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【6067】インパクトホールディングス株式会社代表取締役社長 福井康夫氏 「データベースマーケティングを軸にした販促プロモーション支援で高成長を目指す」

【6067】インパクトホールディングス株式会社代表取締役社長 福井康夫氏 「データベースマーケティングを軸にした販促プロモーション支援で高成長を目指す」わたしのIFAコラム

※本コラムは2022年9月13日に実施したIRインタビューをもとにしております。

消費財メーカーや小売業の売場における販促プロモーション支援を一気通貫に行う、インパクトホールディングス。他社には真似のできない創業期より独自に蓄積してきた売場・販促活動の定量・定性のビッグデータを活用し、売場を元気にしています。

ビッグデータの秘密はどこにあるのか、これからどういう成長シナリオを考えているのかなど、代表取締役社長の福井康夫氏に伺いました。

目次

インパクトホールディングス株式会社を一言で言うと

私どもは「売場を元気に、日本を元気に、そして世界を元気に」を事業コンセプトに、データベースマーケティングを軸足にした販促プロモーション支援会社です。

具体的には「HRソリューション事業」、「IoTソリューション事業」、「MRソリューション事業」という3つのセグメントで構成されおり、販促プロモーションに関わるさまざなソリューションを提供しています。

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インパクトホールディングス株式会社より提供

また当社グループでは創業以来、一元管理している860万件以上の販促活動に関連した定量・定性のビッグデータがあります。そこに人口動態などのオープンデータ、最新の店舗情報を組み合わせ、AIを用いて分析し、最も効率の良い販促提案を行うのが「店舗DB(データベース)」です。

これを、消費財メーカーの方々に無償で提供し、HRソリューション事業のラウンダーや推奨販売、販促ツール、IoTソリューションの販促用のデジタルサイネージなど、当社グループの販促ソリューションを利用していただいて、収益を得ています。

データベースを用いて商品販売のマーケティングを行い、そこから実際の店舗における販促につなげていくまでのところを、一貫して当社グループが請け負っている、というイメージです。

創業の経緯

父も祖父も経営者だったので、私自身もどこかで起業するだろうなどと、漠然と思っていたのですが、実際に起業したのは35歳の時でした。

新卒で入社したのが銀行で、土浦支店に配属されたのですが、なぜかこの場所にはココスやカスミ家電、ジョイフル本田、ライトオンといった小売業の拠点がたくさんあって、銀行の取引先でもありました。当時、流通業は物凄い勢いで伸びていたので、将来起業するなら流通に関わる仕事かな、などと考えていましたね。

銀行には4年ほどお世話になり、将来、起業する時の勉強になると考え、セブン‐イレブン・ジャパンに転職しました。店長、スーパーバイザーを経験して、インターネット通販事業の立ち上げに関わった後、独立したのですが、セブン‐イレブンでの経験は本当に貴重なものでした。

なぜセブン‐イレブンがあそこまで強い体質を持っているのか。それはPOSをはじめとする最先端のITシステムと、優秀なスーパーバイザーによる徹底的な店舗指導の組み合わせによる賜物でした。

ただ、それは潤沢な資金力を持つセブン‐イレブンだから出来ることです。中小の流通業には到底真似ができません。

その時、ふと思ったのが、大学生の時にアルバイトでやっていた流通系企業グループの覆面調査員でした。覆面調査とは、来店したお客様のふりをして、店舗におけるサービスの内容をチェックする仕事です。この仕事と、店舗をITで管理するシステムを組み合わせれば、中小の消費財メーカーや流通企業でも売上を伸ばせるマーケティングが出来るのではないかと思ったのです。

こうして起業を決意し、8年間勤めたセブン‐イレブンを退社し、2004年にインパクトホールディングスの前身となるメディアフラッグという会社を立ち上げました。

上場は2012年9月。当時は民主党政権で株価が安かった時期ですね。そのなかでも最小サイズの上場だったのですが、その後、販促領域に関わるいろいろな会社をM&Aしたり、新しく事業を立ち上げたりしていきました。

理由は、より大きなマーケットを取りに行くためです。会社を立ち上げた時、覆面調査とラウンダーが中心でした。覆面調査とは、調査員が一般消費者になりすまして、消費者の目線で店舗スタッフの接客態度や商品、サービス、店内の清掃状況等を的確に評価し、調査結果を基に顧客満足度向上と課題改善に繋げる調査です。

ラウンダーとは、メーカーの営業担当者に代わり、小売店を巡回し、優位な商品陳列の交渉や商品拡販に向けた店頭販促の企画立案、店長や商品カテゴリー担当者との関係構築、販売目標の共有等、ルート営業としての営業活動を代行する仕事です。

市場規模で言うと、覆面調査の市場規模は50億円程度です。覆面調査のメディアフラッグとして上場しましたが、この市場で勝負していても将来100億円、300億円、500億円の会社に成長していかないと上場時から思っていました。

なので上場後は、会社を成長させていくために、勝負する市場を変えて8,000億円のマーケットがある販促市場へ舵を切りました。2013年以降、さまざまな会社のM&Aしたのは、この8,000億円のマーケットで勝負しようと思ったからです。

事業内容について

「HRソリューション事業」、「IoTソリューション事業」、「MRソリューション事業」という3つのソリューションについてですが、HRソリューション事業は、全国約30万人の人材ネットワークを活かして、ラウンダーや販売員として店舗へ派遣したり、店舗運営代行をしたりしています。また販促企画の立案や、売場で使用する販促什器やPOP、ノベルティ製作なども行っています。

IoTソリューション事業は、デジタルサイネージのファブレスのメーカーとして、デジタルサイネージの企画・製造・販売を行っています。

そしてMRソリューション事業は、マーケティングリサーチです。祖業である覆面調査をはじめ、出口調査、電話調査、インターネット調査、グループインタビューなどのマーケティングリサーチのことです。

現在ではさまざまなフィールドマーケティングサービスのメニューを取り揃えていますので、最近は広告代理店などがコンペティターになりつつあります。

当社グループの強みは、全国に30万人近いスタッフを自社で抱えており、またデジタルサイネージはファブレスのメーカーであるため、当たり前ですが広告代理店と比べると価格優位性があります。さらに定量・定性のビッグデータである店舗データベースが、他の広告代理店には真似のできない武器となっています。

しかも、この店舗データベースを無償で提供しています。店舗データベースの軸となっているのは、860万件を超える売場・販促活動に関する定量・定性のビッグデータなのですが、これは当社グループが18年かけて積み上げてきたフィールド業務のレポートデータです。

たとえば、某ドラッグストアの渋谷店では、こういうものが売れていた、客層はこういう人たちで、売場の構成はこうなっていた、店長や売場担当者はこういう人だったといった情報を、ラウンダーや販売員の派遣、店頭調査などを通じて収集したり、あとはPOSデータを集めたりして、それをデータベース化したものなのです。

このデータベースは、私が起業した時から、いつかこのデータが価値になるだろうということを想定したうえで、ずっとデータを集め続けてきました。しかも、それをAIで分析できるようにしています。

オープンデータや店舗情報をデータベース化することや、AIによるデータ分析は誰でも出来ると思いますが、少なくともこの18年にわたるデータベースは、当社グループにしかないものです。つまり、これが巨大な参入障壁になっているのです。

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中長期の成長イメージとそのための施策

現在、2026年12月期を最終年度とする中期経営計画の最中です。連結売上高300億円、営業利益60億円、営業利益率20%を計画しています。

ちなみに2021年12月期の決算では、連結売上高が133億3,300万円、営業利益は16億7,800万円でした

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HRソリューション事業とIoTソリューション事業の販促領域では、店舗データベースを基軸にして、「販促の効率化」、「ムダの削減」を行う「SDGs販促」を推進し、サービスの付加価値を高めることによって、利益率の向上を目指します。

ちなみに「販促の効率化」というのは、店舗データベースを活用して販促効果の高い店舗を抽出します。「ムダの削減」というのは、販促ツールのペーパーレス化を進めるためにデジタルサイネージを活用したり、リユース什器で使い捨てを削減したり、ラウンダーを店舗へ派遣して販促ツールの設置率を高めたりすることを指します。

これまで「非効率」「ムダ」が多かった販促プロモーションの課題を解決し、販促プロモーション業界の常識を変えていきたいと考えています。

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また、IoTソリューション事業の非販促領域では、販促領域で培った実績やノウハウを活かして、店舗や施設でサイネージを活用した広告メディアを運用する会社に対し、広告メディアサイネージとしてのインフラ提供と、飲食チェーン向けのテーブルトップオーダー端末やPOSレジ・無人決済端末のディスプレイなどの店舗DX、この2軸で事業を拡大していく方針です。

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MRソリューション事業では、HRソリューション事業やIoTソリューション事業の主要取引先である消費財メーカー中心に、リサーチメニューの拡充や販路の拡大を目指します。MRソリューション事業は、販促領域ではないため、店舗データベースが付加価値とならないこともあり、HRソリューション事業やIoTソリューション事業と比べると緩やかな成長計画になっています。

また当社グループ全体としては、グループ全体で顧客貢献最大化をテーマに掲げています。既存顧客に対し、複数ソリューションを導入いただくシナジー営業、クロスセルで、顧客1社あたりの取引金額拡大も大きなテーマとして掲げています。

直近では様々なメーカーがインフレの影響などで商品の値上げを行っています。メーカーの販促費は流通に紐ついているため、広告宣伝費と比べて削減されにくい性質があります。

しかし、メーカー側も先行き不透明な状態が続いている中で、販促費をもっと大事に使っていこうという傾向が出てきています。そこで販促プロモーション支援を一気通貫に行う当社グループの販促ソリューションと、店舗データベースの付加価値の高さが意味を持つのです。

ムダな販促ツールを作らない、店舗ごとにポテンシャルを可視化してチェーン全店で同一の販促施策の展開をやめる、販促効率・効果が高いと見込める店舗だけで販促施策を展開する、広告代理店への一括依頼をやめてムダな販促費を削減するなど、当社グループにご依頼いただくことでさまざまな課題を解決することができます。

当社グループが実現したい「SDGs販促」の世界観、その価値をお客様に認めていただけるような営業を強化していきます。

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投資家の皆様へメッセージ

正直なところ、まだ投資家の方々には実力を評価していただけていない状態であることは、認めなければならないでしょう。何しろPERが16倍前後の低さですから。その一方で、データベースマーケティングを主軸にしている他の企業のPERをみると、なかには30倍をつけているところもあるくらいです。

私どもは、先ほども申し上げたように、他の会社では持っていない、長年にわたって蓄積されたビッグデータを有しており、他の会社では真似のできないデータベースマーケティングを可能にしています。

そこを評価していただけるように、これからも地道に結果を積み重ねていく所存です。

インパクトホールディングス株式会社

本社所在地:東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル6F

設立:2004年2月

資本金:1,818百万円 ※2021年12月末時点

上場市場:東証グロース(2012年9月上場)

証券コード:6067

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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