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【4412】株式会社サイエンスアーツ代表取締役社長 平岡秀一氏「デスクレスワーカーに楽しさと感動を与える高付加価値企業」

【4412】株式会社サイエンスアーツ代表取締役社長 平岡秀一氏「デスクレスワーカーに楽しさと感動を与える高付加価値企業」わたしのIFAコラム

※本コラムは2022年9月28日に実施したIRインタビューをもとにしております。

世界の労働人口のうち約80%を占めると言われているデスクレスワーカー。そのコミュニケーションツールとして注目されているのが、「Buddycom」です。

これからの成長シナリオについて、株式会社サイエンスアーツ代表取締役社長の平岡秀一氏に伺いました。

目次

株式会社サイエンスアーツを一言で言うと

おもにデスクレスワーカーを対象にしたコミュニケーションツールのメーカーです。

デスクレスワーカーとは、事務所以外の現場で働いている人たちのことです。工場などモノづくりの現場、スーパーマーケットや百貨店などの小売店、その他、輸送や病院、介護などの現場で働いているワーカーは、Emergence Capital Partnersが2018年にまとめたレポートによると、世界の労働人口の約80%を占めると言われています。

【4412】株式会社サイエンスアーツ代表取締役社長 平岡秀一氏「デスクレスワーカーに楽しさと感動を与える高付加価値企業」資産運用ナビコラム
株式会社サイエンスアーツ 2022年8月期通期 決算説明資料 より引用

ちなみに日本は先進国経済なので、世界の平均値に比べてデスクレスワーカーの比率は下がりますが、それでも労働政策研究所・研修機構の「職業別就業者数」に基づいた推計によると、約半分の47.7%がデスクレスワーカーであるという数字が出ています。

私たちが提供している「Buddycom」は、デスクレスワーカーをつなげるライブコミュニケーションプラットフォームで、スマホやタブレットに専用アプリを入れて使うインカムアプリです。

このアプリを入れることにより、手元のスマホやタブレットで、他人数との同時通話や画像、動画などのやりとりができるようになります。

【4412】株式会社サイエンスアーツ代表取締役社長 平岡秀一氏「デスクレスワーカーに楽しさと感動を与える高付加価値企業」資産運用ナビコラム
株式会社サイエンスアーツ 2022年8月期通期 決算説明資料 より引用

創業の経緯

私自身がこの会社を立ち上げたのは2003年のことです。それ以前は日立西部ソフトウェア(現日立ソリューションズ)でソフトウェアの開発に携わり、マイクロソフトでコンサルティングの仕事をした後、投資ファンドであるインスパイアに入社しました。

この時期、Plan・Do・Seeや日本駐車場開発などベンチャー企業の役員に就任し、2003年にサイエンスアーツの前身となるシアンス・アールという会社を立ち上げました。

資金繰りをはじめとして、多くの中小企業が苦労する事態に直面してもがきながら、2010年に立ちあげたデータベース事業が当たり、当時2人しかいなかった会社で売上4億円、利益2億円を叩き出したのですが、そんなことがいつまでも続くわけがありません。何か、他の事業を立ち上げなければなどと考えていた時、私の父が携帯電話を使って電話を掛けるのに、とても手間取っている姿を目の当たりにしました。

その時、何となくですが、頭の中にもっと手軽にコミュニケーションが取れるようなツールがあればいいのに、という考えがよぎりました。

もともと自分でプロダクトをつくって世の中に広めたいという夢もあったので、誰もが簡単にコミュニケーションを取れるようなアプリを開発しようと考えたのです。だから、Buddycomが世に出たのは、そのヒントをくれた父のお陰でもあります。

もうひとつは、新しい事業を立ち上げるにあたっては、ストック型のビジネスにしようと考えました。なぜなら、日本駐車場開発の仕事に従事していた時、ストック型ビジネスの強さを目の当たりにしてきたからです。

現在、Buddycomは1年契約の前金制にしていますが、そこが財務的な強みにもつながっています。

事業内容について

ライブコミュニケーションプラットフォームであるBuddycomの運営、アプリの開発、周辺機器の開発です。

デスクレスワーカーがコミュニケーションツールに求めるのは、国籍や人種、年齢に関わらず誰でも簡単に使えること、操作ミスや想定外の動きが起こらないこと、そして現場は時々刻々と状況が変化するので、コミュニケーションの速度が速いことも重要です。これら、現場で働く人が求めることを、Buddycomは実現します。

Buddycomと他のコミュニケーションツールとの違いですが、たとえば電話は基本的に1対1のコミュニケーションで音声通話のみ、トランシーバーやインカムは大人数でも対応できますが、やはり音声のみになります。

この点、Buddycomは、それこそ数百人、数千人規模でも運用できますし、音声だけでなく画像や映像の配信、会話のテキスト化、グローバルなやりとりの際に障壁になる言語の違いについても、翻訳機能を実装することによって、誰もが簡単にやりとりできるようになっています。利用に際しては初期費用がかかりませんし、免許も不要です。

2016年、2017年くらいまでは、Buddycomもそれほど普及しておらず、業績も目立った伸びは見られなかったのですが、その直後からJRやJALなどの大手企業がBuddycomを導入することになり、順調にお客様がつくようになりました。

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株式会社サイエンスアーツ 2022年8月期通期 決算説明資料 より引用

実は、大手企業を中心に導入してもらうようにしたのが、私たちの営業戦略だったのです。

もちろん日本にはたくさんの中小企業があるので、導入数を増やすだけであれば、中小企業にもどんどん売り込んでいく手はありましたが、それだと事業は、なかなか成長しませんし、ブランド力も上がりません。

これはマイクロソフト時代に学んだことなのですが、ブランド力を高めるためには、各業界の上位企業を顧客化するのが有効です。だから、航空会社は迷うことなくJALの口座を取るために営業しました。

この手の通信関係は、航空会社に採用してもらえると、営業面でも非常に高い評価が得られます。というのも、通信が途絶えたりすると、飛行機の安全な運用に大きな支障を来すからです。

逆に、航空会社が採用しているなら安全、安心ということで、製品のクオリティが評価され、JRやその他のトップ企業でも、採用が広がっていくのです。ですから、このサービスを広げるにあたっては、小さいところへの営業はいっさい行わず、超大手企業、とりわけ航空会社のなかではJALに採用していただくため、全力を尽くしました。

あと料金体系ですが、4つあります。

1IDあたりの年契約金額が最も安い、音声通話のみの「Talk Lite」から、映像配信、文字起こし、同時翻訳などさまざまな機能が付加されている反面、料金的には最も高い「Livecast Enterprise」まであるのですが、営業に際しては、料金体系の最も安いTalk Liteから契約していただくようにしています。

料金的なハードルが低いので、より多くのID数で契約してくれるだろうという狙いはあるのですが、私たちのサービスを一度使い始めたら、恐らく他の機能も付加しながら使いたくなると思います。

つまり、まずは出来るだけたくさんの契約ID数を確保した後、徐々に大きな取引に展開させていくという戦略です。現場ニーズに合わせて、さまざまなアクセサリーも販売しており、これも売上の向上に寄与しています。

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株式会社サイエンスアーツ 2022年8月期通期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

これはあくまでも理想ですが、グローバルの潜在市場規模は約13.1兆円、国内の潜在市場規模は約1400億円と見積もっています。

【4412】株式会社サイエンスアーツ代表取締役社長 平岡秀一氏「デスクレスワーカーに楽しさと感動を与える高付加価値企業」資産運用ナビコラム
株式会社サイエンスアーツ 2022年8月期通期 決算説明資料 より引用

それに対して、BuddycomeのARR(年間経常収益)は、2022年8月時点で4億4000万円ですから、今、私たちが取れているマーケットは、本当にごく一部でしかありません。伸びしろはまだまだあると見ています。恐らく今後も150%成長、200%成長は、十分に継続可能と考えています。

もちろん競合他社の動きを気にする人もいますが、現在、競合と思われるところは、大半が音声のみです。これに対して私たちは、映像やテキスト化、翻訳といったさまざまな機能を付加しており、グローバルに特許を取得しているものもあります。

たとえばテキスト化や映像配信がそうですが、欧州や米国で特許を抑えてあるので、かなり強固な参入障壁になっています。だから、現時点においては「ここが進出してくるとまずい」と思われるような競合は、ほとんどいないかも知れません。入札すると、ほぼ勝てる自信はあります。

投資家の皆様へメッセージ

成長率が高いのに加えて、解約率が低く、粗利が大きいという特徴があります。仕組みが簡単なのでサポートコストがかからないし、サーバもコンパクトです。かつ、弊社を利用して下さっているお客様、加えてパートナー企業も、ベンチャーでは珍しいくらいピカピカの企業ばかりです。

これからデスクレスワーカーだけでなく、中小企業や個人向けの機能も充実させつつ、海外展開も視野に入れています。

さらなる成長を目指していきますので、応援していただけると幸いです。

株式会社サイエンスアーツ(Science Arts, Inc.)

本社所在地:東京都新宿区神楽坂4-1-1 オザワビル7階

設立:2003年9月19日

資本金:5千万円 (2022年10月時点)

上場市場:東証グロース(2021年11月24日上場)

証券コード:4412

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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