- 貯金と投資のどちらを優先すべきか知りたい
- 貯金と投資のバランスの取り方が知りたい
- おすすめの投資手法があれば知りたい
「投資を始めようと考えているけど、いくら貯金があればいいんだろう?」このような疑問をお持ちの方も多いのではないだろうか。
2024年から始まった新NISAの影響もあり、投資や資産運用を始める人が増えている。
知人や職場の人で「最近投資を始めた」という人がいると、興味を持つのも自然な流れだろう。
ただし、十分な貯金ができていない状況で投資を始めるのはおすすめできない。
まずは当面の生活費や突発的な出費に対応できるくらいの貯金を作ってから、投資を始めよう。
こちらの記事では、貯金と投資のバランスの取り方やおすすめの投資手法、実際に投資を始める際の相談先などを解説する。
現在の貯金額が十分か判断できていない方や「具体的な投資方法を知りたい」と考えている投資初心者の方に役立つ内容となっているので、参考にしてみてほしい。
また、資産運用を始める上で、定期預金先のおすすめを知りたい方は以下の記事を参考にしてほしい。
貯金と投資はどちらがおすすめか
貯金と投資のどちらがおすすめでどちらを優先すべきかと聞かれたら、貯金が優先となる。
貯金は、当面の生活費や緊急時の支出に対応するために欠かせないためだ。
十分な貯金ができたら、投資を行うと良いだろう。
特に、昨今はインフレや少子高齢化に伴う年金給付の先細りなどの影響で、投資を行う必要性が高まっている。
必要な生活資金の額
総務省の統計データを基に、若年層の単身世帯・中高年の子どもあり世帯・定年後の夫婦世帯の生活費をまとめた。
若年層の単身世帯 | 中高年の子どもあり世帯 | 定年後の夫婦世帯 | |
---|---|---|---|
消費支出 | 約180,000円 | 約294,000円 | 65~69歳:約237,000円 70~74歳:約225,000円 75歳以上:約205,500円 |
あくまでも目安だが、1カ月当たりの消費支出は上記のようになっている。
生活スタイルや居住地域によって差があるものの、全国平均と自身の生活費を比較しながら参考にすると良いだろう。
例えば、若年層の単身世帯であれば年間生活費は約216万円となる。
後ほど解説するが「生活費6カ月分の生活費を貯める」となった場合、約108万円が目標額となる。
貯金だけでなく投資もすべき理由
貯金をすることも重要だが、近年はさまざまな理由から投資を行う重要性が増している。
投資を行わないと、将来的に経済的な問題が発生する恐れがある点には留意したい。
一つ目の理由は、年々退職金の平均額が減少している点だ。
厚生労働省の資料によると、大学・大学院卒の人の平成30年度の平均退職金額は1,983万円だった。
しかし、令和5年度は1,896万円となっている。
今後、ますます受け取れる退職金が減少する事態を想定すべきだろう。
退職金をあてにした生活を送っていると、将来的に困窮する事態になりかねない。
また、以前のように同じ会社で定年まで働くことがスタンダードではなくなる可能性も高い。
今後は様々な形態での働き方が主流になるだろう。
ますます退職金はあてにならなくなるのだ。
投資をするべき二つ目の理由は、将来的に年金給付額が先細りする可能性があるためだ。
厚生労働省によると、夫婦2人のモデル世帯で月額23万483円となっている。
公的年金はインフレにある程度対応できる仕組みになっている。
しかし、賦課方式である以上、少子高齢化が進むと給付水準は下がることが予想される。
年金生活に突入したとき、公的年金だけで生活を送れない場合、取り崩すためのまとまった資産を用意しなければならないだろう。
投資をするべき三つ目の理由は、昨今問題になっているインフレだ。
インフレが起こると現金の価値が目減りし、購買力が下がる。
例えば、総務省の資料によると、2024年2月分のインフレ率は前年同期比+2.8%だった。
物価が2.8%上昇しているため、預貯金の価値は2.8%下がっていることになる。
つまり、インフレ率以上の利回りで運用できなければ、資産価値が損なわれてしまう。
額面上の金額は変わらないためわかりづらいが、インフレが起こると貨幣の価値が下がる点は押さえておくべきだ。
100万円を貯金したときと投資したときの金額を比較
100万円を貯金したときと、投資したときにいくらの差が付くか、シミュレーションしてみた。
- 普通預金金利(貯金)
- 0.02%
- 投資の利回り
- 5%
- 運用期間
- 10年
上記の場合、貯金の場合は10年後に約102万円、投資した場合は約163万円となる。
10年間で約60万円もの差が付いたことから、投資を行えば効率よく資産を増やせることがわかる。
もちろん、投資には元本割れのリスクがあるため、毎年必ず5%で運用できるとは限らない。
しかし、リスクを負わなければリターンを得られないのも確かだ。
先述したように、貯金だけではインフレが起きたときに資産価値が減ってしまい、気付かない間に資産を失ってしまうリスクがある。
インフレに負けないためにも、将来の生活に備えるためにも、投資を行うことは重要だ。
貯金と投資のバランスを取りたい方におすすめな戦略
貯金と投資は、両方とも大切だ。当面の生活や近い将来使うお金は貯金、長期的に運用できる余裕資金に関しては投資に回すと良いだろう。
以下で、具体的に貯金と投資のバランスをどのように取るべきかを解説する。
リスク許容度と余剰資金額による投資金額の決定
投資に回す金額を決める際には、自身のリスク許容度と余剰資金を算定する必要がある。
リスク許容度とは、投資を行って損失を被った際に、どの程度受け入れられるかを示す尺度だ。
金銭的なダメージだけでなく、精神的なゆとりもリスク許容度に影響する。
例えば、少しでも元本割れの状況が発生するとパニックに陥ってしまう方は、リスク許容度が低いと判断できる。
具体的に、リスク許容度を測るための判断材料となるのは以下のとおりだ。
- 年齢
- 確保できる投資期間
- 収入
- 資産額
- 雇用形態
- 投資経験
- 家族構成
例えば、まだ若く長期にわたって運用できる方は、一般的にリスク許容度が大きい。
雇用形態が正社員で安定した収入が見込める方は、よりリスクを取れるだろう。
投資経験が豊富にある方は、資産の値動きに慣れているだろう。
精神的なゆとりがあるため、未経験者よりもリスク許容度が大きいと言える。
余剰資金とは、当面の生活費や緊急時の備えとして確保しておく資金を除いたお金だ。
当面の生活費の基準は判断が分かれるところだが、おおむね6カ月分程度の生活費があれば問題ないだろう。
緊急時の備えとは、具体的には家電の買い替えや突発的な入院を強いられたときなど、急に必要となるお金だ。
当面の生活費に加えて、緊急時の備えをしておけば安心して投資に向き合える。
リスク許容度が大きく、余剰資金が多い方は積極的に投資を行うと良いだろう。
投資にはリスクが伴うものの、預貯金よりも高い収益性が見込めるからだ。
一方で、十分な貯金ができていない方は、まずは貯金を優先しよう。
十分な貯金がない状況で投資を始めると、もし不調な相場や不況に巻き込まれたとき、生活に悪影響が出る恐れがある。
分散投資の重要性
十分な貯金ができ、実際に投資を行う際には分散投資を意識しよう。
分散投資とは、投資資金をさまざまな資産(株式・債券・不動産・金など)に分けることを指す。
日本以外の国や地域に分散投資することも効果的だ。
同じ株式の中でも、複数の銘柄に分けて投資することも分散投資にあたる。
投資の世界では「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があるが、この格言は投資のリスク管理を行ううえで分散投資が重要であることを意味する。
特定の資産や銘柄に集中投資していると、その資産や銘柄の価格が下落したときに、大きな損失を被ってしまう。
一方で、分散投資をしていれば、特定の資産価格が下がっても他の資産でカバーできる可能性がある。
経済環境は常に変化していることから、資産ごとに好不調がある。
例えば、株式が好調な年もあれば、債券が好調な年もある。
分散投資は、市場の変動に柔軟に対応するための効果的な投資戦略と言えるだろう。
判断に迷う場合は、投資信託を購入すると良いだろう。
投資信託とは、複数の金融商品をパーッケージ化した金融商品で、一つの投資信託を購入すればさまざまな資産に投資できる。
全世界の株式・債券・不動産に投資できる投資信託も存在することから、初心者の方にもおすすめだ。
定期的なポートフォリオの見直しとリバランス
実際に投資を始めたあとは、定期的なポートフォリオの見直しとリバランスを行うことも意識しよう。
ポートフォリオとは、投資家が保有する資産の組み合わせを指す。
株式・債券・不動産・現金など、さまざまな資産を「どの程度の割合で保有しているか」を表す言葉だ。
例えば、まったく投資をしていない人のポートフォリオは「現金100%」となる。
リバランスとは、当初に設定したポートフォリオの資産配分比率を維持するために、適宜調整を行うことだ。
当初は「株式60%・債券40%」のポートフォリオで運用しようと決めたものの、相場の状況によっては「株式75%・債券25%」に変化することがある。
株式を売却し、債券を買い増して当初の「株式60%・債券40%」の比率に戻すことをリバランスと言う。
自身のリスク許容度の範囲内で投資を行ううえで、年に1度など期間を決めたり、市場が大きく動いた時などに忘れずに行おう。
投資は感情に左右されやすいため、事前のルール作りとしてポートフォリオを作成することには意義がある。
株式市場が上昇すると、欲を出して株式の比率を上げたくなるものだ。
しかし、感情的な判断を下したあとに相場が急変動し、投資成果を悪化させてしまうことは往々にしてあり得る。
当初の投資目的を見失わず、淡々と投資を継続するためにも、ポートフォリオの策定は欠かせない。
なお、ポートフォリオは必要に応じて見直しを行おう。
投資を始めてから資産に余裕が出てきたら、株式の保有割合を高めて、より大きなリスクを取ることをおすすめする。
リバランスは、長期的に安心して投資を行うために欠かせない。
ポートフォリオ内の資産配分は、市場の状況によって当初の配分からズレてしまうのが一般的だ。
数%のズレであれば特段気にする必要はないが、10%を超えてくるようだと見直しの必要性が出てくる。
ポートフォリオのバランスが崩れると意図しないリスクを取ってしまう可能性があるため、適宜見直すことが大切だ。
おすすめの投資法をリスク別で紹介!
おすすめの投資法について、リスク別に解説する。
自身のリスク許容度や投資に向き合う姿勢に応じて、近しいものを参考にしてほしい。
国内株式50%・外国株式50%の場合
国内株式50%・外国株式50%のポートフォリオは、全て株式に投資している。
高いリターンが期待できる一方で、高いリスクを伴う点が特徴だ。
すべて個別株式で購入されているケースもあるし、「eMAXIS-Slim国内株式(TOPIX)」「eMAXIS-Slim米国株式(S&P500)」のような投資信託を活用することでも、国内株式50%・外国株式50%のポートフォリオは達成できる。
大きなリターンが見込まれる一方で、国内外の株式市場が同時に下落すると大きな損失を被るリスクに留意しよう。
例えば、リーマンショックやコロナショックのような、全世界の株式市場がダメージを受けると、資産が半減するケースもあり得る。
さらに、外国株式に投資している以上、為替リスクにも注意が必要だ。
為替が円高にシフトすると、円ベースでの外国株式の価値が目減りしてしまう。
逆に、円安になれば円ベースでの外国株式の価値が上昇する。
リスクが大きい点は踏まえるべきだが、長期的に見れば5〜6%程度の高いリターンが期待できるだろう。
若くて長い運用期間をとれそうな方や、リスク許容度の高い方におすすめの資産配分だ。
国内株式50%・外国債券50%の場合
国内株式50%・外国債券50%のポートフォリオは、株式と債券をバランスよく配分している。
外国債券に投資することで、投資する国や地域も分散できることになる。
特に、国内株式と外国債券では相関関係が低いため、分散投資の効果が期待できるだろう。
債券に関しても、個別に購入(生債券と言う)方法と、投資信託で購入する方法がある。
具体的には「eMAXIS-Slim先進国債券インデックス」のような投資信託を購入すれば、幅広い国の債券にまとめて投資できる。
「国内株式50%・外国株式50%」のポートフォリオよりも期待リターンは劣るものの、リスクを抑えながら投資できる点が特徴だ。
債券は株式よりも安定しているため、ポートフォリオ全体のリスクを減らせる。
ただし、外国債券には安定感があるとはいえ、デフォルトリスクや為替リスクがある。
デフォルトリスクとは、発行主体が破綻してしまい、資金が戻ってこない事態を指す。
過去にはアイスランドやアルゼンチンがデフォルトしているため、債券といえども完全に安心できる金融商品ではない点に留意しよう。
「国内株式50%・外国債券50%の場合」のポートフォリオは、40代や50代の方、リスク許容度が中程度の方に適している。
若い人ほど長い運用期間は見込めないが、そこそこのリスクを負える方におすすめだ。
国内株式25%・外国株式25%・国内債券25%・外国債券25%の場合
「国内株式25%・外国株式25%・国内債券25%・外国債券25%の場合」のポートフォリオは、4つの資産にバランスよく投資する。
株式と債券にそれぞれ50%、日本と外国にそれぞれ50%投資して、リスクの分散を図れる。
株式と債券、国内と外国に分散投資することで、さまざまな市場環境の変化に対応できると見込まれるだろう。
実際に、私たちの納めた年金保険料を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、このポートフォリオで運用している。
なお、GPIFは運用開始した2001年から2022年まで、年平均3.59%の利回りで運用できている。
一つの資産や地域が低迷しても、他の資産や地域でカバーできることから、安定した収益につながっている。
このポートフォリオのメリットは、バランスに優れていることだ。
ある程度のリスクを負いつつ安定的なリターンが期待できるため、中長期的な投資を検討している方におすすめできる。
「自分に最適なポートフォリオが判断できない」という方は、まずは国内株式25%・外国株式25%・国内債券25%・外国債券25%を試すと良いだろう。
いわゆる「運用に失敗できないお金」を運用しているGPIFが行っていることから、参考になるはずだ。
投資の相談は誰にするべき?
貯蓄と投資のバランスの取り方は、個々人によって異なる。
最終的には自分で決めるしかないのだが、決めるための判断材料が多いうえに数値化が難しいため、自分事とはいえ判断するのは簡単ではない。
貯蓄と投資のバランスや投資方法について疑問や不安があるときは、プロに頼るのがおすすめだ。
以下で、プロに相談する重要性や具体的な相談相手を解説する。
投資判断や資産管理における専門家の重要性
投資判断を下すときだけでなく、資産管理を行う際には、専門家からアドバイスを受けることを検討しよう。
FP(ファイナンシャルプランナー)や金融機関の窓口、IFAなどが代表的だが、お金に詳しい専門家に相談すれば有益なアドバイスを受けられる。
自分が確保すべき貯金額や自分にとって最適な資産運用方法などを、自分だけで決定するのは容易ではない。
豊富な金融知識と相談経験を持つ専門家に相談すれば、状況をヒアリングしたうえで最適な方法を教えてくれるだろう。
投資に関する知識が少ない人ほど、専門家を利用する必要性は高いと言える。
IFAに相談するメリット
お金の専門家の中でも、特におすすめなのがIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)だ。
IFAは金融市場や投資商品に関する深い知識を持っており、わかりやすく解説してくれる。
相談者の家計状況や将来設計をヒアリングしたうえで、投資に回すべき金額や投資方法を考えてくれるだろう。
IFAは金融機関に属していないため、中立的・客観的な視点から投資アドバイスを授けてくれる特徴がある。
また、継続的に投資戦略の見直しや家計の見直しなど、お金全般のアドバイスを行ってくれる。
長期的に安心して信頼関係を築ける点は、IFAと相談するメリットだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法と利用推奨
IFAとの相談を検討している方は、IFA検索サービスである「資産運用ナビ」の活用がおすすめだ。
「資産運用ナビ」を活用すれば、あなたにとって最適で、信頼できる資産運用のパートナーを簡単に見つけられる。
相談したい内容と合致する強みを持つIFAを見つけられるため、あなたの悩みを解消できるだろう。
ミスマッチが起こりにくい点は、「資産運用ナビ」の強みだ。
また、ホームページ上ではチャットボットで資産運用に関する相談ができる「AIコンシェルジュ」を用意している。
AIコンシェルジュとプレ相談をしたあとに、アドバイザーへの無料相談を行うことも可能だ。
興味がある方は、ぜひホームページもチェックしてみてほしい。
十分な貯金ができたら投資を始めるのがおすすめ
投資を始めようと考えている方は、まずは十分な貯金ができているか確認しよう。
当面の生活費と緊急時に必要となるお金を用意したうえで、投資を行うべきだ。
ここ数年はインフレが続いており、家計を圧迫する大きな要因となっている。
また、退職金の平均額や年金の平均額も減少傾向にあるため、自助努力を行う重要性が高まっている。
すでに十分な貯金がある方は、投資を始めてみると良いだろう。
貯金があれば万が一の事態が起きても生活がすぐに破綻するリスクが少ないため、心穏やかに投資と向き合える。
投資をする際には、自分のリスク許容度や余剰資金を踏まえて、最適なポートフォリオを組もう。
こちらの記事で取り上げた具体的なポートフォリオを参考にしつつ、自分の最適解を探ってほしい。
なお、資産運用や家計管理などお金に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることをおすすめする。
特に、IFAは中立的な立場から最適なアドバイスを授けてくれるため、非常に頼りになるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用すれば、あなたに合ったIFAを見つけることが可能だ。
貯金と投資のバランスや投資方法について聞きたいことがあれば何でも聞いてみてほしい。