれば、機動的に入れ替えると共に、バランスの適正化を行う。
また、市況環境の変化や自身のライフプランの変更に応じて、投資方針そのものの見直しが求められる場合もあるだろう。
たとえば、リスク許容度が変わった場合や、老後の資金ニーズが高まった場合など、投資目的やポートフォリオの組み換えが必要になる可能性がある。
このように、投資信託の運用においては、常に柔軟な対応が必要となる。
定期的な見直しとリバランスを行い、常に最適なポートフォリオとなるよう心がけよう。
投資信託の適切な銘柄数に迷ったら誰に相談するべき?
投資信託による資産運用は、慎重に行う必要がある。
適切な専門家からアドバイスを受けながら、自身の状況に合ったポートフォリオを構築することが重要である。
投資信託の運用における専門家の重要性
投資信託の運用において、専門家に相談することの大きなメリットは、経験豊富な専門知識に基づく適切なアドバイスを受けられる点にある。
資産運用にはさまざまなリスクが伴うが、プロフェッショナルの目線で助言してもらえるため、リスクを最小限に抑えた運用が可能になる。
また、専門家なら税制面や制度面の知識も豊富に持ち合わせている。
長期的な資産運用では、ライフプランに合わせてポートフォリオを柔軟に見直していく必要があり、専門家ならその点でも適切な提案ができるだろう。
このように、専門家を上手に活用することで、無理のない安定した資産運用を実現できる。
IFAの役割とメリット
資産運用の専門家には、証券会社のコンサルタントや銀行員などがいるが、中でもIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が投資家にとってメリットが大きい。
IFAは特定の金融機関に所属しておらず、中立的な立場から投資家の利益を最優先させる。
様々な金融商品の中から最良のものを選び、無理のないプランを立案してくれる。
さらに、継続的なフォローアップに力を入れるIFAが多く、長期的な資産運用にも適している。
投資環境の変化に応じて、アドバイスやプランの見直しを適宜行ってくれるのも大きな強みだ。
安定的かつ効率的な資産運用を実現するため、IFAの活用が賢明な選択肢といえるだろう。
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投資信託による資産運用は、専門家のアドバイスを活用することで、より安全かつ効果的に行えるはずだ。
上手く「資産運用ナビ」を活用し、適切なIFAを選んでほしい。
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投資信託の銘柄数は投資額とリスク許容度から決めよう
この記事では、投資信託の保有銘柄数が投資に与える影響や保有銘柄数の目安などを紹介した。
また、投資信託を上手に運用するポイントも詳しく解説した。
ただ、保有銘柄数の目安などはあくまで例であり、適正な本数は個人によって異なってくる。
なお、投資信託に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることをおすすめする。
とくにIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれるだろう。
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