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【1401】株式会社エムビーエス代表取締役社長 山本貴士氏「列島リフォームを実現させる」

※本コラムは2023年8月17日に実施したIRインタビューをもとにしております。

外壁塗装を通じて日本の住宅やインフラを支え続ける株式会社エムビーエス。

代表取締役社長の山本貴士氏に創業の経緯と今後の展望についてお話を伺いました。

目次

株式会社エムビーエスを一言で言うと

列島リフォームという目標を掲げ、リフォーム修繕や保全技術で全国展開を目指している会社です。

創業の経緯

起業のきっかけは、20歳の時に経験した建設業での経験です。

私は高校を中退した後、一度は外車ディーラーで品質管理の業務を行っていましたが、20歳の時に、故郷である山口県宇部市に戻り、建設業の世界に身を投じました。

危険な作業も含む厳しい現場で業務を行う時間が多く、身も心も鍛えることができたと感じています。

足場業で一定の成功を収めたものの、業界全体としては従事する方の体調不良や怪我など解決するべき課題も残っていました。

元より父の影響でいつかは会社を経営したいと思っていましたが、このことをきっかけに起業についてより本格的に考えるようになりました。

現場で働いていた当時、外壁工事の業者と接する機会も多く、また足場の解体後にはリフォームをするケースが多くありました。

お客様の声を直接聞ける立場にいたことで、課題の焦点を外壁工事の施工側、塗装業者や防水業者に問題があることに気付きました。

しかし、業界内ではそれらの課題解決への取り組みは進んでいませんでした。

そのため、自身の経験を活かして外壁工事の領域に足を踏み入れ、この課題に対処する決意をし、1997年に当社を設立しました。

ターニングポイント

当社のターニングポイントは、大きく分けて3点あります。

1点目は現在の主力事業につながる海外樹脂メーカーとの出会いです。

外壁工事領域での事業展開において我々が注目したのは、日本と海外の住宅寿命の違いです。

日本は欧州と比較して住宅寿命が短く、そしてこの原因が現場の作業環境だけではなく、原材料にも関わりがあることに気がつきました。

この課題を解決しようと模索する過程で海外の樹脂メーカーと出会い、これを活用した外壁事業をスタートさせました。

その後、当社は特許を取得し独自の技術を活かした事業展開を進めていきました。

2点目は上場です。

この業界は学歴の低い人が多いというイメージが強く、スキルを高めても大手企業や上場企業への就職は難しいのが現状です。

そのため、当社は自らが上場することを決意しました。

目標の一環として、5年後に地元のホテルで上場披露パーティーを行うという夢を掲げ、ビジネスコンテストでの成功とその後の出資等を経て、無事に5年後の2005年に上場を果たすことができました。

3点目はスケルトン工法の開発です。

設立当初は、住宅のリフォームからスタートしましたが、その後は道路や橋、トンネルなどのインフラにも目を向けるようになりました。

当時、すでに国内のインフラ設備は築30年を超えるものが増えてきており、トラブルや問題は山積みでした。

これらの課題解決を目指し開発したのがスケルトン工法です。

高速道路会社や建築業界の大手コンサルティング会社などと共同で特許出願を行うなどし、現在に至るまで少しずつ世の中で受け入れてもらえるサービスへと進化してきました。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

マネジメントスタイル

個人の資産として最も高価である住宅のリフォームに携わらせていただいている以上、会社の代表としても信頼というものは大事にしています。

インフラ関係は市民が安心して移動できる土台をなすものであり、そのリフォームに携わっている立場として効率的にしっかりとした施工を施しながら信用をつけていくことを強く意識しています。

スタッフにおいてもその部分はかなり浸透していると考えております。

事業概要

当社は住宅の外壁や屋根、防水などリフォームを中心に提供しています。

また足元では、インフラの改善にも注力し、道路や橋、トンネルなどのスケルトン工法の開発にも取り組んでいます。

このスケルトン工法は、高速道路会社や大手コンサル会社との共同特許出願を通じて進化してきました。

現在、24の支店を運営し、国内外のビジネスパートナーと連携しながら、さらなる普及を目指しています。

新たな支店の開設や全国に広がる列島リフォームの実現を目指し、事業の成長と社会への貢献を追求しています。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

当社の強み

当社の強みは、大きく分けて3点あります。

1点目は技術力です。

国内トップシェアを誇る安全で耐久性の高い無色透明な樹脂を用いたコンクリートの保全技術は、多くの高規格道路や線路の補修に活かされています。

そして、このようなインフラに活用されているほどの高い技術が個人住宅にも適用されているのです。

この技術力は当社の大きな優位性であると考えています。

2点目はパートナー制度です。

我々は建設会社や工務店、設計会社といったプロの方々に自社の技術を売り込みます。

そして、その方々を通じてお客様に提案をしていただくという体系をとっています。

トラブルが多い訪問販売とは異なり、プロの視点から営業を行っている点が信頼にも繋がっていると思います。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

そして3点目はサービスのワンストップ提供体制です。

外壁と一言で言っても、塗装・防水などその工程は細分化されています。

各工程で異なる業者が立ち入ると責任の所在が不明瞭になるため、お客様にとっては不安が生じてしまいます。そのため、

当社ではこれら一連の工程を一貫して対応できるよう、育成プログラムを構築し同時にサービスのレベルアップを図っています。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

リグノマテリア社との提携について

2023年7月、当社はリグノマテリア社との業務提携を発表しました。

リグノマテリア社は、植物由来のリグニンを活用した製品開発を行う企業です。

彼らの持つ技術を活用して外壁リフォームやインフラ補修における新たな材料の研究開発に取り組み、持続可能な素材の導入やCO2排出の削減など、環境への貢献を強化していきます。

また、災害に強いプラントや防災施設の構築にも取り組む予定です。

この提携には、事業の多角化と安定的な成長を実現する狙いがあります。

双方のノウハウや技術を結集し、共同で持続可能な未来を創造していくため、私も同社の取締役に就任いたしました。

今後は、材料の研究開発からプラントの運営まで、より幅広い領域でのシナジー効果を期待しています。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

当社事業の属するリフォーム業界の市場規模は、過去10年から15年にわたり約7兆円前後で推移しており、今後も同水準を保つと予想されています。

一方、これまで主流であった訪問販売には高額なリフォームを売り込むトラブルが多く発生しています。私はリフォームは高価格帯かつ半製品であることから、訪問販売スタイルとは親和性がないと考えています。

当社では以前から、訪問販売ではなく全国のパートナーとのアライアンスによる営業スタイルを重視してきました。

今後はこの特徴を生かし、信頼性のある提携先との連携をより強化していきながら、外壁リフォームにおいて、「MBS=信頼のブランド」として浸透することが大切だと考えています。

全国津々浦々、どこでも同じサービス品質を提供できる体制を整えることで成長を促進していきます。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

また、現在のパートナーの大部分は地場産業の専門工事業者であり、各パートナーに対する当社の売上や利益の依存度は非常に低い状態です。

つまり、仮にどこかが業績不振になってしまっても当社業績への影響は限定的であるというメリットがあります。

初めから大手と組んでしまうと完全な下請け会社になってしまい、他社とのアライアンスが難しくなります。

また、我々が本当に目指している外壁リフォーム会社としての姿勢が築きづらいと考え、創業以来地道に現場企業とパートナーを組み、筋肉質な体制を作り上げてきました。

ですが今後は、大手ハウスメーカーやゼネコンとのアライアンスも強化していきます。

大手の受注を包括的に請け負う体制を整備し、安定した売上基盤と利益構造を確立していきます。

そして、業界内で”信用力と実績のある会社”というポジションを得ることを目指していきます。実はこの体制には、当社だけではなく、大手企業側にもメリットがあります。

これまで地場の専門業者に個別発注していたものを当社が包括的に発注することで、書類のやり取りの煩わしさやクレームに対して迅速に対応することができ、業務の手間を省くことが可能になると考えています。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

具体的な新規出店の計画については、2027年の5月末までに50の支店を展開し、全国規模で当社の存在感を高めていく計画です。

支店の立ち上げにはそれぞれの地域の特性を考慮しつつ、初年度売上目標は5000万円、その後の10年間で政令指定都市では3億円、それ以外の都市では主要都市で2億円程度を想定しています。

注目していただきたいポイント

当社は独立系のリフォーム業者として、研究開発などの取り組みを行いながらも有利子負債をゼロに保つ健全な財務体質を構築してきました。

それにより、全国展開やより大規模企業との包括的な発注体制を整える準備が整ってきました。

また、日本のインフラのおよそ半数が築50年を超える時代に突入しており、当社が保有するスケルトン技術は今後の市場における存在感を一段と高めていくのではないかと考えています。

株式会社エムビーエス 2023年8月30日 事業説明会資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

建築業はこれまでスクラップアンドビルドのスタイルで発展してきました。

しかし今後は、既存のものを守り、維持していくことの重要性が増す時代になると我々は考えています。

当社は、この新たな時代においても名前が挙がる存在になる自信を持っています。

当業界は、新たな技術や製品、サービスの良さが受け入れられるまでのハードルが高いですが、その難関を越えた先では参入障壁も高まり、優位な立場を築けると考えています。

その時が来るまで、私たちを温かい目で見守っていただけると幸いです。

株式会社エムビーエス

本社所在地:山口県宇部市西岐波1173-162

設立:1997年6月20日

資本金:391,329千円(2023年5月31日時点)

上場市場:東証グロース(2015年8月13日上場)、福証Q-board(2005年4月26日上場)

証券コード:1401

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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