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タワマン節税とは?仕組みや効果、利用する注意点まで解説

この記事で解決できる悩み
  • タワマン節税はどんな仕組みなのか知りたい
  • タワマン節税の効果はどれくらいか?
  • タワマン節税の注意点を知りたい

「タワマン(タワーマンション)節税」とは、タワーマンション購入時の金額と財産価額の差額を利用して、相続税を安くする節税スキームの一つだ。

有名な節税スキームだが、なぜ節税になるのか、また利用に関する注意点は何かなど、詳しく知らない人も多いだろう。

そこで本記事では、タワマン節税についてその基本的な仕組みを解説する。

相続税の節税になるのはケースバイケースであるため、タワマン節税の注意点も合わせてチェックしてほしい。

目次

タワマン節税とは?仕組みを解説

前述のように、タワマン節税とは、タワーマンション購入時の金額と、相続時の財産価額の差額を利用した節税スキームである。

では、タワマン節税がなぜ節税になるのか?その仕組みを解説する。

そもそも不動産購入は相続税の節税になる

実は、相続税の節税はタワーマンションの購入に限った話ではない。

相続財産としての不動産の財産価額は、相続税路線価や固定資産税評価額を基準とする。

相続税路線価土地が面する路線(道路)ごとに決まっている評価額
相続税や贈与税の算出根拠として用いられる
固定資産税評価額固定資産税課税台帳に記載された土地と建物それぞれの評価額
固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の算出根拠として用いられる

まず相続税路線価は、土地が面している道路ごとにつけられた、1㎡あたりの価額だ。

その土地の周辺の時価として公表されている「地価公示価格」の約80%に設定されているため、必然的に、不動産の土地部分の評価額は「時価の約80%」に抑えられる。

マンションの場合、土地部分の評価額は部屋の占有面積に応じて割り算で算出される。

つまり、戸数の多いマンションほど土地部分の評価額が下がるため、相続税の節税対策として有利になるわけだ。

タワーマンションとなると、この効果が顕著に現れる。タワーマンションは高層階の部屋ほど高額で取引されているため、土地部分の評価額との乖離が大きくなる。

国税庁が令和5年に発表した利用によれば、約65%のマンションは、相続税評価額が市場価格の半分以下となっている。

出典:マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について |国税庁

単純に計算すると、マンションの相続税評価額は購入時の50%となる。

これはつまり、1億円で購入したタワーマンションが相続時に市場価格の半額と評価され、5,000万円もの財産を非課税で相続できることになる。

タワマン節税に期待できる効果

タワマン節税に期待できる効果は、主に2つある。

  • 相続税の節税対策
  • 固定資産税の節税対策

それぞれ詳しく解説する。

相続税の節税対策

前章で述べたように、タワーマンションの購入時金額と相続評価額が大きく乖離しているため、実際の財産価値よりも評価額を低く見積り、相続税を申告できる。

つまり、1億円で購入したタワーマンションの数千万円分が非課税になる可能性が高い、ということだ。

株式や投資信託、債券や預貯金といった財産の相続税評価額は、単純に時価として計算される。

また、戸建住宅もタワーマンションと同様に評価額を算出するが、「土地部分の評価額を部屋数で割る」ということはないため、節税効果には限界がある。

存命時に財産を取得し、それによって相続税を節約するスキームとしては、現在のところタワマン節税が効果的と言える。

固定資産税の節税対策

実は、相続税だけでなく固定資産税の節税効果も期待できるのがタワマン節税のメリットだ。

固定資産税は、敷地面積が200㎡以下の狭い住宅地に減額特例が設けられている。

固定資産税は土地や建物など、不動産評価額に対して1.4%が課税されるが、減額特例が適用される場合、納税額は「6分の1」で良いとされている。

タワーマンションの場合、建物全体の敷地面積に対して、所有している敷地面積で割り出すため、敷地面積が200㎡以下になるケースが多い。

一方で、2017年に施行された法改正によって、タワーマンションの階数が高くなるほど、固定資産税の税率が上がるようになった。

そのため、固定資産税の節税対策は必ずしも効果があるわけではないため、注意してほしい。

タワマン節税で注意したいポイント

節税効果の大きいタワマン節税だが、注意点もいくつかあるためここで紹介する。

  • 投資リスクがあること
  • 課税強化が行われること
  • 売却時に譲渡所得税がかかること

それぞれ詳しく解説する。

投資リスクがあること

タワマン節税で最も注意すべきポイントが、「投資リスク」だ。

タワマン節税は、タワーマンションの購入時金額と相続評価額の差額を利用した節税スキームだが、これは「相続以降も時価が変わらないこと」を前提としている。

従って、相続税評価額が低く、相続時に節税効果があったとしても、不動産としての価値が下落すれば財産は減少することになる。

課税強化が行われること

タワマン節税は近年、課税強化が行われていることにも注意が必要だ。

まず前述のように、タワマンの固定資産税を階数に応じて課税する税制改正が、2017年に施行された。この動きは現在も活発だ。

2022年12月には、タワマン節税の課税強化を目的として、タワーマンションの高階層ほど相続税評価額を上げるような税制改正が発表されている。

2024年以降に相続税評価額が引きあげられる可能性が高いため、合わせて注意してほしい。

売却時に譲渡所得税がかかること

タワマン節税を利用して相続したタワーマンションを、相続後に売却すると、現金化できると考えている人が多い。

1億円で購入したタワーマンションを相続後に売却すれば、数千万円を非課税のまま現金化できる、と考えるわけだ。

しかし実際は、そこまで単純な計算ではない。まず、前述のようにタワーマンションの不動産評価額が変化する。

相続前に1億円で購入したタワーマンションが、同じく1億円で売却できるとは限らない。

不動産価額が下がりにくいとされているタワーマンションだが、立地や人の流動性、トレンドなどに応じて評価額は変化する。

また、タワーマンションの売却時には譲渡所得税がかかることにも注意したい。

譲渡所得税は、所有期間が5年以内なら短期譲渡所得として、売却益に対して39.36%の税率が加算される。

所有期間が5年を超えると長期譲渡所得になるが、それでも税率は20.315%と高い。

厳密に言えばタワーマンションの譲渡益すべてに課税されるわけではないが、購入時の金額のままで現金化できるわけではないので、注意しよう。

2024年からタワマン節税が終了する見通し

ここまでタワマン節税の仕組みや、そのインパクトについて解説した。

しかし実は、2024年以降、タワマン節税が事実上終了する可能性がある。ここでは、その理由を解説する。

2022年の税制改正大綱で「タワマン節税封じ」が公表される

2022年12月に決定された与党税制改正大綱では、多くの投資家・資産家に活用されてきた節税スキームである、タワマン節税を封じる方向性が公表された。

これを受け、国税庁では2023年に入り3回の有識者会議を開催し、マンション相続税の評価方法について議論を重ねてきた。

その結果、6月30日に公表された報道資料では、その評価方法が固まったとの見解が記されている。

つまり、数年前から噂されてきたタワマン節税封じが具体化し、2024年から施行される可能性が高いのだ。

なぜ今になったタワマン節税が封じられるのか

タワマン節税を封じる税制改正の動きは、数年前から噂されていた。

実は、現在の不動産相続税の評価方法は、1964年に策定されたものであり、約60年の間手付かずの状態だったのだ。

したがって、タワマン節税を封じる動きがいつ具体化してもおかしくはない状況にあったと言える。

加えて、2022年に起きた「タワマン裁判」により、タワマン節税封じの動きが活発化したと考えられている。

タワマン裁判とは、国税庁が公表する財産評価基本通達の規定の1つである、「総則6項」が適用された判例のことだ。

総則6項

この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

要するに、財産相続税の評価方法が不適当と考えられた場合は、国税庁長官の指示に従って評価せよ、という通達(法律ではない具体的指針)である。

この総則6項が適用されたタワマン裁判の経緯は次の通りだ。

当時91歳の被相続人が13億8,700万円のマンションを購入する

相続人らが財産評価基本通達の基準に従い、マンション評価額を約3億3,000万円として、相続税0円にて申告する

マンション評価額が低すぎると国税庁は主張し、評価額を独自に鑑定し、2億円以上の追徴課税を要求する

相続人らが追徴課税の取り消しを求めて裁判所に提訴する

1審、2審ともに相続人らが敗訴する

最高裁は総則6項の適用を認め、国税庁の追徴課税を適法と判断する

このタワマン裁判が直接的な影響を与えたかどうかについては不明だが、タワマン節税封じに向けて、与党が動き出したきっかけになった可能性は十分にある。

新しいマンション評価額の算定ルール

タワマン節税を封じる改正法案が施行されれば、マンション評価額は次の算定ルールに従い、計算されることになる。

現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率×最低評価水準0.6

この算定ルールで大きなポイントになるのが、「評価乖離率」だ。これは、「不動産価格の時価(市場理論価格)÷現行の相続税評価額」で計算され、時価と現行の相続税評価価額がどれほど乖離しているかを表す。

この評価乖離率が1.67倍になった場合、新しいマンション評価額の算定ルールに従って、相続税を計算することになる。実際に、相続税評価額がどれくらい異なるのか計算してみよう。

1億円で購入したマンションの、現行の相続税評価額が3,000万円だったと仮定する。乖離率は3.33倍となるため、新しいマンション評価額の算定ルールに基づき、次のように計算した。

3,000万円×3.33×0.6=5,994万円

このように、従来のタワマン節税では3,000万円だった相続税評価額が、約2倍に跳ね上がる。

とはいえ上記のケースでいえば、相続税評価額は上がったものの、タワマン節税の効果がなくなるわけではない。

そのため、税制改正後もタワマン節税に効果があるかどうかは、ケースバイケースだと言える。

タワマン節税についてIFAに相談しよう

タワマン節税を検討している人におすすめしたいのが、IFA(Independent Financial Adviser)の略であり、日本語では「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれる。

タワマン節税は投資としての側面も強いため、個人的な見解でタワーマンションを購入・相続するのは、損失を大きくするケースもある。

そのため、資産運用の専門家であるIFAに相談するのは、タワマン節税の効果を出すためにも大切だ。

タワマン節税についてIFAに相談すべき理由とは

タワマン節税とはいわば不動産投資だ。投資であれば、資産運用の専門家からアドバイスをもらいたい。

そこで、不動産投資に強いIFAに相談すると良いだろう。

IFAにもさまざまなタイプがあり、不動産投資、株式投資、富裕層の資産運用など、IFAによって得意領域が異なる。

また、タワマン節税を行う場合は、不動産投資に加えて、相続・贈与に詳しいIFAを探すといい。

購入すべきタワーマンションの分析・評価や、最新情報の収集などもIFAが行ってくれる。

データに基づいた戦略的な意思決定で、タワマン節税の効果を高めていこう。

タワマン節税を含め、節税対策に強いIFAを探すなら、IFAマッチングサービスである、「資産運用ナビ」の利用がおすすめだ。

「資産運用ナビ」はさまざまなバックグラウンドを持った、多くのIFAが登録されている。

その中には、富裕層の資産運用や節税対策に関わり、節税対策についての知識・ノウハウが豊富なIFAも多い。

IFAの活用目的から自分に合ったIFAを検索できるため、ぜひ利用してみてほしい。

まとめ 

本記事では、タワマン節税の仕組みや効果、注意点などについて解説した。

タワマン節税を行う際は、これらの注意点を十分に意識しながら、節税効果の高める方法を模索してほしい。

タワマン節税について疑問・不安がある人は、前述したIFAに相談してみよう。

IFAはタワマン節税だけでなく、不動産投資や相続全般について専門的なアドバイスをくれる。

現在、「資産運用ナビ」ではIFAへの無料相談を実施している。

まずはタワマン節税や不動産投資、相続・贈与について気軽に相談してみてほしい。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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