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「贈与税の時効」知らなかった場合はどうなるのか?専門家が全て解説

この記事で解決できるお悩み
  • 贈与税の時効について、その存在と影響を詳細に理解したい
  • 贈与税の概念や重要性を理解し、自身の資産管理に活用したい
  • 知らなかった場合の対処法が知りたい

贈与税とは、経済的に価値のあるものを受け取ったときに、受取人が負担する税金のことだ。

現金や預貯金、不動産、有価証券、貴金属などの相続の際、将来値上がりが期待できる有価証券への贈与税の活用は節税効果がある。

このため、子や孫への遺産相続を検討するうえで、相続税よりも贈与税を適用するため生前贈与される人も多い。

税務申告を忘れていたことに後で気づき、そのままに時効まで待っていようと考えるのは、非常にリスクが高くおすすめできない。

ここでは、贈与税の詳細と押さえておくべきポイントを解説する。

目次

贈与税の時効についての基礎知識

贈与税の時効についての基礎知識 資産運用ナビコラム

子や孫へ有価証券を譲る場合に発生する税金は、贈与税以外に相続税もある。

いずれの税金も、贈与または相続それぞれが成立した日の市場価格で税額が算出される。

贈与税は、有価証券の贈与が成立した日以降に上昇した価格分は課税されないので、死亡時の相続税よりも安くなる場合が多い。

ここでは贈与税と、その時効について述べていく。

贈与税とは何か?基本的な仕組み

贈与税には、相続時精算課税制度と暦年課税制度の二種類ある。

相続時精算課税制度は、生前の贈与額と死亡時の相続財産とを合算し、相続税額を算出する。

暦年課税制度では、相続の4年以前の贈与額は、相続財産とは切り離し相続税額を算出する。

この二つの制度は併用や変更はできないので、いずれを選択するかは、資産全体の相続方針を考えて、選択しなければならない。

時効とは何か?その法的な意味

税金における時効とは、一定期間の経過によって、徴税できる権利が消滅する法的制度だ。

国が徴税権を行使しない状態が続くと、その状態を前提に行動する納税者や関係者を尊重するという考え方により成り立っている。

また権利を行使しない国は、「権利の上に眠る者は保護せず」という法的考え方により、保護する対象ではないとしている。

そして長く時間が経過すると、徴税できる権利の立証が困難になるため、一定の期限として時効を設けている。

一方で税務署は、容易に時効が成立しないように、厳しく徴税活動を行っている。

贈与税の時効とその発生条件

贈与の時効成立は原則6年、故意に申告しなかったなど、悪質と見なされれば時効期限は7年になる。

時効期間は、贈与が成立した年度の申告期限翌日(3月16日)から起算する。

贈与の成立には贈与人と受取人の双方が合意した証拠が必要なため、贈与契約書などを取り交わしておくとよい。

また数年に渡り分割して贈与する場合は、その年ごとに契約書の作成が必要になる。

このような証拠がないと贈与の事実が確認できないため、贈与税やその時効は発生せず、死亡時の相続税が適用されることがある。

贈与税の時効による影響

贈与税の時効による影響 資産運用ナビコラム

贈与税の時効を狙うよりも、素直に申告した方がよい。時効成立は非常に難しく、納税の不備が見つかると、ペナルティーが課せられる。

ここでは、そのペナルティーの内容や、時効が適用されないケースなどを述べていく。

贈与税の未納とその結果

贈与税の未納、及び過少申告の場合には、本来の税額に加えてペナルティー(加算税)が課税される。

贈与税に関しては、状況や税務署の判断により、以下の加算税のいずれかが課せられる可能性がある。

  • 過少申告加算税:申告納税額が実際より少ない場合の加算税
  • 無申告加算税:申告期限内に申告をしなかった場合の加算税
  • 重加算税:意図的に申告しなかったと判断された場合の加算税

さらに、法定期限から完納するまでの日数に応じて算出される延滞税も加わる。

故意に期限内の申告をしなかったと判断された場合、重加算税40%が本来の税額に加算され、加えて延滞税も請求される。

時効による税金免除の具体的な例

残念ながら時効によって税金が免除されるわけではない。

贈与税の時効を迎えると、国が税金の徴収権を失うだけで、納税者の納税義務が消滅するわけではない。

税金を請求できる権利を持つ存在がないため、税金を納めなくとも、法的に咎められないだけだ。

贈与税の時効が適用されないケース

贈与が成立しなければ、時効も成立しない。贈与契約書があっても、受取人が自由に財産を利用できなければ、贈与が成立したとは認められない。

ネット証券で購入した有価証券は、口座のIDやパスワードを受取人に教えない限り贈与は成立せず、時効への日数も起算されない。

また時効前までに、以下のような事柄があったら、時効中断となる。

  • 課税処分に関する裁判での訴訟
  • 税務署からの納付の催告(催告書や差押通知書の送付などによる)
  • 税務署の差し押さえ実施、または差し押さえるべき財産の捜索
  • 贈与税の納付義務を認識したと認められる納税義務者の行為(期限後申告、修正申告、納期限の延長、納税または換価の猶予申請、延納の申請または届出、納付の委託など)
  • 贈与税の一部納付

贈与税の時効を適切に理解するための注意点

贈与税の時効を適切に理解するための注意点 資産運用ナビコラム

贈与税には正しい理解が必要だ。贈与税への誤解も多く、贈与税の徴収が厳しく運用されている理由を知らない方も多い。

これらの解説を通じ、贈与税に対する認識を深めて欲しい。

贈与税の時効に関する一般的な誤解

贈与税の時効は、贈与が成立した年度の申告期限の翌日から起算されると先述したが、「贈与の成立日から起算」と誤解する方が多い。

「贈与税の時効は6年」とも述べたが、他の多くの税金では時効が5年のため、誤解している方も多い。

また「故意=悪質」と判断されるため、申告の必要性は認識していたが、時効狙いが判明すると悪質と判断され時効は7年になる。

贈与税と相続税の違いとその影響

相続税は、故人の資産を社会に再分配することを目的としている。

一方で贈与税には、生前贈与による「相続税逃れ」を防ぐ目的があり、相続税を補完する役割を持っている。

しかし昨今は、高齢化に伴い、以前と比べ相続での資産移転時期が遅れている。このため贈与に節税効果を持たせ、生前の早い時期で資産移転を促し、経済の活性化につなげるようにしている。

このため贈与の節税効果が脱税につながらないように、税務署は細かく調査し、違反には厳しいペナルティーを課している。

法律改正と贈与税の時効の関係

2023年3月に発表された「令和5年度税制改正」では、贈与税の時効に関係する改正はなかった。

しかし、税制は頻繁に改正が行われるので、注視しておく必要がある。

贈与税の時効に関する疑問、IFAが解決できること

贈与税の時効に関する疑問、IFAが解決できること 資産運用ナビコラム

もし贈与税の申告漏れに気づいたら、1日でも早く申告をしてほしい。贈与税の申告を忘れていると、延滞税により一日単位で税額が増えてしまう。

しかし、申告漏れに気付いていないということは多々ある。

適切な贈与や相続を行うには、複雑で随時改正される税制度の知識が必要だ。

このとき、あなたをサポートしてくれる存在がIFAだ。

税法の専門家による的確なアドバイス

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は資産形成のプロフェッショナルだ。

税理士事務所や弁護士事務所と連携しているIFAも多く、中には税理士資格を持つIFAもいる。

あなたが形成してきた資産を、次の世代に受け継がせるため、IFAは的確なアドバイスをしてくれる。

複雑な税制度や最新の情報をわかりやすく解説

生前贈与に際して、相続時精算課税制度と暦年課税制度のいずれを選択すべきか、判断が難しい。判断を誤ると過度の税金を支払うことになる。

IFAは、複雑な税制度の最新情報をわかりやすく解説し、あなたが選択するための材料を揃えてくれる。

IFAの探し方

セミナーなどに参加して、相続に強いIFAを探すのがよいだろう。

またIFAのマッチングサービス「資産運用ナビ」を利用するのも一手だ。

まとめ

まとめ 資産運用ナビコラム

本記事では、贈与税の時効の基本的な仕組み、時効による影響、適切な理解のための注意点を解説した。

記事の内容を踏まえ、IFAに相談することで贈与税の時効についての誤解を解消し、適切な対応が可能になる。

IFAに依頼することで、相続対策やIFAと連携している税理士や弁護士から最新の法律情報に基づいたアドバイスが得られ、ワンストップでサポートしてくれるだろう。

「資産運用ナビ」ではあなたのニーズにあった専門的な知識を持つIFAを探すことができる。ぜひ一度問い合わせをしてほしい。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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