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【2987】株式会社タスキ代表取締役社長 柏村雄氏「デベロップメントビジネスを基盤としたDX支援で高成長を実現」

※本コラムは2023年3月17日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社タスキはDXの遅れている不動産業界に対し、いちデベロッパー事業者であるからこその、実務有用性の高いソリューションを提供し、DX支援等を通じた業界の変革を促しています。

代表取締役社長の柏村雄氏に、事業の差別化ポイントや中長期の成長イメージを教えていただきました。

目次

株式会社タスキを一言で言うと  

不動産×ITで業界課題にチャレンジするトレイルブレイザー(先駆者)です。

代表就任の経緯

当社は元々2013年にJASDAQ上場企業のグループ会社として設立されました。実質的な創業開始は3年後の2016年からです。社内ベンチャーとして発足し、現在も主力となっております新築投資用レジデンス開発事業に従事しておりました。

翌年の2017年に、MBO※により親会社との資本関係を解消し現在に至るという経緯がございます。私はその2017年の第二創業のタイミングで、CFOとして立ち上げに参画いたしました。

その後、上場を目指す過程でガバナンス体制の構築を進める中で、現代表取締役会長の村田とともに共同代表という形で、上場翌年の2021年に現職に就任いたしました。

  • MBO(Management Buyout):会社の経営陣が、金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として投資ファンド等からの出資・金融機関からの借入れなどをおこなうこと)を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収し、会社から独立する手法のこと。

ターニングポイントを挙げるとすると、それはやはりMBOであります。グループ会社の社内ベンチャーとして発足した企業が独立し、信用力向上のために上場することを目標に掲げました。

まず、経営陣で「タスキで世界を繋ぐ」というコーポレートミッションを定めました。また、社名もこのタイミングで変更し、コーポレートミッションと関連付けることで、すべての役職員が共通認識を持って行動することを促しました。

上場については最短で果たすことを目指し、3年後の2020年10月に現在のグロース市場へと上場いたしました。

創業前後の2016年頃は、サラリーマンの方がサイドビジネスで不動産オーナー業にも従事することが流行った時期でもありました。ですが、当社は投資用不動産の需給のミスマッチに着目し、準富裕層の方々をターゲットに、3億円規模の商品を揃えていきました。

また、過去に投資用不動産関連で様々な事件も発生し、業界内での信用力低下に伴い事業環境が向かい風になる時期もありましたが、取引先を含めたステークホルダーの皆様にご支持をいただき、今日までの成長につながってきたと思います。  

株式会社タスキ FY2023.9 1Q 決算説明資料 より引用

事業内容について

不動産業界の先駆者としてテクノロジーを活用した事業展開を行なっています。

株式会社タスキ FY2023.9 1Q 決算説明資料 より引用

まず創業から手掛けているのがReTech事業の中のIoTレジデンスの企画開発・1棟販売です。物件規模が小さく不動産評価が出にくいとされる土地サイズ60平米・3億円規模のコンパクトマンションを手掛けています。富裕層向けの投資用不動産の供給は5億円以上の物件が多く、当社が取り扱う3億円程度のコンパクトレジデンスは需要が高いものの供給が少なく、競合があまりいないことが特徴です。

販売先としてメインターゲットとしているのは相続税対策を検討している富裕層顧客です。小規模住宅の特例や賃貸事業用不動産の評価により、税制上の優遇措置を受けることができます。相続税対策での購入ニーズが高いので、市況変化の影響を受けにくいビジネスモデルだといえます。

株式会社タスキ FY2023.9 1Q 決算説明資料 より引用

また、当社はドミナント戦略により仕入れコストを抑える工夫もしています。

例えば、池袋の物件を一つ購入した場合、同エリア内にて追加で2、3棟同時発注し、工事費を抑えています。これにより抑えられた建築コストを物件価格に転嫁することで、業界内でも高い仕入力を実現しています。

また、足元では棚卸資産の拡大を図っております。これによる効果としては四半期ごとの棟数などのブレが軽減され、業績の平準化が期待されます。

株式会社タスキ FY2023.9 1Q 決算説明資料 より引用

不動産業界はデジタル化が遅れているというイメージが強いと思います。この業界課題を解決していくのがSaaS事業です。

中でも不動産デベロップメント領域に特化し、業界のニーズを満たすSaaS型マルチプラットフォーム「TASUKI TECH」を展開しています。当社ReTECH事業の特徴として、生産性の高さが挙げられます。

これはSaaS事業との関連による業務効率化が大きな要因となっています。ReTech事業のなかでDX推進により収益性を向上させるとともに、その過程でDXツールを磨き込み、実務有用性を確認できたものを、順次社外DXツールとして外販しているのです。

また、社内の一級建築士がエンジニアに転身することで、不動産業界・デベロップメント領域に特化した要件定義~実装が可能になっています。業務への流用性の高いプロダクト開発ができることで、業務効率化が図られ、結果として一人当たりの生産性の高さにつながっているというわけです。

そもそも創業当初からテクノロジーを活用していこうという方針がありましたので、社内でエンジニアを育成する体制の整備も推進してきました。一つの成果として、エンジニア部隊は昨年の12月に会社分割により分社化しており、独立した組織体制で動くようになりました。今後さらにSaaS事業を加速させる要因となると考えています。

株式会社タスキ FY2023.9 1Q 決算説明資料 より引用

さらに、不動産とテックをかけ合わせたクラウドファンディングの運営も手掛けております。

タスキが厳選して手掛けた開発物件に1口10万円から投資が可能な不動産少額投資です。手続きがすべてオンラインで、スマホひとつで完結できます。

第1号ファンドとなる認可保育園「キッズガーデン北区滝野川」は、予想を上回る反響をいただき、申込開始約3分で募集金額を達成しました。その後も募集したすべての案件で短時間での満額募集を達成しております。

また、当社の商品は想定利回りを4%~10%に想定しており、これまで元本割れの案件もございません。

株式会社タスキ FY2023.9 1Q 決算説明資料 より引用

また、新たな事業展開として、SPC型のファンド組成も準備中です。

当社は昨年12月に不動産特定共同事業法第4号を取得しており、SPC型のファンド組成を行える体制となりました。

組み入れ物件のオフバランス化が可能となり、売上および利益が計上できるようになります。また、当社がアセットマネジメント業務を行い、フィーを対価として受け取ることで業績に寄与いたします。

これまで紹介したように、タスキは不動産×ITでビジネスを展開しています。特に、不動産TECHサービスは世の中に数多くありますが、不動産デベロップメント領域のDX化はあまり着手されておらず、ここに先駆けて取り組んでいるという点に先行優位性があります。

また、宅建業法の法改正にも先んじて取り組んでおり、ITニーズの高まりとともに当社への需要はさらに高まっていくと考えています。

中長期の成長イメージとそのための施策

主力のIoTレジデンス事業に注力し引き継ぎ堅実な成長を図るとともに、SaaSプロダクトの拡販や新領域への拡大を通じて持続的な高成長を目指してまいります。

株式会社タスキ FY2023.9 1Q 決算説明資料 より引用

IoTレジデンス事業ですが、パイプラインとなる事業用地はまだまだ数多くあります。

実は、当社が昨年取得した物件の86%は空き家・潜在的空き家でした。現在空き家の増加は社会問題にもなり、東京都内のみでも約81万戸あります。引き続き東京エリアに注力したドミナント戦略での大いなる成長余地を秘めていると言えます。

また、販売に関しては自社での営業部隊は保有しておらず、金融機関等を通じて富裕層の方にご紹介いただくことで、販売を拡大していきます。

さらに、昨今の国際情勢や円安の影響もあり、海外投資家から日本の不動産へのニーズが強くなってきています。海外拠点を多数持つ仲介企業と連携を強化しており、今後海外投資家への販売も伸びていくと思われます。

基盤事業でありながら年間で20%から30%の利益成長を実現できると考えております。

また、新たなマーケットへの挑戦においては、先進技術の研究とそれをサービスとして落としこむ実装力が重要になります。

この点において、当社は顧客ファーストを重要視しております。つまり、お客様が抱える課題を的確に把握し、これを解決するプロダクトを作ることが大切であると考えています。

例えば、建築士不足に直面する業界課題に対して、AIを活用することで建築プランを自動生成する〈Volume Check Engine〉を搭載した、「TASUKI TECH TOUCH&PLAN」を提供しています。

株式会社タスキ 事業計画及び成長可性に関する事項について 2022年12月23日 より引用

業界唯一の試みとなりますが、先ほども申し上げた通り、自社内でのプロダクトのブラッシュアップを実施することで、ReTech事業の収益性を高めつつ拡販を進めていく方針です。

今後、外販によってデータが蓄積されていくことで、プロダクト自体の価値をさらに高めることも期待できます。

拡販の施策は既にあるネットワークを有効的に活用するほか、不動産業界の協会や団体を通じた販売も可能であると考えております。

以上の施策により、ReTech事業とSaaS事業およびコンサルティング事業の割合を、利益ベースで概ね1:1とすることを中長期的なターゲットとしております。

この過程では、現在のフロー主体の収益構造からストック収入の拡大を狙い、特にSaaSビジネスの収益貢献を本格化させることを目指してまいります。

投資家の皆様へメッセージ

2020年の上場から2年が経ち、業績も非常に好調に推移しています。

特に経常利益のCAGR95.3%と、非常に高い成長率を実現しておりますが、これはIoTレジデンス事業が基盤となっていることが大きな要因です。

今後はSaaSビジネスの成長を通じて、不動産業界全体を変革することを目指し、さらに自社の利益水準を高めていく方針ですので、注目していただけますと幸いです。

株式会社タスキ

本社所在地:東京都港区北青山2-7-9 日昭ビル2F

設立:2013年8月12日

資本金:22億54,773,845円(2023年3月アクセス時)

上場市場:東証グロース(2020年10月2日上場)

証券コード:2987

不動産投資型クラウドファンディング「TASUKI FUNDS」

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※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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