- 効果的なポートフォリオの作り方が知りたい
- おすすめの金融商品とその組み合わせを知りたい
- リスク・リターンの均衡を意識したポートフォリオの管理法を理解したい
資産運用に取り組む際は、自分の投資意向に合ったポートフォリオを考えなければならない。
しかし、これから初めて資産運用に取り組む人は「どんな資産を組み合わせればよいのか分からない」と悩むことも多いだろう。
本記事では、ポートフォリオの組み方や管理方法、投資意向別のポートフォリオのパターンについて解説していく。
ポートフォリオ運用について、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
ポートフォリオ運用について、分かりやすく解説されている。
そもそもポートフォリオとは?
ポートフォリオとは、「各資産クラスにどれくらいの配分で投資するか」という比率のことである。
資産運用には国内外の株式や債券など複数の資産クラスがあり、投資意向に応じてそれらを適切に組み合わせる必要がある。
たとえば、株式の割合が多い組み合わせではリスクが大きくなる一方、リターンを狙える特徴がある。
反対に、債券の割合が多い組み合わせは得られるリターンが限られるものの、リスクを低減しながら運用できることが特徴だ。
適切な資産運用に取り組むためには、まずポートフォリオを作成して、それに応じた配分で資産クラスを振り分けることが大切だ。
効果的なポートフォリオを作るおすすめの方法
効果的なポートフォリオを作成するためには、次の3点に注意したい。
- 自分のリスク許容度を明確にする
- 投資の目標を決める
- 年代に応じて適切な資産配分を考える
それぞれくわしく解説していこう。
自分のリスク許容度を明確にする
ポートフォリオを構築する際は、まず自分のリスク許容度を明確にしておくことが大切だ。
リスク許容度とは、「どれくらいの価格変動に耐えられるか」という目安である。
特に、損失を負ったときの許容度についてはしっかりと考えておきたい。
たとえば、100万円を投資するときに20%の損失を許容できる人と、5%以内の損失に収めたい人とでは、保有すべき資産の内訳が大きく異なるためだ。
自分のリスク許容度がどれくらいか分からないときは、全国銀行協会が提供しているリスク許容度診断の活用が便利だ。
10問の簡単な質問に答えるだけで自分のリスク許容度が確認できるため、ぜひ一度診断してみるとよいだろう。
投資の目標を決める
ポートフォリオを構築する際は、投資の目標を定めることも重要だ。
自分がどれくらいの運用利回りを目指したいのか、具体的に考えてみよう。
一般的に、資産運用の利回りは3〜5%ほどを目安とされることが多い。
当然リターンは大きい方が良いと思うかもしれないが、リターンが大きくなるほどリスクも比例することに気をつけたい。
たとえば、5%の収益性が期待できるポートフォリオは、裏返せば5%の損失を負う可能性もあるということだ。
投資の目標を設定する際は、資産が増えたときのことだけを考えるのではなく、「どれくらいの損失を想定するか」ということを考えることがおすすめだ。
年代に応じて適切な資産配分を考える
ポートフォリオは、各年代によっても組み合わせるべき資産配分が異なる。
たとえば、20代や30代の若年層は比較的長い運用期間が確保できることから、積極的にリスクを取ることができる。
そのため、いわゆるリスク資産といわれるような国内株式や海外株式の比率を高めてもよいだろう。
リスク許容度が高い人は、新興国株式などハイリスク商品を一部組み入れる選択肢もある。
一方、セカンドライフが近づく年代である50代以降では、積極的にリスクを取った運用よりも安定的な運用を心がけたい。
なるべく値動きの変動を抑えるためには、国内外の株式の比率を低くして、国内外の債券の比率を高めることを検討してみよう。
ただし、適切な資産の組み合わせ方は、各個人の投資意向によっても異なる。
中には、50代以降であっても、「老後資金は確保できているので、余裕資産で高リスク運用にチャレンジしたい」という人もいるだろう。
もしくは、若年層でも「極力低リスクで運用したい」という人もいるかもしれない。
したがって、一概に年齢だけでポートフォリオを決めず、自分の投資意向を明確にしておくことが大切だ。
【投資意向別】3つのおすすめポートフォリオ
これから初めて資産運用に取り組む人の中には、
「どれくらいの資産配分にすればいいのか分からない」
という人も多いだろう。
ここからは、投資意向別のポートフォリオのパターンを紹介していく。
最終的な資産配分は、各個人の投資意向を踏まえたうえで決めることとなるが、オーソドックスな資産配分として参考にしていただきたい。
パターン①積極的な運用におすすめのポートフォリオ
積極的にリスクを取って収益性を狙いたい人は、国内外株式の割合を高めにすることがおすすめだ。
国内株式 | 35% |
---|---|
海外株式 | 35% |
国内債券 | 10% |
海外債券 | 20% |
上記の組み合わせ方では、国内外それぞれの株式を多めに配分することで収益性を追求できる特徴がある。
リスク許容度が高い人は、外国株式の中に新興国株式を組み入れてもよいだろう。
ただし、収益性を追求したい場合であっても、一部債券を組み入れることは欠かせない。
株式は収益性が期待できる一方リスクも大きいため、市場動向によっては大きな損失を負う可能性がある。
そのようなケースでクッションとなるのが債券だ。
債券は、一般的に株式と異なる値動きをたどるため、株式で損失を負ったときも債券の利益でカバーできるメリットがある。
積極運用を希望する人にとっては債券はあまり魅力的ではないかもしれないが、リスクを低減するためにも資産の一部に組み入れることを心がけよう。
パターン②バランス重視の運用におすすめのポートフォリオ
「収益性もリスクも同程度にしたい」という運用を希望する人は、国内外の株式・債券にそれぞれ均等に投資するようなポートフォリオがおすすめだ。
国内株式 | 25% |
---|---|
海外株式 | 25% |
国内債券 | 25% |
海外債券 | 25% |
上記の組み合わせ方では、国内外株式と国内外債券にそれぞれ25%ずつ投資しており、リスクを低減しながら安定した収益性を狙える資産配分となっている。
これは、後で紹介するGPIFのポートフォリオと同様の組み合わせ方となっており、基本的なバランスのひとつといえる。「ある程度の収益性はほしいけど、大きなリスクは取りたくない」という人は、まずこの資産の組み合わせ方から運用をスタートしてみるとよいだろう。
パターン③安定的な運用におすすめのポートフォリオ
ローリスク・ローリターンの運用を望んでいる人は、国内外の債券を多めに組み入れたポートフォリオがベースとなる。
国内株式 | 15% |
---|---|
海外株式 | 15% |
国内債券 | 30% |
海外債券 | 40% |
上記の組み合わせでは、国内外の債券が7割を占めており、比較的値動きの少ない環境で運用できる配分となっている。
とはいえ、ある程度のリターンを確保するためには、株式を組み入れることが欠かせない。
このケースでは国内株式と海外株式をそれぞれ15%ずつ組み入れているが、よりリスクを低減したい人は株式の割合をもう少し低くしてもよいだろう。
また、海外債券や海外株式には為替変動リスクが生じるため、為替市場の変動によるリスクが不安な人は、国内の株式や債券の割合を高めて組み入れるのもひとつの方法だ。
【参考】GPIFのポートフォリオ
ここで、参考までに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオを紹介しよう。
私たちの公的年金はGPIFによる運用が行われている。
GPIFが「基本ポートフォリオ」と掲げている資産の組み合わせ方は下記のとおりだ。
資産クラス | 資産配分 |
---|---|
国内株式 | 25% |
外国株式 | 25% |
国内債券 | 25% |
外国債券 | 25% |
GPIFの運用目標は「賃金上昇率+ 1.7%」で、それを実現できる最もリスクの低いポートフォリオが上記の割合とされている。
ポートフォリオを考える際は、GPIFのバランスを基準として、そこから自分の投資意向に合わせて資産配分を考えるのもよいだろう。
ポートフォリオのおすすめの管理法
ポートフォリオは、一度組んだらそれで終わりではない。
運用当初に決めたポートフォリオを維持するためには、下記3つのポイントを心がけたい。
- 定期的にポートフォリオの運用成果をチェックする
- 運用意向の変化を把握する
- ポートフォリオのリバランスを実施する
それぞれくわしく解説していこう。
定期的にポートフォリオの運用成果をチェックする
実際に運用がスタートしたら、どれくらいの運用成果が出ているのか定期的にチェックすることが大切だ。
最初に設定した運用目標に届いていない場合は、保有資産の組み合わせ方や割合が自分の意向に沿っていない可能性がある。
自分が希望する程度の運用成果が出ていなければ、ポートフォリオをチェックしたうえで、再度資産配分を考え直す必要がある。
しかし、市場動向によっては理想的なポートフォリオを組んでいても、思うような運用成果が得られないケースもある。
たとえば、リターンを狙って株式を多めに組み入れていても、株式市場が下降局面であれば、思うようなリターンは得られないだろう。
運用成果をチェックする際は、市場動向と併せてポートフォリオを評価するようにしよう。
運用意向の変化を把握する
運用意向は、年齢やライフステージの変化によって変わる可能性がある。
運用意向が変化したら、それに応じてポートフォリオも組み直す必要がある。
たとえば、これまでリスク許容度が高く、株式をメインに組み入れていた人が、年齢とともに低リスクでの運用を好むようになった場合、株式を売却して債券の構成比率を高めることで、最新の投資意向に沿ったポートフォリオに近づけることができる。
運用意向の変化をきちんと把握するためには、「年に1度投資意向を振り返る」などマイルールを設定しておくことがおすすめだ。
ポートフォリオのリバランスを実施する
適切な資産の構成比率を維持するためには、定期的なリバランスの実施が欠かせない。
リバランスとは、売買を行うことによって保有資産の構成比率を調整することだ。
当初、自分が決めた割合でポートフォリオを構築していても、その後金融市場が変化することで保有資産の構成比率が崩れてしまうことがある。
たとえば、債券と株式の構成比率を3対7で組んでいたとしよう。
株式市場が上昇すると保有資産の価値が上昇するため、株式の割合が大きくなってしまう。
結果として、資産配分が2対8や1対9などに変化してしまうことも少なくない。
この場合、上昇した株式を売却して債券を買い付けることで、資産の構成割合を当初の3対7に戻すステップが必要となる。
資産配分の変化にすぐ気付くためには、運用意向のチェックと同様に定期的に点検を行うことが重要だ。
「月に1回資産配分のバランスを点検する」など、こまめにポートフォリオのバランスを確認するようにしよう。
あなたにおすすめのポートフォリオが知りたいなら誰に相談するべき?
自分に合った資産の組み合わせ方を知るためには、投資のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)へ相談することを検討したい。
ここからは、IFAへ相談するメリットや相談先の探し方について紹介していこう。
IFAへの相談がおすすめの理由
よりよい資産の組み合わせ方を知るためには、自分のリスク許容度や投資意向をきちんと把握したうえで、それに合った資産の組み分け方を決める必要がある。
しかし、投資経験が浅い人などは「どの割合が適切なのか分からない」という悩みを抱えている人も多いだろう。
より自分の投資意向に沿った資産の構成を組むためには、IFAのアドバイスを受けることがおすすめだ。
IFAとは、特定の金融機関に所属していないことが特徴の金融アドバイザーである。
IFAは、金融機関の営業方針や営業ノルマを考慮する必要がないため、中立的なアドバイスを受けられるメリットがある。
顧客の意向をしっかりとヒアリングしたうえでポートフォリオを提案してくれるので、初めて資産運用に取り組む人でも安心だ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用が便利
IFAには、それぞれ得意分野やメインとする顧客層がある。
自分と相性の良いIFAを見つけるためには、IFA検索サービスの「資産運用ナビ」を活用することがおすすめだ。
「資産運用ナビ」では、簡単な質問に答えるだけで、投資意向や投資経験、資産の状況に合ったIFAを紹介してもらえる。
相性の良いIFAを手軽に見つけられるので、自分で相談先を探す手間もかからない。
検索サービスは無料で利用できるため、ぜひ気軽に活用してみよう。
あなたにおすすめのポートフォリオはIFAに相談しよう
適切な資産の組み合わせ方を知るためには、まず自分のリスク許容度や運用目標をきちんと把握しておく必要がある。
本記事では、3つの投資意向別におすすめの構成パターンを紹介したので、ぜひ資産運用を始める際の参考にしていただきたい。
また、ポートフォリオの組み方はIFAへ相談することもおすすめだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用して、資産運用のパートナーとなるような相談先を探してみよう。