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【2122】株式会社インタースペース代表取締役社長 河端伸一郎氏「東南アジアでの事業の拡大で更なる躍進」

※本コラムは2023年4月6日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社インタースペースは国内および東南アジア5カ国でのインターネット広告事業と子育て応援メディア「ママスタ」を主軸としたメディア事業で成長を続けてきました。

代表取締役社長の河端伸一郎氏に、さらなる拡大を目指す同社の強みや中長期戦略を伺いました。

目次

株式会社インタースペースを一言で言うと

アジアにおいてネット広告とメディア事業を展開している会社です。

両事業に共通しているのは、世の中にあふれている情報を整理し人々にとって「気づき」と、「アクションを起こすための選択肢」を提供する役割を担う事業という事です。 現在は日本と東南アジアで事業を展開しています。

創業の経緯

当社は1999年に創業しました。当時の広告といえば、「一定のコストがかかりながら、実際に出してみなければその効果が分からない」という課題があり、利用する企業にとってはリスクが高いものでありました。

そこで私は、企業規模に関係なく有効な広告を打てる仕組みを提供することで、広告の透明性を向上させることを目指そうと考えたのです。これが、祖業であり現在も続く「アクセストレード」という成果報酬型広告サービスの始まりです。

私はもともと証券会社で働いていたのですが、投資家への株式提案を通じ、国内市場と比較してIT企業の台頭が先行していた、主に米国市場の成長性を強く感じていました。

また、情報の民主化やそれに伴う社会の変革要素を持ち合わせていることがインターネットの魅力であると考え、この業界に参入することを決意しました。1998年から当業界に携わり、翌年に自らの会社を設立しました。

当社の転換点は2003年から2004年頃にかけてでした。不況の中で広告費のあり方自体が見直されるようになり、成果報酬型広告モデルが企業ニーズとマッチし始めたのです。

また、インターネットが普及し、ユーザーが急増するといったインフラの整備も我々の事業に大きな影響を与えました。これにより、事業は加速度的な成長を遂げていきました。

設立当初から、社会に影響力を持ち、インパクトのある会社を作りたいと考えておりましたので、上場も意識していました。

やはり2003年から2004年にかけて、サービスが社会に受け入れられ始めたことが要因となり、具体的な準備を進め、2006年に上場を果たすことができました。

事業内容について

冒頭でお伝えした通りインターネット広告事業とメディア事業の2つの柱を持っています。

インターネット広告事業では、成果報酬型の広告(アフィリエイト広告)の、「アクセストレード」を中心に日本と東南アジアで展開しています。当事業の差別化ポイントは、日本だけでなく世界をマーケットと捉え、既に日本と東南アジア5カ国で事業展開していることです。

株式会社インタースペース 2023年9月期 第1四半期決算説明会資料 より引用

特に東南アジア市場においては、約10年前から成果報酬型の広告を提供しており、その先行性と現地に根ざしたビジネス展開が強みとなっています。現地の大手顧客を対象にビジネスを展開し、現地メディアパートナーとの強固な関係性を確立しています。

そのため、後発の企業が同じ事業を展開しようとしても、当社の地位を脅かすことは難しいと認識しています。日本企業でありながら90%以上の社員は現地のメンバーで構成されており、まさに現地のトップ企業として、本当の意味で現地に根ざして成長を続けているのです。

また、ASEAN の人口は6.7億人で、GDPの成長率も日本を上回っています。このマーケット成長も、近年の海外事業をスケールさせている要因になっています。

このように、日本と東南アジアを視野に入れた事業展開によって事業の成長性や東南アジア市場の高い成長率を享受できる点が、競合と比較した際の大きなインパクトとなっています。

株式会社インタースペース 2023年9月期 第1四半期決算説明会資料 より引用

一方、メディア事業では、子育て支援メディア「ママスタ」をはじめとしたコンテンツ型メディアや、人々の意思決定を支援する「塾シル」や「派遣サーチ」などの送客型メディアを提供しています。

コンテンツ型メディアでは特定の領域に特化することで、合計の月間閲覧数は約 8.9億PVの圧倒的なユーザー数を誇り、対象ユーザーへのブランディングに成功している点が強みとなっています。

また、「ママスタ」が既に安定した収益を上げているため、これを基盤とした新たなコンテンツ型・送客型メディアへの投資も可能となっています。

このように、蓄積されたノウハウを活用した横展開が可能である点も我々の強みであります。

株式会社インタースペース 2023年9月期 第1四半期決算説明会資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

まず、インターネット広告事業は生産性の向上、新規プロダクト開発、および海外ネットワークの拡大の3つの柱で進めていきます。

プロダクト開発に関しては、現在の主力であるアフィリエイト領域に加え、企業の集客効率化といったマーケティングテクノロジー分野の領域へ拡大を図っていく方針です。

また、海外ネットワークの拡大についてですが、現状、東南アジアでは主にeコマースおよび金融事業者にご利用いただいておりますが、その数はまだ限定的です。そのため、これらの業種だけでも成長余力が十分にあると考えられます。

また、国内事業も多様な業界に展開することで事業拡大を図ってきたことを考えると、他業界でも利用が拡大すれば、さらなる成長を期待することができます。具体的には、通信事業者、人材事業者、美容業界や教育業界などを中長期的なターゲットと想定しています。

繰り返しになりますが、当社は成長市場である東南アジアにおいて先行して現地に根差した事業展開を進めており、一定の実績も出ていることから、海外での事業展開に対する障壁は既に突破していると認識しています。

一方、その成長性という面では、大いなる開拓余地を残した入り口の段階に過ぎないとご認識いただければと思います。

株式会社インタースペース 2023年9月期 第1四半期決算説明会資料 より引用

メディア事業については、主力である「ママスタ」に次ぐ、新たなコンテンツ型メディアの確立が重要だと考えています。

「ママスタ」が現在の地位を確立できているのは、クオリティの高いコンテンツを提供することでユーザーの共感を得られる編集体制が整備されているからです。また、これを大前提とし、YahooやLINE等大手プラットフォームとの良好な関係を築けていることも、集客力の高さに繋がっています。

今後は、「ヨガジャーナルオンライン」や、ライフハック領域などの異なるカテゴリーを開拓していく予定ですが、同様の編集体制やノウハウを活用し、持続的な成長を目指してまいります。

また、比較・検討型メディアについても収益力を強化し、高収益のビジネスモデルを構築することが重要なポイントです。

具体的には、コンテンツ力を高め、広告出稿せずにGoogleなどの検索から集客できるようなノウハウを蓄積していくことを目指しています。

これにより、売上の成長と利益率の向上を共に実現させ、会社全体の収益性にも貢献していくと考えています。

株式会社インタースペース 2023年9月期 第1四半期決算説明会資料 より引用

事業拡大に向けた人員増強については、大幅な増員ではなくメディアのプロデューサーなどコアメンバーを社内で育成しつつ、外部のディレクターやコンテンツライターといったプロフェッショナル人材を、ネットワークを通じて活用することで、固定費の増加を抑えながら拡大を図る方針です。

オンラインでの仕事が可能な現代であれば、外部リソースを活用してスピーディーかつ低コストで事業拡大を進めることができると考えています。

投資家の皆様には、まずこれまで言及してきた国内メディア事業が具現化されつつある点をご理解いただけますと嬉しく思います。

そして、もう一つのポイントが東南アジアを中心とする海外事業です。人口減少が進む中、近い将来、「国内マーケットだけでは十分ではない」という議論が、日本企業には業種に関わらず出てくることが予想されます。

そのため、既に海外事業展開を進め一定の成果を出している点は、中長期でより一層注目に値すると考えています。先行者利益を享受できる立場にあり、ビジネスモデルが確立されていますので今後は展開地域も拡大させていくことができます。

さらに、新しいニーズを捉えることができる情報網が整っていることも大きな強みであり、当社はここから、このネットワークを生かした成長フェーズへと入っていきます。

投資家の皆様へメッセージ

日本国内の停滞感が指摘されている中で、日本企業や日本人がアジアの人々と連帯し、共に成長を目指していく取り組みに、ぜひご注目いただきたいと思います。

もちろん投資という面ではリターンも重要であると認識しておりますので、この取り組みにおいて一定の実現を果たしている企業としての当社の魅力と、さらなる成長性にもぜひ期待していただけますと幸いです。

株式会社インタースペース

本社所在地:東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル8階

設立:1999年11月8日

資本金:984,653,800円(2023年4月アクセス時)

上場市場:東証スタンダード(2006年9月19日上場)

証券コード:2122

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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