- 投資信託の利回りについて理解を深めたい
- 平均利回りの相場を知りたい
- 投資信託を選ぶ際のポイントを知りたい
「貯蓄から投資へ」「老後2000万円問題」など、投資の必要性を訴える言葉を耳にする機会が増えたのではないだろうか。積立NISAの制度が改善され、税制優遇の範囲も広まることから、積立投資を始める人は今後さらに増えるだろう。
ただし、そこで問題になるのがどの商品を選べばよいか分からないことではないだろうか。そこで本記事では、投資信託の平均的な利回りや商品選びのポイントをまとめた。
投資信託の仕組みから理解し、賢く投資を始めたい人はぜひ最後まで読んでほしい。
投資信託の利回りとは何か
そもそも投資信託とは、多くの投資家から集めた資産を元手に、証券会社などが個別に選定した株式や債券などに投資して資産を運用する金融商品である。
金融のプロに資産を託し、運用した成果が投資額に応じて分配される仕組みが、投資信託の全体像だ。
投資信託は個別株や国債などに投資するのではなく、国内の優良企業100社や海外不動産といった、幅広い分野にまとめて投資できる点が大きな特徴である。
投資信託は商品によって銘柄が異なるものの、「株式や債券などの詰め合わせ」を購入するものと捉えておこう。
利回りの基本概念
投資元本に対する収益の割合を「利回り」と呼ぶ。上記の説明でいうと、「投資額に応じて分配される運用成果」が利回りに相当する。
「収益」を細分化すると、運用成果(運用利息)のほかにも、投資信託の売却益が収益に含まれる。そのため、利回りは下記の計算式から算出できる。
利回り = 収益(運用利息 + 売却益) ÷ 運用年数 ÷ 投資金額 × 100
例えば、100万円の投資信託を購入し、1年後に1万円の運用利息を受け取り、105万円で売却した場合、利回りは以下のように計算する。
利回り = 収益(運用利息1万円 + 売却益5万円) ÷ 運用年数1年 ÷ 投資金額100万円 × 100 = 6%
実際にはここから税金や手数料などを差し引いたり、差し引いた状態で計算したりするため上記ほど単純な計算とはならないが、イメージとして掴んでおこう。
分配金と再投資による利回りの違い
投資信託において、運用成果が投資家に還元されるお金を「分配金」と呼ぶ。株式投資の「配当金」と同義だ。
投資信託では、分配金が出た場合に受け取るか、受け取らずに投資元本として運用に回す(再投資する)かによって、最終的な投資成績が異なる点は必ず押さえておこう。
例えば、100万円で投資信託を購入し、運用利回りが10%と仮定する。このとき、一年後に受け取り可能な分配金は10万円だ。この10万円を受け取った場合、翌年の投資元本は100万円のままになる。
一方、分配金10万円を受け取らず再投資すると、翌年の投資元本は110万円になる。
その結果、2年後に受け取る分配金は、前者の場合10万円、後者の場合は11万円になる。さらに、分配金を受け取るかどうかで投資元本は100万円または121万円となり、年数を重ねるごとにその差は指数関数的に開いていくのだ。
これを「複利効果」と言い、分配金を受け取らずに再投資することで、長期になればなるほど分配金が資産を生み出すことにつながるのである。
「実った果実をどのタイミングで受け取るか」次第で、投資成績は左右されることを覚えておこう。
リスクとリターンの関係
投資信託は商品によってジャンルが異なるため、低リスクな商品もあれば、比較的高リスクな商品もある。
一般的に、株式を扱う投資信託よりも債券を扱う商品のほうが低リスクだ。また、国内に特化した投資信託よりも、海外に特化した投資信託のほうがリスクが高い傾向にある。
総じて言えることとして、投資信託はローリスク・ローリターンからミドルリスク・ミドルリターンに該当する投資商品であることだ。
投資信託の平均利回りの相場
投資信託の利回りに関する基礎知識が理解できたところで、本題の投資信託の平均利回りについて確認していこう。
投資信託の平均利回り
「高齢社会における資産形成・管理(令和元年6月3日)」によると、国内外の株式・債券に積立・分散投資した場合の投資収益率は、20年間長期保有すると2〜8%に収斂するようだ。
投資信託を長期保有した結果ではないためそのまま当てはまる訳ではないが、平均すると年利4%前後を推移すると理解しておけば問題ないだろう。
主なカテゴリー別平均利回り
次に、カテゴリー別の平均利回りを具体的に紹介しよう。国内と海外、株式・債券・不動産・バランス型で分類した平均利回りは下表のとおりである。
平均利回り(過去3年) | 国内 | 海外 |
---|---|---|
株式 | 9.99% | 17.24% |
債券 | -0.76% | 3.65% |
不動産 | 5.55% | 11.5% |
バランス型 | 0.6% | 2.9% |
MONEY JOURNAL「投資信託の平均利回りの目安は?騰落率やトータルリターンとの違いも解説」
なお、上記は景気動向に左右されるため、永続的にこの利回りが実現するものではないから注意が必要だ。また、カテゴリーによる違いのほかにも、以下の運用スタイルによる違いもある。
- インデックスファンド:日経平均やS&P500指数などの株価指数に連動するように運用する投資信託
- アクティブファンド:プロのファンドマネージャーによる、株価指数に囚われないで運用される投資信託
投資初心者の場合、信託報酬の低さや運用成績の安定性などから、インデックスファンドを選んだほうが安心して運用できるだろう。
投資信託の利回り平均ランキング
投資信託の利回り平均の上位には、どのような銘柄が並んでいるのだろうか。
過去3年間における投資信託全カテゴリーのうち、上位10選のファンドは以下の通りである。
ファンド名 | カテゴリー | 利回り平均(3年) |
---|---|---|
iFreeActive EV | 国際株式型(グローバル日本含む) | 39.96% |
eMAXIS Neo バーチャルリアリティ | 国際株式型(北米) | 36.05% |
iFreeNEXT FANG+インデックス | 国際株式型(北米) | 35.04% |
FANG+インデックス・オープン | 国際株式型(北米) | 35.03% |
eMAXIS Neo 自動運転 | 国際株式型(グローバル日本含む) | 28.75% |
UBS 原油先物ファンド | コモディティ型 | 27.83% |
eMAXIS Neo ウェアラブル | 国際株式型(グローバル日本除く) | 27.74% |
国際・キャピタル 日本株式(貨)ルーブル(毎) | 国内株式型(大型ブレンド) | 27.61% |
SMTAM コモディティ・オープン | コモディティ型 | 26.75% |
グローバルAIファンド | 国際株式型(北米) | 26.28% |
ランキングの上位10銘柄を見ると、利回り平均は30%を超えてくる。
しかしながら、投資対象を見るとリスクの高いハイテク株や最先端の技術を投資対象とするファンドばかりであり、その分のリスクは高いものであるだろう。
投資信託の利回りを見る際の注意点
上記ランキングでも取り上げたように、利回りの高いものが必ずしもおすすめのファンドとは限らない。
では、投資信託の利回りを見る際はどのような点に注意するべきなのだろうか。
利回りが継続しているか
投資信託の利回り平均が高いからといって、その投資信託が必ずしも優れているとは限らない。
なぜなら、高い利回り平均がその後も継続し続けるとは限らないからだ。
投資信託は複数の資産クラスに分散しているため、比較的安定した利回りが期待できるものの、将来的な利回りが保証されているわけではない。
利回り平均が高い場合には、直近1年間の利回り平均のデータだけではなく、最低でも過去3年以上までさかのぼって、集計データを見ることをおすすめする。
利回りが高いとリスクも高い
利回り平均が高いということはそれだけ、運用リスクを取っていることを意味する。
そのため、同時にリスクが高い商品であることを意味しているのだ。
次のデータを見れば、利回り平均の高さと運用リスクが関係していることが分かるだろう。
ファンド名 | 利回り平均(3年) | 標準偏差(3年) |
---|---|---|
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) | 5.75% | 11.54 |
iシェアーズ・コア日経225ETF | 7.94% | 17.58 |
たわらノーロード先進国株式 | 16.61% | 18.58 |
実際のところ、利回り平均を表すリターンに対して、リスクを表す標準偏差が高くなっていることが分かる。
リスクが高い商品というのは、変動率が高いことを意味するため、もし利回りの高い投資信託を取引するのであれば、利回りがマイナスになる可能性があることも、頭に入れておく必要がある。
税金・手数料が反映されていない
利回り平均は、証券会社や投資情報のウェブサイトで確認できるが、閲覧できる数値には、手数料や税金などのコストは数値に反映されていない。
そのため、実際の利回り平均は手数料や税金が差し引かれることで、さらに小さくなることに注意しよう。
なお、投資信託の手数料には、商品の購入時にかかる販売手数料のほか、保有時にかかる信託報酬、解約時にかかる信託財産留保額などがある。
また、税金に関しては税制優遇制度を活用している場合を除いて、一律20.315%が課税される。
利回り平均から投資すべき投資信託を判断する場合には、手数料や税金についても考慮してから決めよう。
投資信託選びのポイント
ここまで、投資信託の平均利回りとこれを判断する際の注意点について解説してきた。
投資信託の利回りは運用成果に直結する重要な指標ではあるが、投資信託選びではその他にもいくつか気をつけるべきポイントがある。
以下で3つのポイントを取り上げるので、それぞれ確認していこう。
積立投資でリスク分散
投資信託は積立投資によってリスク分散させることが非常に重要である。
投資をする際、できる限り安く買い、高く売りたいと考えるのが通常だろう。しかし、底値だと思って買いを入れても、さらに下落することは往々にしてあるのが投資の世界だ。
そのため、投資信託は月に一度などのペースで積立投資し、平均購入単価を平準化させることをおすすめしたい。一度に100万円分の投資信託を買うのではなく、月に一度、5万円や10万円ずつ投資することで、高値掴みするリスクを避けられるはずだ。
運用方針とリスク許容度のマッチング
資産運用の目標は人によって異なるため、運用方針やリスク許容度ももちろん異なる。そのため、自身の運用方針・目標リターンとリスク許容度に応じて、相応な投資信託を選ぶことが重要だ。
リスクをとって積極的な運用をしたい方にとって、国内債券の投資信託は不適切だろう。積極的な運用をするなら、海外株式を中心に、比較的リスク・リターンの高い投資信託を中心に保有するのがふさわしいと言える。
一方、保守的な運用を目指す人の場合、海外株式で全ての資産を運用するのはリスクの取りすぎだ。
運用方針とリスク許容度を明確にした上で、目的を満たす最適な投資信託を選ぼう。
総経費率や信託報酬のチェック
投資信託によって信託報酬が異なるため、投資した資産の運用効率にも注意すべきだ。各投資信託の詳細をみると信託報酬が掲載されているため、投資する商品にかかる手数料の割合は必ずチェックしよう。
手数料は低いに越したことはないため、同じ株価指標に連動するインデックスファンドがあれば、各社の信託報酬を比較して、最も手数料の低い投資信託を購入すべきである。
IFAが投資信託選びで役立つ理由
投資信託の概要や選び方のポイントを解説したが、いざ自分で探すとなると判断に迷う人もいるのではないだろうか。
ここでは、投資商品選びや投資判断の助けになるIFAについて紹介しよう。
投資信託選びのプロフェッショナル
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは「Independent Financial Advisor」の略で、資産運用に関するあらゆるアドバイスを提供してくれるプロのことである。
金融に関するアドバイザー業務を専門として扱っており、個人投資家の資産状況や資産運用の目的に応じて、最適な投資信託の選定も可能だ。
どの投資信託にすればよいかわからない場合は、IFAの利用を検討するとよいだろう。
資産運用戦略の策定支援
先ほども解説したように、IFAから資産運用に関する幅広いアドバイスを受けられるため、投資信託に限らず、どの投資商品をどのような割合で保有すべきかの戦略策定も可能だ。
投資信託を購入すべきだと思っていても、本当に投資・保有すべき商品は異なる可能性もあるだろう。資産運用する状況は投資家によって異なる以上、最適な戦略もひとそれぞれだ。
投資家に最適化された資産運用戦略の策定を支援してくれるのは、資産運用を効率よく進める上で欠かせないだろう。
投資信託選びの手間を軽減
IFAに依頼することで、専門家の知見を活用した投資信託選びが可能になり、言い換えると、商品選びの手間を軽減させることにつながるのも大きなメリットだ。
本来、投資はお金に働いてもらい、効率よく資産を増やすために行うものであり、投資先の検討や資産管理に時間をかけるのは得策ではないだろう。
投資していることを忘れるくらいが丁度よいため、IFAに商品選びや資産配分の検討を任せて、手間を省いて効率よく資産運用を進めることが成功の秘訣ともいえるのだ。
まとめ
この記事では、投資信託の平均利回りや選び方のポイントなどを解説した。投資信託の運用方針だけでなく総経費率や信託報酬を確認し、自身のリスク許容度にマッチする商品を選ぶことが重要である。
投資信託を選ぶのが難しい場合は、IFAの利用がおすすめだ。IFAに相談することで、金融のプロによるアドバイスのもと、効率よく資産運用の戦略を策定できるだけでなく、投資信託選びの手間も省けるだろう。
特に「資産運用ナビ」では、登録する豊富なIFAの中から相性の合うパートナーを探すことができるため、安心して資産運用を進められるはずだ。まずは無料で相談し、どのようなサービスを受けられるか体感してみよう。