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【4486】ユナイトアンドグロウ株式会社 代表取締役社長 須田騎一朗氏「中堅・中小企業のコーポレートIT業務を、優秀なデジタル人材でサポートする」

【4486】ユナイトアンドグロウ株式会社 代表取締役社長 須田騎一朗氏「中堅・中小企業のコーポレートIT業務を、優秀なデジタル人材でサポートする」わたしのIFAコラム

※本コラムは2022年9月29日に実施したIRインタビューをもとにしております。

企業が成長していくうえで、バックオフィス部門のIT化が不可欠になっています。それに必要な人材サービスを、中堅・中小企業に提供するのがユナイトアンドグロウの主業務です。ビジネスアイデアの着想から今後の成長シナリオなどを、代表取締役社長の須田騎一朗氏に伺いました。

目次

ユナイトアンドグロウ株式会社を一言で言うと

中堅・中小企業のコーポレートITのための、人と知識のシェアードサービス会社です。自ら言うのも何ですが、このテーマはニッチかつ大きな成長が見込める、間違いなしの事業領域であると確信しております。

近年の成長企業は例外なくITを活用していますが、企業にとってITには2つの側面があります。ひとつは、顧客向けに提供されるITです。いかなる会社も、自社の製品やサービスにITをつけ加えて競争していく時代ですから、ITエンジニアを増やしています。そしてもうひとつ、自社組織のためのITがあります。DXなどと大きなことを言う前に、仕事のデジタル化、コミュニケーションのデジタル化、ITによる進化や変化が、どの企業においても極めて重要となりました。

どちらも「IT」なので、同じ人材でまかなえそうに思われがちですが、必要とされる知識や技能、そして人材の向き不向きも全く異なります。「かけもちも配置換えも全く不可能」というのが私たちの見解です。

企業内部のITは、これまで「情報システム部」「システム管理者」などと呼ばれていましたが、近年に急増したIT技術者(プログラマーやSE)とは全く違う人材が必要、という認識も高まっています。事業運営の全般に関わり、コミュニケーションや組織サポートに長けたIT人材が求められています。

そのため、部門名を「コーポレートIT」と呼び直し、そこに関わる人材を「コーポレートエンジニア」と呼ぶようにもなってきました。この分野の専門人材や知見を顧客企業に提供するのが、私たちの事業領域です。

【4486】ユナイトアンドグロウ株式会社 代表取締役社長 須田騎一朗氏「中堅・中小企業のコーポレートIT業務を、優秀なデジタル人材でサポートする」資産運用ナビコラム
ユナイトアンドグロウ株式会社 2022年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

創業の経緯

きっかけは自分自身の失敗体験です。当社を創業する8年前に、私は別の会社を創業し、経営していたのですが、200人ほどの社員を抱えるまで成長した頃に、社内リソースを活用した新規事業に取り組んだことがあります。しかしITバブルの崩壊に直面して本業の経営が傾いたため、何も成し遂げることなく2年で新規事業は撤退しました。それが、「中小企業のためのITサポート事業」だったのです。

本業の経営を立て直す過程で、自分の持ち株を処分するなどの厳しい手段も使いましたが、再び成長軌道に乗せることができたのは大変幸運でした。しかし株主構成が変わったこともあって私自身は経営からゆっくり退くことにしました。辞めるにあたり、もっともらしい理由を述べないと社内が動揺すると考えて、「以前に撤退した事業に一人で挑戦し、うまくいったら戻ってきます」と社員に説明したのです。

ただ、この事業企画はいわくつきでした。というのも、全く黒字化できなかっただけでなく、難易度が高くてお客様のお役に立てた記憶が一切なかった。退任準備をしながら個人オフィスをつくったものの、「うまくいかない理由はすでにわかっている」「成功している他社がない」「やっぱり違うことをしよう」などと、正直、半年くらい迷っていました。そんな時、前職でお付き合いのあった方が、私がまだ中小企業向けITサポートの仕事を続けていると思ったらしく、社内ITの整備で困っているという会社を紹介してくださったのです。

その時は、中小企業向けはやめておこうと考えている最中でもあったのですが、現場に訪問して課題を聞いているうちに、「それは我が社の一番得意なテーマです」と、反射的に言ってしまったのです。

その会社から15万円ほどの小さな仕事を受注し、1社目をお客様にしたからには、永続できるように拡大しなければならない、そう考えて腹を括りました。このお客様とは、幸いなことに17年経った今もお取引をいただいております。

事業を立ち上げるに際して、2つのことをまず決めました。中小企業に特化することと、人的サービスを軸にすることです。

「中小企業」になぜ特化するのかというと、以前の会社の顧客が大企業だったからです。大手の通信会社や情報機器メーカーが主要な取引先だったので、どうしても売上規模の大きい顧客案件に重要な人材が集中し、小さな受注は中途半端になってしまいます。経営会議でも、大手企業の開拓が優先的な話題となります。これでは中小企業を得意とする組織はつくれません。その経験があったので、取引先を限定したのです。

「人的サービスを軸にする」ことにした理由は、多くのIT企業の逆を行こうと考えたためです。「ITプロダクトを売りたい」会社はいくらでもあるが、それを導入する中小企業が最も困っていることは、「ITを推進する人材が内部にいないこと」だと、前回の失敗で身をもって実感していました。「中小企業の困りごとの最も深いところは人の問題」です。

そうであれば、ITプロダクトの斡旋や販売ではなく、内部の問題を解決する究極の事業を手がけよう。どんなに失敗しても諦めずにやり続ければ、いつか成り立つ。絶対にあきらめないと決めることができれば、もう成功したのと同じことだ」・・・そんなことを初期メンバーと合宿を繰り返して話し合いながら2005年にサービスをスタートしたわけですが、黒字化したのは2010年で、実に5年の歳月を要してしまいました。

事業内容について

 「シェアード社員」という商品名で、当社の正社員の役務と知識を、顧客に提供しています。分野は、コーポレートITに特化しています。

【4486】ユナイトアンドグロウ株式会社 代表取締役社長 須田騎一朗氏「中堅・中小企業のコーポレートIT業務を、優秀なデジタル人材でサポートする」資産運用ナビコラム
ユナイトアンドグロウ株式会社 2022年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

売上管理、仕入管理、業務管理や顧客管理、情報セキュリティ、プロジェクトマネジメント、社内コミュニケーション基盤、ITインフラのクラウド化といった、バックオフィス部門のITに全て対応します。中小企業においては新しい領域ということもあって、人材が圧倒的に不足しています。特に、社員数50名から1,000名程度の成長企業が、私たちのサービスにフィットします。

さまざまな企業のさまざまな課題に対し、極めて柔軟に社員を配置することによって、課題解決に貢献しています。この、「極めて柔軟に」というところがポイントです。お客様1社に対して平均3人の社員が関与し、1人の社員が平均3社の顧客を担当している、というように、単純平均するとそうなりますが、1社にほぼ1人のケースもあり、10人以上もあります。ある人は月に10時間、別の人はほぼ毎日、人材の組み合わせは数ヶ月単位で(課題の変化に合わせて)刻々と変化します。離れて観察すると実にカオスな状態です。総勢200人の正社員で250社ほどをカバーしていて、一つとして同じ組み合わせはありません。

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ユナイトアンドグロウ株式会社 2022年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

こうして、複雑なシェアリングが拡がっていくと、例えば上場準備中の企業が何に悩みどう解決しているのか、などという知見が蓄積されていきます。スタッフの得意分野や過去の実績は、人それぞれで全く異なりますので、スタッフどうしで積極的につながり、相談できそうな人、助けてくれそうな人との関係を深めていきます。

「つながりと成長」=ユナイトアンドグロウという社名は、ここから来ています。人と人との間で蓄積された知見、経験を、人を媒介として、他の企業の悩み解決に役立てます。この蓄積された知見こそが、私たちの付加価値となっていますので、人材派遣のような個別の人材の提供業とは全く異なる、集団的なサービスが実現しています。

最近流行のDXは、社内情報の流れをデジタル化し、その流れの活用を根本から変えることで、ビジネスの在り方、収益の源泉をも変えていこうという流れかと思います。しかしDXの前に、既存情報のデジタル化(デジタイゼーション)、デジタル情報の動的な活用(デジタライゼーション)、そしてその過程における組織の変革を進める必要があります。

DXを謳ってコンサルティングを提供する企業は様々あるかもしれませんが、企業内部の固有の課題を内部からは解決してくれません。そこを何とかしようというのが、私たちシェアード社員です。

中長期の成長イメージとそのための施策

「コーポレートITのナンバーワン企業」として、ご評価いただけることを目指します。

そのために、まずは現在の中核事業をしっかりと伸ばしていきます。コーポレートIT人材の潜在需要は大きいものの、拙速な展開は顧客のためにも人材のためにもなりません。中堅・中小企業にフォーカスし、この分野でポテンシャルのある人材を丁寧に育成することで、お役に立ち続けることを目指します。

次に、人材の育成環境としての新規事業に取り組みます。主としてコーポレートITの領域でテーマを絞り込んだ特化型の事業を想定しており、現在のセキュリティ事業もそれにあたりますが、第2・第3の事業も準備を進めています。

当社と類似する他社サービスで規模感のあるものは現時点で見当たりませんので、私たちがしっかりと成長していくことには、大きな使命感も感じております。

投資家の皆様へメッセージ

現在約200名のコーポレートIT人材の数を、まずはコンスタントに1,000名まで増やしたいと考えます。そのためにも、会社の魅力、職場の魅力を高めることに力をいれていきます。

【4486】ユナイトアンドグロウ株式会社 代表取締役社長 須田騎一朗氏「中堅・中小企業のコーポレートIT業務を、優秀なデジタル人材でサポートする」資産運用ナビコラム
ユナイトアンドグロウ株式会社 2022年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

当社における働き方は、少々ユニークです。「立候補制」が主軸となっており、自分自身の判断で顧客を決め、仲間を募り、顧客に提案をして仕事を推進します。シェアリングによって発生するスキマ時間(機会損失)をどのように埋めて生産性を維持するかの判断は、個々の人材に任されています。誰にも命令されず、自律的に協力しあうことで、経営計画が達成されます。

「ホラクラシー」「ティール組織」など、最近の組織の在り方については学問的な名前も様々提唱されていますが、当社の組織も自然的にそのような方向に進化してきました。これからも、若い人たちに支持される組織づくり、人づくりを推進することで、多くの顧客、そして社会全体に貢献していきたいと考えます。

投資家の皆様には、末永くご支援をいただきたく、お願いいたします。

ユナイトアンドグロウ株式会社(Unite and Grow Inc.)

本社所在地:東京都千代田区神田駿河台4-3 新お茶の水ビルディング3階

設立:2005年2月23日

資本金:343,617,900円(2022年10月時点)

上場市場:東証グロース(2019年12月上場)

証券コード:4486

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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